美容師は直接お客様の声を聞くことができるやりがいある仕事です。しかしその裏では、不規則なスケジュールと長時間の立ち仕事で体力的に大変なことも事実です。また、朝から晩まで必死で頑張ったとしても、美容師の昇給はあまり期待できません。
一方で工場・製造業では、業務時間がはっきりと決められているため、毎日の予定がかなり立てやすくなるでしょう。さらに1人の作業が多いため、煩わしい人間関係のトラブルはほとんどありません。さらに給料面や福利厚生面の水準アップも期待できます。
このように、工場・製造業では美容師よりもメリットがたくさんあるため、美容師から工場・製造業に転職を考えている人が多くいます。ただ分野が違うため、どのように転職をすればいいのか、志望動機を含めて考えなければなりません。
今回は、美容師から工場・製造業に転職するメリットや、美容師の経験が生かせるポイント、美容師から工場・製造業へ転職する際の志望動機の書き方について解説します。
もくじ
美容師から工場・製造業に転職するメリット
まず、美容師から工場・製造業に転職するメリットはたくさんあります。なぜなら、決まったスケジュールで働きやすいにも関わらず、給料面や福利厚生面では美容師よりも良い条件であることが多いからです。
また、工場・製造業は未経験可の求人が多く、全く違う職種である美容師から転職することがそう難しくありません。
それでは早速、未経験で美容師から工場・製造業に転職するメリットを紹介していきます。
工場・製造業は休日がしっかりしている
まず、毎日多忙な日々を送る美容師と比べると、工場・製造業はきちんと休めることが大きなメリットです。
美容師は仕事が終わってから、残業代なしで深夜までの練習などが当たり前ですが、工場・製造業なら業務時間がしっかりと決められているので残業はほとんどありません。
サービス残業での勤務時間外の勉強や研修などは全くなく、繁忙期を除き、毎日ほぼ定時に退勤することができます。
また、美容師は盆正月の休みがもらえず、大晦日、成人式などイベント時は激務になりますが、工場・製造業なら勤務量も一定で、カレンダー通りの安定した休みがもらえます。
例えば、以下は東京にある発電用タービンの製造工場の求人です。
こちらの非破壊検査スタッフの求人では、未経験歓迎で残業ほぼなし(月20時間)で休日が年間123日と充実しているのがわかります。工場や製造業では、このような待遇は特別ではありません。
実際に私の知人で美容師から製造業に転職した人が「製造業はサービス残業が一切なく、シフトも前もって決定するので、先の予定が立てやすいです。家族行事や大事なイベントもしっかりと出られるようになりました」と言っていました。
工場では人間関係のトラブルになりにくい
次にきになるのが、人間関係のトラブルです。工場・製造業のライン作業や単純作業では美容師にありがちな店舗内のスタッフでの派閥や競争がなく、人間関係がギスギスすることはほぼありません。
工場・製造業のライン作業や単純作業の作業内容は、家電の組立、検査、服飾、食品工場などでの、単純なモクモク作業の繰り返しが多いからです。1人で決められたことをこなしさえすれば作業は問題なく、人との関わりが最低限になるからです。
接客好きでも疲れている時には、お客さん対応をすることがしんどい時もあります。製造業は工場内の勤務なので、美容師のように長い間お客さんの接客をすることや無茶を言うお客さんの対応などで神経をすり減らすことはないのです。
例えば、以下の求人は、東京にあるICカードなどを製造している工場の求人になります。
こちらの工場ではICカードを検品する作業の仕事が募集されています。仕事内容は完成品ICカードにキズ・汚れ・折れ・プリントにズレがないかチェックしたり、カードが正常に読み取れるか確認したりする仕事なので、人とのコミュニケーションは最低限で、人間関係に振り回されることはありません。そのため、自分の仕事をコツコツとマイペースにこなすことができます。
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美容師より工場・製造業の給料や待遇がいい
では、工場・製造業の給料や待遇面ではどうでしょう。美容師は、早朝から夜遅くまで仕事をしている割に給料は安く、賃金と労働量のバランスが取れていません。さらに30代40代と美容師として経験を積んでも、思ったほど給料が上がりません。
以下の表は、美容師と製造業の給料を比較した表になります。
月給 | ボーナス | 年収 | |
理容・美容師 | 23万3千円 | 7万2千円 | 286万8千円 |
製造業 | 29万7千円 | 105万6千円 | 462万円 |
製造業と比べて | -6万4千円 | -98万4千円 | -175万2千円 |
この表から製造業に比べて理・美容師は月給が6万4千円、ボーナスでは98万4千円安いことがわかります。さらに、年収にすると175万2千円も安くなります。
実際の求人では、東京にある亜鉛メッキ加工の工場の仕事が見つかりました。
この工場では、勤務時間が通常8:00〜17:00と日中の勤務で、月給が25〜30万円と美容師の平均よりも高いことがわかります。さらに当然ではありますが残業手当や賞与(年2回)・昇給制度・皆勤手当などがしっかりとつきます。
また、社会保険や交通費・退職金制度など基本的な福利厚生もしっかりしています。
休暇は年末年始やGW・夏季休暇とカレンダー通りの休みが取得できます。この他にも、慶弔休暇や有給休暇など、社員が快適に日常生活を送ることができる制度が充実しています。
ちなみに、メッキ加工とは簡単にいうと鉄などの製品をサビづらくするための表面処理のことです。例えば、以下は黒染めという表面処理を行った製品になります。
このように、処理前と処理後では見た目が明らかに違うことがわかります。このような、表面処理は専用の液につけて行いますが、素手で直接触るようなことはないので、手荒れの心配などはありません。
工場勤務では美容師の手先の器用さが活かせる
一方で美容師と工場とでは全く違う職種のため美容師から工場・製造業に転職してもやっていけるか不安になります。しかし、美容師の手先の器用さは、工場・製造業に向いています。
特に、製造業では時計や半導体部品・電気製品など細かい部品を作成したり、組み立てたりするので、手先が器用な美容師は工場・製造業に適任といえます。
例えば、以下は実際のカメラ部品になります。
このような細かい部品の作成や組み立てをする場合には美容師のような手先が器用な人が向いています。
また求人では、以下のような求人もあります。
こちらの求人は埼玉にある半導体製造装置を製造する工場求人です。仕事内容は半導体製造装置部品の検査などで細かい作業が好きな方、黙々と作業に集中したい方歓迎になっています。
そのため、このような求人の場合手先が器用でないとつとまらない仕事になります。
美容師から工場へ転職する際の志望動機
次に気になるのが、工場・製造業に転職する時の志望動機です。美容師と工場・製造業とは全く接点がありません。このような場合は、どのように志望動機を書いたら良いのでしょうか?
まず、志望動機を書く上で、給与や福利厚生など待遇面をあげる、幅広い業界で仕事がしたいなど、工場・製造業ではなくてもよい志望動機にするのはNGです。
なお、美容師の強みは、手先が器用で我慢強さ・忍耐力です。つまり細かい作業をこなす事や責任を持って最後まで仕事をすることができる真面目さは工場・製造業で必要なスキルです。
さらに工場は、スピード・正確さ・安定感が要求される仕事です。そのため、単純作業でも熱心にできる集中力・作業スピードアップや作業効率を高めるための工夫ができること、仕事を完遂できる誠実さをアピールすることが有効的です。
上記の内容に加えて美容師の経験を織り交ぜながら、ものづくりが好きなど、工場・製造業で仕事をしたい熱意を伝えると良いでしょう。
さらに具体的になぜ志望しているのか、入社後にどのように貢献できるかを書きます。
下記は一例となります。志望動機の参考にしてみてください。
製造業の仕事は未経験ですが、元来手先が器用でものづくりには大変興味があります。 工場で物を造形する作業に集中して取り組み、技術を磨くために切磋琢磨することは、自分自身の成長にも繋がると感じ、貴社の求人に応募させていただきました。 美容師の仕事ではスピードはもちろん作業効率も考えて行動することが要求されます。そのため、他のスタッフとの連携により効率よく仕事をこなしてきました。 さらに、細かいミスも許されず間違いなく正確なサービスを提供するために、常に集中する必要があります。このような経験から、素早く正確に作業し最後まで責任を持って仕事をすることには自信があります。 そのため、素早く安定した製品を作ることを目標とする工場の仕事にも生かせると考えております。 工場の作業でも、与えられた仕事をするだけではなく創意工夫をこらし、貴社の戦力になれるよう努めたいと思っています。 |
このように、製造業の仕事でも必要な美容師時代の経験を伝えることで、美容師から工場勤務という異業種への転職でも納得感のある志望動機になります。
大切なことはあくまでキャリアアップのための転職だとアピールすることです。
本当は美容師の仕事に不満があったことが転職を考えた理由かもしれません。しかし給料や待遇が悪いことや、人間関係の不満などネガティブな内容は志望動機には入れるべきではありません。
なぜなら採用担当者に、不満ばかりで我慢できない人と思われてしまう可能性が高いからです。
実際は、美容師の仕事に不満があって転職を考えていたとしても、志望動機を書く時には「前職の仕事で経験したことを活かしながら、貴社でさらなるステップアップを目指したい」と言うようなポジティブな内容にしましょう。
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まとめ
今回は、美容師が工場・製造業に転職する際のメリットと求人に応募する際の志望動機の具体例を解説しました。
工場・製造業はスケジュールがはっきりと決まっていて休日も多く、非常に働きやすい職場です。基本的には工場内の仕事なのでお客さん対応はなく、人間関係に煩わされることもありません。
ただ、製造業の求人でも残業があったり、最低限の業務連絡があったりします。求人の内容をしっかりと確認し、自分に合った職場を選んでいくことが大切です。
また、工場・製造業は未経験可の求人は多いですが、誰でも採用されるわけではありません。そのため、美容師の手先の器用さや集中力、誠実さなどは強みとなります。
毎日夜遅くまで仕事をしてきた忍耐力、集中して仕事に取り組める誠実さは、製造業では大きな魅力となり企業側からも欲しい人材です。自信を持って工場・製造業の求人に応募してみましょう。
工場・製造業に転職をするとき、ほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自分の力だけで求人を探すと、希望の条件を満たす求人を見つける作業のみならず、労働条件や年収の交渉・アポ取りなどさまざまな作業を自分でやらなければなりません。
そこで、転職サイトに登録することで、求人の紹介から労働条件や年収交渉だけでなく、履歴書や職務経歴書などの書類関係を送付するなど面倒な事務作業まで行ってくれます。
ただし、転職サイトによって特徴が違います。例えば「工場・製造業の転職に強い」「全国各地に強いのか、それとも都市部に強いのか」「20代・第二新卒が得意」「40歳以上でも転職を成功させてくれる」などの違いがあります。
転職を成功させるには、これらの違いを理解した上で転職サイトを活用しなければなりません。そこで、以下のページでそれぞれの転職サイトの特徴を解説しています。これらを理解することで、転職での失敗を防ぐことができます。