ビルメンから工場にアイキャッチ

ビルメンテナンスから工場・製造業への転職は非常に相性が良いのをご存知ですか?

ビルメンテナンスの勤務形態には、3交代制で夜勤があることがあります。そのため、生活リズムが不規則になってしまうことから、体の不調を訴える人が多くいます。また、汚れ仕事や危険な仕事が多いビルメンテナンスですが、非正規雇用であることが多いため年収が180〜380万円と高くはありません。

そのため、勤務時間が昼間で給料がビルメンよりも高い工場勤務に転職を考えている人が多くいます。さらに、ビルメンは資格や作業内容が工場・製造業と同じであったり似ていたりするため非常に重宝される職業です。

ここでは、ビルメンテナンスで取得した資格を活かして求人を探す方法や今より給料が増える求人の見つけ方について説明していきます。

ビルメンテナンスから工場・製造業への転職は相性がいい

まず、ビルメンテナンスから工場・製造業への転職が相性の良い理由は、ビルメンテナンス関連で取得する資格が工場・製造業で選任する必要のある資格であることが多いからです。

そのため、ビルメンテナンス関連の資格を持っていると他の応募者と差別化できるため、採用されやすい傾向があります。加えて、求人を出している企業が何らかの理由で選任者不在であり、有資格者急募の場合は、さらに採用されやすくなるでしょう。

また、転職後もビルメンテナンス関連の資格があることで待遇面で優遇される可能性があります。さらに、工場・製造業の仕事は、就業時間が安定している職場が多いため、生活リズムが改善されることが期待できます。

工場・製造業へ転職する際にビルメン4点セットの資格を活かす

まず、ビルメンテナンス業務で必要とされる4つの資格があります。これらの資格を通称「ビルメン4点セット」と言われるもので以下の通りになります。

  • 第3種冷凍機械責任者
  • 第2種電気工事士
  • 危険物取扱者乙種4種
  • 2級ボイラー技師

これらの資格は、工場・製造業でも必要とされる資格であるため取得していると工場・製造業への転職で有利になることがあります。では、それぞれどんな転職先が考えられるのでしょうか?実際の求人を交えながらご紹介します。

危険物取扱者乙種4類の資格はさまざまな工場で有利になる

まず、数種類ある危険物取扱者の資格の中で人気が高いのが乙種です。乙種を取得すると、危険物をほぼ取り扱うことができるからです。

ガソリン・灯油・軽油・重油などの引火性液体を扱える乙種は、これらの危険物を製造したり管理したりする企業で有用されます。乙種が必須、もしくはあると望ましい工場・製造業は、石油会社・総合化学メーカー・電子材料メーカー・誘導品メーカーなどがあります。

では、実際にはどのような求人が出されているでしょうか。求人サイトの検索欄に「危険物取扱者乙種4類」と入力して検索してみると、危険物取扱者乙種4類に関する求人が出てきます。

例えば以下は埼玉にある光学機械メーカーの求人になります。

ビルメンから工場に求人票1

こちらは光学機械メーカーの求人になりますが、危険物取扱者が求める人材になっています。このように一見、危険物を取り扱っていないような工場でも、危険物を取り扱っている工場が非常に多くあります。そのため、危険物取扱者の資格を持っていると製造業への転職は非常に有利に働きます。

また、この求人では予定年収が550〜630万円と高く、労働時間が8:30~17:15と標準的です。また、休日は完全週休二日制で年間休日128日と一般的な会社より休日が多いことがわかります。このように労働環境なども非常に良い工場があります。

自社工場でメンテナンスを行う会社で第2種電気工事士の資格は活きる

次に電気工事士はどうでしょうか。電気工事士は法律で定められた業務独占資格なので、電気工事に関わる転職に非常に有利になります。

電気工事士には第1種と第2種があります。第2種は600ボルト以下で受電する一般用電気工作物の工事ができます。第1種は最大電力500キロワットまでの大規模な自家用電気工作物の工事が可能になります。

また、工場・製造業では工作機械や測定機器のほかに、照明設備や空調設備・換気設備などさまざまなところで電気が使用されています。とはいえ、全ての工場が自社で電気のメンテナンスを行っているわけではないので、自社工場で電気工事を行ったりメンテナンスを行ったりするような工場で有利になる資格です。

例えば以下は千葉にある精密機器メーカーの求人になります。

ビルメンから工場に求人票2

こちらの求人のように、自社工場の工場稼働に必要なインフラ設備全般の工事監理を行う仕事のような場合、第二種電気工事士の資格が必要であったり有利だったりします。

また、年収は366~696万円で下限と上限の幅が広くなっています。これは、有資格だけではわからない力などで判断したいためです。

実際、私も人事と現場を兼任しておりますが、有資格者であっても現場にでると、こちらの求める行動がとれないことなどがあります。そのため、最初は低い給料で雇ってその後の給料は能力に応じて上げるようにするからです。

また、勤務時間は8:15~17:15と一般的ではありますが、休日が年間131日と充実しています。

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ボイラーを扱う工場で有利になる2級ボイラー技士

次にボイラー技士があります。ボイラーの運転や点検などボイラーを扱う業務を行うのがボイラー技師です。工場など建物には給湯設備や空調設備などのボイラーを設置してあることが多いので、ボイラー技師の資格が必須となっている求人も多くあります。

しかし、貫流ボイラー(簡易ボイラー)というボイラーを扱うのにボイラー技士免許が必要ないボイラーを設置しているケースがあります。その場合は、ボイラー技士免許単独ではなく、燃料の取扱いができる危険物取扱者乙種4類、空調メンテナンスができる第3種冷凍機械責任者の資格を合わせて持っていると有利になります。

また、大型ボイラーを扱える1級や特級のボイラーの需要は高く、2級と比べるとさらに転職に有利になります。とはいえ、2級ボイラー技士だけでも無資格者に比べれば十分に有利になります。

例えば以下は、埼玉にある食品メーカーの求人になります。

ビルメンから工場に求人票3

こちらは自社工場にて製造機械・設備・ユーティリティー設備の保全・メンテナンス業務の求人になっています。そのため、2級ボイラー技士の資格を持っている人は歓迎となっています。

また、勤務時間は8:30〜17:10で週休2日制の年間休日が115日になっています。さらに年収は300~450万円と雇用形態は一般的といえます。

ちなみに以下は実際にお湯を沸かすボイラーとして使用されているボイラーになります。

お湯を沸かすボイラー

2級ボイラー技士であればこのようなボイラーの運転や点検などを行うことができます。

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第3種冷凍機械責任者の資格があると有利な転職

次に第3種冷凍機械責任者の資格があります。冷凍機械責任者は一定以上の冷凍設備がある事務所や工場で、冷凍機械責任者の資格を持っている者の中から冷凍保安責任者を選任し、都道府県知事に届ける必要があります。

そのため、第3種冷凍機械責任者の資格を持っていると、冷凍設備がある会社からの需要が高く転職に有利な資格となります。

冷凍機会責任者は、冷凍能力の違いによって第1種から第3種まで3種類に区分されています。

第3種冷凍機械責任者は100t未満の製造設備しか保安することができません。しかし、工場などの冷凍工場施設や小規模な冷凍冷蔵倉庫などではほとんどが100t未満の設備です。そのため、第3種冷凍機械責任者でも化学工場や食品工場・発電所など多くの求人があります。

例えば、以下は埼玉にある製薬会社の工場求人になります。

ビルメンから工場に求人票4

こちらの求人は、勤務時間が8:00〜17:00となっており、休日は土日祝祭日です。年収は460〜500万円と勤務形態は一般的です。また、応募資格は、必須ではないが複数の資格を保有していると望ましいとないっています。そのなかで、冷凍機械責任者3種以上が記載されています。

このような場合、以下のような冷凍庫の管理を行うことがあります。

工場の冷凍庫

こちらは、食品工場の冷凍庫になります。また、100t未満の製造設備の冷凍庫でも「ユニット型冷凍機」と呼ばれる冷凍庫は冷凍保安責任者が不要になるので、第3種冷凍機械責任者を雇わないことがあります。

そのため、食品工場や化学工場などの冷凍庫を取り扱う工場であっても求人票の応募資格欄はしっかり確認するようにしましょう。

「ビルメン3種の神器」があると工場・製造業への転職は有利になるのか?

さらにビルメン業界では、「3種の神器」と呼ばれる上位資格があります。これらの資格は超難関資格と言われ、3種全てを取得している人は滅多にいません。また、実務経験が必要な資格があるため勉強すれば取れるというような資格ではなくなります。

その3種類の資格が以下になります。

  • 建築物環境衛生管理技術者
  • 第3種電気主任技術者(電験3種)
  • エネルギー管理士

これら3つの資格が「3種の神器」と呼ばれビルメンでは、重宝される資格になっています。しかし、工場では需要はあるもののその他の資格と同様程度の扱いになるため大幅な給料アップは見込めない可能性があります。

社内で保守や管理を行う工場で建築物環境衛生管理技術者は有利になる

まず建築物環境衛生管理技術者は国家資格で、大型施設では必ず選任する必要のある資格です。また、別名「ビル管理士」と呼ばれていて電気や空調・ボイラーなどの設備管理が主な業務内容になっています。そのため、ビル管理会社やビルメンテナンス会社で必要とされる資格になります。

しかし、大きい工場などでは保守やメンテナンスを外注に出すと対応が遅れることなどがあるため、社内で設備の保守や管理・メンテナンスを行う工場があります。

例えば、以下は埼玉にある大手カメラメーカーの求人なります。

ビルメンから工場に求人票5

この求人の歓迎条件に建築物環境衛生管理技術者が記載されています。主に設備の保守・管理・メンテナンスや設備の改修計画から工事監督までを行う業務になっています。また、給料は学歴によって異なり高専本科卒で21万2000円~となっています。

このように、社内で設備の保守や管理などを行う工場であれば建築物環境衛生管理技術者の資格が有利になります。

需要が多い第3種電気主任技術者の資格

次に第3種電気主任技術者の資格があります。高電圧設備を設置している建物には、法律によって電気主任技術者を設置することが定められています。そのため、電気設備の保守・点検作業を行うほとんどの企業が第3種電気主任技術者を必要としています。

一般企業では第3種電気主任技術者で十分であることが多いため、上位資格の1種や2種電気主任技術者がライバルになることもほぼありません。電気主任技術者は保有者が少なく常に人手不足のため、求職者の買い手市場と言えます。

例えば、以下は千葉にある医薬品やフィルム・繊維などを手掛ける工場の求人になります。

ビルメンから工場に求人票6

この求人では、化学品や医薬品プラントにおける電気設備の設計業務になっています。勤務形態は勤務時間が8:45~17:15で休日が完全週休2日制(土・日)・祝日で年間休日が119日です。また、年収が400万~650万円になっているので一般的といえます。

このように、第3種電気主任技術者であっても工場・製造業では他の資格と同じ程度の待遇になることがあります。

エネルギー使用量が多い工場でエネルギー管理士の資格を活かす

では、エネルギー管理士ではどうでしょう。エネルギー使用量が原油換算で1,500KL以上になる「第1種エネルギー管理指定工場など」に指定されている工場や事業所は、エネルギー管理者の設置が法律で義務付けられています。

また、エネルギー管理士は、エネルギーに関する知識や技術を一定水準以上持っているとみなされ、エネルギー管理士の資格を持っているだけで昇級手当がある企業があります。

例えば、以下は神奈川にある超精密機械加工の工場の求人になります。

ビルメンから工場に求人票7

こちらの工場では、特別高圧受電・変圧設備維持管理や空調・電気・水処理等のインフラ関係の設備管理や工事などが業務内容になっています。また、勤務時間は8:00〜16:45・週休2日制で年間休日日数が120日と一般的です。予定年収は370〜500万円と平均的な年収といえます。

こちらも第3種電気主任技術者と同じようにエネルギー管理士の資格があっても他の資格と同じ程度の待遇になることがあります。

まとめ

以上、ビルメン4点セット、ビルメン3種の神器の資格に関する求人についてご紹介しました。工場・製造業への転職は、ビルメンの資格が役立ちます。

第2種電気工事士や第3種電気主任技術者は自社工場で電気工事やメンテナンスなどを行っている工場で需要があります。また、危険物乙種4類はガソリンや灯油・重油などを取り扱う石油会社や化学メーカー・電子材料メーカーなどで優遇されます。

さらに、社会的に再生エネルギーが注目されてきていることから、今後エネルギー管理士は、エネルギーを扱うどの企業からも引く手あまたの状態になると言えるでしょう。

頑張って取得した資格なので、ぜひビルメンの資格を活かせる企業を選び、キャリアアップを成功させましょう。


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