工場・製造業のプログラマーに転職を考えているが「どのような種類があるかわからない」「他業種だから転職は無理」「スキルアップを目指している」などと考え不安になって、諦めてしまう人がいます。
ただプログラマーが工場を目指す場合、大きく分けて二通りになります。それは「制御系プログラマー」と「工作機械系プログラマー」です。
使用するプログラム言語は、扱う機械によってかわります。転職前にどのようなものがあるか調べておくと、あなたのこれまでの経験が活かせることになります。
今回は、プログラマーの種類について確認し、そのあとに「平均年収」「志望動機の書き方」「転職サイトの活用法」について解説します。
もくじ
工場のプログラマーにはどんな種類ある
まず最初にプログラムにはどのようなものがあるでしょうか。プログラムと聞くとホームページなどを作成する「HTML・JavaScript・PHP」、アプリやゲームを作成する「C++・C#・JavaScript」、制御装置などで使われる「C言語・C++」などを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
その中でも、工場で使われているプログラム言語は以下のようなものになります。
制御系プログラム
まず、制御プログラムとは、コンピューターによる処理が円滑に能率よく実行されるよう補助する機能をもつ管理的プログラムのことです。また、掃除機や炊飯器などの家電製品や工場の生産ライン・産業用ロボットなどの組み込みシステムを制御するプログラムを指します。同じ意味でコントロールプログラムということもあります。
制御プログラムで使われる主な方式はC言語・ラダー図・アセンブラ言語などがあります。
以下がラダー図で作成したプログラムです。
制御プログラムでは、上図のようなラダープログラムを使用したプログラミングが多く使われています。ラダープログラムでプログラムを組んだあと「PLC」「シーケンサ(三菱電機製PLC)」などの制御装置にプログラムを移動して、動作確認を行います。
参考までに以下が実際の制御装置(シーケンサ)です。
また、このようなラダープログラムを組むプログラマーの求人に応募する場合は次のようになります。
東京にある会社の求人ですが。、このようにPLCを使用したロボット制御のプログラムをラダー言語で組む仕事になります。
工作機械系プログラム
次に工作機械を動かすためのプログラム言語にはNC言語(Numerical Control ニューメリカル・コントロール)、またはCNC言語(Computerized Numerical Control コンピュータライズド・ニューメリカル・コントロール)などがあります。どちらも数値制御という意味のものになります。
例えば、以下はNC旋盤のNC言語を使用したプログラム画面です。
このように、NCプログラムはGコードとMコードというコードを使用して英字と数字の組み合わせで組んでいきます。
また、上の写真のように機械に直接プログラムを組んでいく方法のほかに、NCプログラムではもう一つプログラミングの方法があります。それが、CAD/CAMを使用しての作成になります。
CAD(キャド)(computer-aided design)を直訳するとコンピュータ支援設計と訳され、コンピューターを用いて設計することをいいます。簡単にいうとパソコンで作図できるソフトのことです。
また、CAM (キャム)(computer aided manufacturing)を直訳するとコンピューター支援製造と訳されます。製品の製造を行うために、CADで作成された形状データを入力データとして、加工用のNCプログラム作成などの生産準備全般をコンピューター上で行うためのシステムです。簡単にいうと、CADで作った図面をNCプログラムに変換してくれるソフトのことです。
また、CADとCAMを両方とも行えるソフトをCAD/CAM(キャドキャム)といいます。工場によってはCAD/CAMからのプログラム供給するところもたくさんあります。これもまたプログラマーの分類になります。
例えば、以下が実際のCAD/CAMです。
上図の四角で囲った部分が図面に記載されている寸法通りに線を引き作図したものです。このとき、取引先からCADデータを借りることができればこの作業が短縮されます。
その後、上で作った図面をもとにCAMでNCデータ化します。下図の四角で囲った部分がNCデータになります。
このように、CAD/CAMを使用してプログラムを作ることによって大幅な時間短縮ができます。さらに、英字や数字などの打ち間違いがなくなり不良の削減にも繋がります。
では、求人ではどのようなものになるでしょう。
例えば、以下は愛知にある精密機器・医療機器・航空機部品の製造を行っている会社の求人です。
このように、MC・NC旋盤を使ってプログラムを組む場合、NC言語を用いたプログラミングになります。
他には、以下は印刷機の製造を行っている会社の求人です。
この会社の場合、「CAD/CAMソフト操作、NC機械用データ作成」なので、CAD/CAMを使ったプログラミング業務になります。
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システムエンジニア
なおシステムエンジニアとプログラマーの仕事を同じだと思っている人がいますが、プログラマーとシステムエンジニアは異業種になります。
プログラマーとは、コンピューターを動かすプログラム言語を用いて、さまざまなシステムなどを作る仕事です。
それに対して、システムエンジニアとは顧客の要求から仕様を決定し、大まかな設計をするまでの情報システム開発を行います。また、予算や人員・進捗管理などのマネージメント業務も行うこともあります。
要するに、システムエンジニアの業務内容は以下の通りになります。これは、上流工程といわれる部分で一般的にシステムエンジニアの業務内容になります。
- 要求分析・・・顧客がどのようなシステムを望んでいるのかヒアリングする
- 要件定義・・・顧客の要求をどのように実現するか決定する
- 基本設計・・・システムの基本設計を行う
- 詳細設計・・・プログラミングをするために必要な細かい設定などを行う
次に、プログラマーの業務内容は以下になります。
- プログラミング・・・設計通りにプログラミングをする
- テスト・・・システムが設計通りの動作をするかテストする
このように、システムエンジニアとプログラマーは業務内容が分かれています。しかし、会社によってはエンジニアという名前で全ての業務を行う会社があります。
他には、プログラマーはプログラミングだけで、その他の業務(要求分析・要求定義・基本設計・詳細設計・テスト)はシステムエンジニアが行う会社があります。
製造業のプログラマーの給料・平均年収はどれくらい
それでは、製造業のプログラマーの収入はどれくらいになるのでしょうか。事前に給与相場を理解していなければ、新卒・第二新卒就職や中途採用での転職をするにしても悪い条件での入社を避けることができます。
以下は製造業の平均年収です。
この図を見てわかるように、20代が一番低く30代・40代・50代と上がっていくのがわかります。そして、60代・定年を過ぎると一気に下がってしまいます。この図を参考に低い設定での入社を避け、好条件の求人を探し年収アップを目指しましょう。
例えば、以下は岐阜にあるポンプの製造業者の求人です。
この会社の場合30歳未経験で給料「(25,2000円×12ヶ月)+(25,2000×2.7)×2=4,384,800円」なので、30代平均年収よりも高い給料になります。
中には、製造業へのスタートで一般的な給料水準よりも下がってしまうことを懸念されている方がいます。しかし、このような求人を探すことによって同年代の人と変わらない給料がもらえます。
工場のプログラマーに求人を出すときの志望動機の書き方や例文
ただ転職するとき、必ず頭を悩ませるのが志望動機の考え方です。そこで、まず必要なのが「熱意」を相手に伝えることです。
特にプログラマー職は離職率の高い職業だといわれています。企業としては、育てた人材に離職されるのは手痛いです。そのため、プログラマー職に対する熱意を志望動機でしっかりとアピールして、採用担当者の印象に残こる魅力的な志望動機を書く必要があります。
例えば、以下はNC自動旋盤オペレーターの求人です。
このように、「図面を読み取り」「加工プログラム作成」「各種工具を選定」「形状・寸法精度に仕上げている」など仕事内容の場合、以下のような志望動機になります。
私は子どもの頃から、パソコンを操作したり、プラモデルのような部品を組み立てる作業が大好きでした。専門学校では情報処理学科を専攻し、「社会における情報の仕組みや流れ」「ソフトウエアの基礎」を学びました。 前職では、C言語を用いて家電の組み込みのプログラミングを行っていました。そこでは、C言語やプログラムの構成を学ぶことができました。しかし、いくつもプログラムを組んでいるうちに自分が組んでいるプログラムがどのような動きをするのか興味が沸くようになりました。 御社ではプログラムから段取り・加工まで一連の流れを一人で行うということで、私自身が飛躍できるチャンスだと思い応募しました。また、転勤がないということですので、腰を据えてじっくりと技術に向き合えると考えています。 |
このように、プログラマーに興味を持った経緯、どれだけ熱意があるのかをエピソードを織り交ぜながらアピールできれば、魅力的な志望動機が作れます。また、「腰を据えてじっくり」というワードを入れてその会社に長く勤めたいことをアピールすることもできます。
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転職サイトを使って工場のプログラマーの求人を探す
では、どのようにして、自分が希望するプログラマーの求人を探せばよいでしょうか。自分一人だけの力で最適な年収や仕事内容・勤務体制などを探すのは現実的ではありません。
例えば、ある大手転職サイトで「工場 プログラマー」の条件で検索したところ全国で12件しかヒットしませんでした。
なぜ、これだけ少ない求人なのでしょうか。それは、転職サイトであなたが検索することのできる求人は公開求人といい、全体の約20%しかないからです。
残りの80%は非公開求人といい、転職サイトに登録して転職エージェント(キャリアアドバイザー)から紹介されないと見れない求人になっているのです。これが、一人の力では求人を見つけるのが困難な理由です。
また、転職サイトごと強みが違います。例えば、大手転職エージェントは取り扱い求人が多いという強みがあります。一方で工場・製造業に特化した転職エージェントであれば、工場・製造業に強いので製造業のプログラマーというマニアック求人でも問題ない可能性が高いです。
そのため、転職サイトを利用する側のあなたは、複数のサイトを利用することによって、より多くの非公開求人に触れることができます。これにより、希望する条件に合う求人やより良い条件の求人が見つけやすくなります。
工場のプログラマーの仕事内容を理解して転職する
工場・製造業のプログラマーには「制御プログラム」「工作機械プログラム」があります。扱う言語はC言語・ラダー図・アセンブラ言語・NC言語などがあり、取り扱う機械によってかわります。
また、直接言語を入力しなくてもCAD/CAMなどを使用して作図してプログラムに変換する方法もあります。
ただ履歴書や面接の時に気を付けたいことが、プログラマーは離職率の高いためプログラマー職に対する「熱意」を志望動機でしっかりとアピールする必要があります。
そうしたとき実際に転職活動を進めるときは、転職サイトを探しましょう。これにより、一人の力では探すのが困難な製造業プログラマーの求人を格段に見つけやすくなります。
工場・製造業に転職をするとき、ほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自分の力だけで求人を探すと、希望の条件を満たす求人を見つける作業のみならず、労働条件や年収の交渉・アポ取りなどさまざまな作業を自分でやらなければなりません。
そこで、転職サイトに登録することで、求人の紹介から労働条件や年収交渉だけでなく、履歴書や職務経歴書などの書類関係を送付するなど面倒な事務作業まで行ってくれます。
ただし、転職サイトによって特徴が違います。例えば「工場・製造業の転職に強い」「全国各地に強いのか、それとも都市部に強いのか」「20代・第二新卒が得意」「40歳以上でも転職を成功させてくれる」などの違いがあります。
転職を成功させるには、これらの違いを理解した上で転職サイトを活用しなければなりません。そこで、以下のページでそれぞれの転職サイトの特徴を解説しています。これらを理解することで、転職での失敗を防ぐことができます。