介護職からの転職で多い理由は、「残業が多く自分の時間が持てない」「人間関係に不満を感じている」「この先も働き続けられるか将来への不安を感じている」などがあります。そのような理由から、介護の仕事から工場・製造業へ転職したいと考える方がいます。
工場・製造業への転職では、働く企業をしっかりと選べば日勤のみでさらには、定時にあがれる仕事があります。実際に、介護職から工場・製造業へ転職したことで、生活が好転した人が多くいます。
しかし、異業種への転職はわからないことが多く不安がつきものです。
そこで、介護職から工場・製造業へ転職する時に知っておきたい、メリット・デメリットやおすすめの職種、転職後の給与について紹介します。
もくじ
介護職から工場・製造業への転職は十分可能
まず、気になるのが介護職から工場・製造業への異業種転職ができるのかどうかという点です。結論から申し上げますと、介護職から工場・製造業への転職は十分可能です。
なぜなら、工場・製造業の求人案件は、未経験者を募集している求人が大変豊富で、異業種から転職される方が多いという特徴があるからです。
また、介護職の経験を活かせる場面があるため、転職先の企業で活躍にも繋がるでしょう。しかし、異業種への転職は、不安を感じてしまうものです。
そこで、ここでは介護職から工場・製造業へ未経験でも転職できる理由と、介護士の経験を活かせる仕事内容について紹介します。
工場・製造業は求人数が豊富で未経験でも転職できる
工場・製造業では、未経験者歓迎の求人案件が豊富にあり、異業種からの転職者が多いのが特徴です。また、若い人材を積極的に採用している傾向があるため、未経験・無資格であっても正社員として働くことができます。ちなみに、工場・製造業では30代くらいまでは若手と呼ばれています。
とはいえ、工場・製造業といっても、食品・機械・自動車・電化製品・医薬品・衣料品・化学などさまざまなメーカーがあり、作っている製品は多岐にわたります。
それに加えて、職種により仕事内容が異なるため、転職後どのような仕事に携わりたいのかについては、はっきりと定めておく必要があるでしょう。
例えば、以下は神奈川県の工場生産・製造の求人です。
こちらの求人は、未経験者歓迎の求人です。知識・経験・社会人経験不問でモノ作りが好きな人なら大歓迎となっています。社員の8割が未経験からのスタートで、前職が介護職の方も働いているようです。このように人員強化のために、未経験であっても応募できる企業が多数あります。
また、少人数のチーム制で仕事を進めていくため、不明な点や困りごとはすぐに相談できる環境も魅力です。
求人案件を確認してみるとこちらの求人のように、積極的に未経験者を採用している企業がありますので、実際に求人サイトで求人案件を確認してみるのがよいでしょう。
なお、どのような仕事がしたいか、定まっていない方は、求人サイトの検索欄で「工場 製造業 未経験 歓迎」や「メーカー 異業種転職 未経験」などと検索してみると数多くの求人案件が出てきます。
求人案件を見比べることで、「この仕事ならできそうだ」「挑戦してみたい」など、自分自身がどのような仕事に興味があるのかが見えてくるとと思うので、多くの求人案件を確認していきましょう。
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介護士の経験を活かせる場面がある
また、工場・製造業と介護職では全く関係がないように思えますが、実はそうではありません。介護福祉士時代にも使ったことがある、介護用品は介護用品メーカーが製造していますし、それ以外にも日常生活で使用しているものは、工場で生産されています。
そのため、工場・製造業への転職では、身近なモノを製造している企業へ転職を検討するのがおすすめです。
例えば、介護用品を製造しているメーカーに転職することで、いままで介護現場で培ってきた知識や経験を活かすことができます。実際に現場で働いた経験があるからこそ気づける点があるのではないでしょうか。
また、製造ラインでは手先の器用さが活かせる場面もあります。介護施設内の掲示物や装飾、レクリエーションの準備などを作成することがあると思います。モノづくりの現場では、手先の器用さが求められる場面があるため、そのような仕事で活躍することができるでしょう。
さらに、介護職と工場・製造業の仕事の共通点といえば、「夜勤」があることです。夜勤の仕事に慣れている方は、工場・製造業へ転職後も夜勤の仕事で活躍できます。
もちろん、介護職の夜勤の仕事が辛くて転職を検討している方は、日勤のみの工場・製造業に転職するのが良いですが、問題なく夜勤の仕事に従事できていた方にはおすすめできる働き方のひとつです。
介護職の場合は、少人数で夜勤の仕事を行い、夜勤が明けた後には、日勤の方への引継ぎや利用者様の夜の様子を日誌に書くなど、介護以外のデスクワークがあり夜勤明けなのに残業をしなければならないといったこともあるでしょう。
また、夜間に利用者様の体調が悪くなるなど、肉体的にも精神的にも負担が生じてしまうことも考えられます。そのため、夜勤が辛く感じてしまう方がいるのではないでしょうか。
一方、工場・製造業の夜勤の仕事は、残業がほとんどありません。2交代制や3交代制の勤務形態であれば、早番や日勤の方が出勤後に交代できます。介護職のような、記録をかくために残業が必要になることもありません。
また、深夜手当がつくことで給与が高くなるという点も魅力のひとつです。夜勤の仕事は向き不向きがありますが、介護の仕事で夜勤になれている方は、工場・製造業の夜勤の仕事も視野に入れて探してみるのもよいでしょう。
ひとことに夜勤といっても、勤務時間はさまざまです。自分にとって都合がよい働い方ができる職場を探していきましょう。
介護職から工場・製造業へ転職するメリット・デメリット
転職は、これから先の人生に影響を与える出来事になると考えられます。介護職から転職する理由には、給与や休みの不満や、人間関係などのストレスなどが挙げられます。
工場・製造業への転職によって、不満や悩みが改善される場合がありますが、安易に転職を進めることで「こんなはずじゃなかった」と後悔してしまう方がいるのも事実です。
後悔しない転職にするためにも、工場・製造業のメリット・デメリットを理解しておく必要があります。
ここでは、介護職から工場・製造業へ転職するメリット・デメリットについて紹介します。
メリット①サービス残業がなく定時で上がれる
介護職の仕事は、施設にもよりますがサービス残業が当たり前という環境があり、定時ピッタリに仕事が終わることはほとんどないくらい、サービス残業が日常化しているところがあります。
なお、サービス残業が生じる理由としては、残業申請に上司の許可が必要だったり、まわりのスタッフの仕事が終わっていないため先に帰宅しづらかったりとさまざまなあるでしょう。
残業が多くなると、プライベートな時間を確保できなくなりそのストレスから転職を考えている方がいます。一方、工場・製造業はほとんど残業がなく、定時で帰宅できる点がメリットのひとつ目です。
繁忙期や納期が近い場合、急なトラブルが発生した場合などは、残業を依頼されることがあるかと思いますが、その場合はしっかりと残業代が支給されます。
介護職からの転職で、残業時間を減らすことが目的の場合は、工場・製造業のなかでも残業時間の少ない企業を探すことが大切です。
具体的にいうと、中小企業より大手企業のほうが残業が少ない傾向がありますので、大手企業への転職を狙ってみるのもよいでしょう。
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メリット②年齢・経験関係なく転職できる
工場・製造業では、未経験者も採用しているとお伝えしましたが、経験だけではなく、年齢や学歴もそこまで重要視されていません。一般的に35歳以降は転職が難しくなると言われていますが、30代であれば難なく採用され、40代であっても応募できる企業が多々あります。
50代、60代となると応募できる企業が限られてしまいますが、経験が買われて採用に繋がるケースがあります。
なお、工場・製造業では作業工程がマニュアル化されている場合があるため、未経験であっても挑戦しやすい環境が整っているといえるでしょう。
資格や専門知識がなくてもできる仕事がありますし、転職後に経験を積むことでキャリアアップを目指すことが可能です。30代・40代であれば問題なく転職が可能ですので、転職を考えている方は早めに行動に移していきましょう。
メリット③人間関係のストレスが減る
介護職からの転職で、一番変化を感じられるのが「人間関係」の部分になると思います。介護の仕事は、介護施設の利用者様をはじめ、同僚の介護士、看護師、利用者様の主治医、利用者様のご家族など、たくさんの方との関りの中で構築される仕事です。
たくさんの方と関わることで、考え方の違いや立場の違いなどからストレスに感じてしまう出来事が起きてしまうでしょう。
その点、工場・製造業では、ひとりでモクモク・コツコツと進められる仕事があるので、人間関係に疲れてしまった方や、ひとりで集中して仕事をしたいと考える方にとっては、メリットに感じられるでしょう。
デメリット①仕事内容が単純作業で飽きてしまうかも
一方、デメリットは、仕事内容が単純作業で飽きてしまう可能性があるという点です。同じ作業の繰り返しだと、時間が過ぎるのが遅く感じてしまうものです。
介護職の場合は、イレギュラーなことが起こることも多く、忙しい時間がすぎることで、時間がたつのがあっという間に感じていることがあります。
しかし、ライン作業などの単純作業の繰り返しの仕事は時間がたつのが遅く感じ、単調な作業は飽きを感じてしまうかもしれません。
デメリット②ケガなどの危険が伴う
また、機械の故障や人的ミスによりケガをしてしまう可能性があるということを頭に入れておく必要がある仕事です。そのようなことがないように、工場・製造業では日々の点検を行っていますが、自分自身の身を守るためにも、安全を意識して仕事を行うことが大切です。
また、技術が進歩しているため危険な場所にはロボットを導入している企業があります。しかし、すべての企業がロボットを導入しているわけではないので、現場責任者の話をよく聞き、危険な場所は事前に確認を行うなど、重大事故を起こさないよう常日頃から安全に意識を向けていくことが大切でしょう。
介護士の転職におすすめな工場・製造業の職種
ところで、介護職からの転職でどのような職種についたらいいのか悩んでる方はいませんか。介護士におすすめできる職種はいくつかあります。
なかでも以下の3つの職種が未経験でも挑戦できる仕事です。
- 営業
- 製造ラインの仕事
- 品質管理
が介護士からの転職でおすすめできる職種です。
営業、製造ラインの仕事、品質管理は、介護福祉士時代に培ったコミュニケーションスキルやパソコンスキル、利用者様の送迎で必要だった車の運転技術、事故が起きないように気を配る危機管理能力などを活かして働けます。
営業
営業の仕事は、自社で製造した製品を売り込む職種です。メーカーの営業は、個人相手ではなく法人に向けて営業をかけていくことが多くなっています。
営業の仕事は、営業経験がある方を募集している企業がありますが、未経験であっても応募できる求人案件もあります。なお、介護用品を製造しているメーカーや医療機器メーカーに転職することで、いままで介護職で培った知識を活かせるでしょう。
また、介護職は、コミュニケーション能力が高い方が多いのが特徴です。人相手の仕事であることや、チームでおこなう仕事であるため、他の職種の医者・看護師・理学療法士・ケアマネージャー・利用者様のご家族とコミュニケーションを図ってきた経験やニーズを汲み取る力が営業職では役立ちます。
例えば、以下は東京都の医療機器メーカーの営業の求人です。
こちらの求人の仕事内容は、大学病院や総合病院、代理店へ医療機器や製品の提案を行う仕事です。業界未経験の方歓迎となっているため、営業経験がない方や医療業界の知識がない方でも挑戦できる求人案件です。介護の仕事を通じて、医療の知識などを得ている方はその知識を活かせる点も魅力の求人になります。
営業の仕事は、お客様とのコミュニケーションと製品の知識が必要となるため、常に製品情報や業界のニーズにアンテナを張れる方が求められます。
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製造ラインの仕事
次に、おすすめできる職種は製造ラインの仕事です。工場・製造業と聞くと、製造ラインの仕事をイメージする方が多いと思います。ライン作業は、ベルトコンベアに流れる製品を、組み立て・加工・検品・梱包・仕分けなどを行う仕事です。
工場によって、軽作業の場合もあれば力仕事になる仕事もあります。必要な資格や経験がなくても、できる仕事なので、未経験者も活躍できるでしょう。
なお、ライン作業は、立ち仕事がメインなので、足腰に負担がかかる点がデメリットになりますが、モクモクと作業が進められるため、集中力が高い方や体力に自信がある方は能力を発揮できます。逆に言えば、おしゃべりが好きな方には苦痛に感じてしまうかもしれません。
覚えることが、簡単なものが多くマニュアルを完備している工場が多いため、未経験者でも慣れれば即戦力として活躍できるでしょう。
例えば、以下は埼玉県の食品製造の求人です。
こちらの求人は、大手企業松屋フーズの製造の求人案件です。製造・倉庫・資材の仕事なので、ライン作業だけではありませんが、食品の製造に携わる仕事となっています。
ライン作業や製造の仕事は、夜間も業務が工場があるため、日勤だけではなく夜勤がある工場があります。
こちらの求人のように、07:00~16:00、13:00~22:00、22:00~07:00の3交代制の勤務や2交代制の勤務などさまざまな勤務形態になっています。そのため、勤務時間についてはしっかりと確認し納得できる勤務形態で働くことが大切です。
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品質管理
つづいて、おすすめできる職種は品質管理です。製品の品質や製品の製造工程を管理するのが品質管理の仕事になります。不良品が多い事や品質が低下している場合などには、原因を探して製品の品質の改善を行い、お客様に安心・安全をお届けするために大切な役割を担います。
例えば、以下は神奈川県の自動車メーカー品質管理業務の求人です。
こちらの求人は、未経験でも応募できる求人で、自動車メーカーで品質管理を行う仕事です。製品の品質確認はもちろんのこと、設備の立ち上げや設備のロボットティーチング作業も行います。
メーカーにもよりますが、品質管理の仕事は未経験でも採用される職種のひとつです。製品の安全を守る仕事なので、今までの介護職での危機管理能力の高さが活かされるでしょう。
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介護職からの転職で給料はどうなる?
さて、介護職から工場・製造業へ転職した場合、「給料は上がる?下がる?」「介護職と製造業、どっちのほうが給与がいいの?」と疑問を持つ方がいます。
やはり転職するのであれば、給料アップを希望するのではないでしょうか。求人ボックス給料ナビによると、食品製造の平均年収は約379万円となっています。なお、介護士の平均年収は、約316万円となっています。
もちろん、給与は働く企業や職種、年齢、勤務地、資格の取得などによって異なりますので一概には言えませんが、介護職から転職する場合は給与が上がる傾向にあることがわかります。
なお、転職で給与を上げる目的がある場合は、給与が高い企業や職種を狙っていく必要があるでしょう。
転職後は年収アップが見込める
先程の、食品製造の平均年収を見てもわかるように、製造業界の給与が低いというわけではありません。まずは、工場・製造業の給与をイメージするために、業界全体の給与水準について調べてみましょう。
求人サイトで、気になる求人案件を見てみるだけでも、相場がわかってくると思います。
例えば、以下は千葉県の工場内作業の求人です。
こちらの求人は、未経験から応募可能で、月給210,000~420,000円となっています。未経験だからといって、給与が低い求人ばかりではありません。介護職からの転職であれば、工場・製造業へ転職後給与アップが十分期待できます。
なお、こちらの求人は、工場内作業の求人案件ですが、職種や企業規模が変われば、給与も変わります。
企業規模が大きいほうが、給与が高い傾向があり、作業を行うにあたって特別な資格がないと携われない職種の方が給与が高くなります。
経験を積むことでさらに給料アップできる
とはいえ、異業種へ転職したらかといって、確実に年収がアップするとは限りません。工場・製造業では、年功序列で給与が上がっていく企業がありますので、企業の給与についても詳しく調べることが大切です。
工場・製造業は、基本的に経験を重視しています。経験者が必然的に高収入を得られる仕組みになっていますので、工場・製造業へ転職した後は、日々コツコツと仕事をこなし経験を積むことが給与アップの一番の近道になるでしょう。
それから、資格を取得することで有資格者しか携われない仕事につけたり、資格手当がもらえたりと給与アップに繋がります。そのため、転職後も給与アップしたいという意欲を持ち続られるよう、努力が必要となります。
そもそも異業種への転職に不安がある方は、転職エージェントを利用の利用がおすすめです。転職エージェントを利用することで、不安な点やわからないことをアドバイザーに相談しながら転職が進められます。
異業種転職だから、「給与は低くても仕方ない」と思う方もいるかもしれませんが、必ずしもそうとは限りません。転職エージェントを利用すれば、自分では交渉しづらい給与の交渉もアドバイザーが行ってくれますので、転職の時点で給与アップが期待できます。
まとめ
ここまで、介護職から工場・製造業へ転職する時に知っておきたい、メリット・デメリットやおすすめの職種、転職後の給与について紹介してきました。
工場・製造業への転職は未経験でも採用されるため、プライベートな時間を確保したい方や給与アップを目的に転職を希望する方には大変おすすめです。
また、いままでの介護職の仕事を活かしながら働ける職種があるため、異業種であっても挑戦しやすいのではないでしょうか。とはいえ、異業種への転職で不安を感じている方は、転職エージェントの利用がおすすめです。転職に関するアドバイスに加え、給与の交渉までおこなってくれます。
後悔しない転職にするためにも、十分に情報収集を行い自分の理想がに近い企業を探していきましょう。
工場・製造業に転職をするとき、ほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自分の力だけで求人を探すと、希望の条件を満たす求人を見つける作業のみならず、労働条件や年収の交渉・アポ取りなどさまざまな作業を自分でやらなければなりません。
そこで、転職サイトに登録することで、求人の紹介から労働条件や年収交渉だけでなく、履歴書や職務経歴書などの書類関係を送付するなど面倒な事務作業まで行ってくれます。
ただし、転職サイトによって特徴が違います。例えば「工場・製造業の転職に強い」「全国各地に強いのか、それとも都市部に強いのか」「20代・第二新卒が得意」「40歳以上でも転職を成功させてくれる」などの違いがあります。
転職を成功させるには、これらの違いを理解した上で転職サイトを活用しなければなりません。そこで、以下のページでそれぞれの転職サイトの特徴を解説しています。これらを理解することで、転職での失敗を防ぐことができます。