工場・製造業に転職を考えたとき、夜勤勤務を検討する人はたくさんいます。一般的な日勤勤務よりも、夜に働いた方が給料は高くなるからです。
そのため同じ工場・製造業で、同じ時間働いたとき日勤の人よりも夜勤の人の方が給料はよくなります。
しかし夜勤は「きつい」という人もいれば、「楽」という人がいるため実際はどうなのか。また、勤務形態についてもどのようなものがあるのか気になります。
そこで、工場・製造業の夜勤はどのような勤務形態で、どのぐらいの給料がもらえるのなどを解説していきます。
もくじ
工場・製造業の夜勤は交代制・シフト制
工場・製造業で夜勤勤務がある場合、ほとんどの工場で交代制を用いて稼働時間を増やす体制をとっています。そのため昼と夜に分かれて、グループごとに交代で作業します。
このとき、夜間勤務のある交代制のパターンはいくつもあります。その中で、工場の夜勤を含む交代制で代表的なのは以下の4パターンになります。
- 4直3
- 4直2
- 3直3
- 2直2
一つ一つについて解説していきます。
実働時間が一般的な4直3交代制
まず4直3交代制では、4つの班が昼間・夜・深夜の3つの時間帯に分かれて勤務します。これは製鉄場や溶鉱炉などの工場や製造業において24時間365日稼働させなければならない場合に採用されるシフト制です。
では、求人票と照らし合わせながら解説していきます。以下は埼玉にある中間材料を製造している工場の求人です。
この工場では、4班3交代制(4直3交代制と同じ)の勤務体制であり、勤務時間は昼の時間帯が「8:00~16:45」、夜の時間帯が「15:15~0:00」、深夜の時間帯が「23:30~8:15」でそれぞれの実働時間が7時間45分です。
この場合、夜勤勤務にあたるのが夜の時間帯の「10:00~0:00」までの2時間と、深夜の時間帯の「23:30~5:00」の5時間30分で深夜手当が付く時間帯になります。
深夜手当とは、法律(労働基準法)に定められた「通常の時間に働いたときに比べ、25%増になる割増賃金」のことです。また、割増賃金(深夜労働)の時間帯は原則として、22:00~5:00になります。
そのため、深夜手当の付く時間内に休憩がはいる場合、休憩時間は手当は付きません。例えば、深夜の時間帯「23:30~8:15」で見たときに、以下のようなタイムスケジュールだとします。
このように、深夜の時間帯でも手当が付く時間と付かない時間があります。そして、4直3交代制の勤務表の例としては以下のようになります。
このように、4班を昼・夜・深夜と3つに分けて働くため、必ずしも土日が休みになるとは限りません。また、土日に働いた場合でも通常勤務になるため休日手当ては支給されません。
しかし、「必ず休みが取れること」「残業が少なめ」といったメリットがあります。
参考までに以下は、4直3交代制のシフト表です。
このようなシフト表をみることで、自分が働く日がどのような体制になるか事前に知ることができます。
4直2交代制は休みが多い
次に4直2交代制では、4班が昼と夜の2つに分かれて勤務します。主にプラント工場や半導体などの工場で用いられるシフトです。4直2交代制では、4直3交代制と同様に24時間365日稼働させなければならない場合に採用されるシフト制です。
こちらも求人票と照らし合わせながら解説していきます。以下は神奈川にあるプラント工場の求人です。
この工場では、4直2交代制の勤務体制であり、勤務時間は昼の時間帯が「8:30~20:30」、夜の時間帯が「20:30~8:30」でそれぞれの実働時間が10時間30分です。
また「3勤3休」になっており、「3日働いたら、3日休む」という勤務体制になります。
この場合、夜勤勤務の「10:00~5:00」の7時間で深夜手当が付く時間帯になります。なお、4直2交代制の特徴として、1日の半分(12時間)が拘束時間になるところです。また、給料形態は会社ごとに異なり、8時間以上の労働に残業代が付く場合や基本給に残業代が含まれる場合などがあります。
また、このように労働時間が長い夜勤の場合、勤務中に睡魔に襲われることがあります。そのときは、休憩時間に少しでも仮眠をとって眠気を覚まします。
また、この工場のように3勤3休の勤務表の例は以下のようになります。
このように、4直2交代制と同様に4班を昼・夜に分けて働くため土日が休みになるとは限りません。しかし、3日働いたら3日休みになるため1年の半分が休みになります。そのため、休日が非常に多い勤務体系といえます。
ちなみに4直2交代制(3勤3休)に勤務している友人に話をきいたところ、以下のように話をしてくれました。
夜勤に慣れるのに少し時間が掛かったけど慣れれば問題ない。また、休日が3日まとまって取れ、休みが多いことが非常に大きなメリットである。 |
このように、人によっては「勤務時間が長い」というデメリットよりも、「3連休」というメリットの方が大きな利益になることがあります。
3直3交代制は土日休みで負担が少ない
次に3直3交代制では、3班が昼間・夜・深夜の3シフトに分かれて勤務します。これは様々な業種の工場・製造業で採用されているシフト制で、上の2種類のように24時間稼働しますが、週に1~2日工場が止まる日があります。
では、求人票と照らし合わせながら解説していきます。以下は千葉にある食品工場の求人です。
この工場では、3直3交代制の勤務体制であり、勤務時間は昼の時間帯が「7:35~16:00」、夜の時間帯が「15:35~24:00」、深夜が「23:35~8:00」でそれぞれの実働時間が7時間25分です。
この場合、夜勤勤務が夜の時間帯の「10:00~24:00」までの2時間と、深夜の時間帯の「23:35~5:00」の5時間25分で深夜手当が付く時間帯になります。また、22:00~5:00までの間に休憩が入る場合、休憩時間は手当は付きません。
なお、3直3交代制の勤務表の例としては以下のようになります。
このように、3班を昼・夜・深夜と3つに分けて5日間働きます。そして、土日に工場が止まるため土日休みになります。
つまり、夜勤勤務でありながら休みは一般的な会社と同じになります。そのため子供たちとの時間もしっかり確保でき、学校行事や結婚式などの行事にも参加しやすいといえます。
2直2交代制は土日休みだが負担が大きい
次に2直2交代では、2班が昼間・夜に分かれて勤務します。こちらも3直3交代制と同様にさまざまな工場で採用されているシフト制です。
こちらも、求人票と照らし合わせながら解説していきます。以下は千葉にある梱包資材を製造している工場の求人です。
この工場では、2直2交代制の勤務体制であり、勤務時間は昼の時間帯が「8:00~17:30」、夜の時間帯が「20:00~5:30」で交代して業務にあたる体制になります。この場合、夜勤勤務の「10:00~5:00」までの7時間で深夜手当が付く時間帯になります。
また、2直2交代制の場合、4直2交代制のように拘束時間が12時間の場合があるので、求人票を見るときは勤務体制と勤務時間を同時に確認するようにしましょう。
そして、2直2交代制の勤務表の例としては以下のようになります。
このように、2班を日勤・深夜と2つに分けて5日間働きます。また、土日に工場が止まるため、土日休みになります。
そのため、3直3交代制と同じように夜勤勤務でありながら休みは一般的な会社と同じになるので、友人たちと時間を合わせやすいといえます。
- 2直2交代制には夜勤専属がある
ちなみに2直2交代制の中には、シフト制にせず夜勤専従・日勤専従といった固定制にする工場があります。
例えば、以下は千葉にある製氷工場の求人になります。
このように、昼勤のみが「8:00~17:00」で、夜勤のみが「20:00~5:00」です。どちらの勤務時間で働きたいかを選べるようになっています。
このような「夜勤のみ」「休日が週休2日制」の場合、一度夜勤に慣れれば、同じサイクルの勤務になるため働きやすいといえます。
夜勤は楽?きつい?どちらが正解か
それでは、工場・製造業の夜勤で働くときついのでしょうか。工場の夜勤では、比較的少ない人数で作業を行うため難しい作業や大がかりな作業が少ないことが多いです。
そのため、体力的には負担が少なく楽な作業といえます。特にプラント工場でモニターをずっと監視するような業務の場合は、楽すぎるためどのように過ごすかなど暇つぶしを考えるほどです。
また製造業の現場などの仕事では、比較的に一人でもできるような簡単な作業が多いため、人間関係をうまく構築できない人や女性でも行えます。
では、どのようなことで夜勤は「きつい」「たいへん」と感じるのでしょうか。これについてはいくつかの原因が考えられます。
- 睡眠不足できつい
夜勤できついと感じる一番の原因が睡眠不足による体調不良です。当然ですが夜勤は夜中に働くので寝る時間は昼間になります。そうしたとき、昼間は寝れないという人がいます。また、車の走る音や工事の騒音などでうるさくて寝れないという人がいます。
そのため、このような状態が続くと体は悲鳴をあげて、きつく大変に感じるのです。
- 食生活が不規則になるためきつい
他には生活リズムが不規則になるため、食生活も不規則になることです。そのため、食事をとるタイミングがズレて体調を崩してしまうことがあります。
そうすると太ってしまったり、痩せてしまったりといった見た目にも変化がでてきます。そのため、ご飯を食べる時間帯に気を付けたり、夜食をなくしたりといった方法で改善する人がいます。
それでも、改善できない人がきつい・たいへんと感じます。
夜勤の給料・年収は高い
一方、夜勤の一番のメリットとして通常勤務より25%給料がいいことが挙げられます。しかし、製造業全体の相場の収入を知らなければ、いいか悪いかの判断がつきにくいです。
そこで、まず製造業の平均月給・年収を知り、求人票と照らし合わせるようにしましょう。以下は厚生労働省が発表している「平成30年 製造業」の結果です。
所定内給与 | 年間賞与その他の特別給与 | 平均年収 | |
~19歳 | 17.9万円 | 16.9万円 | 231.7万円 |
20~29歳 | 21.4万円 | 61.2万円 | 318.0万円 |
30~39歳 | 27.5万円 | 97.6万円 | 427.6万円 |
40~49歳 | 32.8万円 | 125.0万円 | 518.6万円 |
50~59歳 | 37.1万円 | 147.5万円 | 592.7万円 |
60~69歳 | 23.8万円 | 49.9万円 | 335.5万円 |
この図で分かるように月の給料とボーナスなど、どちらも年齢を重ねるごとに上がっていき、50代でピークに達します。そこで、自分の年齢の給料と求人票の給料を比較することで転職先の給料が高いか低いか判断することができます。
例えば、4直3交代制で紹介した、埼玉にある中間材料を製造している工場の求人を例にして確認します。
この工場では、月給が24~35万円になっています。また、入社3年目で月給28万円・賞与4.9ヵ月で年収450万円になっています。
これを製造業全体の平均給料と照らし合わせると、30代の平均年収よりも給料がいいことが分かります。そのため、20代で入社すれば3年後には30代後半~40代前半の人と同じぐらいの給料がもらえます。
このように夜勤がある工場では、製造業全体と比べても給料がいいことがわかります。そのため、夜勤勤務の工場・製造業で働きたいと考える人が多いのです。
夜勤の志望動機で注意するべきところ
それでは、実際に自分の希望する求人があったときに、どのような志望動機を書けばいいかわかりません。
ここで注意しなければいけないことが、「夜勤は給料がいい」「夜勤は楽」など、思っていることを直接書いてはいけません。
そうではなく、面接官が知りたいことは「すぐに辞めてしまわないか」ということです。夜勤は人によって合う合わないがあるため、入れ替わりが激しい勤務形態といえます。
とはいえ、新しい人を入れることにより「指導する人の確保」「指導する人が行うべき業務」「指導時に使われる機械(通常であれば稼働できる機械が止まる)」などのコストが掛かってくるため、会社としては入社させる人に長く勤めてもらいたいという気持ちがあります。
そのため、夜勤の工場・製造業の求人に応募するときは「作業内容と自分が経験してきたこととの共通点」「長く働きたい」ことを伝えると印象のよい志望動機になります。
例えば、3直3交代制で紹介した千葉にある食品工場の求人に応募する場合、以下のようになります。
私は小さい頃から、ラジコンを操作するのが大好きでした。そのため高校では工業系の学校に進学しました。そこで機械科を専攻し、機械に触れる機会が増えて、より機械に興味をもつようになりました。 前職では、NC旋盤を使用して自動車部品の加工を行っていました。前職と業種は違いますが、御社では生産設備の運転者を募集しているということで、興味があり応募させてもらいました。 また、小学校から高校まで野球をやっていたので、体力には自信があり夜勤にも問題なく対応できます。24時間体制でモノづくりを行う御社に微力ながら貢献したいと考えています。 |
このように、「機械操作」と「設備の運転」を共通点としました。他には、2直2交代制の「ライン作業の求人」であれば、同じことを繰り返し行う業務のため、「集中力があり、一つのことを黙々と作業することが得意」というような共通点にしてもよいです。
さらに、「体力に自信があり夜勤にも問題なく対応できる」ことを記載し、「きつくてすぐに辞めることはない」ことを伝えました。
このような志望動機の内容にすることで、求人先の採用担当者に「うちの会社で長く働いてもらえる」という印象を与えることができます。
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まとめ
ここまで夜勤勤務の工場・製造業に転職するときに知っておくべきことを解説してきました。その中でも、夜勤の勤務形態の種類をしっかりと理解しましょう。
また、夜勤は体力的には楽ではあるが「睡眠をしっかりとれない人」「食生活を改善しても体調がよくならない人」は夜勤に向いていないといえます。
それらを理解した上で、夜勤を選ぶのであれば給料面で普通よりもよいのでお勧めします。ただ、求人に応募するときの志望動機は「夜勤は給料がいいから」「夜勤は楽だから」という内容は書かずに「作業内容と自分が経験してきたこととの共通点」「長く働きたい」ことを述べなくてはなりません。
これらを理解したうえで転職活動を行うことで、あなたが求める夜勤の工場・製造業求人を探すことができるようになります。
工場・製造業に転職をするとき、ほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自分の力だけで求人を探すと、希望の条件を満たす求人を見つける作業のみならず、労働条件や年収の交渉・アポ取りなどさまざまな作業を自分でやらなければなりません。
そこで、転職サイトに登録することで、求人の紹介から労働条件や年収交渉だけでなく、履歴書や職務経歴書などの書類関係を送付するなど面倒な事務作業まで行ってくれます。
ただし、転職サイトによって特徴が違います。例えば「工場・製造業の転職に強い」「全国各地に強いのか、それとも都市部に強いのか」「20代・第二新卒が得意」「40歳以上でも転職を成功させてくれる」などの違いがあります。
転職を成功させるには、これらの違いを理解した上で転職サイトを活用しなければなりません。そこで、以下のページでそれぞれの転職サイトの特徴を解説しています。これらを理解することで、転職での失敗を防ぐことができます。