工場の現場のアイキャッチ

ものづくりが盛んな日本において、製造業へ転職を希望する人が多いです。その中でも人気のある職種といえば工場の現場作業者といえます。

休日出勤や残業はあるものの、その分毎月の給料や年収といった面でやりがいがあります。しかし、実際の現場ではどのような作業をしているのかわからないので、自分にできるのか不安に感じます。

また、「自分でも出世できるのか」「給料・年収はどのくらい」なども気になります。

そこで、工場・製造業の現場での作業内容や出世するにはどうすればいいかを解説していきます。

工場・製造業の現場の仕事内容を理解する

まず、一言で工場・製造業といっても様々な業種があります。そこで、工場の現場に転職を考えたときに最初に知っておきたいことが、現場の仕事内容です。

具体的な仕事内容を理解したうえで、自分のやりたい業務を見つけ出すのが転職のポイントになります。

大まかに分けて工場・製造業での現場作業は以下になります。

  • 加工
  • 洗浄
  • 組み立て
  • 検査
  • 梱包
  • 出荷

これらの業務を工程ごとに分かれて作業していきます。それでは、一つ一つ確認していきましょう。

付加価値を付ける工程が加工作業

まず、原料に付加価値を付ける工程が加工工程になります。例えば、縫製工場であれば糸や毛糸を縫ったり編んだりして服をつくる工程がこれに当たります。金属加工工場であれば金属に穴を開けたり、削ったりする工程になります。

加工工程では、誰でもできる単純作業から細かい作業が伴われる精密作業、重たいものを扱う力作業までさまざまです。そのため、いくつかの業種を紹介していきます。

  • ミシン作業がメインの縫製作業

まず、服飾関係が好きな人や女性が多く活躍する縫製工場の加工工程です。

例えば、以下は東京にある縫製工場の求人です。

工場の現場の求人票1

この工場では、プリーツ(スカートやブラウスなどに付いているヒダのこと)加工をメインに素材の縫製を行う仕事になります。

ミシンを扱う工場では、「ミシンの実務経験者」などの応募条件がある場合があるので、求人に応募する前に必ず応募条件欄を確認するようにしましょう。

  • マシニングセンタ

他には、マシニングセンタがあります。マシニングセンタは金属や樹脂などを加工する機械であり、モノづくりが好きな人に向いている仕事になります。

例えば、以下は千葉にある金属加工工場の求人です。

工場の現場の求人票2

この会社では、大型部品から精密部品までさまざまな金属部品を製造しています。また、それらの金属部品についてマシニングセンタを使ってプログラムから段取り・加工まで行う業務になっています。

参考までに、以下が実際のマシニングセンタです。

マシニングセンタ

そして、以下がCAD/CAMを使用してつくったプログラムです。

工場の現場のプログラム

さらに、以下が加工後の状態です。

工場の現場のマシニングセンタ2

マシニングセンタは、刃物が高速回転して固定された材料を加工する機械です。

このように、プログラムを組むところから実際に機械を動かして加工まで行う業務になります。このような仕事の場合、覚えることもたくさんあり難しい内容の業務もあるため大変になります。

その反面、やりがいがありモノづくりが好きな人には楽しい仕事といえます。

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品物を洗う工程が洗浄

他には洗浄の仕事があります。洗浄業務は主に加工から上がってきた部品や製品についた油やゴミを洗い落す作業になります。

洗浄の作業は、専用の薬品を使って一つ一つ手作業で洗う工場や専用の機械にセットして機械に洗浄してもらう工場など色々あります。

洗浄作業で気になることが、薬品を使って作業するため手や体に害がないか気になります。しかし、作業時はゴム手袋をはめたりマスクを着けて作業したりするため体に害はありません。また、機械を使用して洗浄する場合はより安全が確保されます。

例えば、以下は埼玉にある金属加工工場の求人になります。

工場の現場の求人票3

この工場では、金属の洗浄作業になります。また、専用の機械を使用して行うため主な作業は「機械のチェック」「素材の運搬」「機器のメンテナンス」などになります。

そのため、難しい作業がなく未経験者でも行える業務といえます。

多くの工場でライン生産方式で行う「組み立て」

次に組立の仕事があります。工場に現場の仕事で最初に思い浮かべるのが組立の業務ではないでしょうか。ベルトコンベアーから流れてくる製品を次々と組み立てていく作業であり、ライン作業やライン工などと呼ばれている仕事です。

工場や取り扱う部品にもよりますが、多くの工場でライン生産方式を採用しています。また、取り扱う製品はスマホやパソコンなどの電化製品から自動車や重機などの乗り物までさまざまです。

例えば、以下は埼玉にある電子部品の製造工場の求人です。

工場の現場の求人票4

このように、ライン作業で組立を行う仕事になります。そのため、一つのことを繰り返し行うので簡単な反面、飽きやすいのです。一つのことをコツコツ作業することが好きな人に向いている仕事になります。

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さまざまな方法で行う検査

他には、検査の仕事があります。加工や組み立てが終わった製品をキズや打痕が無いかみたり、正常に作動するか確認したりする作業を検査といいます。

検査の仕事はさまざまで、顕微鏡や三次元測定器を使用して「寸法測定」、目視でキズや変色など確認する「目視検査・外観検査」などがあります。

例えば、以下は東京にある工場の求人です。

工場の現場の求人票5

この工場では、三次元測定機やノギス・その他の計測器を使って検査を行う仕事です。また、検査の仕事は基本的に座ったままの作業になるので体力的にあまるきつくない業務になります。

参考までに以下が実際のノギスという測定器です。

工場の現場のノギス

検査では、このような測定機器をしようして寸法検査をします。

ピッキング・検品・梱包・出荷などは軽作業が多い

次にピッキング・検品・梱包・出荷などの作業があります。製造工場によっては一連の作業を「軽作業」として募集することがあります。その場合、以下のような順番で作業を進めていきます。

  1. ピッキング:部品や製品をピックアップする作業
  2. 検品:ピッキングした物に不備がないかや破損がないかなど確認する作業
  3. 梱包:品物が壊れないように・傷つかないように緩衝材(プチプチ)などで梱包する作業
  4. 出荷:「出荷伝票」「納品伝票」などを記入して、品物を詰め込む作業

これらの作業は工場によって全て行ったり、どれか一つの工程のみを行ったりさまざまです。

例えば、以下は千葉にある印刷工場の求人です。

工場の現場の求人票6

この工場では検品・仕分け・梱包などの作業を行うようになっています。また、このように「軽作業」というくくりでいくつかの工程を行うとこがあります。このように難しくない作業の場合、研修期間も短く早く自立することが可能です。

工場・製造業の給料・年収を知ろう

次に確認しておきたいことが、給料などの収入面です。同じ現場作業を行うのであればできるだけ高い給料を貰いたいです。そのためには、まず製造業の初年度の相場を知る必要があります。

その後、求人を確認したときにその求人の給料が多いのか少ないのか判断できるようになります。

まず、以下は厚生労働省が発表している「勤務初年度での平均給与」の結果です「平成30年 製造業 勤務年数0年給与額より」。

男性

所定内給与年間賞与その他の特別給与
~19歳17.7万円1.4万円
20~29歳21.1万円2.1万円
30~39歳24.1万円6.2万円
40~49歳25.5万円7.4万円
50~59歳26.7万円6.6万円
60~69歳26.2万円30.6万円

女性

所定内給与年間賞与その他の特別給与
~19歳16.8万円1.3万円
20~29歳19.1万円2.4万円
30~39歳19.7万円3.0万円
40~49歳18.0万円3.3万円
50~59歳17.3万円1.1万円
60~69歳15.0万円4.2万円

この表から、男性の勤務初年度の平均は23.55万円で、女性の勤務初年度の平均は17.65万円になります。

この図で分かるように初年度の給料ということで、年代ごとでそれほどの差がないことがわかります。また、賞与等が低いのも初年度であるためです。そこでこの結果を参考に、あまり低い給料の工場を避け、好条件の求人を探しましょう。

例えば、以下は神奈川にある食肉加工工場の求人です。

工場の現場の求人票7

この工場では、午前が「仕分け作業」であり、午後が「食肉加工作業」の2つの工程を行う業務になります。そして、月給が26万円~になっているので、男性の平均月収の23.55万円よりも高い給料ということがわかります。

このように、基準となるものがあると照らし合わせやすくなります。また、今の職場との差も合わせて確認しましょう。

大卒しか出世できないのか?

そして、給料を上げるためには勤務年数やスキルアップはもちろんですが、何より出世することで大きく変わってきます。

一般的な会社で昇進させるときに何を見ているかというと、高校卒業や大学卒業などで決める「学歴」や、入社の順番で決める「年功序列」、業務の成果で決める「成果主義」などをみて出世させるかを考えています。

そして、工場・製造業の現場においても同じように「学歴」「年功序列」「成果主義」などで昇進させるかを選定しています。では、「高学歴で長く勤めて業務で成果を出した人」しか出世できないのでしょうか。

結論からいうと、「工場・製造業ごとで違う」といえます。工場によっては、年功序列を優先させて現場管理者を決めるところもあります。反対に、勤務年数が浅くても現場である程度の実績を残した人が昇進するところもあります。また、3つを総合的にみて判断するところもあります。

あなたの性格に合う現場がいい

しかし、誰でも一生懸命に仕事をすることで昇進することは可能です。そのためにはまず、自分に合った工場・製造業の現場の仕事を選ぶ必要があります。

例えば、「一つのことを黙々と行うことが得意な人」が、毎回違う製品を加工する作業を行うと疲れてしまい嫌になります。反対に「飽き性であり、ある程度は体を動かしながら作業したい人」が組立などのライン作業を行うと精神的につらくなります。

このように人によって合う合わないがあるため、自分に合った作業内容を選ぶことは長い目で見たときに出世に大きく影響します。

例えば、以下は埼玉にある食品加工工場の求人です。

工場の現場の求人票8

この工場では、食品原料の搬入作業や大豆原料を機械に投入するなどの作業になります。そのため、精密機械加工のように難しい作業ではありません。また、ライン作業のように同じ場所で同じ作業を行う業務でもありません。

そのため、難しい作業が苦手で体を動かしたい人に向いている業務になります。そのような人が、上記の求人で働くと仕事にやりがいを感じ、一生懸命作業できるのでリーダーや現場監督者に早くなれるといえます。

他には、以下は神奈川にあるペットボトルのリサイクル工場の求人です。

工場の現場の求人票9

この工場では、プラント内でコンピューターを操作し、製造工程の監視を行う仕事になります。このような業務の場合、座りながらモニターで監視する仕事になるので、長時間座っていられる人が向いています。

まとめ

ここまで、工場・製造業の現場に転職するために押さえておきたいことについて解説してきました。ポイントとしては、まず工場・製造業の現場の仕事にはどのような業務があるか知り、その中から自分のやりたいことを探すのが重要になってきます。

また、転職後に「給料が安い」など周りと大きく収入差が出ないように平均値を知ることが必要になってきます。

そうしたとき、自分に合った現場の仕事を選ぶことで、仕事に対して頑張れて長く働くことができます。

以上のことを踏まて、工場・製造業の現場に転職活動を行うとスムーズにいき、転職後も充実したものになります。


工場・製造業に転職をするとき、ほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自分の力だけで求人を探すと、希望の条件を満たす求人を見つける作業のみならず、労働条件や年収の交渉・アポ取りなどさまざまな作業を自分でやらなければなりません。

そこで、転職サイトに登録することで、求人の紹介から労働条件や年収交渉だけでなく、履歴書や職務経歴書などの書類関係を送付するなど面倒な事務作業まで行ってくれます。

ただし、転職サイトによって特徴が違います。例えば「工場・製造業の転職に強い」「全国各地に強いのか、それとも都市部に強いのか」「20代・第二新卒が得意」「40歳以上でも転職を成功させてくれる」などの違いがあります。

転職を成功させるには、これらの違いを理解した上で転職サイトを活用しなければなりません。そこで、以下のページでそれぞれの転職サイトの特徴を解説しています。これらを理解することで、転職での失敗を防ぐことができます。