一つの製品を数多く生産する工場では、「ライン生産方式」という方法をとっている工場がたくさんあります。一般的には「ライン作業」「流れ作業」などと呼ばれています。
ライン作業は主に、ベルトコンベアーで運ばれてくる製品を工程ごとに作業する方式です。様々な業種で採用されているため、仕事の種類もたくさんあります。
そのためライン作業とはいっても、どのような工場に勤務するかによって年収や待遇などが変わってきます。例えば、夜勤や深夜業務がある工場であれば日勤勤務よりも高収入が目指せます。
そこで「工場・製造業のライン作業を目指すとき、どのように考えて中途採用の募集に応募すればいいか」について解説していきます。
製造業のライン作業とは?種類・仕事内容を確認する
工場と聞くと、ライン作業を思い浮かべる人は多いのではないでしょうか。ベルトコンベアーで運ばれてくる製品に手を加え、次に回す「流れ作業」がライン生産方式です。
製品が完成するまでの一連の流れを各作業員が担当することで効率化が見込めます。そのため、多くの製造工場で取り入れられている作業方法です。また、小さい製品を梱包する軽作業から車などを組み立てる肉体労働までさまざまな仕事があります。
ただライン作業へ転職する時、大きく以下の3つの業態に分かれることになります。
・食品工場でのライン作業
・化粧品工場でのライン作業
・自動車工場でのライン作業
それぞれについて、以下で確認していきます。
食品工場は比較的、楽なライン作業
まず、食品工場のライン作業はパンやお弁当・飲料メーカーなどさまざまな工場があります。工場の中で衛生面が一番厳しいのが食品工場になります。
作業内容は食材のカットやトッピングのほかに検品や梱包などの作業もあります。基本的に立ち仕事ではありますが比較的に軽作業が多いので、女性や力にあまり自信のない男性におすすめです。
例えば、以下は富山にある食品加工工場の求人です。
この工場では、「仕込作業」「加工作業」「検品・包装作業」「箱詰作業」に工程が分かれており、どの業務がいいか相談できます。また、会社見学できるので仕事内容を確認した後、どの工程が自分に合っているか考えられるので転職時は融通のきく工場だといえます。
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女性におすすめな化粧品工場でのライン作業
次に、化粧品を取り扱う工場は軽作業が多いイメージがありますが、製造工程ではたいへんな労働条件の工場もあります。そのため、求人票を確認するときは仕事内容もしっかり確認する必要があります。
一方で、多くの人がイメージしている容器に詰める作業や検査・検品・箱詰めの仕事もあります。一人で黙々と作業したい人や力に自信がない方はこういった作業に向いています。
例えば、以下は神奈川にある化粧品を扱う工場の求人です。
このように仕事内容が充填・検品・検査・箱詰めなどの軽作業になっている求人であれば、女性でも無理なく作業をこなせます。
きついライン作業の自動車工場
次に、自動車を作る工場があります。自動車工場は、大きく分けて自動車製造メーカー・部品製造メーカー・系列メーカーなどに分けられます。その中でライン作業は、部品加工や成型・機械加工・組み立てなどがあります。
自動車工場で中途採用の求人は主に期間従業員です。一般的には期間工と呼ばれています。期間従業員は期間限定で働く人のことであり、工場によっては契約期間が終わっても契約更新をして仕事を続けることがあります。
また社員登用制度がある工場では、期間工から正社員になれることもあります。
しかし、中途採用で正社員への直接雇用は難しいので、中途採用の求人から正社員を目指すには、各メーカーの下請け工場を狙うのがよいでしょう。例えば、以下は愛知にあるメッキ工場の求人です。
このように、メーカーから仕事をもらっている会社であれば、中途採用でも正社員として働くことが可能です。
工程別でライン作業の種類を確認する
しかし、例えば自動車工場のライン作業と同じ業態であったとしても、ドアを取り付ける工程と塗装の確認を行う工程では作業内容が大きく変わってきます。
そのため、製造業の求人に応募するときに必ずどこの作業工程の求人なのか確認する必要があります。このとき、ほとんどの工場で以下の種類での役割分担があります。
- 加工工程
- 組み立て
- 検品
- 梱包
- 仕分け
例えば、お弁当を作る工場では以下のような作業工程に分かれます。
- 原材料の保管
入荷した材料は、賞味期限や温度・異物の混入が無いかチェックするなどして、それぞれの食材の適正な温度で保管します。
- 食材の準備
野菜やお肉などを包丁やスライサーなどを使い、下処理します。
- 調理
お米を炊いたり、おかずを焼く・煮る・蒸す・揚げたりなど、それぞれの調理方法によって機械を分けて調理していきます。
- 冷却
加熱調理後されたご飯やおかずなどを真空冷却機で急速に冷やします。暖かい食材をそのままにしておくと、菌が発生して腐る原因になるからです。
- 盛り付け
冷却したご飯やおかずを一つ一つ手作業で容器に盛りつけていきます。盛り付け方は食材ごとに担当が分かれていて、ベルトコンベアーの周りに作業員が配置されます。ベルトコンベアーの上を流れてくる容器に食材を盛り付けていきます。
- 検品
出来上がった弁当に表示シールを貼ります。最後に機械検査や目視検査を行い、合格したら出荷されます。
このように食品工場でもいくつかの工程に分かれていて、工程ごとで行うライン作業が変わってきます。
食材カットから金属加工まで加工工程でのライン作業
まず、加工工程では食品加工や機械の加工・部品の加工などがあります。食品工場では、食材をカットしたり加熱処理したりする工程です。部品加工であれば、ネジやベアリング・プレートなどの部品を作る工程になります。
例えば、以下は滋賀にある冷蔵庫の部品を加工する工場の求人です。
こちらの工場では、ラインの上を流れてくるガラスのドアにフィルムを貼り付ける作業になります。加工の作業にはさまざまなものがあるので、仕事内容をしっかりと確認した上で自分に合っているか見極める必要があります。
ライン作業での機械オペレーターの仕事内容
ただ加工工程の中に、機械オペレーターという種類の仕事があります。機械オペレーターとは、機械を操作する人のことです。そのため、他のライン作業と比べて技術や知識が必要になってくる作業になります。
主に製造ラインで動いている機械のプログラミングやメンテナンス・管理を行う業務になります。工場によってはメンテナンスや管理業務は毎日行わず、加工をメインで行う場合があります。その場合、機械オペレーターがプログラミングから加工工程まで行うことになります。
例えば、以下は静岡にある段ボールを製造する工場の求人になります。
この工場では機械オペレーターの求人で「ダンボールを製造する過程」「ダンボールに加工する過程」になっているので、機械オペレーターが加工業務を行うことになります。
しかし、この工場の場合プログラミングといった技術が必要な作業はないので、機械オペレーターとはいえあまり難しい仕事ではないといえます。
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精密部品から重量物まで組み立て工程はきつい?
また組立作業では、時計や電子部品などの精密部品から、車・飛行機などの大きな部品などを組み立てる工程になります。
組み立ての工程では、全て手作業で行うものがあれば、機械と手作業の両方で行うものなど製品によって変わってきます。もちろん、扱う部品によって作業内容は変わるので、重たい部品を取り扱う場合などは体力的に大変になってきます。
例えば、以下は千葉にある機械の組み立てをしている工場の求人です。
この工場では、ボルトで機械に部品を取り付ける組み立て工程を行っています。そのため、電動ドライバーやインパクトなどを使っての作業になるので、手の握力が多少必要になってきます。
しかし、作業内容的には難しくないので、慣れてしまえば楽な仕事といえるでしょう。
女性に人気な検品工程のライン作業
次に検品の工程があります。検品とは品物・製品を検査することです。例えば、電子機器であれば「電源が付くか」「正常に動作するか」など確認します。
ほかに食品工場では異物の混入がないか確認したり、しっかり袋が閉じられているか確認したりします。例えば、以下は食品工場でしっかり袋が閉じられているか確認作業をしているところです。
このように、コンベアーから流れてくる袋詰めされた製品にしっかり中身が入っているか確認したり、漏れがないかのチェックしたりします。
また、検品の求人情報は以下のようになります。
神奈川にある工場の検品作業の求人になります。業務内容は簡単なプラスチック容器の選別・検品の業務になります。この工場に限らず、基本的に検品の作業は簡単なものが多いです。
また、同じ作業の繰り返しになるため、飽き性な人には向いていないといえます。しかし、女性に人気な業務の一つといえるでしょう。
複数の作業を行う梱包工程
さらに製造業では梱包の工程があります。梱包の工程では完成した品物や製品を緩衝材(プチプチ)などで包んだり、段ボールなどに詰めたりする作業になります。
例えば、スーパーなどでお菓子を箱ごと買ったことはあるでしょうか。ダンボールに同じ商品がたくさん(大体24個)入っており、このように商品を段ボールなどに詰める作業が梱包の工程になります。また、壊れやすい商品や品物をエアパッキン(プチプチ)や発泡スチロールなどで包んで保護する作業も梱包の作業です。
例えば、以下は食品工場の梱包作業です。
このようにコンベアーから流れてくる商品について、決められた数量を向きを揃えてダンボールに入れていきます。この工場では、ダンボールの組み立て作業も梱包作業者が行っています。
ただ梱包工程の場合、箱詰めだけでなく複数の作業を兼任することがよくあります。例えば、以下は昭島市(東京)にある工場の求人です。
この工場では、梱包作業者が梱包材で包む作業から伝票貼りまで行います。また、メールチェックや伝票入力などの作業も行います。
同じ作業の繰り返しではないので、こうした求人であれば飽きたり・暇になったりすることはありません。そのため、同じ作業の繰り返しが苦手な人に向いている求人になります。
製品によって大変さが違う仕分け工程のライン作業
そして仕分けの工程があります。仕分けの作業は製品や品物を決められた場所へ分類する仕事になります。仕分ける製品や品物は工場によって異なるため、小さくて軽いものから大きくて重いものまでさまざまです。
例えば、食品工場であればお弁当や冷凍食品などの仕分けになります。ただ家具を取り扱う工場では、家具の仕分けを人の手で行います。家具のような重たい品物を扱う工場では体力が必要となります。
そのため、腕力や体力に自信のない人は以下のような求人に応募するようにしましょう。
この工場は、千葉にある冷凍食品を取り扱う工場の求人になります。このように取り扱う製品が冷凍食品であれば、商品は重くなく腕力や体力は必要なく作業が行えます。
しかし、ライン作業は基本的に立ち仕事になるので、その程度の体力は必要になってきます。また、上記の求人は冷凍食品なので、室内温度が低いことは覚悟しなければいけません。
コミュ障はライン作業に向いている
なお仕事内容はわかったが、実際に自分にライン作業ができるのか不安になりします。これについて、コミュ障だとライン作業に適しています。
コミュ障の場合、コミュニケーション障害は病気ではないためか、周りからは軽く考えられることがあります。ただ、人と上手にコミュニケーションを取ることができないと人間関係を構築することが困難になるため、仕事をする上で重要な問題になってきます。
しかし、コミュ障だからといって長所がないわけではありません。コミュ障の人は「真面目である」「正確である」「専門的な知識に関心を持つ」などの特徴があります。そのため、繰り返し同じことを行うようなライン作業が向いているといえます。
ただ、実際の職場で作業中に人とのコミュニケーションが必要ないか気になります。その場合、事前に工場見学を行うことをおすすめします。工場見学を行う場合は、転職サイトで担当の方に相談して工場に直接連絡してもらったり、求人情報で工場見学がある求人を探したりします。
例えば、以下は兵庫にある食品工場のライン作業の求人です。
このように「入社前職場見学可」となっている会社であれば、事前に職場見学ができるので、工場内や職場の雰囲気・作業内容などを確認できます。
もちろん、求人票に「工場見学可」という内容の記載がなくても工場見学ができるところが多いので、一度転職サイトの担当の方に相談するとよいでしょう。
高収入を目指すなら深夜の夜勤勤務のあるライン作業を目指す
しかし、中にはライン作業へ転職するときに年収を気にする人がいます。業務内容によっても変わってきますが、ライン作業の月収は通常だとおよそ20~25万円といわれています。
また、そのような工場の場合だと労働環境は「土日休み」「年間休日は120日ほど」「残業はほとんどない」「有給も取れる」といった工場が多くあります。そのため、労働環境は大変いいといえるでしょう。しかし、年収はそこまで高いわけではありません。
そうしたとき、高収入を狙うには深夜手当がある夜勤勤務の求人に応募するとよいでしょう。例えば、以下は愛知にある自動車の組立・組み付けを行っている工場の求人になります。
この工場では、自動車の部品の組み付けやカラー塗装・外装検査等のライン作業になります。勤務時間は6:25~15:10と17:05~1:50の2交替勤務であり、夜勤の約3.5時間分が深夜手当が付きます。また、月で考えると32時間が深夜労働になり、通常よりも賃金が25%増になります。
このように、同じ時間働くにしても深夜(22:00~5:00)の間に働くことによって通常よりも25%多く給料がもらえるので、少しでも多く稼ぎたい人は深夜のある夜勤を狙いましょう。
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ライン作業での志望動機
それでは、実際に工場のライン作業の求人に応募するときの志望動機としては、どのように仕上げればいいでしょうか。工場のライン作業は作業がマニュアル化されており、単純作業が多いため初心者や未経験の人でも比較的始めやすい仕事です。
しかし、志望動機の欄に「簡単だから」「誰でも出来る」などは書けません。そこで、ライン作業の求人に応募するときの志望動機のポイントと注意点を解説していきます。
ライン作業は一日中立ち仕事で同じ事の繰り返し行います。そのため、アピールポイントは「体力面」「根気強さ」「集中力」などがあります。また、注意点としては「簡単だから」「家から近いから」「給料が高いから」などのワードはNGです。
以上のことを踏まえて以下のような志望動機を作成するといいです。
私はパズルが趣味で、集中力があり一人でコツコツと作業することが得意です。自分の得意なことを活かせるライン作業のある工場に就きたいと考えております。 今回の求人内容も部品の製造ライン作業ということでしたので、自分の性格を活かして仕事できると考えました。 また、健康のために始めたウォーキングは毎日欠かさず行っているため立ち仕事は問題なくこなせます。 未経験ではありますが、少しでも早くお役に立てるようがんばりたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。 |
このように、自分がライン作業に向いていることをしっかりと伝えることができれば大丈夫です。
また、ライン作業では特殊な能力などが必要ないので、やる気と熱意が伝わる内容になっていれば問題ありません。
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まとめ
ライン作業は、ベルトコンベアーで運ばれてくる製品を工程ごとに作業する方式なので、様々な業種で採用されています。また、仕事の種類や工程などでも分かれているため、色々な仕事があります。
基本的にライン作業は同じ事の繰り返しの作業なので難しくはありません。しかし、その反面飽きてしまうことがあるので、なるべく自分の興味があるものを取り扱っている工場に入るのがおすすめです。
また、作業中に人とのコミュニケーションが少なく、繰り返し同じことを行うようなライン作業は「真面目である」「正確である」「専門的な知識に関心を持つ」という性格をもつコミュ障の人に向いているといえます。
しかし、収入面で不安を覚える人もいます。そうしたときライン作業での高収入を目指す場合は、夜勤や深夜業務などの日勤以外の業務時間に働くのが良いです。
そうして、自分に合った求人に応募するときの志望動機には「誰でも出来る」ではなく、自分がライン作業に向いている理由をしっかりと記載しましょう。そうして、ライン作業を行う製造業の求人へ応募するといいです。
工場・製造業に転職をするとき、ほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自分の力だけで求人を探すと、希望の条件を満たす求人を見つける作業のみならず、労働条件や年収の交渉・アポ取りなどさまざまな作業を自分でやらなければなりません。
そこで、転職サイトに登録することで、求人の紹介から労働条件や年収交渉だけでなく、履歴書や職務経歴書などの書類関係を送付するなど面倒な事務作業まで行ってくれます。
ただし、転職サイトによって特徴が違います。例えば「工場・製造業の転職に強い」「全国各地に強いのか、それとも都市部に強いのか」「20代・第二新卒が得意」「40歳以上でも転職を成功させてくれる」などの違いがあります。
転職を成功させるには、これらの違いを理解した上で転職サイトを活用しなければなりません。そこで、以下のページでそれぞれの転職サイトの特徴を解説しています。これらを理解することで、転職での失敗を防ぐことができます。