工場・製造業への転職では、面接や職務経歴書のみでは測ることができない、基礎的な能力を確認するために試験を実施している企業があります。
転職を考えている方の中には、試験があると聞いて「どんな問題が出るの?」「試験に向けてどのように対策していけばいいの?」とさまざまな疑問や不安を持つ方がいます。
また、いまの仕事をしながら転職に向けて試験勉強をする時間を確保することが難しい方もいるでしょう。空いた時間に勉強をし、仕事と転職活動を両立させることは簡単なことではありません。
このような状況で、やみくも試験対策を進めることで、本来の力を発揮できず転職活動が失敗に終わってしまうことも考えられます。
そこで、今回は工場・製造業への転職の際の試験についてや、その内容、試験に合格し転職を成功させるための対策について紹介します。
面接だけではなく試験があるの?
まず、工場・製造業の転職では、面接に加え筆記試験がある場合があります。試験を実施しているかどうかは、企業によって異なり、正社員・契約社員・パート・アルバイトなど雇用形態を問わず実施している企業もあれば、正社員のみ筆記試験があるなどさまざまです。
また、人気の高い職種や大手企業では応募が集中した場合などに、ある程度人数を絞るために筆記試験を行う場合もあります。
なお、試験を行う目的は、基礎的な能力を判断する材料にするためや、職種によっては専門知識などの程度を持ち合わせているかなどを測るために実施されます。
特に、製造業の技術職に関しては筆記試験が多い傾向にあります。なぜなら、技術職には職務や職場との相性が重視されるためです。
例えば、以下は、東京都の検査技術職の求人です。
こちらの求人では、面接・書類選考などの選考方法を採用しており、1次面接通過後に適性検査・基礎能力診断・リファレンスチェック(前職や現職で一緒に働いている第三者から人物像などの情報を得ること)を行うとの記載があります。
企業側は、技術職として長期的に活躍しもらうために、企業が求める人物像とマッチしているかどうか、自社の社風に合うかどうかなどを見極めたいと考えているのです。
そのため、技術職では面接や職務経歴書だけでは測ることのできない適合性などを判断するために、試験を実施しています。では、具体的にどのような試験が実施されているのでしょうか?工場・製造業の転職の際に行われる試験について紹介します。
上記の求人でも記載があったように、試験の内容として「適性検査」を実施してる企業が多数です。適性検査というと、シェアが高いSPIをイメージする方が多いかもしれません。
例えば、以下は、埼玉県の量産設備のシーケンサー保守・設計の求人です。
こちらの求人では、書類選考後に適性検査SPI3が実施されます。面接前の適性検査となっているため、適性検査を通過しなければ面接に進むことができません。
なお、工場・製造業への転職の際に実施される適性検査にはさまざまな種類があり、SPIなどの本格的な試験を実施している企業もあれば、独自の適性検査をしている企業もあります。
適性検査の種類
次に、適性検査の種類について紹介します。そもそも、適性検査とは、人柄や人物像価値観・知識・一般常識などを測定し、活躍できる人材を見極める手段のひとつです。
適性検査では、学力を測る「能力検査」と、性格や特徴を明らかにする「性格検査」のふたつの項目に分けられています。適性検査を行うことで、学力や能力・性格・ストレス耐性など、面接や目には見えない情報を可視化することができるため、応募者をより詳しく知りたいという場合に実施します。
また、適性検査の結果から、潜在能力を可視化することもできるため、「入社後に活躍が見込めるか」「社風や職務に合う人材か」などの視点から適性を見極め、採用後の配属先部署を検討する判断材料にすることもあります。
例えば、以下は埼玉県の機械メンテナンスの求人です。
こちらの求人では、面接に加え簡単な適性検査を実施します。適性検査の種類などを具体的に掲載されていないことが多めです。とはいえ、簡単な適性検査の場合はSPIなどの本格的な検査がでることは稀で、簡単な計算問題や企業が独自に工場・製造業の歴史などについて問題を出題されるなどさまざまです。
ちなみに、合格基準は企業によって異なり、適性検査の結果は受験者にフィードバックされません。
ここでは、適性検査の「能力検査」と「性格検査」について詳しく紹介します。
能力検査
まず、能力検査についてです。能力検査は、個人の知的能力を測定します。検査の種類によって異なる部分もありますが、具体的には、言語力・計算能力・論理的思考力などを問う「言語分野」と「非言語分野」の検査があります。
簡単に説明すると言語は国語、非言語は算数というイメージです。企業によっては、英語の問題を出題することもあります。また、人気の高い職種で応募が集中する場合などでは、合格基準となる一定の点数を獲得できないと不合格になるボーダーラインが設けられていることがあります。
合格の点数は企業によって異なり、明確な基準ありません。しかし、大手企業などは合格点が8割程度と言われており、中小企業では6~7割程度などともいわれているので少しでも高い点数がとれるように対策をして高得点を目指しましょう。
性格検査
次に、性格検査についてです。性格検査は、個人の人間性を測り性格や特徴を明らかにしてくれるもので、学力は関係ありません。入社後、「チームワークをもって社内で調和を保てるかどうか」「コミュニケーション力に問題はないか」「職務の適合性はどうか」などの判断材料とする検査です。
また、中途採用者は即戦力として採用されることが多いため、能力検査より性格検査を重視している企業もあります。
例えば、以下は埼玉県の貴金属総合メーカーの製造職の求人です。
こちらの求人では、WEB面接後にWEB性格診断を実施しています。能力検査ではなく、性格診断を行うことで、職務の適合性などを見極めていると考えられます。
性格検査はありのまま解答することが大切なので、自分の直感や意思にそって正直に解答しましょう。自分を良く見せようと嘘をつくと面接に進んだ時や採用された後に、ちがった人物像が出来上がり仕事で苦労してしまう可能性もあります。
性格検査は、能力検査とは違い特に事前の対策は必要ありませんので、素直に解答していきましょう。
関連記事
一般常識や計算問題・小論文がでることも
工場・製造業での筆記試験の内容は企業によってさまざまですが、能力検査や性格検査以外にも、一般常識や計算問題などの問題が出されることもあります。
企業によってどの程度のレベルの問題が出るかは異なりますが、一般常識テストでは、国語・算数・英語・社会・理科の基本的な問題や文化・時事問題などが出題されます。
一般常識テストの対策としては、日頃から国内外でのニュースをチェックしたり、高校までに学習した基礎的な計算式などをおさらいしたりすることも対策として有効な方法です。
また、試験内容に小論文がある企業もあります。小論文は、与えられたテーマに対して意見を述べ「なぜならば」と理由を説明する文章のことです。小論文では、論理的な思考力や表現力などが見られます。
例えば、以下は、千葉県の工場設備の管理スタッフの求人です。
こちらの求人では、試験内容が面接と適性検査に加え小論文となっています。試験の所要時間が3時間弱となっているため、筆記試験でも面接でも本領発揮できるよう集中力も必要となることが考えられます。
試験に合格して転職を成功させるために
工場・製造業の転職では、面接だけでなく適性検査や一般常識、簡単な計算問題、小論文などの試験があることがわかりました。しかしながら、いま働きながら転職活動を進める方にとっては、適性検査などの試験対策を行うための時間があまりとれない現状にあるかもしれません。
そこで、ここでは試験に合格して転職を成功させるためにできる対策について紹介します。
- 問題集を解く
適性検査の対策としては、問題集を解き勉強をするのがオススメです。過去問や練習問題を繰り返し解くことで、問題のパターンがわかり解答がスムーズになります。
適性検査を受けるのがはじめての方や久しぶりの方は、出題形式が把握でき、問題を解く感覚をつかめたり取り戻したりすることができるので、繰り返し問題を解いていきましょう。
さらに、適性検査は、時間内に解答できないと未回答が増え点数が低くなってしまいます。時間が足りなくなるなどのミスを防ぐためにも、素早く解答できるように問題に慣れて、解答時間を意識していきましょう。
問題集は一通り解いてみて、「いまの自分がどのくらい問題が解けるのか」「得意な分野や苦手な分野はどれなのか」などを把握し、今後重点的に学んでいく必要がある分野を見つけてください。
なお、仕事が忙しいなどの理由で、まとまった勉強時間を確保するのが難しい方は、スキマ時間を利用して問題が解けるスマホアプリやWEBサイトを利用するもよいです。
また、一般常識では時事問題が出ることがあります。試験対策のために調べるだけでなく、日頃からニュースや新聞を確認し情報収集をしておくことも大切です。
- 面接でのアピールも重要
次に面接では、工場・製造業への転職でどのように貢献できるのか、やる気や熱意、そして今までの経験で得た知識やスキルなどをアピールすることが大切です。
工場・製造業の採用試験で、適性検査などの筆記試験があるとしても、そればかりに気をとられてしまうのではなく、面接でしか伝えることができない熱意などもしっかりと伝えていけるようにしましょう。
例えば、以下は神奈川県の生産管理の求人です。
こちらの求人では、「適性検査も行いますがあくまでも面接重視です」との記載があります。実は、このように、適性検査の点数や結果だけで合否を判断するのではなく、面接も重視している企業もあります。面接では、意欲や人柄などの部分が再認識されます。
万が一、適性検査で思うような結果が残せなかったとしても諦めずに面接に挑むことが大切です。「試験で結果を残すために勉強しなければ」と試験に気をとられてしまう気持ちもわかりますが、試験の結果と面接の結果を総合的に判断して採用を決める企業も多数あります。
面接も試験もどちらも大切です。試験だけでなく、面接でも結果を残せるように自分をアピールしていきましょう。
まとめ
ここまで、工場・製造業への転職の際の試験についてや、その内容、試験に合格し転職を成功させるための対策について紹介してきました。工場・製造業の転職では、面接だけではなく適性検査や一般常識・簡単な計算問題・小論文などの試験がある場合もあります。
適性検査は、能力検査と性格検査があり、面接だけでは測ることができない学力や能力・性格などを可視化することで企業との適合性を測ったり、場合によっては一定の点数以下の場合は不合格にするための合格基準にしたりと試験を行う目的はさまざまです。
しかし、工場・製造業の転職では、試験の結果だけで合否を判断せず、面接も重要視してる企業が多くあることがわかりました。
工場・製造業の転職活動では試験も面接もどちらも大切です。面接も試験もある企業に応募する際は、試験対策として問題集を繰り返し解き、面接ではしっかりと熱意をアピールできるように、試験と面接両方の対策をしていきましょう。
工場・製造業に転職をするとき、ほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自分の力だけで求人を探すと、希望の条件を満たす求人を見つける作業のみならず、労働条件や年収の交渉・アポ取りなどさまざまな作業を自分でやらなければなりません。
そこで、転職サイトに登録することで、求人の紹介から労働条件や年収交渉だけでなく、履歴書や職務経歴書などの書類関係を送付するなど面倒な事務作業まで行ってくれます。
ただし、転職サイトによって特徴が違います。例えば「工場・製造業の転職に強い」「全国各地に強いのか、それとも都市部に強いのか」「20代・第二新卒が得意」「40歳以上でも転職を成功させてくれる」などの違いがあります。
転職を成功させるには、これらの違いを理解した上で転職サイトを活用しなければなりません。そこで、以下のページでそれぞれの転職サイトの特徴を解説しています。これらを理解することで、転職での失敗を防ぐことができます。