高卒で工場のアイキャッチ

モノづくりに携わる工場・製造業では、学歴関係なく高卒の方も働いている現状があります。中には、高卒であっても現場の主任やリーダー・工場長まで昇りつめた方もいます。

しかし、実際に工場・製造業への転職を考えたとき、「高卒だけど採用されるのか」「最終学歴が高卒だと不利なのか」「高卒での給与はどのくらいなのか」など気がかりな部分や不安に感じる部分が多くあります。

また、「学歴がないと危険な仕事があるのではないか」「夜勤の仕事しかできないのではないか」などと不安に感じ、転職を諦めてしまう方がいます。

そこで、この記事では高卒で工場・製造業へ転職するために、知っておきたいことや給与・年収・転職活動時に悩んでしまう志望動機や面接での伝え方について紹介します。

高卒でも工場・製造業に転職できるか

まず、工場・製造業では高卒の方や未経験の方を積極的に採用しているという特徴があります。実際に、工場・製造業の求人をみてみると「学歴不問」「高卒以上」と記載されている求人が数多く存在しており、学歴を問わずさまざまな従業員が働いています。

工場・製造業では、応募者の経験や実績・意欲などを重視し「学歴を気にせずに採用したい」と考える企業が少なくありません。

また、工場・製造業の仕事内容は、専門知識が必要な業務もありますが、ライン・組み立て・梱包などの仕事は単純作業が中心で、マニュアルも完備されている場合が多いため、未経験者やスキルがない方でも作業しやすい環境になっています。

働きながらスキルや知識を身に着けることができる仕事の場合、学歴不問・高卒以上で求人を出している傾向があり、工場・製造業もそのうちのひとつであると言えるでしょう。

例えば、以下は埼玉の貨幣処理機の製造の求人です。

高卒で工場の求人票1

こちらの求人は、「未経験歓迎」「学歴不問」の貨幣処理機製造の正社員の求人です。月給は、18万7,538円~と高い給与ではありませんが、正社員雇用で日勤(8:30~17:15)のみ、土日祝休みで、残業は月に10時間程度とプライベートを大切にしたいと考える方には魅力的な求人です。

高卒での転職だと、夜勤のある仕事や危険な仕事しかできないのではと考えてしまう方もいますが、そんなことはありません。しっかりと求人情報を探していけば、日勤だけの仕事もたくさんありますので、ご自身の条件に合致する求人を見つけていきましょう。

このように、製造業の仕事では、学歴不問と記載がある求人が数多くあります。なお、求人を検索する際は、詳細検索で「学歴不問」の欄にチェックを付けておくと、条件に合った求人がでてくるので、確認しておきましょう。

また、工場・製造業では、学歴よりも実力を重視する傾向があるため、高卒であっても経験者であれば、その経験を強みとして転職をすることができます。

例えば、以下は埼玉の医薬品業界の生産・製造の求人です。

高卒で工場の求人票2

こちらの求人の応募条件は、「高卒以上」「普通自動車運転免許」「何らかの製造に関する経験」となっています。このように、高卒であっても工場・製造業で働いた経験があることで、採用に有利になる求人もたくさんあります。

さらに、経験が豊富な方や業務に関する資格を取得している方に関しては、いままでの経験を考慮され月給が決定されるため、即戦力として認められると高収入を目指すことが可能です。

つまり、「高卒」という学歴が原因で工場・製造業への転職できないというわけではありません。転職を検討している方の中には、「高卒だから」、「学歴がないから」などと諦めてしまう方がいます。

しかし、工場・製造業であれば、高卒であっても転職条件が合致する求人を見つけることは難しい事ではないので、強みを活かして転職活動を進めていきましょう。

高卒での転職は不利なのか

高卒であっても、工場・製造業の仕事に転職することが可能であることがわかりました。とはいえ、大卒以上の方と高卒の方では、給与面に差がでたり、求人の幅が狭まったり、大卒以上の学歴がある方のほうが昇進に有利になるという事実もあります。

さらに、大卒の以上の方は、技術職や総合職・事務職などの仕事に配属されて、高卒の方は現場で製品の製造に携わる仕事に就くという傾向があります。

そのため、工場・製造業では、将来的には大卒の方が役員などの経営側に進み、高卒の方は工場長や主任、リーダーなどの現場の責任者の道に進むことが多いでしょう。

しかしながら、高卒の方は大卒の方より4年も早くに社会人経験を積んでいるため、工場・製造業への転職では学歴の代わりにスキルや実力・資格といった個人の能力を活かし転職活動を進めることができます。

そのため、必ずしも高卒という学歴が転職に不利に働くということではありませんので、学歴にとらわれずに転職活動を進めることが大切です。

高卒の工場・製造業の給料や年収を理解する

ところで、高卒の工場・製造業の給料や年収はどのくらいなのか気になる方も多いのではないでしょうか。厚生労働省の調査の結果では学歴別にみたとき高卒男性の平均年収は295万円、高卒女性は220万円となっています。

働く企業や年齢・仕事内容・勤務形態によって年収は異なりますが、高卒の工場・製造業の平均年収は320万円が相場であると言われていますので、学歴別でみたときの高卒の平均年収より高めとなっています。

しかし、工場・製造業では年功序列制の企業が多いので年齢とともに給与が上がっていくことが大半です。若年層は給与が低い傾向にありますが、正社員として勤務してボーナスなどを含めると400万円~500万円がボリュームゾーンと言えるでしょう。

初任給や手取りはどのぐらいか

ちなみに、工場・製造業では、初任給や手取りはどのくらいでしょうか。手取りの給料は気になるところです。正社員で働いている場合は、給与から社会保険料や税金が天引きされた金額が手取り額となります。

新卒の基本給がだいたい18万円程度となっているため、給与額が18万円だとすると、社会保険料や税金が引かれて手取りにすると13万円程度になると考えられます。

しかし、転職の場合はこれまでの経験やスキル、年齢が加味された金額が基本給として決定される場合が多くなっているため、仕事内容や企業によっても異なりますが、20万円~30万円程度の基本給になるケースが多いと考えられます。

なお、残業代や深夜手当、資格手当などの手当がつく場合もありますので、人によって初任給や手取り額は差が生じるでしょう。

また、会社の規定により共済費や労働組合費なども引かれる場合や、退職金制度があるかどうかも重要なポイントとなりますので、しっかりと確認しておきましょう。

高卒の工場・製造業で年収をあげるには

転職をするからには、給料や年収をあげたいと考えるものです。ここでは、高卒で高い給与を得るために、転職活動の際に心がけておきたいことについて紹介します。

ポイントを押さえて転職活動を進めることで、今より条件の良い仕事が見つかる可能性が高まります。

ここでは、高卒の工場・製造業で年収をあげるためにできることについて4つ紹介してきます。

大手企業や基本給が保障されている企業へ転職する

年収をあげるためにできることの1つ目が、【大手企業、基本給が保障されている企業に転職する】です。

工場・製造業では、従業員の人数が多い大手企業のほうが平均年収が高くなっています。働くなら大手企業に転職することで給与面では待遇が良いということは知っておいて損はありません。

例えば、以下は神奈川にある大手自動車メーカーの求人です。

高卒で工場の求人票3

こちらの求人は、高卒歓迎で仕事内容はパワートレインユニットの試作、技術開発業務です。月給は21万~34万6000円で、月給は選考を通じて上下しますとの記載があります。

さらに、賞与が年2回の計5ヶ月分とのことですので、月給が21万円であったとしても、ボーナスだけでも100万円を超える見込みです。そのため、基本給が保障されている求人であれば、安心して応募することができます。

また、昇給ありの記載もうれしいポイントです。昇給し、基本給が上がるモチベーションアップにつながるでしょう。

また、自動車メーカー・半導体メーカー・医薬品メーカーも比較的高収入を狙いやすくなっています。

例えば、以下は神奈川にある半導体製造装置の生産管理の求人です。

高卒で工場の求人票4

こちらの求人は、求める能力・経験の欄で高卒以上、ものづくりを仕事にしたいという意欲をお持ちの方となっています。生産管理業務の仕事で、月給が20万5000~49万7000円と幅広く、能力・経験・勤務地によって決定されるとのことです。

このように、高卒であっても高収入を見込める求人が多数存在します。年収アップを目的とした転職を目指している方は、大手企業や、自動車・半導体・医薬品メーカーへの転職も視野に入れて検討してみるのもよいでしょう。

ボーナスのある求人を探す

年収をあげるためにできることの2つ目が、【ボーナスのある求人を探す】です。

先程紹介した大手企業の求人にもありましたように、ボーナスがでる求人を探すこともおすすめです。ボーナスのようにまとまった収入があることでやる気がでたりお得感を感じたりとメリットがあるでしょう。

また、ボーナスは基本給の〇ヶ月分と表記されていることが多いので、求人を探す際は、基本給をしっかりと確認したうえでボーナスがどのくらいもらえるのか確認していきましょう。

例えば、以下は千葉の機械オペレーターの求人です。

高卒で工場の求人票5

こちらの求人は、賞与年2回昨年度の実績が94万円となっています。ボーナスだけで100万円近い収入が得られるとやる気がでてくる方もいるのではないでしょうか。

工場・製造業の転職を考える際は、ボーナスがある求人を探してみるのもよいでしょう。

経験やスキルを積んで出世を目指す

年収をあげるためにできることの3つ目が、【経験やスキルを積んで出世を目指す】です。

実務経験が重視されている工場・製造業の仕事であれば、高卒であっても出世できる可能性は高いです。

前職も工場・製造業であれば、その経験が活かされ給料に反映される場合や早い段階で出世できる可能性を秘めています。出世して、役職に就くことで役職手当を得ることができます。

企業によって異なりますが、工場・製造業の役職は、一般従業員→班長→主任→係長→課長→部長→工場長などの順で昇進していきます。昇進するためには、上司や同僚から信頼を得ることが大切です。コツコツと前向きに仕事に取り組む姿勢を見せていくことで、ずっと一般従業員のままではなく責任のある立場になることができるのです。

例えば、以下は千葉にある医薬品製造スタッフの求人です。

高卒で工場の求人票6

こちらは、製薬会社の医薬品の製造、包装業務の求人です。記載されているモデル年収例を見てみると、22歳で年収380万円、35歳で年収500万円と年齢が上がるにつれ年収も上がっています。さらに、賞与は年6.5ヶ月と給与面が好条件であると言えるでしょう。

それから、こちらの求人では、将来のキャリアの選択肢が広くなっているという特徴があります。一般スタッフとして現場での経験を積み、その後はチーフやリーダーなどを目指すことも可能です。上司との面談でご自身の考えを伝えられるため、挑戦してみたい業務に携われる可能性があります。

このように、転職活動の時点で将来的に責任者として活躍できるような求人を探すのもよいでしょう。

また、工場・製造業で活かせる資格を取得している方は、取得資格を活かして転職を進めるのもおすすめです。高卒であっても、特殊な資格を取得している場合は、求めている工場が多いです。取得資格によっては、資格手当がありますので今までの経験や取得済みの資格を活かしていきましょう。

キャリアプランを持ち転職活動を進める

年収をあげるためにできることの4つ目が、【キャリアプランを持ち転職活動を進める】です。

実は、工場長などの役職についている方でも大卒でない場合があります。つまり、日々の仕事に対する意欲があり商品や設備の理解・知識や経験が豊富で工場をまとめ上げるためのスキルを得ていれば高卒であっても工場長になることができるのです。

この先、自分自身がどのような働き方をしたいのか、目標達成に向けてどのように行動すれば良いのかなど、自分のキャリアの積み上げ方を計画しながら転職活動をすることが大切です。

工場長になりたいと考えるのであれば、工場長になるために必要なスキルなどを磨く必要があるため、その目標に向けて日々行動していくことが重要になるでしょう。

例えば、

  • 5年後、10年後どうなっていたいか
  • これからどのような働き方をしたいか
  • 会社にどのように貢献できるか

など、今後の展望を見据えて考えてみるのもよいでしょう。

その考えに沿って、転職活動を行うことで目標実現に近づけます。また、面接でもキャリアプランについて質問されることがありますので、きちんと回答できるように落とし込んでおきましょう。

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志望動機の書き方・伝え方

さて、転職活動の際に悩んでしまうのが志望動機です。本心を正直に書いて良いのか迷ってしまう方もいるでしょう。しかし、「給料がいいから」「休日が多いから」「残業が少なそうだから」などの理由は、採用担当者に良い印象を与えないため控えてください。

志望動機で一番大切なことは、数ある工場・製造業の中でなぜその企業に転職したいと考えたのかという点です。そして、その会社を選んだ理由を明確に示して採用担当者に伝わるように表現する必要があります。

当たり障りのない内容や具体性のない志望動機は、採用担当者の印象に残らず、採用に繋がりません。
志望動機は、採用の合否に関わる重要なポイントです。そのため、採用に繋がるために応募先の企業研究を行い自己アピールできる志望動機ご自身の言葉で伝えていきましょう。

志望動機に書く内容としては以下になります。

  • なぜその会社を選んだのかという理由を明確に示す
  • 今までの経験やスキル
  • 入社後にできること、将来的な目標
  • やる気アピール

を記載するとよいでしょう。

履歴書の志望動機の書き方

ここでは、具体的な志望動機の書き方を紹介します。まず、履歴書に記入する志望動機の目安は200文字~300文字です。高卒で転職する場合は、志望動機の欄で働く意欲や熱意・今までの経験で役立つことなどを書いていきましょう。

伝わる志望動機の書き方として、

  • 結論
  • 結論に至る理由
  • 経験をどう活かすか
  • 自己アピール

を記入していくことがポイントです。採用担当者が志望動機を読んだ後に、あなたの入社後のイメージが湧くような印象を与えられるとよいでしょう。

また、求人広告の歓迎欄や求める人材・活かせる経験等の箇所でご自身に当てはまる内容が記載されている場合は、その部分を強みにすると志望動機を考えやすいです。

これらを踏まえて、化粧品・医薬品の工場生産・製造の求人の志望動機の作成例を以下に紹介します。

貴社の生産・製造している製品が、ドラッグストアで販売されていると知り魅力を感じ、身近な製品の製造に携われることでやりがいを感じられると思い応募いたしました。

小さなころからモノづくりが得意で、手先が器用なことからコツコツと仕事に取り組むことが向いていると感じています。また、これまで、販売や飲食店で働いてきた経験があり、体力とコミュニケーション能力には自信があります。

貴社の業務では、モノづくりへの情熱を持ち製造スタッフとして生産性の向上に貢献できるよう全力を尽くしていく所存です。

このように、なぜその会社で働きたいのかや自分自身の経験やこれから貢献できることなどを志望動機として伝えていきましょう。

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面接でも熱意をしっかりとアピールしよう

なお、採用に関わることで大切なことは志望動機だけではありません。面接でもしっかりと熱意を伝えることが大切です。

面接は緊張してしまうものです。「上手くしゃべろう」「良く見せよう」と思わずに、自分の気持ちを自分の言葉にして伝えていきましょう。

また、面接では短い時間で好印象を与えることも重要なポイントです。

工場・製造業では、学歴に関わらず真面目に働ける人・思いやりがあり協調性がある人・長く働ける人・成長意欲がある人・即戦力になる人を求めています。

「高卒だから…」というマイナスな感情はしまい込んで、この工場・製造業で働きたいんだという気持ちや熱意を持ちこの会社でなにができるかをしっかりと面接でもアピールしていきましょう。

まとめ

ここまで、高卒で工場・製造業に転職するために知っておきたいことについて紹介していきました。

工場・製造業への転職で、企業は応募者の経験や人柄などを重視する傾向があるため、最終学歴が高卒であっても問題なく転職することは可能です。

なかには、「高卒だから…」と転職を諦めてしまう方もいますが、実際に出ている求人情報では、高卒以上・学歴不問としている企業がたくさんあります。

転職活動を進める際は、高卒であるということをデメリットだとは思わず、ご自身の経験やスキル、働く意欲をしっかりと志望動機や面接でアピールしていきましょう。

年収をあげたいと考える方は、転職先は大企業や従業員が多いメーカーなどを狙うのもひとつの手です。

採用をいただいてからは、日々コツコツと仕事に取り組み、キャリアプランを持ち仕事に励むことで、昇進し年収をあげることも可能です。

以上のことを踏まえて、工場・製造業に転職を考えている高卒の方が転職をして、より良い環境で働くことができます。


工場・製造業に転職をするとき、ほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自分の力だけで求人を探すと、希望の条件を満たす求人を見つける作業のみならず、労働条件や年収の交渉・アポ取りなどさまざまな作業を自分でやらなければなりません。

そこで、転職サイトに登録することで、求人の紹介から労働条件や年収交渉だけでなく、履歴書や職務経歴書などの書類関係を送付するなど面倒な事務作業まで行ってくれます。

ただし、転職サイトによって特徴が違います。例えば「工場・製造業の転職に強い」「全国各地に強いのか、それとも都市部に強いのか」「20代・第二新卒が得意」「40歳以上でも転職を成功させてくれる」などの違いがあります。

転職を成功させるには、これらの違いを理解した上で転職サイトを活用しなければなりません。そこで、以下のページでそれぞれの転職サイトの特徴を解説しています。これらを理解することで、転職での失敗を防ぐことができます。