工場の営業のアイキャッチ

工場・製造業の営業職への転職を考えた時、業務内容や年収・キャリアパスなどが分からず、不安を感じることがあるかも知れません。前職が営業であっても「販売するものが替わるだけ」と割り切れる人はそう多くないでしょう。逆にこれまでの経験や、持っている資格が転職を有利にする場合もあります。

では、工場・製造業の営業職とはどのようなものでしょうか。具体的にどのような経験や資格を持った人材が歓迎されるのでしょうか。それを知っておくと、転職活動が有利に働くことは間違いないでしょう。

また、給与アップを希望しての転職をする場合には、どのような方法があるのかも知っておきたいところです。

この記事では、工場や製造業の営業職への転職を成功させるために知っておきたいことを、実際の求人を例に挙げ、応募条件や歓迎条件などを含めて分かりやすく紹介します。

工場・製造業の営業とは

まず、工場・製造業の営業職の仕事は、自社で作っている製品を「売る」ことです。つまり、工場・製造業の営業は無形商材(カタチのないもの、サービス)を営業するのではなく、有形商材(カタチがあり、手に触れることができる商品)を営業することになります。

自社で何かを作っている会社はすべて製造業(メーカー)になり、業種も食品や自動車といった身近なものから半導体などの小さな部品・金属加工に医療機器のような精密機械と実にさまざまです。

製品はカタログにあるようなものから完全受注生産のものまであり、それらに対してソリューション(solution=解決)営業を行います。これは、お客様との対話を通してお客様の抱える課題やニーズを把握し、解決方法(solution=解決)を提案し、自社製品の売り上げにつなげる基本的な営業スタイルです。

例えば、以下のような求人があります。

工場の営業の求人票1

こちらの求人は、寿司のシャリ玉を製造する機械等を製造している会社のもので、スーパーやコンビニで販売される食品の製造拠点(セントラルキッチン)に対して販売されます。

この機械を中心とした営業が主たる業務となり、食品工場を中心としたユーザーが抱えている課題の解決に向けた提案を会社の売上につなげていきます。

必須条件として2年以上の営業経験が必要ですが、業界や商材(有形商材・無形商材)は不問となっています。販売する機械の性質上、高額な設備の提案が多くなる為、相手先の中長期での計画に視点を合わせ、今何をすべきかを求められます。

ここで例に挙げた求人のように、工場・製造業の営業職は、お客様自身が抱える課題はもちろん、お客様の業種で起こっている問題を常にリサーチし、自社製品でどのように解決できるかを提案できる発想力やプレゼン能力が求められる仕事になります。

製造業の業種とその特徴

さて、製造業とは具体的にどのような業種をいうのでしょうか。製造業は「原材料を加工して製品を作り販売する」企業などをいいますが、職種は食品・機械・金属・衣類と多岐に渡ります。

また、業務内容は川の流れに例えられることが多く、素材を作るメーカーは上流工程、素材を使って部品を作るメーカーは中流工程、素材や部品を使って商品を作るメーカーは下流工程に分類されます。

ここでは、それぞれの工程における工場・製造業の営業職について、業種と特徴や求められる人材などの求人の特徴などを紹介します。

素材メーカー(上流工程)

まず、上流工程の部品や製品の素材を作る素材メーカーには、化学・鉄鋼・パルプや紙・アルミ・繊維などの業種があります。

これらの素材メーカーの営業は、B to B(「Business to Business」の略称で、「企業 対 企業の取引」のことである。ちなみに「B to C」は「Business to Customer」の略で、企業と消費者の間でのビジネスということになります。具体的には、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどが「B to C」のわかりやすいモデルとなるでしょう)がほとんどで、製造業に素材を提供しており、身の回りの様々な製品に自社の素材が使われるというやりがいがあります。

企業としても長い歴史のある素材メーカーは多く、そこで働く社員もプライドを持って仕事をしています。

営業職は、製品を販売するだけでなく、お客様の用途に合わせて製品をカスタマイズしたり、お客様の要望の実現に尽力したりすることで自社の利益につなげることが、素材メーカーの営業の主な業務内容です。また、即戦力を求めているため、法人営業の経験が必須条件になっている企業も多いです。

例えば、以下は素材メーカーの求人です。

工場の営業の求人票2

こちらの求人では対象者の部分で「法人営業の経験3年以上」が必須条件となっています。これは即戦力になる人材を求めているということでしょう。

そのため、入社後は転職して間もないメンバーであっても、社員一人ひとりのやる気と成長意欲に応じて、それに見合う仕事を任せてもらえるため、大きなプロジェクトに早期から挑戦し、大きな達成感を感じながら働くことも可能です。

また、一般的にビジネスで使える英語力はTOEICのスコアが750点以上といわれていますが、こちらの企業ではTOEICの点数にこだわらず、メールや電話でお客様とのコミュニケーションが図れる人材を歓迎しています。海外との取引に加わるには、英語力を身につけるのもおすすめです。

志望動機や自己PR|素材メーカーの営業職

では、素材メーカーに転職をする際の理想的な志望動機や自己PRは、どのような内容が望ましいのでしょうか。日本の素材メーカーは、世界市場で取引をしているため、海外で活躍するチャンスがあります。

そのため、海外勤務について前向きな姿勢を示せば、評価が高まるでしょう。さらに、転職を希望する企業の主要な取引国を調べていることや、英語の勉強をしていることをアピールすると、評価につながる可能性が高いです。

また、素材メーカーの営業職は、メーカーの担当者を取引相手としているため、業界や製品に関する見識が求められます。さらに技術はもちろん、最新の経済動向などの情報を提供したり、お客様からのヒアリングを通して新素材開発のヒントを吸収したりといった努力が必要です。

そのため、世界を相手にビジネスをする姿勢、入社した後も勉強を続けて成長しようとする意欲を見せることで、企業側の求める人材であると印象付けることができるでしょう。

部品メーカー(中流工程)

次に中流工程に位置するのが、素材をもとに部品を生産するメーカーです。電子部品や精密部品・半導体やタイヤなどのメーカーがこれにあたります。部品メーカーの取引もB to Bがほとんどです。

また、新規営業(新規顧客に対する営業活動)に比べてルート営業(現在取引を行っている既存顧客に対する営業活動)が多いです。

例えば、以下は東京にある半導体メーカーの求人です。

工場の営業の求人票3

このように、半導体を取り扱う製造業が中流工程にあたる部品メーカーになります。

このような部品メーカーというと、「下請け」というイメージがありますが、世界中に拠点を持つ大企業の部品メーカーもあれば、小さくても世界のシェアトップを誇る会社もあります。

また、部品メーカーは他の企業との取引で成り立ちますから、納品先のメーカーと納入業者の板挟みになることも少なくありません。そのような状況でも粘り強く交渉を続けられるタフさが必要です。

また、不具合やクレームが発生した場合の対応や、顧客のニーズや声をヒアリングして自社の製造部門や開発部門にしっかりフィードバックし、製品の改善や新商品の開発に反映させる「橋渡し」の役割も重要な仕事になります。

そのため、コミュニケーション能力が優れていることを上手にアピールすることができると採用担当者に好印象を与えることができます。

志望動機や自己PR|部品メーカーの営業職

さて、部品メーカーの営業職に転職を希望する場合には、まずその企業の企業理念、作っているものをリサーチします。そこから企業理念や社風に惹かれた、という文言はよく使われるものですが、他の候補者と差をつけたいのであれば、具体的にどの部分に惹かれ、その企業で自分がどう貢献できるのかについてアピールする必要があるでしょう。

要するに、大切なのは「他社ではなくこの企業で働きたい理由」を理論立てて伝えることです。そうすることで、応募する企業の製品をきちんと調べていることが分かり、その上で応募企業でどう貢献できるかという熱意が伝われば、企業側も仲間として迎えたいという気持ちになることでしょう。

加工メーカー(下流工程)

最後に紹介するのは、下流工程に位置する、素材や部品の完成品を生産する加工・組立メーカーです。加工・組立メーカーの業種は、食品や家電、自動車、アパレルなどが挙げられます。

その中で、ゴム樹脂化学製品の営業職の求人を紹介します。

工場の営業の求人票4

加工・組立メーカーは、TVCMなどでよく知られている消費者向けの商品を扱う企業も多いですが、消費者と直接取引を行うことは少なく、加工・組立メーカーも一部を除いてB to Bが中心です。

ただ、エンドユーザーに向けての営業もゼロではありませんから、製品についての知識には実用的なものが求められるでしょう。まとめると加工メーカーの営業職で求められるスキルは、プレゼン能力やコミュニケーション能力、また新規顧客の開拓スキルなどが挙げられます。

前職での経験を踏まえ、それらの能力の高さをアピールできれば、会社にとって貢献度が高いと評価してもらえ、即戦力として採用される可能性が高まるでしょう。

志望動機や自己PR|加工メーカーの営業職

では、加工メーカーの営業職に転職を希望する場合には、どのような志望動機、自己PRが望ましいのでしょうか。結論から言えば、エントリーの際、数ある企業の中から、なぜ加工メーカー業界の、その企業を選んだのかを明確にしてアピールすることがポイントになります。

例えば、美容に関心があり化粧品メーカーへの転職を志望する場合、化粧品販売の流通業やエステティックサロンなどのサービス業の選択肢もあるのに、なぜ化粧品メーカーに転職したいのかを明らかにするわけです。

その上で、製品を製造するメーカーでなければ成し得ない、やりたいことがある、ということが明確にアピールできると効果的です。その製品についての愛着やこだわりなども面接時に伝えられると、より熱意が伝わるでしょう。

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工場・製造業の営業職の年収

これまで実際の求人を例に挙げて、業務内容や求められる人材について紹介してきましたが、転職するにあたっては工場・製造業の営業職の年収も気になるところだと思います。

工場・製造業の営業職の年収について調査しましたところ、平均で約470万円となっていました。年代別では、20代が380万円、30代が580万円が1つの目安になるでしょう。

また、厚生省の職業情報サイトでは職種による業務内容や年収、その職業に就業する方法、有効求人倍率などが公開されています。この職業情報サイトによると、食品メーカーの営業の求人賃金(月額)は23.7万円、年収は551.8万円ということでした。

さて、転職の目的は様々だと思いますが、給与アップを考えて転職される方も少なくないでしょう。転職時に給与アップするためには、次のような方法が考えられます。

  • 前職と同じ業種を選ぶ

この場合、前職の経験を活かして即戦力として即戦力として働けるため、給与アップが見込める可能性が高いです。

  • 管理職として転職する

前職での実績がある場合、管理職として転職することも可能でしょう。管理職の給与は前職よりアップする可能性が高いです。

例えば、以下の求人は立体駐車装置の反響営業の求人です。

工場の営業の求人票5

この会社は、多数の特許を取得している立体駐車装置を販売する会社で、フォーシーズンズホテル京都やJRゲートタワーなどの有名施設への導入実績があります。

業務内容は、お客様のニーズをしっかり掴み、電気自動車への充電やハイルーフ車両への対応、高齢者が使い易い装置などを提案、販売するものですが、管理職としての募集であるため、コミュニケーション能力、プレゼン能力に加え、マネジメント能力も必要です。

営業職を経験し、ステップアップを希望する方におすすめしたい求人です。

給与についても前職を考慮して柔軟に対応してもらえるため、面接時に交渉することも可能です。もちろん、交渉材料としてアピールできる前職での実績が必要でしょう。

工場・製造業の営業のキャリアパス

無事に転職できた場合、将来的に工場・製造業ではどのようなキャリアが描けるでしょう。まず、工場・製造業のキャリアパスは、社内異動による別の職種が考えられます。

例えば工場での品質管理やマーケティング部門での商品のブランディングといったキャリアの可能性もあります。営業部門の中でキャリアアップを目指すこともできるでしょう。

また、営業でやり取りして得たお客様の声を生かし、顧客視点での商品開発をする可能性もあります。営業職からキャリアアップをするには、面接時や入社後の上司との面談の際、確認することもできます。

まとめ

ここまで、業種別に工場・製造業の営業職の業務内容や求められる人材、給与等について紹介しました。それぞれの業種、業務内容によって、企業側が求める人材やスキルが様々であることがお分かり頂けたと思います。

また、キャリアパスが社内、社外にも広がり、将来の自分がどうなりたいのかについてもイメージできたのではないでしょうか。工場・製造業の営業職への転職を成功させるためには、まず自分の強みを生かせる業種、自分が売りたいと思える商材を理解した上で、しっかりと自分をアピールすることです。

自分がその会社で貢献できることを具体的に提示し、自分自身を提案営業すれば、きっとプレゼン能力や営業力を評価してもらえるでしょう。

ぜひこの記事を参考にして、工場・製造業の営業職への転職を成功させて下さい。

 


工場・製造業に転職をするとき、ほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自分の力だけで求人を探すと、希望の条件を満たす求人を見つける作業のみならず、労働条件や年収の交渉・アポ取りなどさまざまな作業を自分でやらなければなりません。

そこで、転職サイトに登録することで、求人の紹介から労働条件や年収交渉だけでなく、履歴書や職務経歴書などの書類関係を送付するなど面倒な事務作業まで行ってくれます。

ただし、転職サイトによって特徴が違います。例えば「工場・製造業の転職に強い」「全国各地に強いのか、それとも都市部に強いのか」「20代・第二新卒が得意」「40歳以上でも転職を成功させてくれる」などの違いがあります。

転職を成功させるには、これらの違いを理解した上で転職サイトを活用しなければなりません。そこで、以下のページでそれぞれの転職サイトの特徴を解説しています。これらを理解することで、転職での失敗を防ぐことができます。