工場の航空整備士のアイキャッチ

工場・製造業の航空整備士に転職を考えている方の中には、「航空整備士の仕事は好きだけど、残業減らしたい」「責任の重い仕事の割には給与が低い」「モノづくりに携わりたい」というさまざま思いから転職を考えている方がいます。

一方で、「航空業界以外で航空整備士が活躍できる仕事があるの?」「工場・製造業での航空整備士の仕事内容は?」「資格は活かせるのか?」「未経験な業界だけど転職できる?」など、いざ転職を考えたときに、気になるところや不安や心配を感じる部分が多くあります。

そこで、この記事では、工場・製造業の航空整備士に転職するために、知っておきたい仕事内容や、航空整備士に必要な資格や経験、給与や年収について紹介します。

工場・製造業の航空整備士の仕事内容

まず、航空整備士は、航空機が安全なフライトを行うために機体の整備や点検・修理を行う仕事です。航空整備士と聞くと、空港の駐機場や格納庫で働いているイメージが強くありますが、空港だけではなく、実は、工場・製造業でも航空整備士は活躍しています。

工場・製造業の仕事は、直接航空機の整備を行う仕事は多くはありませんが、設計や開発・製造・メンテナンスの部門で、航空整備士が技術者として働いている方も多くいます。そのため仕事内容も多岐にわたります。

例えば、以下は、東京都の航空機開発エンジニアの求人です。

工場の航空整備士の求人票1

こちらの求人は、航空機部品メーカーにて開発プロジェクトに携わる仕事です。設計・開発が未経験であっても、開発エンジニアは、チームの一員として、航空整備士の知識や技術・経験を活かすことができるため、航空整備士の資格を取得している方は歓迎されています。

航空整備士の資格を活かしながら、モノづくりの仕事に携わりたいと考える方や新しい技術への興味が強い方、一から学ぶことが苦にならない方などは、工場・製造業の設計や開発、製造の仕事を視野に入れてみるのも良いでしょう。

また、工場・製造業では、機械や設備の故障を防ぎ、常に安定した生産を行うために生産設備のメンテナンスや保全業務も重要な業務のひとつです。

航空整備士は航空機が安全にフライトできるようメンテンナンスを行う仕事であり、安全を守るという部分では共通する点があります。つまり、航空機のメンテナンス経験が豊富な航空整備士は工場・製造業での設備のメンテナンスや保全という仕事を担うことができることから、メーカーとしては即戦力として認められる人材と言えるでしょう。

例えば、以下は、神奈川県の生産設備の保全業務の求人です。

工場の航空整備士の求人票2

こちらの求人の仕事内容は、工場において機械設備の企画・保全計画・工事管理業務を担当することです。必須要件に「航空整備の経験をお持ちの方」との記載があります。

このように、航空関連のメーカーではないものの工場・製造業の現場では、航空整備のスキルを求めている求人があります。今まで、航空関係の仕事しかしてきた経験がなく、航空関連メーカー以外のメーカーで働くのがはじめてや、未経験の業種であっても、航空整備の経験があることが強みとなり、工場・製造業への転職をすることは可能です。

また、メーカー業界といっても航空整備士と関りが深い航空機メーカーをはじめ、自動車メーカー・食品メーカー・医薬品メーカー・化粧品メーカーなど多種多様あり、仕事内容はそれぞれ工場・製造業によって異なります。

一見、航空整備士と関係はないのでは?と感じる異業種のメーカーであっても、航空整備士に求められる責任感・コミュニケーション能力・向上心・手先の器用さ・冷静な判断力は、モノづくりの現場でも大切なスキルであると言えるため、工場・製造業でも活躍できること間違いないでしょう。

モノづくりが好きな方、機械いじりが好きな方には工場・製造業の仕事はやりがいを感じながら行える仕事です。航空機メーカー以外も航空整備士の活躍できる場がありますので、視野を広げて転職先を検討することをおすすめします。

求人検索する際に「航空整備士 メーカー」「航空整備士 製造業」などで検索をかけると、気になる求人が見つかるかもしれません。

航空整備士に必要な資格

次に航空整備士の資格についてです。航空整備士になるには国家資格の取得が必要で、学科試験と実地試験に合格することで「航空整備士」を取得できます。

航空整備士の資格は

  • 一等航空整備士
  • 一等航空運航整備士
  • 二等航空整備士
  • 二等航空運航整備士
  • 航空工場整備士

と複数あり、航空整備士と航空運航整備士では整備できる航空機の種別や大きさが異なります。また、航空工場整備士は、航空機の各部品についてより細かくチェックを行い、安全なフライトを行うために固い専門知識が必要となる資格です。

このうち、一等航空整備士の受験資格の条件が20歳以上、4年以上の実務経験が必要なため、入社し経験を積んでから取得することになります。

また、「航空整備士」は、格納庫などで整備全般ができる資格ですが、「航空運航整備士」は、フライト前の保守及び軽微な整備に限定されており、航空整備士の下位資格という違いもあります。

ちなみに、工場・製造業の求人では、航空整備の経験を重視している求人が多く、航空整備士の資格取得の有無については問わないものもあります。

しかし、航空整備士の資格を保有していることで、能力や学習意欲を証明できるため、転職では有利にはたらく場合があります。

また、航空整備士の資格保有者の方で以下の資格を所有している方が多くいます。

  • 普通自動車第一種運転免許
  • 危険物取扱者乙種第4類
  • フォークリフト
  • 高所作業車技能講習
  • 玉掛け技能講習
  • 床上操作式クレーン運転技能講習
  • 各種溶接関連の資格
  • TOEIC

これらの、航空整備士としてはたらくうえで役立つ資格を取得済みの方もいるのではないでしょうか。

工場・製造業へ転職する際に、上記の資格を保有していることで、応募できる求人の幅も広がり、工場・製造業の仕事が未経験であっても採用につながりますので取得済みの資格をしっかりとアピールしていきましょう。

転職後も、取得資格を活かして働くことができますし、出世しやすくなるというケースや、資格を持っていると資格手当がつくこともあります。

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工場・製造業の航空整備士の年収・給与を理解する

最後に、工場・製造業の航空整備士の年収・給与についてです。工場・製造業と聞くと、給与が低くきつい仕事をイメージする方もいるかと思います。

ところが、工場・製造業の仕事は勤務する会社によって異なりますが、高収入を見込める会社もあります。ちなみに、令和3年賃金構造基本統計調査によると航空整備士の平均年収は509万円となっています。航空整備士の給料は額面を見ると悪く感じませんが、しかし、重圧、プライベートの犠牲、残業の多さ、不規則な勤務時間、職場環境を考えると満足できる給料ではないと感じている方もいます。

一方、航空整備士の資格を活かして工場・製造業へ転職した場合、会社によっては高収入・高待遇の仕事もあり、航空整備士の平均年収を上回ることも可能な求人も存在します。

例えば、以下は、東京都のエレベータのフィールドエンジニアの求人です。

工場の航空整備士の求人票3

こちらは、空間移動システムの独立系専業メーカーの求人です。仕事内容は、エレベータ・エスカレータなどのメンテナンスで、航空整備士の経験者を求めており、航空整備士の安心・安全の意識の高さを航空業界とは違ったメーカーで活かすことができます。

年収は400万円~700万円と幅ありますが、航空整備士の平均年収は509万円ですので、比べてみても決して年収が低いわけではありません。それどころか、経験を積むことで給与アップを目指すことができるところも魅力です。

また、工場・製造業の航空整備士の仕事では、残業が少なくプライベートな時間を充実させることもできる求人も多数あります。

例えば、以下は、神奈川県のサービスエンジニアの求人です。

工場の航空整備士の求人票4

こちらは、FA機器・ロボットシステムのメーカーの求人で、工場・生産ラインの自動化装置のサービスエンジニアとして保守・メンテナンスを行う仕事です。年収は400万円~600万円と幅があります。経験によって、年収に差が生じますが、こちらの求人は、完全週休二日制で休みがしっかりととれる高待遇の仕事です。

それなりの年収を得ながら、プライベートな時間を大切にしたいと考える方にはおすすめの求人です。

工場・製造業の航空整備士へ転職する際は、いまの仕事より収入面や勤務時間はどうなのかなどを比べてみることも大切です。自分自身が何をやりたいのか、何を大切にしたいのかを改めて考えて、後悔のない選択をしていきましょう。

工場長や責任者として働く

さらに、給与をあげたいと考えている方は、将来的に工場長や責任者として働くことを視野に入れながら経験を積むことをおすすめします。工場長や責任者の業務内容は、管理や改善に関する業務が多く、さまざまな業務の経験が必須となります。

例えば、以下は、東京都の製作所の製造課長の求人です。

工場の航空整備士の求人票5

こちらの求人の企業は、航空機のエンジン部品および航空機宇宙部品の製造をしている企業で、航空産業での製造・技術・マネジメント経験のある方を募集しています。

航空整備士の資格を活かし、製造業で働き経験を積んだ後に、このような責任のある仕事につくことで、年収や給与をアップすることも可能となります。

まとめ

ここまで、工場・製造業の航空整備士に転職するために押さえておきたいことについて紹介しました。

工場・製造業では、航空機メーカーをはじめ、航空整備の経験を持つ方を求めている企業やメーカーが豊富にあることがわかりました。ただ、工場・製造業では、航空整備士の資格保有者というよりかは、航空整備の経験をもつ方を求める傾向にあります。

とはいえ、航空整備士としての能力は、工場・製造業のさまざまな場面で存分に活かすことができ、モノづくりの現場の安心安全を守るための即戦力とは間違いありません。

また、工場・製造業は、給与が低くきつい仕事というイメージがありますが、航空整備士の資格を活かせる転職先をしっかりと選ぶことで、給与アップや、高待遇を得ることも可能です。さらに、経験を積み、責任のある業務に携わることで年収アップを目指せる将来性のある仕事です。

工場・製造業での航空整備士の活躍の場は広いです。異業種への転職であっても、航空整備士の担う業務と通ずるところがあるかと思いますので、仕事内容をよく確認し興味を持った求人に応募していきましょう。


工場・製造業に転職をするとき、ほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自分の力だけで求人を探すと、希望の条件を満たす求人を見つける作業のみならず、労働条件や年収の交渉・アポ取りなどさまざまな作業を自分でやらなければなりません。

そこで、転職サイトに登録することで、求人の紹介から労働条件や年収交渉だけでなく、履歴書や職務経歴書などの書類関係を送付するなど面倒な事務作業まで行ってくれます。

ただし、転職サイトによって特徴が違います。例えば「工場・製造業の転職に強い」「全国各地に強いのか、それとも都市部に強いのか」「20代・第二新卒が得意」「40歳以上でも転職を成功させてくれる」などの違いがあります。

転職を成功させるには、これらの違いを理解した上で転職サイトを活用しなければなりません。そこで、以下のページでそれぞれの転職サイトの特徴を解説しています。これらを理解することで、転職での失敗を防ぐことができます。