工場・製造業の製品設計に転職を考えている方の中には「今より給料の良い設計の職場を見つけたい」「残業を減らして現在の働き方を変えたい」という思いから転職を考えている方がいます。
一方で、「転職で給料を上げることができるのか」「残業の少ない製品設計の仕事はあるのか」などの不安があり、製品設計への転職を躊躇してしまいます。
しかし、事前に必要なことを調べておくことで、今よりも残業を減らしてさらに年収を上げることが可能になります。
そこでこの記事では、製造業の製品設計の仕事内容や製品設計の職種でどんなスキルが必要か・給料面など転職を考える際に押さえておきたいポイントを紹介します。
もくじ
製造業における製品設計の仕事内容とは?
では、製造業における製品設計の仕事はどのような内容があるでしょうか。まず、商品によって求められる物はさまざまです。その商品を買いたい、欲しいと思っている顧客のニーズを把握した上で、製品が完成するまでの設計をする仕事になります。
その製品に関する知識から「さらに使いやすい製品を作るにはどうすれば良いか」という発想力も必要です。使う人が「どのように効率よく使えるか」、他には「便利さや安全性・環境にも優しいか」など色んな視点からその製品を理解する力が必要です。
また、設計するためにも数学的な知識や、海外製品に携わる物も多くあります。海外向けの製品も数多いため、数学的な知識・英語力を求められる場合があります。他にはチームで関わる事が多い部門のため、チームワークも重要なポイントです。
製品設計部門で必要な資格やスキルは必要?
次に製品設計の職種として必要な資格やスキルは何があるのでしょうか。まず、資格は必須項目ではありませんが、スキルとして持っておくと良いものがあるので紹介していきます。
製品設計では製品を作るための図面が必要です。その図面を作るうえで必要なツールとして「CAD」があります。また、その製品に欠かせない部品が何かを把握するための表として「BOM」があります。
それらのツールを使う事ができれば転職の際も優遇されたり、その経験を求めている企業もあったりします。そこで、設計図を作成するためによく使われているツール「2D CAD」「3D CAD」「BOM」「機構設計」の4つに分けて、どのような求人があるのか、紹介します。
手書き感覚で描く「2D CAD」
まずCADを使用する企業は数多くあり、CADは設計や図面の作成には欠かせないツールです。CADには2D(2次元)と3D(3次元)の2種類があり、どちらかを用いる場合や、両方のCADを使い分けている企業もあります。
なお、2D CADは手書き感覚で作図ができるため、製品や部品などの形状があまり複雑でないものの作図をするときに使用されます。
例えば、以下は実際の2D CADで制作した図面になります。
このように、シンプルな形状の製品や部品などの作図のときに非常に有効なのが、2D CADになります。
また、立体的なものを2次元で表すため三角法という手法を用いて立体を表現します。例えば以下は、サイコロを三角法を用いて二次元で表しました。
このように、サイコロの目の(1)を基準としたときに右側の面(2)を表したいときは、1の右側に2の面を書きます。逆に左側(5)を表したいときは、1の左側に5の面を書きます。このような手法で書かれたものを三角法といいます。
では、このような図面の作成を行いたい場合は以下のような求人に募集します。
こちらは東京都にある化粧品の、プラスチック容器を扱っている会社の求人です。こちらでは2D CADを使用して、プラスチック化粧品の容器を設計する仕事になります。
2Dは本来、手書きでしてきた作業をPCの中に置き換えてする作業となるので簡単な平面図などに用いられる事が多いです。
手書きより、誰が見ても分かりやすい図面を描くことが出来るので、2D CADが使えると転職の時にも役立ちます。
複雑な形は「3D CAD」がわかりやすい
次に3D CADを使う製品設計にはどのような製品があるでしょうか。設計図は平面よりも立体で表現した方がより、実物を想定して製品を作る事が出来るので、3Dにすることでイメージも掴みやすいです。
例えば、以下のように複雑な形状をしていうような製品(部品)の場合3D(3次元)で表すとわかりやすいです。
このように、2次元で表すとわかりにくいですが、3次元で表すことによって製品全体のイメージが湧きやすくなります。
また、このような図面の作成を行いたい場合は以下のような求人に募集します。
こちらは神奈川にある金型を扱っている会社の求人です。
3D CADを使って自動車や家電・自社製品など様々な製品の金型を設計する仕事です。自動車などの丸みを帯びた製品を設計するので2Dよりも3Dでの製品設計の方が、より詳しく表現できる分、顧客ニーズにも応えやすいです。
必須項目として3D CADの経験者を求めているので、使用経験のある方にとっては転職の際にアピールできるポイントとなります。
「BOM」を使用して部品の管理をする
次に、BOM(部品の管理表)の知識がある場合、どんなことに役立つでしょうか。BOMは製品に使う部品を、どの段階で何個使うかなどを表にできるので仕事効率化に役立つシステムです。
生産量の多い物や、細かい部品が多くて管理の難しい製品設計の場合、管理が大変です。そのためBOMシステムを導入している企業があります。
また、手書きの表やExcelを用いて管理する方法もありますが、どうしても見にくく機械と連動することで正確さ・在庫管理の手間・各部門での連携に違いが出てきます。
このような事からBOMシステムの使用経験があり、導入している企業であれば優遇の対象や、面接の時に使用経験があるとして答えられます。
例えば、こちらは東京にある製品設計システム開発をしている会社の求人です。
こちらの会社では基本設計、詳細設計、プログラミングが一連の工程として挙げられています。基本設計はもちろんのこと、詳細設計、プログラミングには欠かせない製品の部品を管理するためにBOMシステムを導入されていることが伺えます。
そのため、歓迎スキルとしてBOMや要件定義の経験、知識がある方を必要とされています。仕事効率化を活かす為にも知識があると、このような職種でも活躍することが可能です。
必要なパーツを設計する「機構設計」
次に、製品設計をするにあたり、機構設計に関する知識があると製品に関する設計がさらにしやすくなります。製品の各部分に必要となるパーツを、より詳しく設計するために用いられる設計業務です。
対象の商品の大きさや、重さ・部品・構造など細かな部分まで具体的に提案できるので経験や知識があると任せられる業務にも幅が広がります。また、お客様のご要望に応じて製品設計をする場合は、専門的な知識として1つ上の情報提示ができるので伝達がスムーズです。
製品設計に加え、それらの製品に関する中身の部分に知識や理解があるだけで、アイデアが広がり良い製品造りに繋がるでしょう。
例えば、こちらは神奈川県にある放熱・冷却製品を扱っている会社の求人です。
CADの使用に加えて、より詳しく内部構造を理解し、顧客に満足して頂けるような製品設計が求められます。また、設計した内容をお客様へプレゼンテーションしたり、お客様からの疑問に対して回答したりするのでスキルアップにも繋がります。
製品設計部門の給料や年収は?
では、製品設計に転職する際に気になるのが生活には欠かせない毎月の給料や、年収に関する問題です。転職する製造会社の、取り扱っている製品の内容によっても差はありますが、年収でいうと300~700万円ほどと幅広く違いがあります。
また、海外に向けて発信・流通している企業も多く、英語力や海外への渡航歴なども重要視される場合もあります。この場合だと「高スキル」と判断される事もあり給与面で考慮対象となります。
そのため、現在の給料や年収よりも上を目指している場合、「優遇内容」はないか詳しく記載のある求人を探すようにしましょう。
例えば、こちらは東京都にある自転車部品を製造している会社の求人です。
こちらの求人では、想定年収として給与の欄が450万~1,000万円と幅があります。自転車・メカトロ(メカトロニクス)に関する知識に加え、チャレンジできる環境で新たな取り組みをしたい方を求めています。
また、【当社の魅力】として「モノづくりが好きな方、自らのアイデアをカタチにしたい方は活躍できるフィールドを用意しております。」と記載があります。組織として戦力になる人材、自身のスキルを活かして大きく成長できる社員を求めているので、能力や努力次第で給料も変わってくるといえます。
製品設計で残業少なめの転職先を見つけるには
では、製品設計の仕事で残業が少なめの求人に応募するためには、どんな内容や記載事項を確認すれば良いでしょうか。「残業はできればしたくない」と思われる方が多い中、「残業は一切なし」という求人はなかなかありません。
ですが、「残業が完全にない」という会社はありません。会社によっては「残業〇〇時間以内」や「ほぼ残業なし」と言った文言で「残業は少ない」と分かる記載がある求人もあります。
そのため「残業はしたくない」という方は、その思いに少しでも近い求人を探すのがポイントです。また、フレックスタイム制の就業時間を設けている会社もあり、その日の仕事内容に合った働き方で仕事以外の時間も確保できる制度を取り入れている会社もあります。
例えば、こちらは東京都にある小型ポンプの開発、設計をしている会社の求人です。
こちらの求人では見出しに「残業ほぼなし」とあり、詳細欄にも「残業はほとんどありません。多いときで月10時間程度」と記載があります。
概要欄に「残業あり」だけの記載しかない場合、探す際に「どの程度あるのだろう?」と不安になったり、確認する内容が増えたりと判断に時間もかかります。上記求人のように分かりやすい内容が記載されていると転職先を探す時の判断材料となり、参考にできるポイントです。
次に、こちらは神奈川県にある水に関係する事業展開を行なっている会社の求人です。
見出しに残業の有無がされており、概要欄には「フレックスタイム制あり」と記載があります。必ず勤務をしなければいけないコアタイムの記載もあるので、制度を利用してその日の仕事内容に応じて調整する働き方ができるでしょう。
この働き方は電車通勤の場合に生じる通勤ラッシュの時間帯を避ける事や、私用が重なった場合に融通が利きます。使い方次第でその日の予定を効率よく回したり、残業を減らしたりすることも可能です。
ただし「フレックスタイム制あり」と記載がある場合、会社によって利用には規定がある可能性が考えられます。面接の際には、詳細を確認しましょう。
また、製品設計は設計後の工程とは違い、試行錯誤して製品を作り上げていくため、ある程度の時間を要します。設計後の工程では、決定された設計図を基にして製品の加工をするので時間予測もつきやすいですが、製品設計はある程度、時間(納期)に余裕を持たせることが多いです。そのため、残業少なめでも仕事が効率よく回せる場合があります。
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製品設計部門に転職を考える際のポイント
では、実際に製品設計の仕事に転職を考えた際に、自分自身の仕事に対する姿勢や方向性、仕事の内容が合っているかもポイントとなってきます。
また、企業によっては設計するものに関する知識や興味を、重要視される場合があります。さらに、「物造りが好きで転職したい」のか「チームで一丸となって1つの製品を作り上げる仕事がしたい」などでも転職時のポイントとしては変わってきます。
この項では仕事内容の概要欄で「チーム作業・単独作業」が分かる記載のある求人を2つに分けて、ご紹介します。
設計の達成感を共有したいならチーム制
まず、チームで製品設計に取り組む場合、どのようなポイントがあるでしょうか。製品設計をする上で、デザインはもちろんですが使う人(顧客)の思いや特長、利便性などを反映させていく工程になります。そのため、意見交換をしたり試行錯誤したりしながら、その製品の良さや、使いやすさなどを考えて製品を設計していく場合が多いです。
また、チームで色々な意見を出し合うことによって、創造力も広がっていき、それぞれの思いを乗せた製品へと完成していきます。その製品が完成した時の喜びや達成感は、共に作り上げてきた人同士でしか共有できない事です。
そのため、製品を複数名で作り上げていく体制で仕事がしたい方はチーム制になって製品設計を行なっている環境の会社を選ぶようにしましょう。
例えば、こちらは神奈川県にある不織布製品を扱っている会社の求人です。
この会社では不織布製品をお客様の要望を基に研究、開発、設計、生産しています。製品が完成するまでの過程をチームになって担当するので、顧客満足度を高めるためにも各自の考えを出し合える環境です。
そのため、「知見を出し合いながら、顧客ニーズの実現へ向けて製品を開発」とあるように、責任感や仲間と製品を作る達成感を、共有して仕事がしたい方にはチームでの取り組みができる会社がオススメです。
1つの製品に集中したい派なら単独制
次に、チームで取り組むより集中できる環境で製品設計の仕事をしたいと考えている場合です。1人とはいえ、必ず先輩や同僚など相談に乗ってくれる方は存在します。
まず、一連の工程を任される場合だと、チームで連携することも多く、設計だけに携わることはできません。ですが、各工程に担当者が配置されている場合では、工程ごとに分かれて人を配置する事があるので、単独で設計作業をする場合があります。
例えば、こちらは神奈川県にあるICソケットの設計・販売をしている会社の求人です。
こちらの求人票では「仕事内容」が明確にされています。最初の頃は先輩エンジニアから仕事に関する知識や指導を受けてから、徐々に設計の仕事に就けるよう段階を踏めるので初心者でも働きやすい環境です。
また「一人前になれば、常時5~6件を担当」とあり、1人で集中して作業する仕事が好きな方には向いています。他に「基本的に1案件を1人で担当」と記載があります。「何かあれば先輩や上司にいつでも質問ができます」と、あるため「1人作業が好きだけど不安」という方でも安心して取り組むことが可能です。
製造業の製品設計で自身のアイデア力を発揮しよう
これまで製品設計の転職先には「どのような仕事があるか」「どんなスキルが必要か」また「転職する際のポイント」をご紹介してきました。
この製品設計の仕事は「お客様がどんな商品を使いたいか」「どうすれば良い製品が造れるか」をイメージしてカタチにする仕事です。そのため、特別な資格はありませんが、これまでの経験やスキル、頑張り次第で給与も上がります。
また、残業はどうしても付きまとってくる問題です。求人サイトを検索して残業の少ない転職先を探す場合は「残業〇〇時間以内」や「ほぼ残業なし」と記載のある会社もチェックしておきましょう。
その他、チーム一丸となって製品を作り上げる「チーム制」か、1つの製品に集中して作業のできる「単独性」かによっても転職先は変わってきます。製品設計の求人を探す際、仕事内容を十分に確認して、製品を作り上げていく楽しさを持てるような職場を見つけましょう。
工場・製造業に転職をするとき、ほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自分の力だけで求人を探すと、希望の条件を満たす求人を見つける作業のみならず、労働条件や年収の交渉・アポ取りなどさまざまな作業を自分でやらなければなりません。
そこで、転職サイトに登録することで、求人の紹介から労働条件や年収交渉だけでなく、履歴書や職務経歴書などの書類関係を送付するなど面倒な事務作業まで行ってくれます。
ただし、転職サイトによって特徴が違います。例えば「工場・製造業の転職に強い」「全国各地に強いのか、それとも都市部に強いのか」「20代・第二新卒が得意」「40歳以上でも転職を成功させてくれる」などの違いがあります。
転職を成功させるには、これらの違いを理解した上で転職サイトを活用しなければなりません。そこで、以下のページでそれぞれの転職サイトの特徴を解説しています。これらを理解することで、転職での失敗を防ぐことができます。