工場のボイラー整備士のアイキャッチ

ボイラー設備を設置している工場・製造業は数多くあり、ボイラー整備士の需要は高くなっています。そのため、「せっかく取得したボイラー整備士の資格を活かしたい」との考えから、工場・製造業のボイラー整備士に転職を目指している方がいます。

しかし、「工場・製造業のボイラー整備士はどのような仕事をしているのか」「給料や年収はどれくらい?」と不明な点があると不安になってしまうものです。

また、ボイラーに関する資格はいくつかあるため、ボイラー整備士の業務範囲や仕事内容を理解しておくことが必要になります。

そこで、今回は工場・製造業のボイラー整備士へ転職したい方に向けて、ボイラーに関する資格、ボイラー整備士の仕事内容、給料や年収について紹介していきます。

工場・製造業で活躍するボイラー資格と役割

まず、機械を動かすためにはエネルギーが必要です。そのエネルギー(熱源)を生み出すための設備がボイラーです。工場・製造業ではボイラー設備を設置しているところが数多くあります。また、ボイラーには、さまざまな種類があり、用途によって使い分けられています。

例えば、食品加工工場であれば、調理や洗浄・殺菌の場面でボイラーの蒸気を使用したり、化学工場では、ガソリンなどを作る際に蒸留技術を使用したりと、多様な産業でボイラーは活躍しています。

さまざまな場面で活躍しているボイラーですが、高温・高圧になるボイラーの取り扱いには大変危険が伴います。そのため、ボイラーを設置している工場・製造業では、ボイラーを安心安全に稼働させるために「ボイラー技士」「ボイラー整備士」などのボイラーを取り扱うプロ達が協力してボイラーを稼働させています。

ボイラーの危険性を知り、正しく取り扱うことで、安全に稼働することが可能となります。ボイラーを運転する「ボイラー技士」、ボイラーの安全を守るための「ボイラー整備士」の資格を持つ方が、工場・製造業のボイラー設備の稼働に重要な役割を担っていることを理解しておきましょう。

ボイラー技士とボイラー整備士の業務範囲の違いは?

なお、商業施設やビル・病院・マンション・発電所・工場など、さまざまな場面で利用されているボイラーですが、そのボイラーに携わるためには資格が必要です。

ボイラーに関する資格は、「ボイラー技士」「ボイラー整備士」「ボイラー溶接士」があり、業務範囲は異なります。ここでは、「ボイラー技士」と「ボイラー整備士」の違いについて紹介します。

  • ボイラー技士

ボイラー技士は、ボイラーの管理・保守・点検・運転操作に関する国家資格です。規模の小さいボイラーであれば、資格は不要ですが、一定規模以上のボイラーの運転等に必要な資格で、ボイラーを安全に運転させるための専門家です。

なお、ボイラー技士は、特級・一級・二級の区分がある資格ですが、どの区分であっても、すべてのボイラーを取り扱うことができます。区分の違いとしては、ボイラーを取り扱う施設で選任する必要がある、「ボイラー取扱作業主任者」として活躍する際に、担当できる範囲が異なる点です。

ちなみに、取得する区分によっては、実務経験が必要となるため、特級までの資格取得には年数がかかります。また、主にボイラー技士は、商業施設やホテル、病院など空調管理や温水供給でボイラーを設置している施設や、工場や発電所などで活躍しています。

「ビルメン4点セット」と呼ばれる、ビルメンテナンス業界で働くうえで取得をおすすめされる国家試験のうちのひとつにボイラー技士の資格があります。つまり、メンテナンス業界では需要の高い資格のひとつです。

また、二級ボイラー技士の資格があれば、すべてのボイラーを取り扱うことができるため、転職では十分で有利であるといえます。

  • ボイラー整備士

ボイラー整備士は、一定規模以上のボイラーのが安心安全に稼働できるように、整備するための国家資格です。ボイラー整備士は、ボイラーの内部の分解や清掃・点検・部品交換・整備などを行います。

なお、ボイラー整備士の試験は誰でも受けることができますが、ボイラー整備士の免許交付は、ボイラー整備士免許試験に合格した者で、一定規模以上のボイラー又は第一種圧力容器の整備の補助業務を6ヶ月以上経験した者などといった条件があります。

また、主にボイラー整備士は、商業施設やビル・工場等でボイラーのメンテナンス作業に携わります。メンテナンス会社に就職して、メンテナンス会社が業務を請け負うビルや工場などでボイラーのメンテナンスを行うことが大半ですが、工場・製造業でもボイラー整備士を求めています。

大規模な施設では、ボイラーに不具合が生じると空調などに影響を与えてしまうため、正常に稼働するためにはボイラー整備士が重要を担っています。なお、溶接を伴う場合は「ボイラー溶接士」の資格が必要になります。

このように、ボイラー技士・ボイラー整備士・ボイラー溶接士の役割や携われる業務範囲が異なります。

例えば、ボイラー技士が不備を発見した場合であっても、整備作業はボイラー整備士が行う仕事であるため、ボイラー技士の資格を取得しているだけでは、ボイラー整備をすることはできません。

そのため、業務範囲を拡大するために、ボイラー技士・ボイラー整備士両方の資格を取得する方もいます。

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ボイラー整備士のメリット

ボイラー設備は、生活するうえで身近な商業施設や病院から、工場までさまざまな場所に設置されています。つまり、ボイラー設備がある場所でボイラー整備士は活躍できるため、転職先の選択肢が広いというメリットがあります。

また、市街地のみならず、地方でも需要があるので地域差なく必要とされている資格です。そのうえ、他の職種と比べ、年齢制限がないことが多く、中高年であっても転職先があると考えられています。

例えば、以下は、埼玉県のクリーニング工場の機械メンテナンスの求人です。

工場のボイラー整備士の求人票1

こちらの求人は、20代~50代まで活躍している機械メンテナンスの求人です。ボイラーに関する資格取得者優遇となっているため、ボイラー整備士の資格取得者であれば採用に有利になります。

このように、ボイラー整備士の求人案件をみてみると、他の職種と比べ年齢制限されることが少なく、年齢関係なく需要の高い仕事であることがわかります。

また、経験者を歓迎する求人案件も数多くありますので、年齢が高いからと言って転職ができないというわけではありません。さらに、実務経験が豊富であれば、採用したいと考える企業もあります。

工場・製造業の安心安全を守るために、ボイラー整備士の仕事は重要な役割を担っています。そのため、ボイラー整備士の資格を取得している人を求めている企業が多く存在していることも事実です。

工場・製造業では、欠かせないボイラーに関するボイラー整備士の資格を取得していることで、就職や転職でも有利になるというメリットがあります。

ボイラー整備士の仕事内容

では、ボイラー整備士の具体的な仕事内容について、求人案件を用いて紹介していきます。

例えば、以下は、東京都の廃棄物処理プラントの点検・メンテナンスの求人です。

工場のボイラー整備士の求人票2

こちらの求人では、主要機器の点検及び報告書の作成業務が仕事内容となっています。エネルギーや化学製品などを生み出すプラントでは、日常的なメンテナンスが欠かせません。安全に稼働を続けるためにも、ボイラー整備士がメンテナンスを行い、設備を守っていくという仕事は工場・製造業では大切な仕事となります。

なお、ボイラー整備士の資格を取得しているからといって、ボイラーの整備のみ行うのではなく、工場で稼働する設備の整備全般の対応業務が仕事内容となっている求人案件が多くあります。

具体的な仕事内容としては工場・製造業の設備点検作業・予防保全・故障対応などです。

例えば、以下は、埼玉県のメンテナンス技術者の求人です。

工場のボイラー整備士の求人票3

こちらの求人では、ボイラー整備士の資格を取得が仕事に活かせます。しかし、仕事内容は、工場で稼働するさまざまな自社設備のメンテナンスとなっているため、ボイラーだけではなく多種多様な設備のメンテナンスを行う仕事です。

このように、工場・製造業でボイラー整備士が活躍できる求人では、ボイラー整備士の資格を取得している場合でも、ボイラーのみでなく機械や設備のメンテナンスを担うことも多くなります。

ボイラー整備士ではあるけれど、ボイラーのみでなく機械や設備メンテナンス・設備管理にまで範囲を広げることで、より多くの求人案件に出会うことができるでしょう。

ボイラー整備士の仕事はきついって本当?

さて、「ボイラー整備士」と聞くと、「ボイラーに関わる仕事は、きついらしい」「大変そう」などというイメージを持つ方がいます。

そこでここでは、ボイラー整備士の仕事や職場環境について紹介します。

  • 暑い中での仕事で体力がいる

ボイラーに関わる仕事は、体力が必要となる場合があります。なぜなら、ボイラーが稼働しているボイラー室は熱がこもっているため、暑さのなかで作業をこなさなければならないといった場合があるからです。そういった面で、体力が必要となります。

  • 危険と隣り合わせの仕事

また、ボイラーは慎重に取り扱わないと、爆発や破裂などの事故が起きる可能性がある設備です。そのため、整備を行う上では、ミスが許されず神経をつかいます。さらに、不具合が生じたときは、その対応に追われるなど精神的にも負担がかかる仕事でもあります。

以上の点から、ボイラーの仕事はきついという声が上がっています。ボイラー整備士の仕事は、表立って活躍するような仕事ではなく、どちらかというと縁の下の力持ちのような裏方の仕事です。

しかし、大変な仕事であるからこそやりがいも感じられる仕事でもあります。きついと感じる部分はありますが、責任感を持ち、業務にあたれる方にとっては働き甲斐のある仕事ともいえます。

工場・製造業のボイラー整備士の給料や年収を理解する

ところで、ボイラー整備士に転職したいと考えたとき、気になるのが給料や年収です。働く工場・製造業によって異なりますが、ボイラー整備士の月収はだいたい25万円前後、年収350万円~400万円程度が一般的で、他の職種と比べて差がない職種といえます。

しかし、ボイラー整備士の資格を取得していることで、資格手当が付くことがあります。

例えば、以下は、千葉県の設備管理の求人です。

工場のボイラー整備士の求人票4

こちらの求人では、ボイラー技士・ボイラー整備士の資格取得者には資格手当があります。企業によって資格手当があり・なしが異なりますので、求人票をよく確認しておくことが大切です。

また、長く勤務することで責任者として活躍し、年収アップを目指せる求人もあります。

例えば、以下は、神奈川県の技術スタッフの求人です。

工場のボイラー整備士の求人票5

こちらの求人では、経験年数が増えるにつれて年収もアップしています。また、学歴不問、未経験OKとの求人のため、ボイラー整備士の資格取得者は有利になります。

転職直後は高いとは言えない年収であっても、経験を積み責任のある立場に昇進することで年収アップも可能となる企業もあります。そのため、転職の際には今後の働き方について、キャリアプランを考えながら転職活動を進めていきましょう。

なお、企業の規模が大きいほど給料や年収が高くなる傾向があります。年収アップを目的とした転職であれば、大手企業の求人も検索してみるのもおすすめです。

まとめ

ここまで、ボイラー整備士の資格や仕事内容、給料や年収について紹介してきました。ボイラー整備士は、ボイラーの整備や点検・清掃をすることができます。

そのため、ボイラー設備がある工場・製造業では、安心してボイラーを稼働させるために、ボイラー整備士の存在が欠かせません。

なお、ボイラー整備士を求める企業では、ボイラーに関するメンテナンスだけでなく、工場・製造業の機械や設備のメンテナンス業務も並行して担っていく求人案件が多いことがわかりました。ボイラー整備だけではなく、工場の設備メンテナンスの求人案件にも目を向けることで選択肢が広がるでしょう。

また、ボイラー整備士の平均年収は他業種と比較すると高くはありませんが、資格を保有していることで、資格手当がつくことがあります。また、大手企業への転職や経験を積み責任のある立場になることで年収をアップさせることも可能です。

工場・製造業では、ボイラー整備士が活躍する場面でもあるため、ボイラー整備士の資格を活かせる職場に巡り合えるよう転職活動を進めていきましょう。


工場・製造業に転職をするとき、ほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自分の力だけで求人を探すと、希望の条件を満たす求人を見つける作業のみならず、労働条件や年収の交渉・アポ取りなどさまざまな作業を自分でやらなければなりません。

そこで、転職サイトに登録することで、求人の紹介から労働条件や年収交渉だけでなく、履歴書や職務経歴書などの書類関係を送付するなど面倒な事務作業まで行ってくれます。

ただし、転職サイトによって特徴が違います。例えば「工場・製造業の転職に強い」「全国各地に強いのか、それとも都市部に強いのか」「20代・第二新卒が得意」「40歳以上でも転職を成功させてくれる」などの違いがあります。

転職を成功させるには、これらの違いを理解した上で転職サイトを活用しなければなりません。そこで、以下のページでそれぞれの転職サイトの特徴を解説しています。これらを理解することで、転職での失敗を防ぐことができます。