工場・製造業の機械設計への転職を考えている方の中には、「給与をあげたい」「ワークライフバランスの充実した職場に転職したい」「自分に合った職場に転職したい」などのさまざまな理由があります。また、未経験から工場・製造業への機械設計に転職を考えている方もいるでしょう。
しかし、機械設計の仕事についてよく考えずに転職活動を進めてしまうと「給料が今と変わらない」「残業が多い」などと転職に失敗するケースが考えられます。
そこで、今回は工場・製造業での機械設計に転職を希望している方に向けて、実際にある工場の求人をご紹介しながら、機械設計の主な仕事内容や、おすすめの資格、年収や残業などの知っておきたいことについて具体的に解説します。
もくじ
工場・製造業の機械設計の仕事内容とは?
まず、機械設計とは機械の動くしくみを設計する仕事です。働く工場や分野によっても業務内容は異なりますが、基本的には概念設計・基本設計・詳細設計・生産設計の4つのステップを踏んで工場で使用する専門性の高い機械の設計を手がけていきます。
設計では、CADやCAM、CAEといったツールを使用しながら、設計図の作成やシミュレーションなどをおこないます。工場・製造業での機械設計の仕事は、さまざまなニーズを把握して、ニーズに合わせた機械を作り上げていきます。
さらに、設計をおこなうだけではなく限られた短い時間の中でコストと品質のことも含めた設計を考えなければならい仕事です。
また、機械設計者がコストを意識しないとコストダウンができないともいえます。さらに、工場・製造業で使用する専門性の高い機械では、コストのみならず量産化できかつ高品質であるものが求められているのです。
また、工場によっては工場で使用する機械の新規設計に携わる仕事もあれば、既存製品のカスタマイズをメインに行っている仕事もありますので、ご自身の知識やスキルを活かせる仕事内容の求人を探すのが良いでしょう。
例えば、以下は埼玉県の機械設計経験者募集の求人です。
こちらの求人の仕事内容は、機械設計にとどまらず、産業機械の提案~設置まで関わり、お客様の希望を形に変えることが出来る仕事内容となっています。このように、機械設計の求人であってもの仕事領域はとても幅広い仕事である場合が多々あります。
それから、機械設計の仕事では、設計図を描くのにほとんどのケースでCADを利用しています。そのため、機械設計ではCADの経験が必要なケースがあります。
例えば、以下は千葉県の工場での機械設計エンジニアの求人です。
具体的な仕事内容として、半導体製造装置などの開発・設計業務となっています。こちらの求人にもありますように、設計の際は、CADを使用して図面の作成をおこなう企業がほとんどです。
実際、多くの求人では、CADでの機械設計の経験を有する機械設計エンジニアが求められているため、CADが使用できると転職に大変有利になります。
ちなみに、以下が実際のCADの画面になります。
このようなソフト(CAD)を使って設計図を作成します。
「設計」と「開発」と「生産技術」の違いとは?
ところで、「設計」と「開発」と「生産技術」の違いをご存じでしょうか?設計と開発と生産技術の目的や業務内容は異なりますが、もの作りをしていく上では影響しあう関係です。
先程の、仕事内容をお伝えした際に紹介した求人同様、「機械設計」と求人の検索をしても、担う業務が設計にとどまらず、開発や生産技術の役割を持つ仕事内容の求人も出てくることがあります。
そのため、企業によって、それぞれの呼名や担う範囲が変わってくることもあります。そこで、「設計」と「開発」と「生産技術」それぞれの役割についてご紹介します。
- アイデアをカタチにするために、設計は設計図を作る
設計は、ものをつくりだすために設計図を作る役割を持ちます。こんな製品がほしいという声をカタチにするために設計図を作成し、図面上でカタチにしていきます。
そのため、1からものを作り出すために図面を描きたい人は設計者向けです。
例えば、以下は、埼玉県の製袋機の機械設計の求人です。
こちらの求人の仕事内容は、機械の仕様について検討し、構想を練り、CADを使用しての図面作成の仕事です。既存の機械のカスタマイズで、設計の仕事が担う設計図を作成することが主な仕事内容となっています。
- 開発は設計図をもとに機械を作り出す
開発は、設計図を読み解き、設計者の意図を汲み、作業を進め、実際に製品を作り出していく仕事です。自らが携わり、製品が作り上げられていくため、ものづくりの面白さを直に感じられます。
ものを生み出すために設計図を読み解き、自ら製品を作り上げたい人は開発者向けです。
- 生産技術は製品の生産の方法を考え実行する
生産技術は、既存の機械や設備を改善したりメンテナンスをしたりすることが主な仕事で、製品の生産の方法を考え、実行する役割を持ちます。ローコストかつ高品質の製品を量産できる生産体制を築き、管理をおこなうことが生産技術の仕事です。
工場内で設備の改善や修理・生産ラインを整えるなど、機械いじりをおこないたい人は生産技術向けと言えます。
このように、設計と開発と生産技術は実際に携わる仕事内容が違います。そのため、設計図を描きたいという場合は、機械設計へ転職。機械や設備に触れたいという場合は、生産技術に転職するのがよいでしょう。
しかし、基本的には「設計」「開発」「生産技術」は違う役割を持ちますが、働く工場や仕事内容によって統合されていることもあります。
つまり、転職先が設計の仕事であったとしても、開発や生産技術の仕事に携わることもあるということです。工場・製造業の機械設計の求人では、統合されたものを機械設計の求人として出している企業もありますので、仕事内容について確認が必要です。
例えば、以下は、東京の機械電気設計の求人です。
こちらの求人では、設計のみならず、工場生産技術まで幅広い業務を担う仕事の求人です。このように、「機械設計」で求人検索をしても、設計・開発・生産技術まで統合した仕事の求人も出てきます。「設計業務のみに携わりたい」などの希望がある場合は、仕事内容をよく確認しましょう。
関連記事
機械設計の仕事に就くのにおすすめな資格
まず、資格がなければ機械設計ができない、機械設計技術者として働けないということではありません。
実際に、機械設計者として工場へ転職する場合は、資格取得の有無よりも最も重視されることは経験や実績です。どのような経験があり、どのような設計ができるのかが転職をする上では、最も重要なポイントとなります。
ほとんどの求人では、必須資格に該当する資格はありません。
とはいえ、資格を取得していることで、客観的に見て機械設計に関してより深い知識やスキルがあることの証明につながります。機械設計者として働きたいという姿勢や学びに対する意欲の表れにもなることは確かです。
しかし、資格を持っているからと言って必ず採用になるわけではないことを頭に入れておく必要はありますが、資格があることで仕事につながることや有資格者への手当がでる仕事であることも事実です。
ここでは、工場・製造業での機械設計へ転職する際に、取得しているまたは、転職後に取得すると有利になるおすすめの資格を3つご紹介いたします。
機械設計技術者試験
1つ目のおすすめの資格は、機械設計技術者試験です。この資格を取得していることで、機械設計全般の知識を持っている証明に繋がります。
求人を見てみると、歓迎要件として機械設計技術者試験資格保有者との記載がある求人があります。また、資格手当を給付している企業もあるので、機械設計の仕事に携わる上で取得をおすすめできる資格のひとつです。
例えば、以下は、神奈川県の求人です。
こちらの求人では、機械設計技術者試験2級相当以上の人を募集しています。このように、機械設計技術者試験の資格を取得していることで就職に有利になります。
CAD利用技術者試験
2つ目のおすすめの資格は、CAD利用技術者試験です。まず、機械設計の作業をおこなう上で、CADは必須です。
CAD利用技術者試験の資格を取得していることで、製図ソフトのCADを使用できる技術を持っていること、PCスキルがあることの証明になります。
求人では、CADを使用できる方を求めている企業が多くありますので、転職活動の際は強みになると言えるでしょう。
CAD実務キャリア認定
3つ目のおすすめの資格は、CAD実務キャリア認定です。CAD実務キャリア認定を取得していることで、実力をアピールできます。
CADに関する実務的に技術や技能を認定されていることになるため、転職活動の際は、即戦力として見てくれる企業もあるでしょう。
資格がない人は資格取得報奨金制度を利用しよう
また、転職後に資格取得をすることで報奨金がでる企業もあります。報奨金は資格取得をした際にもらえる一時金で、対象となる資格や金額は企業によって異なります。合格祝いの意味合いがある制度で、一度しかもらえません。
しかし、資格によっては報奨金の金額が高いものもありますので、資格がない人は資格取得報奨金制度のある企業へ転職し、資格取得を目指すのもよいです。
例えば、以下は東京都の機械設計の求人です。
こちらの求人では、資格取得報奨金を支給しています。こちらの求人のように、転職後に資格を取得することで、手当がもらえる場合もあります。そのため、資格がない方は、資格取得報奨金の制度を利用して転職後に資格取得を目指しましょう。
また、未経験から工場・製造業への転職の際も、保有資格があることで知識やスキルがあることの証明ができ転職に有利になります。
機械設計の年収・給料を理解する
次に、工場・製造業での機械設計の年収についてご紹介いたします。まず、機械設計の年収は、工場や業務内容・地域差によって異なりますが、平均年収は約449万円となっています。日本人の平均年収の中央値は407万円になります。そのため、機械設計の仕事は高い平均年収です。
また、日本のメーカーは年齢や勤続年数に応じて賃金が増える年功序列型の賃金制度を導入しているところがほとんどです。現に、機械設計の給与も年齢や勤続年数が上がるにつれて増えていますので、いまもらっている給与を上げるためには、スキルを高めることや転職活動の際に年収アップが見込める求人を見つけていきましょう。
例えば、以下は埼玉県にある製作所の求人です。
こちらの求人のように、機械設計の平均年収と同等の年収400万~500万の求人が多数あります。しかし、転職を考える際は、今の給与より良くなりたいと考える方が多いと思います。
例えば、以下は埼玉県にある菓子製造用機械メーカーの機械設計の求人です。
こちらの求人は、年収500~600なので機械設計の平均年収より高い年収となります。さらに、経験及び能力を考慮の上、場合によっては給与が変動する可能性がありますとの記載がありますので、実務経験が豊富な人は給与が高くなる傾向があります。
また、賞与が年2回合計4ヶ月分あるため、年収も高くなっていると言えます。
なお、昇給や賞与がある求人があるので、年収が低い求人は避け予定年収や賞与なども参考に業務内容と給与を照らし合わせて、納得のできる好条件の求人を探していきましょう。
設計の仕事は残業が多いのか?
次に、機械設計の仕事の残業についてお伝えします。機械設計と聞くと仕事量が多いイメージを浮かべる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実際に、求人情報・転職サイトdoda(デューダ)が掲載する90職種別の残業時間ランキングでは、平均残業時間の多い職種ランキングの7位に機械設計がランキングしています。
工場での機械設計の求人情報でも平均残業時間30時間となってるところや、残業ありと記載されている求人も少なくありません。残業が多い理由として、機械設計の仕事全体が人手不足であること、納期が短めで厳しいスケジュールであることが挙げられます。とはいうものの、求人の中には残業なしの求人や、残業時間が短いものもあります。
機械設計でも残業なしの求人がある
工場での機械設計の仕事に転職する際は、残業についてよく調べ確認し、自分自身が納得できる残業時間であることの確認が必要になります。また、設計の仕事に転職したいけど、残業が多いのはつらいと感じる方います。
そのような場合は、求人を探す際には残業少なめの工場・製造業の機械設計の仕事を検索することがポイントです。
例えば、以下は東京都の機械・機構設計の求人です。
こちらの求人では、残業なしとなっています。機械設計の仕事で残業なしとうっている企業は大変珍しいと考えられます。さらに、残業がなく、想定年収350万~500万円で勤務時間が8:00~16:45となっているため、残業がない機械設計の仕事をお探しの方にはおすすめの求人です。
このように、機械設計の仕事であっても、残業なしの求人や比較的残業時間が短い求人もあるので、ご自身の希望に合わせて検索していきましょう。
関連記事
まとめ
ここまで、工場・製造業の機械設計の仕事に転職するために知っておきたいことについて解説しました。
機械設計の転職は、経験や実績が重視される仕事ではありますが、資格を取得していることで客観的に実力を示すことができ、転職の際に有利になることもあります。また、転職後に資格を取得すると報奨金がもらえる企業もあるので、働きながらの資格取得をすることもできます。
工場・製造業の機械設計は、ニーズに対して、1からものを作り出す仕事です。高品質かつローコストで量産化できるものを作り上げることが求められています。
それゆえ、やむを得ない残業が発生してしまう仕事でもあります。しかし、「給与をあげたい」「ワークライフバランスの充実した職場に転職したい」という本来の転職の目的を忘れてはいけません。
また、機械設計と求人検索をかけて出てくる求人の中には、「設計」「開発」「生産技術」の仕事が統合されているものもあります。
工場・製造業の機械設計の仕事へ転職を成功させるためには、仕事内容や年収、残業についてしっかりと把握し、ご自身の希望する条件と求人内容をすり合わせることが重要です。ご自身が譲れない転職条件を改めて考え、自分に適したより良い職場の求人を探していきましょう。
工場・製造業に転職をするとき、ほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自分の力だけで求人を探すと、希望の条件を満たす求人を見つける作業のみならず、労働条件や年収の交渉・アポ取りなどさまざまな作業を自分でやらなければなりません。
そこで、転職サイトに登録することで、求人の紹介から労働条件や年収交渉だけでなく、履歴書や職務経歴書などの書類関係を送付するなど面倒な事務作業まで行ってくれます。
ただし、転職サイトによって特徴が違います。例えば「工場・製造業の転職に強い」「全国各地に強いのか、それとも都市部に強いのか」「20代・第二新卒が得意」「40歳以上でも転職を成功させてくれる」などの違いがあります。
転職を成功させるには、これらの違いを理解した上で転職サイトを活用しなければなりません。そこで、以下のページでそれぞれの転職サイトの特徴を解説しています。これらを理解することで、転職での失敗を防ぐことができます。