工場・製造業に転職をするとき、休日形態はどうしても気になります。特に平日休みを希望する場合、多くの製造業が土日休みの体系をとっているため平日休みの求人を探すのに苦労されている方が多いです。
また、平日休みだと安く旅行に行けたり、どこに行っても空いていたりとメリットがたくさんあるため、平日に休みを欲しい人がいるのです。
では、平日が休みの工場・製造業の仕事はあるのでしょうか? あるとすればどのように探せばよいのでしょうか?ここでは、「平日休みの業種」「勤務形態から平日休みを探す方法」について解説していきます。
もくじ
平日休みの工場・製造業を業種から探す
まず、工場・製造業といってもさまざまな業種が存在します。多くの工場・製造業では土日休みの体制をとっているため、平日休みの工場・製造業の特徴について理解する必要があります。
平日休みの理由の一つとして、再稼働するのに莫大な費用とかなりの時間を要する工場であるということです。そのためこのような工場の場合、24時間365日機械を止めることなく稼働させているのです。
要は常に稼働させる工場だと1日24時間を「2交代」や「3交代」で出勤して、休日は「4日働いて2日休み」や「3日働いて3日休み」など交代で休む体制をとっています。
半導体工場ではさまざまな工程で平日休み
そのような工場の一つとして、半導体工場が挙げられます。「電気をよく通す物質」と「電気をほとんど通さない物質」の中間の性質を持つ物質だ半導体であり、簡単にいうと「条件によって電気を通したり通さなかったりする物質」のことです。
このような製品を取り扱う工場の場合、常に一定の温度や湿度を維持したり、室内の空気を清浄に維持したりする必要があります。そして、その一定ラインにするまでに多くの費用や時間が掛かります。また、再稼働すると各種の検査などを行わないと正常な状態に戻すことができません。そして、最終的に全てが正常に機能するか確認してからようやく製品を流せるようになります。
そのため、長期休暇以外は土・日曜日も含め24時間常に空調設備を動かして温度や湿度を一定に保ち、さらに製造機械も常に稼働させて誤差をなくしています。そのため、このような工場の場合に平日休みになります。
しかし、例外的に規模が小さい工場の場合は上記のコストよりも人件費の方が高くついてしまうため、「平日の日中に稼働させて土・日曜日休み」というケースがあるので、求人票の休日の欄をしっかりと確認する必要があります。
そうしたとき、半導体工場の仕事内容(工程)は以下になります。
- 部品製造
- 組立
- 検査
- 梱包
- 出荷
その中で平日休みになる工程を紹介していきます。
半導体の組立は細かい作業
まず、半導体デバイス(半導体を用いた電子部品)はいくつもの種類に分類されます。例えば、ディスクリート(個別半導体)に分類される「トランジスタ」「ダイオード」「モジュール」や、IC(集積回路)に分類される「メモリ」「ロジックIC」「アナログIC」などがあります。
これらの製品はいくつもの部品からなるもので、その部品を組み立てしている多くの工場では平日休みになります。
例えば、カメラモジュールの場合は「レンズ」「イメージセンサ」「基板」「FPC」などの部品を組み立てて出来上がります(カメラモジュールとはレンズや電子回路・ケースなどをまとめたものです)。
参考までに以下の写真がカメラモジュールで使用されるレンズになります。
また、下の写真は「リッドガラス」「イメージセンサ」「基板」「FPC」といった部品になります。
そして、上の部品を組み合わせてカメラモジュールが出来上がります。(下の写真)
このような製品の組立を行いたい場合、次のような求人に応募します。以下は埼玉にある半導体部品を製造・組み立てする工場の求人です。
この会社ではカメラモジュールなどの製造(組立)を行っています。休日欄を確認すると、「3勤3休」「4勤2休」「5勤4休」などの変則勤務と記載されているので平日休みが取れます。
どのようなことかというと、例えば「4勤2休」の場合は以下のようになります。
上記のように4日働いたら2日休みになるので平日休みになります。ただ、休みが少しずつズレていくので土曜日や日曜日が休みになることもあります。
また、労働時間は[1]8:30~19:30、[2]20:30~7:30で一年単位の変形労働制なので、[1]を一年やったら[2]を一年やるといった形になります。
検査はオペレーションや目視検査
次に検査の工程があります。半導体部品の検査はさまざまな製造工程間で行われます。特に半導体ウェーハの製造工程は400~600工程ほどがあり、製作期間は1ヶ月~2ヶ月かかります。そのため、初期段階で不良が発生した場合その後の作業が全て無駄になってしまいます。
そこで、工程の要所ごとで精度測定や性能検査・欠陥検査・異物の付着が無いかの確認などを行います。また、検査方法に関しては、多くの場合機械を使用しての測定や検査になるのでオペレーションがメインになりますが、機械で判断できない場合などは顕微鏡を使って目視検査を行います。
例えば、以下は新潟にある半導体チップの製造を行っている工場の求人です。
この工場の検査は顕微鏡を使って、半導体チップの外観検査の仕事になります。休日は3勤3休のシフト制(3日働いて3日休み)のローテーションなので平日休みになります。分かりやすく表に表すと以下のようになります。
この場合、1年のうちの半分が休みになります。年間休日も182日になっています。ほかにも、4勤4休といった勤務形態も1年のうちの半分が休みになります。
このような、シフト制の勤務形態の工場で働いている友人に話しを聞いたところ、良いところや悪いところがあるということで、下にまとめてみました。
「3勤3休」「4勤4休」のメリット
- 休みが多い
- 平日はどこにいっても空いている
- 旅行などが安い
- 銀行や役所が開いている
- 病院に行ける
「3勤3休」「4勤4休」のデメリット
- 正月やお盆・GWなど長期休暇がない
- 12時間労働がきつい
- 子供の学校行事が合わない
このようなメリット・デメリットがあるそうです。そのため、合う人・合わない人がいると言っていました。友人的にはデメリットよりもメリットのほうが自分にとって重要で合っていると言っていました。その中でも、特に「休みが多いのは大きなメリットである」そうです。
高炉を所有する製鉄所では平日休み
なお半導体工場の他に平日休みになるのが、製鉄所になります。製鉄所では高炉に一度火入れをすると15年~20年は生産を続けることを前提に稼働します。また、一度火を止めると再稼働するのに莫大な費用と長い時間が必要になります。
そのため、24時間365日工場を稼働するので従業員は交代で出勤します。そのため、必然的に平日休みが実現できるのです。
例えば、以下は千葉にある製鉄所の求人です。
この求人は、製造ラインのオペレーター業務なので高炉・転炉・圧延機などの生産設備の運転や監視が業務になります。また、勤務時間は3交代勤務になっています。また、この工場では4班で3交代のシフト(4班3交代制)を組んで業務を行います。以下が4班3交代のシフト表です。
このように、4班3交代では不規則的に平日休みを取れます。しかし、第二勤務や第三勤務のように夜の業務があるので体調管理が難しい勤務形態でもあります。
勤務形態から平日休みの工場・製造業を探す
その他、生産を上げるために2交代や3交代のシフト制にしたり、土曜日や日曜日を出勤にしたりして稼働時間を増やしている工場は平日休みになることが多いです。
どういう意味かというと、まず以下の二つの求人票を見てください。最初の求人は、東京にある医薬品製造工場の求人になります。
そして、以下の求人は埼玉にある医薬品製造工場の求人になります。
どちらも医薬品製造工場の求人になりますが、最初の工場では夜勤やシフト制ではなく、日勤のみの仕事であり、休日は完全週休二日制で土日休みになります。
それに対して、二番目の工場では4班3交代制のシフトを組んで24時間常時稼働させています(4班3交代制なので製鉄所で解説したシフトと同じものになります)。そのため、変則ではありますが平日休みになります。
このように、同じ医薬品製造工場でも工場の勤務形態が違うと働く時間や休日が大きく変わってきます。そのため、平日休みを実現させるときは業種からの求人を探すだけでなく、このように勤務形態からも求人の検索を行うとより多くの求人を探すことができます。
平日休みの工場・製造業では夜勤や年間休日も確認するべき
また、平日休みの工場・製造業で働くときは変則的な労働になるので、休日以外の労働条件を確認する必要があります。
- 睡眠トラブルの可能性
まず、夜中や朝方など労働する夜間勤務があることがあります。夜勤がある場合は、2交代制や3交代制の勤務形態を用いることが多いです。例えば、製鉄所で解説した4班3交代制をもう一度確認してみます。
この工場では、「第二勤務」の15:00~23:00と「第三勤務」の23:00~7:00が夜勤にあたる勤務になります。労働時間は昼間の勤務と同じ7時間15分なので、体力的にはつらさは変わらないですが、寝る時間が「昼間」になったり、「普通の人とズレ」たりするため、睡眠トラブルを生じることがあります。
- 年間休日が大きく変わる
他には、交替制の勤務では休日が変則的になるため年間休日に大きな差がでてきます。例えば、以下は4班3交代制のシフト表です。
4班3交代制では、「5日働いて2日休み」「5日働いて1日休み」「5日働いて2日休み」が1セットになります。そして、このような勤務形態の場合、年間休日が103日になります。
それに対して、以下は3勤3休のシフト表になります。
3勤3休では、「3日働いて3日休み」になるので、一年のうち半分が休みになります。そのため、年間休日は182日になります。
このように、「平日休み」で「交代制」の勤務形態でも年間80以上も休みが違います。そのため、工場・製造業での平日休みの求人を探すときには、夜勤や年間休日などの条件も確認する必要があります。
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平日休みの工場・製造業は転職サイトを活用して探す
それでは、実際どのようにして、自分が希望する平日休み工場・製造業の求人を探せばよいでしょうか。まず、自分一人だけの力で最適な年収や仕事内容・勤務体制などを探すのは現実的ではありません。
さらに、今回のように「平日休み」の条件を含めて探すとなると条件が厳しくなります。そのため、多くの会社の求人情報を持っている転職エージェント(転職サイト)を活用する必要があります。
例えば、ある大手転職サイトで「関東 平日休み 工場」の条件で検索したところ0件でした。
なぜ、これだけ少ない求人なのでしょうか。それは、転職サイトであなたが検索することのできる求人は公開求人といい、転職サイトが保有している求人のうちの約20%しかないからです。
残りの80%は非公開求人といい、転職サイトに登録して転職エージェント(担当者)から紹介されないと見られない求人になっているのです。これが、一人の力では求人を探すことが困難な理由です。
ただ、転職サイトの担当者によって実力が違います。さらに転職サイトによって持っている求人案件は異なります。こうした現状があるため、3社以上の転職サイトを利用し、実際に担当者と話し合いながら自分に合った求人を提示してくれる転職サイトを利用するのが基本です。
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まとめ
ここまで平日休みの工場・製造業に転職するために知っておくべきことを話してきました。多くの工場・製造業で土日休みの形態をとっているので平日休みの求人を見つけるためには、24時間365日機械を止めることなく稼働させている工場であることを確認しましょう。
そのような工場は多くが半導体工場や製鉄所になります。理由としては再稼働するのに莫大な費用とかなりの時間を要する工場だからです。
これに加え、生産性を上げるという理由で24時間・土日も稼働させている工場があるため、業種からだけでなく勤務形態からも求人を探す必要があります。
しかし、そのような条件で求人を自分一人で探すのは難しいので転職サイトを利用することをお勧めします。以上のことを理解したうえで転職活動を行うことで、あなたが求める理想の平日休みの工場・製造業の求人を探すことができるようになります。
工場・製造業に転職をするとき、ほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自分の力だけで求人を探すと、希望の条件を満たす求人を見つける作業のみならず、労働条件や年収の交渉・アポ取りなどさまざまな作業を自分でやらなければなりません。
そこで、転職サイトに登録することで、求人の紹介から労働条件や年収交渉だけでなく、履歴書や職務経歴書などの書類関係を送付するなど面倒な事務作業まで行ってくれます。
ただし、転職サイトによって特徴が違います。例えば「工場・製造業の転職に強い」「全国各地に強いのか、それとも都市部に強いのか」「20代・第二新卒が得意」「40歳以上でも転職を成功させてくれる」などの違いがあります。
転職を成功させるには、これらの違いを理解した上で転職サイトを活用しなければなりません。そこで、以下のページでそれぞれの転職サイトの特徴を解説しています。これらを理解することで、転職での失敗を防ぐことができます。