製造業・工場への転職を考えているけど、高卒・大卒を含め、製造業とは全く違う職種に就いている人がいます。そうなると、「工場の仕事が未経験だけど、工場に転職できるのだろうか」と不安になる人がいます。
しかし、最初から仕事ができる人はいません。いま工場長・部長の人も最初は「未経験」だったのです。工場の仕事が未経験でも、正社員になれますし、マシンオペレーター(機械操作を行う人)にもなれます。
ここでは、工場・製造業の仕事でどのような工場があり、未経験者はどの種類の求人を選べばいいか述べていきます。
もくじ
工場未経験者が工場に転職するには
工場・製造業に転職を考えていたとしても、未経験者が選ぶべき求人はなにか悩みます。実際、工場・製造業といってもその範囲は広く、車の製造から食品加工まで多種多様です。
このとき、多くの人が「仕事内容が簡単で給料がいい求人」という条件面だけで判断してしまいがちです。実際、求人情報の多くも以下のように記されているので、どうしてもそのように考えてしまうのです。
このように、簡単な軽作業で高収入とあります。しかし、簡単・高収入だけで判断してしまうと失敗してしまいます。例えば、実際に働いてみたら「覚えることがたくさんあって大変」「作業内容は簡単な単純業務だけど重労働」など、想像と違うことがあります。
しかし、中には本当に簡単な軽作業の仕事内容で高収入なものもあるのでしっかりと調べる必要があります。
このとき、未経験者が転職のときに選ぶべきポイントは以下の3つです。
- 会社で研修制度がある
- OJTがある
- 誰でもできる業務である
これら、それぞれのポイントについて確認していきましょう。
会社で独自の研修制度がある
工場へ配属されるとはいっても、最初は何をやっていいかわかりません。そういうことを事前に回避するため求人情報で確認すべき項目が研修制度です。
例えば、以下は岡山にある半導体工場の求人です。
このように未経験者の人も受けられる研修制度がある場合、研修を受けた後に現場に出るのでとても安心です。
その他に、機械を扱うマシンオペレーターなどの場合、取り扱う機械メーカーなどが主催している研修を利用することもあります。その場合、多くの企業が研修代や交通費など負担してくれますが、万が一負担してくれないような企業であれば転職時は避けなければいけません。
例えば以下の写真は、工作機械メーカーで行われたプログラミング研修の資料です。4日間にわたり「初心を前提とした」講習内容になっているので未経験者の方が受けやすい内容になっています。
実際に研修があるかどうかについては、転職サイトの担当者に確認しましょう。
研修やOJTなどが充実している職場が最適
OJTとはOn-the-Job Training、オン・ザ・ジョブ・トレーニングの略で、現任訓練といいます。要は職場で実務をさせながら行う職業教育のこと。
例えば、以下は東京に本社があるディスプレイ製造装置メーカーの求人です。
このように、一か月間の研修の後にOJTでしっかりと教えてくれるので、いきなり現場に一人で行くようなことがありません。実際、小さな町工場のようなところだと職人気質の方が「仕事は見て覚えろ」というところがあります。
しかし、それでは重要なことが伝わらなく、技術の習得まで時間も掛かります。あなたにとって良いことがありません。そのため、初めてで不安な方はOJTがあるか確認しましょう。
誰でもできる難しくない業務を目指す
それでも、たくさん覚えることがあると仕事をこなせるか不安になってしまいます。その場合、誰でも出来る簡単な単純作業を選ぶという方法もあります。
例えば、以下は宮城にあるパンの製造工場の求人です。
このように、求人情報内に作業内容が書かれていることもあります。それだけ作業が少なく覚えることもないので簡単だということがわかります。これだけ簡単な作業内容であれば、しっかりとした研修も必要ありません。
実際、先ほどの求人では「スポンジを流す」「流れてきたスポンジにバナナをのせる」「クリームを入れる」など、誰でも行える仕事内容になっています。このような工場を探せば工場・製造業の仕事が未経験の方でも容易に働くことが可能です。
危険で汚い職場が嫌な男性・女性でも転職できる職場とは
ただ中には、工場の仕事に興味はあるけど「きつい」「汚い」「危険」などのイメージがある人も多いと思います。実際にそのような工場も実在するので、汚い環境が嫌な男性はもちろん、女性であっても勤務できる職場としては以下のようなものがあります。
- 検査員
- 食品加工業
- オペレーター
- 組立
- 縫製
では、それぞれの業務内容を紹介していきます。
検査員は軽作業が多い
検査とは、主に製品に異常がないか悪いところがないかチェックする仕事です。製品の種類は食品や縫製・金属などがあり、製品の種類によって検査方法が変わってきます。
例えば、金属部品を取り扱う工場では、飛行機や船の大きな金属部品を扱うところもあればパソコンやスマホのように小さな部品を扱う工場もあります。その中でも、パソコンやスマホのような小さい部品を取り扱う工場は多いため、力がない人でも大丈夫です。また、検査機器を使うのに免許は必要なく操作も簡単です。
他には、製品に不具合がないかチェックしたり、製品に異物が混ざってないかチェックしたりする検査があります。例えば、以下は岐阜にあるゴム製品を扱う工場の求人です。
このように、製品に傷がないか外観検査したりライン作業で流れてきた製品に異物が混ざってないか目視検査したりする仕事など、難しくもなく体力的にも大変ではありません。
しかし、検査をしっかり行わないと取引先や消費者に不良品が出回ってしまったり、食品であれば食中毒を起こしたりする可能性があります。そのため、大変重要なポジションです。
食品加工は女性が多く、内容は軽作業
食品関係の工場は水やお菓子、パンやお弁当などさまざまな工場があります。そういった食品加工で特に多い作業がコンベアーで流れてくる製品を加工調理したり、盛り付けしたりする業務になります。
例えば、以下は食品加工工場の製造ラインです。
工程ごとにコンベアーが分かれていて作業するようになっています。このように食品加工業の場合、流れ作業が多いです。こういった作業内容であれば難しくなく未経験者の求人も多くでています。
例えば、以下は神奈川県にある飲料製品の製造を行う工場の求人です。
このように製造ラインの中に入って一つの作業をするので難しくありません。しかし、同じ作業の繰り返しになるので飽きてしまうことがあります。そのため、一つのことを黙々とこなすことが好きな人に向いています。
他には、ライン作業のように同じ作業の繰り返しが苦手な方は難しくなくライン作業がない工場もあります。
例えば、以下は栃木にある食品加工の工場の求人です。
この求人の場合は単なるライン作業ではなく、箱の開梱作業や原料を窯に投入する業務など簡単な作業をすることになります。ただ、この場合だと箱に入った原料を持ち運びするので多少の体力は必要な仕事です。
他には、食品加工でライン作業ではない仕事もあります。例えば、以下は大福を作っている様子です。
ここでは、他にも何種類か商品を作っており一つのことを行って飽きるようなことはありません。このように、食品加工でライン作業ではない仕事もあります。
さまざまな食品加工に携われるので食品が好きな女性にはおすすめです。しかし、仕事自体は大変な仕事ではありませんが、食品を扱う仕事なので清掃や消毒など衛生面では非常に厳しいです。
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オペレーターは幅が広い職種
オペレーターの仕事は製品をセットしてボタンを押すだけのものから、機械に動きを教えるためにプログラムを組んで動かすものまで、たいへん幅が広い職種になります。
例えば、以下は機械オペレーターの求人です。
このように材料をセットしてスタートボタンを押すだけの作業でもオペレーターの仕事です。
他には、以下は東京にあるNC旋盤(金属を切削加工する機械)を扱う工場の求人です。
ここの会社では、プログラムから段取りまで一人行うオペレーターの仕事です。どの作業も覚えるのに時間が必要な仕事なので、長く働きたい方には向いています。
以下は実際のNC旋盤の機械です。
プログラムを組んだり、加工を行ったり技術が必要な作業になるので、物づくりが好きな人やしっかり腰を据えて働きたい人には向いています。
しかし、物づくりは好きだけど短時間勤務を求めている人やお子さんがいて週3~4日勤務を求めている人には向いていません。そのため、オペレーターの求人情報を見るときは詳細内容までしっかり確認するようにしましょう。
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組立ならスマホやパソコンなど軽量なものを選ぶべき
その一方で、工場の業務の中には組み立ての業務があります。組み立てる製品については、自動車や機械設備・電気製品など様々なのもがあります。作業内容についても、電動ドライバーなどを使用して組立作業を行うほかに、溶接やハンダ付け・塗装などの業務も行うことがあります。
例えば、以下は車の組み立て工場の求人です。
このような車の組立作業は作業内容的には難しくないですが、体力が必要な作業が多いのでこのような求人は避けるべきです。
そのため、きつい仕事を避けながら組み立て作業をやりたい場合は、家電やスマホ、パソコンなど重労働ではない業種を選ぶ必要があります。例えば、以下は滋賀にある組み立て工場の求人です。
このような家電・パソコン・スマホなどを扱う工場であれば女性や力に自信がないような人でもあまり無理なく働くことができるので、未経験で体力がない人はこのような求人を探すようにしましょう。
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服飾が好きな人なら縫製工場
他には、アイロンやミシン・釦付けミシンなどの機械を使って作業を行う、縫製の仕事があります。縫製といっても裁断から縫製・プレス・検品など様々な業務があります。
例えば、以下は大阪にある縫製工場の求人です。
この求人のように、ミシンを使う業務内容であっても未経験者が歓迎されることもあるので、求人サイトの担当者に相談しながら探しましょう。
縫製工場でも働きながらスキルアップさせてくれるところがあるので、服飾関係が好きな人は縫製工場で働くことをおすすめします。
工場未経験でも設備保全・管理やオペレーターの仕事はできるのか
一方、未経験者では転職が難しい職業も存在します。簡単な作業内容ではなく設備保全・管理のように、工場の機械を安全に動かすために点検・修理を行う仕事については、機械や電気配線の仕組みなどをある程度知らなくてはいけません。
また、オペレーターも「製品をセットしてスタートを押す」くらいであれば未経験者でも問題ありませんが、CADオペレーターやNC旋盤のオペレーター・マシニングセンタのオペレーターなどは、ある程度の知識がないと難しい仕事です。
そのため、未経験者で設備保全やオペレーターの求人は少ないです。しかし、未経験者で設備保全やオペレーターの求人を出している会社があります。例えば、以下は大分にある工場の求人です。
この会社は自動車のランプやドアミラーを作っている工場で「設備保全」「生産管理」「品質管理」業務の求人を出しています。職種経験者優遇ですが、未経験者歓迎になっています。
他には、以下は東京に本社を構える工場の求人です。
こちらも、「CADの操作ができる方は大歓迎」ですが、実務経験がなくても大丈夫になっています。
では、これらに共通していることは何でしょうか。それは、「研修制度がしっかりしている」「経験がなくてもOJTなどで指導を受ければ仕事ができるようになる」ということです。こうした会社であれば、基礎からしっかり教えてくれるのでスキルアップが早いです。未経験で設備保全やオペレーターの仕事を探している人は研修制度があるかを確認しましょう。
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年齢制限の問題を理解する30代・40代の工場勤務
なお、転職で考えなければいけないものとして経験の有無だけでなく年齢もあります。特に30歳以上だと正社員での応募が減ってしまったり、年齢による足切りがあったりします。
そうしたとき20代であれば問題ないですが、30代・40代で転職を考えている方の中には「今の会社の給料では安くて将来が不安だ」「今の会社の人間関係が悪く会社を辞めたい」など様々な理由があります。
ただ、30代・40代で工場に転職できるか不安になります。しかし、工場への転職を考えるとき、35歳以上の人が転職活動を行うことは多いです。ただ、工場の場合30代・40代であっても受け入れてくれます。
例えば、三重の工場から出された中途採用の募集です。「30代~40代が活躍中であり、未経験者大歓迎」と明記されています。
30歳から工場を初めて経験する人を受け入れてくれる求人は非常にたくさんあります。それまでの職歴がなかったとしても問題ありません。
履歴書や面接の志望動機・自己PRで注意すべきこと
ここまで述べてきたように未経験者でも工場・製造業への転職は十分に可能です。これまでの内容を考慮した上で中途採用の募集を確認し、転職活動を実施するようにしましょう。このとき、履歴書・職務経歴書や面接では志望動機を聞かれますし、自己PRもしなければなりません。
実際、以下のように履歴書には必ず志望動機・アピールポイントなどを記載する欄が存在いします。
いくら未経験者で転職が可能でも、やはり転職に不利であることには変わりがありません。そこで、内定がもらえるように履歴書や面接での対策を練るようにしましょう。
このとき、「なぜ製造業に転職しようと思うのか」「なぜその工場にしようと思うのか」「内定後はどのような活躍をしたいのか」などを述べるといいです。例えば、以下のようになります。
前職では電子事業の営業を担当していましたが、その会社で扱っていた製品がどのような工程で出来上がるのか興味を持ち、ものづくりの仕事に携わろうとしたきっかけです。 現在はNC旋盤の勉強をしており、プログラミングにも興味があります。ものづくりに携わることを前提に、しっかりと技術を学んで身に付けられる地元企業への就業を希望していたところ、同じ電子事業で特に電子部品事業でシェアの大きい貴社が目に留まりました。 貴社では、電子部品についてNC旋盤を使用して部署ごとに製作しているので、今まで営業で培ってきたコミュニケーションスキルを活かし、貴社でも同僚とコミュニケーションを取り合ってチーム全体の生産性を上げつつ、自らのエンジニアスキルも伸ばせると考え応募しました。 |
「家庭の事情で地元へ戻るために転職する」「単純に年収を上げたいため、製造業へ転職したい」など、人によって事情が異なります。そのため、あなたの退職理由に合わせて志望動機を考えるといいです。今回の例文では「営業職から製造業へ転職」「地元企業へ正社員として転職を希望の事例」を出しましたが、転職理由が他にある場合は当然ながら別の志望動機や退職理由になります。
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未経験でも研修制度を利用して転職する
これまでに述べてきたように、高卒・大卒であったり、サービス業の経験しかなかったりする未経験だが、工場に転職を考えている人はたくさんいます。
こうした人がこれから工場・製造業に転職しようと考えたとき、製造業の知識が全くないことを不安に思ったり、体力的に工場の勤務が勤まるか不安になったりします。
このとき「研修制度を利用する」「OJTがしっかりしている」などを含め、ここまで述べてきたことを理解したうえで転職活動を開始しましょう。特に、どの職種の中途採用募集へ申し込むかは重要になります。
転職サイトの活用を含め、たくさん存在する中途採用の求人募集の中から、未経験者を歓迎してくれる製造業や工場を紹介してもらうようにしましょう。そうして丁寧に指導してくれる職場へ就職し、正社員として活躍するといいです。
工場・製造業に転職をするとき、ほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自分の力だけで求人を探すと、希望の条件を満たす求人を見つける作業のみならず、労働条件や年収の交渉・アポ取りなどさまざまな作業を自分でやらなければなりません。
そこで、転職サイトに登録することで、求人の紹介から労働条件や年収交渉だけでなく、履歴書や職務経歴書などの書類関係を送付するなど面倒な事務作業まで行ってくれます。
ただし、転職サイトによって特徴が違います。例えば「工場・製造業の転職に強い」「全国各地に強いのか、それとも都市部に強いのか」「20代・第二新卒が得意」「40歳以上でも転職を成功させてくれる」などの違いがあります。
転職を成功させるには、これらの違いを理解した上で転職サイトを活用しなければなりません。そこで、以下のページでそれぞれの転職サイトの特徴を解説しています。これらを理解することで、転職での失敗を防ぐことができます。