金融業といえば、安定した収入のイメージがありますが、「AIの発達により金融業界の将来に不安感じる」「ノルマや人間関係が厳しい」などといった理由により、金融業から製造業へ転職したいと考えている方がいます。
しかし、異業種への転職はわからないことが多く、不安のほうが大きくなりがちです。「製造業へ転職したいけど迷ってしまう」「やっぱりやめておこうかな」という方も、具体的に転職後の未来が想像できれば、前向きに転職活動に励むことができるでしょう。
そこで、金融業から製造業への転職を成功させるために、知っておきたいおすすめの職種や製造業で活かせるスキル、転職後の年収、転職活動に欠かせない志望動機の書き方について紹介していきます。
もくじ
金融業から工場・製造業へ転職は有利
金融業から、異業種の工場・製造業に転職ができるのか、不安に感じている方がいますが、実際には金融業から工場・製造業への転職はもちろん可能です。
さらに、希望業種によっては、いままでのスキルや経験を活かすことで転職に有利になることが考えられます。なぜかというと、金融業で培ったコミュニケーションスキルやコツコツと仕事に取り組む姿勢は、工場・製造業でも、必要なスキルであり、そのスキルを求めている企業が多くあるからです。
また、工場・製造業では、未経験者を積極的に採用している傾向があるため、工場・製造業への転職は、難しい事ではありません。
とはいうものの、いままでの経験を活かすためには、どんな職種を探していくのがよいのか迷ってしまいます。そこで、ここでは金融業での経験を活かせる工場・製造業の仕事や、未経験でも活躍できる職種、金融業からの転職で活かせる強みや能力について紹介します。
金融業で培った強みを知り、能力を活かしながら働ける工場・製造業の仕事を探していきましょう。
工場事務・経理では経験を活かせる
まず、金融業から工場・製造業への転職でおすすめな職種は、工場事務や経理です。いままでの経験を活かし、その強みを武器に転職を進めることができます。
そもそも、工場事務・経理では、お金の管理が必須です。金融業のときのお金との関わり方とは、異なる部分もありますが、金融業界で学んだ知識が会社の経理とマッチする部分も多く、転職に有利になりやすいといえます。
例えば、工場事務・経理では
- 会計業務
- 売上管理
- 預金管理
- 請求書発行・伝票処理
- 在庫管理
- 社員の各種手続き
- 銀行などとの金融機関対応
など、多岐にわたる業務を行います。
金融業で務めていた方は、書類作成や、お金の管理に必要な基本的なパソコンスキルを取得されている方が多く、この点も有利になりやすいポイントであるといえるでしょう。
金融業で学んだお金全般知識や、数字に強い点は、工場事務・経理への転職では最大のアピールポイントとなります。
工場・製造業の事務や経理の仕事であれば、今までの仕事と共通する点があるため、転職後の仕事内容もイメージしやすいのではないでしょうか。
例えば、以下は千葉県の経理の求人です。
こちらの求人は、伝票入力をはじめ、さまざまな資料の作成や決算に関する業務を行います。必要なスキルとして、業務にかかわる日商簿記2級以上の資格、パソコンスキルに加え、コミュニケーションスキルが求められています。
工場・製造業でも、コミュニケーションスキルを求められることがあり、金融業でお客様対応をしてきた経験が活かせます。
ちなみに、こちらの求人は経理の実務経験を求める求人案件ですが、経理未経験でも応募可能の求人は豊富です。
未経験でも工場・製造業で活躍できる
そもそも、工場・製造業は、未経験でも転職しやすい業界といわれています。工場・製造業では、マニュアル化された作業工程が多いため、未経験者や専門知識を持っていなくても働くことが可能です。
また、作業を通じて知識や経験を得られる体制が整っている企業が豊富にあるので、未経験者でも転職しやすいといえるでしょう。なお、金融業からの転職で、「ものづくりの経験がないから不安だ」と感じる方がいますが、工場・製造業への転職は、未経験者も多く採用されている現状がありますので安心して下さい。
また、工場・製造業では多岐にわたる職種が特徴です。工場と聞いてイメージが湧く、製造工程に関わるスタッフをはじめ、エンジニア・生産技術・生産管理・品質管理・組込系・設計・製造オペレーター・設備管理などさまざまな職種の方が協力し合いものづくりを進めています。
そのため、広い選択肢の中から工場・製造業の求人を探すことができるでしょう。なお、求人サイトで工場・製造業の求人案件を確認してみると、未経験可の求人がたくさん掲載されています。
例えば、以下は埼玉県の製品製造の求人です。
こちらの求人は、機械やプラントの部品の製造を行う仕事になっています。業界・職種未経験歓迎となっている求人ですので、ものづくりの工程に関わりたいという方におすすめできる求人案件となっています。
このように、求人サイトで「工場 製造業 未経験」などと検索すると、たくさんの未経験歓迎の求人案件を確認できます。携わりたい職種が決まっている方は、「工場 製造業 未経験 エンジニア」など職種を入力して検索を進めていきましょう。
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金融業からの転職で活かせる強みや能力
では、金融業からの転職で活かせる強みや能力はいったいどのようなものがあるのでしょうか。
金融業で必要とされるスキルは以下の通りです。
- 真面目
- コツコツと仕事をこなせる
- リスクに対する感覚の鋭さ
- ストレス耐性
- コミュニケーションスキル
これらのスキルは、工場・製造業のでも必要なスキルと共通する点があります。さらに、金融業という、緊張感のある環境で何年も働いていた経験があることはそれだけでも、評価のポイントとなります。
いままでの細かいお金の管理や、資料作りなど金融業での経験を活かせる職種としては、生産管理などの管理部門もおすすめできます。
また、金融業からの転職で、活かせる資格は以下の通りです。
- 日商簿記2級以上
- TOEIC
- ファイナンシャルプランナー
これらの資格を取得している方は、工場・製造業の転職でも活かすことができます。
日商簿記2級以上ファイナンシャルプランナーは、工場事務や経理で有利になり、TOEICは海外に生産拠点を持つ企業や、語学力が必要となる企業では必須資格になる場合があります。
例えば、以下は化粧品製造メーカー経理の求人です。
こちらの求人は、未経験からスタートできる経理の求人です。必須ではありませんが、英語スキルと簿記の資格を取得している方は有利になります。
海外に工場を持っている企業では、TOEICなど外国語のスキルが高い方を求めている傾向があるため、外国語力を活かした転職をしたい方は、海外工場を持つ企業を中心に転職先を探すのがよいでしょう。
金融業から工場・製造業への異業種転職は、一見共通する点はなさそうに思えますが、実は、能力や資格、スキルも通じる部分が多くなっているため採用時に評価されるケースがあります。取得している資格だけではなく、スキルもアピールしていきましょう。
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未経験で転職した場合の年収について
次に、未経験で工場・製造業へ転職したときの年収についてです。厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査の概況」によると、製造業の平均年収は384万円となっています。
一般的なイメージだと、きつい仕事で低収入というイメージがまだまだありますが、実際には、日本人の平均年収以上の年収を得られる業種です。
例えば、以下は東京都の医薬品等の製造・品質管理の求人です。
こちらの求人は、医薬品・化粧品・サプリメントなどの製造・品質管理の求人です。未経験者でも応募可能で、月給は226,000円~40万円となっており、それに加え、賞与4ヶ月分が支給されます。
前職の経験や能力が考慮され、固定残業代が含まれていますが、最低でも月給226,000円は悪くない給与であるといえるでしょう。
未経験者がいきなり高収入を得ることは、難しいことではあるものの、経験を積みキャリアアップが可能な業種であることは間違いありません。
また、福利厚生手厚い企業が多くなっているため、手取りの収入だけではなく、福利厚生や手当の部分で魅力を感じることができるでしょう。さらには、休日がしっかりと取得でき仕事とのONとOFFがつけられる求人案件が豊富にあります。
転職後の年収が下がる可能性がある
工場・製造業の求人案件は豊富にあるものの、未経験での転職の場合は、金融業での年収より下がる可能性があるということは理解しておきましょう。
なぜなら、金融業の全年代の平均年収は440万円程度と言われおり、さらに、40代~50代であれば600万円以上となり、日本人の平均年収と比べるとかなりの高収入を得ていることがわかります。
そのため、金融業から製造業への転職は、年収が下がってしまう可能性があるということを理解したうえで転職活動をおこなう必要があります。
その一方で、工場・製造業では、福利厚生が手厚く、手当などが充実している点はメリットであるといえるでしょう。
年収という数字だけでは評価すれば、工場・製造業への転職はデメリットに感じてしまう部分があります。しかし、工場・製造業では福利厚生や手当、さらにはしっかりと休日がとれ残業がすくない企業が多々あります。
そういった視点で考えれば、年収が下がってしまう可能性はあっても、プライベートな時間を大切にしたいと考える方や、仕事のメリハリをつけたいと感じる方にとってはおすすめできる仕事です。
例えば、以下は神奈川県の工場内作業の求人です。
こちらの求人は、機械オペレーターの仕事です。工場・製造業の仕事は、24時間365日稼働している工場で休みがなく不規則な勤務時間をイメージする方がいますが、こちらの求人のように、土日休みで日勤のみ勤務の企業も存在しています。
また、ノルマがなく定時で帰れることでプライベートな時間を確保できたり、黙々すすめる仕事では人間関係で悩むことも少なかったりといった点でも魅力があります。
金融業から転職を検討する理由としては以下があげられます。
- 人間関係、上下関係が厳しい
- ノルマがある
- プライベートな時間が少ない
- AIの発達により業界の将来が不安
などです。
そこで、工場・製造業に転職することで、ストレスに感じていた働き方を改善できる可能性が高まります。
年収は下がってしまうケースがありますが、それ以外の点でメリットとなる部分や、働く環境が改善されるといった点で考えると、年収がすべてではないといえるでしょう。
日々感じていたストレスがなくなるだけでも、転職してよかったと思えるはずです。
未経験でもキャリアアップが可能
また、未経験からの転職では、いきなり高収入を得る仕事を探すことは簡単なことではありません。工場・製造業は、経験が評価されることが多く、未経験者より経験者の方が高収入を得られる仕組みになっているからです。
しかし、実際に未経験から転職をしたときに、いつまでも年収が低いままかといったらそうではありません。
工場・製造業では、経験を積むことで責任が伴う立場になることで昇進したり、資格を取得することで資格手当がついたりとキャリアアップし年収をあげることができる業種であると言えます。
また、将来的に管理職など出世を目的に人材を集めている求人案件に応募するというのもひとつの手です。
転職して「将来どうなりたいかという希望」を持ちながら転職するのと、とりあえず転職したいという気持ちで転職活動を進めるのでは、目に留まる求人案件も変わってきます。
そのため、工場・製造業に転職して、将来的にはどのような仕事がしたいのか、どのような立場で働きたいのかを考えたうえで求人案件を探していくことが大切です。
金融業から工場・製造業に転職するときのポイント
金融業から工場・製造業に転職するときのポイントとして、異業種へ転職したいと考える理由を明確にし、応募書類や面接で採用担当者に伝えられるようにすることが大切です。
異業種からの転職は、採用担当者が「なぜ金融業から製造業に?」と疑問をいだきやすいと考えられます。その疑問に答えられるように、転職理由やなぜこの企業で働きたいと思ったのかという明確な理由を整理しておきましょう。
なお、上記でお伝えしたようにいかせる強みや資格を整理することも大切です。
工場・製造業に転職したいと思う強い気持ちと、実際に働きだしたら貢献できる点についても考えておくと面接での質問時にスムーズに回答できるでしょう。
志望動機を考える
では、金融業から工場・製造業へ転職する際の志望動機のポイントをお伝えします。
志望動機を考える時に、以下の点を意識していきましょう。
- 異業種の、工場・製造業の職種に興味を持ったきっかけや理由
- いままでの経験や知識から、転職後の職種で活かせる強み
- なぜこの企業・職種を選んだのか
をまとめていくことが重要です。
- 異業種の、工場・製造業の職種に興味を持ったきっかけや理由
金融業からの転職で、ストレスに感じることや人間関係の悩みなどマイナスな理由がある場合であっても、ネガティブ感情を伝えるのは避けましょう。
また、「楽そうな勤務だから」「金融業と比べてストレスが少なそう」などのイメージを伝えることは、よいことではありません。
例えば、「小さいころからものづくりが好きで、転職をしてでも携わっていきたいと感じたから」や「金融業で務めた経験があるからこそ、挑戦したいことが明確になった」など、異業種への転職であるから達成できるという点を伝えていきましょう。
- いままでの経験や知識から、転職後の職種で活かせる強み
すでに取得している資格や、いままでの経験から転職後に活かせることを考えてみましょう。
簿記2級を取得している場合は、事務や経理では有利になりますが、製造の現場ではあまりメリットにならない場合もあります。そのため、転職希望の職種にそって強みとなりアピールできるポイントを考えていきましょう。
資格はなくても、コミュニケーションスキルやビジネススキル、パソコンスキルが強みとなる場合もありますし、コツコツした作業が得意や集中力は誰にも負けない自信があるなど、性格面の長所などをアピールするのも可能です。
趣味や特技などが仕事に活かせる場合がありますので、経験や知識はもちろん、転職後に活かせそうな強みを考えてみてください。
- なぜこの企業・職種を選んだのか
たくさんある工場・製造業のなかから、なぜこの企業を選んだのかという理由を採用担当者は知りたいのです。
「他の企業にもいえること」ではなく、「この企業でなければならない」理由を伝えられるように整理していきましょう。
志望動機の例文
では、金融業から工場・製造業へ転職する際の志望動機の例文を紹介します。例えば、銀行員が食品メーカーの品質管理に転職する際の志望動機です。
品質管理の仕事は、食の安全を守ることはもちろん、日々の細かな業務を丁寧に進めていくことが大切であると感じています。 銀行員時代に一番大切にしていた「お客様へ安心を提供する」という点では共通する思いがあり、この思いや経験を形として表すことができる、食品メーカーへの転職を決意しました。 安心、安全な製品をお客様に提供することは、人々の生活を守ることにつながっていると感じています。貴社が長年にわたり、変わらない味でお客様が安心して手に取れる製品を作り続けていることに感銘を受けたため、貴社を志望しました。 ご採用いただきましたら、これまでに培ってきたコミュニケーションスキルやパソコンスキルを品質管理の仕事に活かし、これからも愛され続ける製品の品質を守っていきたいと考えております。 |
このように、なぜこの企業を選んだのか、なぜこの企業で働きたいのかという思いを伝えられる文章を考えていきましょう。
転職活動は、同業種への転職より異業種への転職のほうが簡単ではありません。
しかし、元銀行員という肩書があることは好印象を与えられます。志望動機でしっかりとあなたの思いを採用担当者に伝えられるように志望動機を考えていきましょう。
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多くの求人に触れる
最後に、金融業から工場・製造業への転職を進めていく上でたくさんの求人案件に触れてみることをおすすめします。
たくさんの求人案件に触れていくことで、自分自身が希望する職種や年収、やってみたいこと、自分の能力が活かせる分野、などが具体的な形として理解できるでしょう。
工場・製造業と言ってもさまざまな求人案件があります。そのなかで、あなたの希望とマッチした求人案件をみつけるためには、いろいろな求人案件に触れてみることが大切です。
どんな求人を探したらいいのかわからない。工場・製造業に転職したい気持ちは固いが、「実際どのように求人案件を探していけばよいのかわからない」「異業種への転職は、不安が大きい」など転職に対して不安やわからないことが多く感じている方や、絶対に転職を成功させたいと感じている方は、転職エージェントの利用をおすすめします。
転職エージェントでは、転職サイトに掲載されていない非公開求人があります。非公開求人では、大手企業の求人や、今までの経験を活かしキャリアアップを目指せる求人などがあります。
転職支援をしてくれるアドバイザーが、転職するまでサポートしてくれます。異業種からの転職は、不安がつきものです。そのため、プロの力をかりて、効率的に理想の転職ができるようにしていきましょう。
まとめ
ここまで、金融業から工場・製造業へ転職するために知っておきたい、おすすめの職種や、アピールしたいスキル、転職後の年収、志望動機について紹介してきました。
金融業と工場・製造業は、関りがなさそうに感じますが、必要とされるスキルに共通点があり、金融業から工場・製造業への転職は難しい事ではありません。
しかし、未経験での転職は、転職後の年収が下がってしまうケースがありますので、転職してどうなりたいのか、何を希望しているのかを明確にし、転職を進めていくことが大切です。
また、応募先からの採用を導くためには、「なぜ金融業から異業種の製造業で働きたいと考えているのか」という点を面接官に伝えていきましょう。
もし、志望動機を考えることが難しい場合や、異業種への転職で不安を感じている方は、ひとりで悩まずに転職エージェントを利用してみるのがおすすめです。
まずは、満足のいく転職ができるように、自己分析や企業研究を行っていきましょう。
工場・製造業に転職をするとき、ほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自分の力だけで求人を探すと、希望の条件を満たす求人を見つける作業のみならず、労働条件や年収の交渉・アポ取りなどさまざまな作業を自分でやらなければなりません。
そこで、転職サイトに登録することで、求人の紹介から労働条件や年収交渉だけでなく、履歴書や職務経歴書などの書類関係を送付するなど面倒な事務作業まで行ってくれます。
ただし、転職サイトによって特徴が違います。例えば「工場・製造業の転職に強い」「全国各地に強いのか、それとも都市部に強いのか」「20代・第二新卒が得意」「40歳以上でも転職を成功させてくれる」などの違いがあります。
転職を成功させるには、これらの違いを理解した上で転職サイトを活用しなければなりません。そこで、以下のページでそれぞれの転職サイトの特徴を解説しています。これらを理解することで、転職での失敗を防ぐことができます。