工場・製造業での転職では、書類選考や面接だけではなく、適性検査を実施し採用を決定する企業があります。そのため、「適性検査ってどんな問題が出るの?」「事前に勉強が必要?」「どのくらい難しいの?」など疑問を抱く方がいます。
また、現職が忙しく「できるだけ無駄な勉強をしたくない」「短期間で点数が取れるようになりたい」など、効率よく適性検査の対策をしていきたいと考えている方がいるのも事実です。
効率的に適性検査の対策を行うためには、まず、適性検査どんなものか、適性検査を行う目的について理解しておかなければなりません。
そこで、ここでは、適性検査のある工場・製造業へ転職するために知っておくべき、適性検査の目的や種類、対策方法について紹介します。
もくじ
新卒採用と中途採用で適性検査を行う目的が異なる
まず、新卒採用と中途採用では適性検査を行う目的が異なることを理解しておきましょう。新卒採用と中途採用が行う適性検査の内容に違いはありませんが、適性検査を行う目的が異なる場合があります。
というのも、新卒採用では応募者が多数いるため、その中から企業が求める人材を絞り込むために適性検査を導入しています。ふるいにかけ、適性検査に合格した応募者だけが面接に進めるといったケースです。
適性検査が行われるタイミングについては、企業によって異なりますが、選考の前半で適性検査を行う場合は、点数に応じて足きりを行い、面接に進む応募者を絞り込む目的があります。そのため、点数が合格点に届かない応募者は不合格になる可能性があるので、新卒採用の適性検査では、高得点の取得が必要となってくるでしょう。
また、適性検査を導入することで、面接だけでは把握できない応募者の能力や性格、素質を客観的に判断できます。採用後の配属先の決定の際にも適性検査の結果を参考にしているケースもあるため、軽い気持ちで適性検査を受けるのではなく、適性検査がどのようなものか理解しておくことが大切です。
一方、中途採用で適性検査を行う目的は、企業の求める人物像であるかどうかマッチングや、社会人として必要なスキルを身に着けているかどうかの確認のために実施されることが大半です。
中途採用では、即戦力が期待されており、「応募者が現時点でどのくらいの能力があるのか」「どのような性格なのか」「社風に合っている人材かどうか」などの確認のために導入されている場合が多くなっています。
なかには、応募者と企業がマッチしているかどうかの確認をするために、後に紹介します【性格検査】のみを実施している企業もあり、企業によって中途採用の適性検査の結果をどの程度重視しているかは異なります。
工場・製造業では働く際に必要な能力の確認
なお、工場・製造業の場合は自社工場で働く際に必要な能力の有無を確認するために行っているケースがあります。
例えば、モノづくりの現場では細かな作業が得意な方や集中力の高い方を求めている場合が多くあります。そのため、前職などで取得したスキルだけではなく、その方が持つ先天的な能力が現場で発揮できるかどうかなどを適性検査の結果から測定するために実施しているのです。
なお、適性検査の結果を参考に配属先を決定でき、その方の能力や技術を活かせる業務に携わることで、将来的に出世につながったり、給与が上がったりなどというサイクルが生まれやすくなる点がメリットであると言えるでしょう。
また、工場・製造業の場合は、雇用形態に関わらず、パートやアルバイトの採用でも適性検査を行う企業があります。企業は適性検査を実施することで、応募者の性格特徴や価値観を把握し、効率よく働いてもらうための判断材料としているのです。
そもそも適性検査ってどんなもの?
適性検査は、応募者の能力や性格を客観的に計るためや、企業とのミスマッチを防ぐために多くの企業で実施されています。履歴書や面接だけでは、計れない応募者の素質を知ることができる適性検査は、採用活動の判断材料のひとつとも言えるでしょう。
なお、適性検査には、基礎学力や思考力を見極める【能力検査】と、性格特徴や人柄・価値観などを測定する【性格検査】があります。適性検査を実施することで、応募者がどのような性格なのか、どの職種が向いているのか、基礎的な知識をどのくらい兼ね備えているのかなどを、ある程度予測することが可能です。
また、企業側は、転職者に長期的に働いて欲しいと考えています。そこで、早期退職してしまう人材がどのような人であるのかなどを分析・データベース化し、企業とマッチしていない人材の傾向を炙り出すために適性検査の結果を再利用している場合もあります。
ここでは、適性検査の【能力検査】と【性格検査】について詳しく解説します。
能力検査
能力検査は、仕事をするうえで必要な知的能力を計る検査です。言語分野と非言語分野に分かれており、簡単に言うと言語分野は「国語」のイメージで、非言語分野は「数学」のイメージです。なお、企業によっては、英語能力検査する場合があります。
能力検査の結果は、一定の点数を獲得できなかった場合には不合格になるケースもありますが、そのボーダーラインは企業によって異なります。
性格検査
性格検査は、行動や考え方に関する設問に回答することで、応募者の性格的特徴・職務適応性・組織適応性がわかります。設問は約300問あり、性格検査に正解はありません。
しかし、一貫性がなく矛盾した回答があると不合格となる場合があります。
また、企業は、自社にマッチする人材を効率よく獲得したいため、応募者の性格や価値観が自社の社風とマッチしているかの確認をするときに有効です。
性格検査の結果が社風と合わないと判断された場合は不合格になる可能性が考えられます。
適性検査実施のタイミングはいつ?
次に、中途採用の適性検査が実施されるタイミングについてです。実施タイミングは企業によってまちまちで、①書類選考通過後②面接と同時③面接後が考えられます。
また、適性検査の実施方法もペーパーテストとWEBテストなどいくつかのパターンがあり、WEBテストでは、自宅で受検する場合と、テストセンターなどの専用の会場で受検する形式となっています。
では、もう少し具体的に適性検査のタイミングを説明していきます。
①書類選考通過後
書類選考後に実施される場合は、候補者の絞り込みを効率的に行う目的で実施されます。
例えば、以下は、東京都のリチウムイオンバッテリー製造工場の求人です。
こちらの求人では、書類選考後に自宅で適性検査実施され、合格後に一次面接と適性検査が同時に実施されます。自宅で適性検査を受けられるWEBテストも主流になってきているため、選考初期の段階でWEBテストを導入している企業が増えてきています。
このように、複数回にわたり適性検査を実施している企業があるので、応募の際は適性検査の実施状況についてよく確認してください。
②面接と同時
次に面接と同時に適性検査を導入しているケースです。企業側としては、採用活動の効率化を図れるため、このタイミングで行われています。
例えば、以下は神奈川県の自動車部品メーカーの求人です。
こちらの求人では、面接と同時に適性検査を実施しその後、合否が分かれます。企業側は、面接時の印象と適性検査の結果を同時に得られるため、一度に多くの情報を得て採用か不採用かの判断をすることが可能です。
③面接後
面接後に適性検査が実施される場合は、社風との相性や面接時の発言の意図を理解するために実施されます。その結果を元に配属先を決定することがあります。
例えば、以下は神奈川県の工場機器整備の求人です。
こちらの求人では、面接後に適性検査を実施しています。このように、面接後に適性検査を実施する場合は最終判断の材料としているケースが多く、面接での印象と、適性検査の結果を参考に合否が決定されます。
最終面接後に適性検査が実施される場合は、基礎的な学力よりも職務の適性について確認するケースが多いといえるでしょう。また、稀に、採用が決定された後の研修時などに適性検査を実施している企業があります。
適性検査を実施する目的によって、タイミングが異なるため、転職活動の際は適性検査の実施タイミングを理解しておきましょう。求人案件に、「選考手順」「選考フロー」が記載されているものもありますので、よく確認してください。
中途採用で実施される適性検査の種類
実は、適性検査の種類は数多くあり、企業によって導入している種類が異なります。工場・製造業の中途採用で実施される適性検査は、「SPI3」「内田クレペリン」「CUBIC(キュービック)」「玉手箱」「TG-WEB」が代表的です。
例えば、以下は神奈川県の開発業務の求人です。
こちらの求人では、2次面接の前に適性検査が実施され、適性検査の種類はSPI他となっています。適性検査の種類で認知度が高いSPIは、採用活動を目的として作成された適性検査です。
企業の約半数が採用活動でSPIを導入している程、よく知られている試験です。SPIは、能力検査の言語・非言語、性格検査の3つに分かれていて、試験結果から応募者の能力や論理的思考を判断したり、人間関係・物事に関する価値観について判断したりする目的で導入されています。
工場・製造業の採用活動で導入されている適性検査は他にもあります。
例えば、以下は神奈川県の製造技術職の求人です。
こちらの求人では、書類選考後にCUBICが実施されています。CUBICといってもいくつか種類があり、例えば、採用適性検査は、検査時間が約20分、設問123問と、他の適性検査と比べると手軽に受検できる点が特徴です。
なお、CUBIC基礎能力検査は、「言語・数理・論理・図形・英語」の5科目で構成されています。CUBICと書いてあるだけなので、どの種類が導入されているのかが特定できないため、能力検査の対策もしっかりと行う必要があるでしょう。
CUBICでは、面接だけでは見抜けない応募者の特性について把握できるよう、性格面や社会性が数値化され、「受検者がどんな人なのか」「どんな職務に向いているか」などが、わかります。
なお、測定内容やテスト時間、テスト形式は企業が導入している種類によって異なります。
適性検査の対策法
続いて、適性検査を合格するためにできる対策方法についてです。適性検査は、事前対策の有無で合否に違いがでます。しっかりと適性検査の対策を行いテストに挑んだ方の合格率があがり、何も対策をせずに適性検査を受検すると不合格になってしまう可能性があります。
そのため、適性検査がある企業に転職を考えている方は、事前に適性検査の対策を行っていきましょう。
問題集や模擬試験を解く
適性検査では、能力検査と性格検査に分かれており、特に能力検査に関しては事前に対策が必要です。適性検査の対策では、問題集や模擬試験を解くことが一番手っ取り早く、一番の近道になると言えます。
問題集を繰り返し解くことで、実際にどのような問題が出るのかや問題のパターンを把握できます。問題集は、一度解いて終わりではなく繰り返し問題を解いてくことがポイントです。
そのため、あれもこれもと複数の問題集を購入して何冊もの問題種の問題を解いていくよりも、一冊の問題集を何度も何度も解答していくことが高得点を目指せるコツです。
また、現職がある方は、忙しくてデスクで勉強する時間が取れないなどの悩みがあると思います。そのような場合には、ミニサイズの問題集を購入してスキマ時間を利用してコツコツ問題を解いていくのもよいでしょう。
問題集は、書店や通販サイトで購入することができます。応募先の適性検査の種類がわかる方は、その種類の問題集を購入しましょう。
問題集を解いて、ある程度どのような問題が出るのか把握でき、自分の実力を知りたいという方は、WEBテストで模擬試験や練習問題を受検してみるもの良いです。無料でWEBテストのお試しができるサイトもありますので、実力を試してみるのもよいでしょう。
能力検査の対策としては、市販されている問題集を解いて問題に慣れることが大切です。適性検査は時間制限があるため、時間内に問題を解いていく必要があります。
一問にかけられる時間が限られているため、スピーディーに問題が解けるように練習を積み重ねていきましょう。
企業が実施する適性検査の種類を把握する
先程もお伝えした通り、企業が実施する適性検査種類が把握できれば、その種類の問題集の購入が可能です。種類がわかることで、効率よく学ぶことが可能になります。
実施する適性検査の種類の把握方法は、求人案件の選考手順に適性検査の種類が記載されている場合があります。その場合は、記載されている種類の問題集などを購入して繰り返し解答していきましょう。
あるいは、インターネット検索欄で「企業名・職種名 適性検査」と入力すると、導入している適性検査の種類がわかる場合があります。過去に応募企業の採用試験を受けた方の口コミから企業が導入している適性検査を知ることができます。
なお、適性検査が実施されることはわかっているけれど、どの種類の適性検査かわからないという方は、導入している企業が多数の「SPI」「玉手箱」の問題集を基盤に対策を進めていくのがよいでしょう。
性格検査には正直に回答する
次に、適性検査の性格検査の対策についてです。そもそも、性格検査に「正解」はありません。性格検査は、応募者の性格特徴をとらえるために実施され、自社の社風や考え方とマッチしているかどうかを見極めるための材料としています。
性格検査ででた結果から、自社で活躍できる人材かチャレンジ精神があるかどうか、向いている職種は何かなど応募者の性格的特徴を把握して、自社との相性をはかるために実施しています。
性格検査を適当に回答してしまうと、一貫性のない結果になり、採用担当者に好印象を与えることができません。
例えば、履歴書や面接では、「コツコツとした作業を得意としている」と伝えているのに対し、性格検査では「飽きっぽい性格」と回答した場合に矛盾が生じ不合格になってしまうことも考えられます。そのため、基本的には、性格検査には正直に回答していきましょう。
また、無理にとりつくろって、企業に高評価がもらえるような回答をしたとしても、いざ働きだした時に、社風が合わなかったり配属された仕事がきつく感じてしまったりなどといったデメリットも生じます。そうならないためにも、性格検査では正直に、ありのままに回答することが大切です。
さらに、性格検査では、数多くの設問を時間内に回答しなければなりません。時間が足りず、未回答の設問があると性格特徴を数値化することができないため、時間内に回答できるように練習問題を一度こなしてみるのがよいでしょう。
能力検査も性格検査も時間内に回答できるよう、スピードを意識した練習を行うことが必要です。
適性検査と面接の両方の対策をする
ここまで、適性検査の種類や対策について紹介してきましたが、企業は面接での印象も重視しています。いくら適性検査で高得点がとれたとしても、面接での評価が低ければ不合格になってしまう可能性があるということです。
かりに、適性検査のできが良くなかったと思っても、面接でしっかりとアピールできれば合格になる場合も多々あります。特に、工場・製造業では、前職(現職)での経験や実績などを評価している企業がたくさんあるので、適性検査対策だけではなく面接対策も併せて行っていきましょう。
適性検査に自信がなくても面接で好印象を残す
転職活動では、面接と適性検査両方の結果を総合的に判断して、最終的に合否が決まります。適性検査のタイミングは企業によりまちまちですが、先に適性検査があり、たとえ結果がボロボロであったとしても、そこで諦める必要はありません。
適性検査に自信がなくても、面接で評価され転職を成功させている方がたくさんいます。
なお、適性検査の結果と、面接での印象に一貫性がない場合、信頼されず評価を下げてしまうこともあるでしょう。そのため、どちらの対策も行うことが大切です。
もし、「面接の対策ってどうしたらいいの?」「なにから手をつけたらいいのかわからない」などと不安に感じている方がいたら、転職エージェントを利用しましょう。
転職エージェントでは、転職アドバイザーが求人案件の紹介から、応募書類の作成、面接対策、条件交渉など、転職活動で不安に感じやすいさまざまな点をサポートしてくれます。
忙しい中、適性検査対策も面接対策もひとりで行うのは大変なことです。サポートしてもらえるところは、協力してもらいながら、あなたが頑張らなければならないことを理解して転職活動を進めていきましょう。
まとめ
適性検査のある工場・製造業へ合格するために、知っておきたいことについて紹介していきました。
中途採用の適性検査は、企業の求める人物像とマッチしているかどうかの確認を目的に実施されることが大半です。適性検査には、基礎的な学力を測定する「能力検査」と性格特徴を測定する「性格検査」があり、適性検査が実施されるタイミングや導入されている種類については企業によって異なります。
また、繰り返しになりますが、工場・製造業の転職での適性検査は、総合的に判断するための材料のひとつであり、適性検査だけで合否が決定されることはほとんどありません。
したがって、適性検査の対策だけではなく面接対策や、応募書類にも力を入れていくことが転職を成功させるためのポイントです。
適性検査と面接、両方の対策をしっかりとおこない、適性検査のある工場・製造業へ合格を目指しましょう。転職活動に不安を感じている方は、転職エージェントを利用するのもひとつの手です。満足できる転職ができるよう、今できることがから対策をしていきましょう。
工場・製造業に転職をするとき、ほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自分の力だけで求人を探すと、希望の条件を満たす求人を見つける作業のみならず、労働条件や年収の交渉・アポ取りなどさまざまな作業を自分でやらなければなりません。
そこで、転職サイトに登録することで、求人の紹介から労働条件や年収交渉だけでなく、履歴書や職務経歴書などの書類関係を送付するなど面倒な事務作業まで行ってくれます。
ただし、転職サイトによって特徴が違います。例えば「工場・製造業の転職に強い」「全国各地に強いのか、それとも都市部に強いのか」「20代・第二新卒が得意」「40歳以上でも転職を成功させてくれる」などの違いがあります。
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