製造業のボイラーのアイキャッチ

工場・製造業の仕事や資格で、「ボイラー」という言葉を耳にすることがあります。普通に生活をしていても耳にするため何となく想像がつきますが、具体的な内容についてはなかなか説明できる人はいません。

そのため、ボイラー求人で工場・製造業への転職を考えていたとしても、工場での「ボイラーに関わる人」の必要性や仕事内容・給料についてなど情報が少ないため、どう転職すればいいかわかりません。

特にボイラー資格をどのように活用して求人に応募すれば、自分の希望とする転職ができるか疑問に思います。

そこで、この記事ではボイラーを取り扱う仕事に転職するために知っておきたい情報を解説していきます。

製造業・工場のボイラーの資格と役割

まず、製造業・工場でのボイラーの仕事にはどのようなものがあるか知ることで、自分の持っている資格がどう活かせるか知ることができます。また資格がなければ、どの資格を取ればいいか理解できます。

では、実際にどのようなボイラーの仕事があるのでしょう。ボイラーの仕事には、ボイラーを造る仕事やボイラーのメンテナンスを行う仕事などがあります。このとき、行う業務内容によって必要な資格が変わってきます。

そのためどのような資格があり、どのような業務内容なのか確認しましょう。このときボイラーに関する国家資格を以下にまとめます。

  • ボイラー取扱者
  • ボイラー技士
  • ボイラー溶接士
  • ボイラー整備士

それぞれの資格について解説していきます。

ボイラー取扱者は需要が少ない

まず、「ボイラー取扱者」の資格があります。ボイラー取扱者は通称「小規模ボイラー」とも呼ばれています。「ボイラーの取扱いの業務」について、労働安全衛生法で免許を持っているものでないと業務に就かせてはならないとなっています。

ボイラーは爆発などが起こることもある大変危険な仕事といえます。そのため、小規模であってもボイラーを取り扱うには免許が必要になります。ボイラー取扱者の資格は、「ボイラー取扱技能講習」を修了して試験に合格しなければなりません。

しかし、小規模のボイラーを取り扱う工場などでは、自社で保守点検・メンテナスなどを行わずに管理会社などの外注にお願いすることが多いので、「ボイラー取扱者」の需要は非常に低いといえます。

そのため、ボイラーを取り扱う業務を行う場合は「ボイラー技士2級以上」の資格取得を目指すようにしましょう。

一番需要の多いボイラー技士の仕事内容

次に、ボイラー技士の資格があります。ボイラー技士は、先ほど話したボイラー取扱者と同じように、ボイラーを取り扱うために必要な資格になります。「2級」「1級」「特級」に分かれており、その階級によって作業主任者になれるボイラーの規模が変わってきます。

また、ボイラー取扱者との大きな違いは取り扱えるボイラーの規模になります。ボイラー取扱者は小規模のボイラーだけだったのに対して、ボイラー技士はそれ以上のボイラーを全て取り扱えます。

全てのボイラーを取り扱えるため、転職時に2級ボイラー技士の資格があれば十分だといえます。

なお「1級ボイラー技士」「特級ボイラー技士」を持っていたとしても、すでに稼働している工場には作業主任者が選任されているため、「1級・特級ボイラー技士でなければならない求人」というのは稀です。

例えば、以下は東京にあるボイラーを管理する会社の求人になります。

製造業のボイラーの求人票1

この会社では、ボイラーの運転監視や設備維持業務を行っています。なお、必要資格についてはボイラー技士2級となっており、ボイラー技士特級については歓迎条件になっているため必ずしも持ってなくてよい求人になります。

このように、ボイラーの取扱い業務を行っている工場では、ボイラー技士2級の資格が活かされます。そのあと、働きながら1級ボイラー技士・特級ボイラー技士の上位資格を取ることで給料アップや作業主任者に選任されるなど昇進につなげられるようにするとよいでしょう。

ボイラー整備士はボイラー技士と業務内容が違う

次に、ボイラー整備士の資格があります。ボイラー整備士はボイラーの整備を行える資格になります。そのため、ボイラー整備士の主な仕事内容はボイラーの定期的な点検や、部品交換などのメンテナンス業務になります。また、ボイラーの付属設備についても清掃や点検・整備などを行います。

仕事内容がボイラー技士と似ているので、混同されがちですがボイラー整備士とボイラー技士では行える業務範囲に明確な違いがあります。簡単にまとめると以下になります。

資格仕事内容
ボイラー技士・ボイラーの運転

・ボイラーの点検

ボイラー整備士・ボイラーの整備

・ボイラーの点検

・ボイラーの清掃

このような違いがあります。例えば、ボイラー技士の人はボイラーを動かすことはできるけど、部品が壊れて動かなくなったときに部品交換などの整備は行えません。

逆にボイラー整備士は、部品を取り外して掃除を行ったり、部品交換などの整備をしたりできます。ただ、整備終了後の稼働確認や試運転は行うことができないのでボイラー技士に行ってもらうようになります。

そのため、求人にも違いがでてきます。ボイラー技士の場合であれば、ボイラーを所有している工場から委託されて、ボイラーの管理・メンテナンスを行うことが多くなります。

それに対してボイラー整備士だと、ボイラーの製造工場でボイラーの製造をしたり、設置後にボイラーが故障など起きたときに修理に行ったりする業務が多くなります。

その他には、ボイラーを所有している工場が社内でボイラーの整備に対応できるようにボイラー整備士を雇うことがあります。これらの工場でボイラー整備士の資格が活かされます。例えば、以下のような求人になります。

製造業のボイラーの求人票2

こちらは、千葉にある製油所の求人です。この工場では、「設備の損傷や寿命の予測」「補修」「取り換え」などの設備管理を行う業務になっています。さらに、ボイラー整備の仕事は高い知識と技術が求められる仕事なので、大変ではありますがやりがいがあるといえます。

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ボイラー溶接士は製造や修理ができる

次に、ボイラー溶接士の資格があります。ガス溶接技能者やアーク溶接作業者とは別の資格として存在する、ボイラー専門の溶接資格になります。また、ボイラー溶接士の資格には「特別ボイラー溶接士」と「普通ボイラー溶接士」があります。

特別ボイラー溶接士と普通ボイラー溶接士の違いは、「普通ボイラー溶接士」は厚さ25mm以下のボイラーの溶接ができ、「特別ボイラー溶接士」は全てのボイラーの溶接ができます。

そのため、ボイラーの製造や修理で溶接が必要な場合はボイラー溶接士が溶接業務を行わなければなりません。参考までに以下は自動溶接機です。

自動溶接機

ボイラー溶接士は、ボイラーの部品同士を溶接で繋げてボイラーを製造します。また、ボイラーを納品後に溶接部分が外れたり、壊れたりした場合の修理もボイラー溶接士が行わなければなりません。

そのため、ボイラー溶接士の資格を活かせる求人は以下のようになります。

製造業のボイラーの求人票3

こちらは、大阪にあるボイラーを製造する工場の求人になります。ボイラーを製造する過程で溶接が必要になるためボイラーを製造する工場では、ボイラー溶接士が必要になります。

しかし、ボイラーを製造する全ての過程で溶接が必要ではありません。むしろ溶接する過程は一部になるため、ボイラー製造に対する溶接者の数は少ないです。そのため、ボイラー溶接士の求人は多いとはいえません。

このように、該当する工場を探すのが難しいようであれば、転職サイトを介してボイラーを製造している工場やボイラー溶接士を募集している求人などを紹介してもらうのも有効な手段です。

ボイラー転職では、ボイラー技士がおすすめ

このように、ボイラーに関わる資格・仕事にはいくつかの種類があります。では、実際に転職をするときにどの資格を持っていると転職しやすいのか疑問に思います。

その疑問を解決するには、どの仕事が多く求人をだしているか確認することで解決することができます。

例えば、以下は大手転職サイトdodaでそれぞれのボイラー資格をキーワード検索した結果になります。

ボイラー技士の求人数

まず、ボイラー技士で検索してみると該当求人数が136件ありました。さらに、ボイラー整備士で検索した結果が以下になります。

ボイラー整備士の求人数

ボイラー整備士の求人は12件しかヒットしませんでした。では、ボイラー溶接士ではどうでしょうか。

ボイラー溶接士の求人数

ボイラー溶接士で検索してみると該当求人数はなんと、2件しかありませんでした。つまり、ボイラー技士の求人が一番多く、ボイラー整備士と溶接士の求人は少ないことがわかります。

さらに、ボイラー技士の仕事は食品工場から大型プラントまで多岐にわたるため、選択枠が増えて希望とする求人を見つけやすいというメリットもあります。これらのことから、ボイラー技士の求人を目指すことがよいでしょう。

ボイラー未経験者は入社後に資格取得支援制度を活用する

それでは、各資格を持ってないとボイラーを扱っている工場に転職するのは難しいのでしょうか。ボイラーは、製造業・工場などで使われているためボイラーの資格を持っている人のニーズは高いといえます。

しかし、今は違う業種で働いているため「ボイラーに関する知識や経験・資格がなくてどうすればいいかわからない人」がたくさんいます。このとき、入社前に「資格は取った方がいいのか」「勉強はした方がいいか」などを考えてしまいます。

ただこのような場合、ボイラーの「資格不要」「未経験歓迎」の求人に応募しましょう。例えば、以下は東京にあるボイラーの設計から販売までしている大手企業の求人です。

製造業のボイラーの求人票4

この会社では、「ボイラー及び関連機器のメンテナンス」を担当する仕事になります。そのため、ボイラー技士を目指す求人となります。

さらに、以下は神奈川にあるボイラーの法定検査工事を主に行う会社の求人になります。

製造業のボイラーの求人票5

この会社では、ボイラーの「清掃」「整備」などの作業を行う仕事になります。そのため、ボイラー整備士を目指す求人になります。

これらのような求人であれば、未経験で資格がなくても問題なく応募できます。さらにどちらも資格支援制度があるので、免許を取るときに会社が試験で掛かるお金を全額もしくは一部負担してくれるので自己負担が少なくてすみます。

ボイラーの給料はどれぐらい?

一方で、ボイラーに関する仕事ではどれだけ給料がもらえるのか気になります。いくらやりたい仕事とはいえ、今働いている仕事の給料と大きく変わるようであれば、生活環境も大きく変わってしまいます。

そこで、事前に相場を知って低い給料の求人を避けるようにしましょう。まずは、ボイラー工の平均月収・平均年収は以下のようになります。

平均月給平均年間賞与平均年収
27万3400円54万700円382万1500円

この金額を基準としたときに、求人票を確認しながら低い給料の求人を避けるようにします。

例えば、以下は東京にある地域冷暖房施設の求人になります。

製造業のボイラーの求人票6

この施設では、加熱あるいは冷却する装置の運転業務などを行う仕事になります。このとき、2級ボイラー技士の免許を持っていると月給が27万5000円からになり、平均的な給料だといえます。さらに、特級ボイラー技士を持っていると月35万円からになるのでとても高い月収といえます。

ただ特級ボイラー技士を持っている人は少ないので、働きながらステップアップして特級ボイラー技士を目指すようにするといいでしょう。

無資格でも高収入を目指せる

このとき、資格がないと給料が下がってしまうのでしょうか。本来どのような職種・業種においても有資格者と無資格者で給料を比べたとき、有資格者が無資格者に比べ給料が高くなります。

これは当然ではありますが、有資格者の方が行える仕事が多く、業務内容が難しくなるためです。そのため、給料面において高くなるのが当然なのです。

しかし、同企業内であれば上記の結果になりますが、企業間で比較するとそうはなりません。どういうことかというと以下をご覧ください。

製造業のボイラーの求人票7

こちらは、埼玉にある設備管理・メンテナンスを行う会社の求人になります。先に紹介した求人と同じボイラー技士の求人になりますが、こちらは「資格なし」「未経験の方でもOK」ですが、月給が27万円になります。

さきほどの、2級ボイラー技士の資格を持っている人の月給と5000円しか変わりません。それだけでなく、資格が無くてもボイラー工の平均的な給料になります。

そのため、資格がない方はこのような求人に募集することで、理想をあまり下げることなく転職することができます。

まとめ

ここまで、ボイラーに関わる仕事についてお話してきました。その中で、まずどのような仕事があり、資格が必要か知って自分に合う業務を見つけましょう。

ボイラーの運転・点検を行いたい場合は2級ボイラー技士の資格を持っていれば十分転職に活かせます。また、整備・点検を行いたい場合はボイラー整備士の資格が必要になり、溶接を行いたい場合はボイラー溶接士の資格が必要になります。なお、この中でボイラー技士の求人数が一番多いことから、ボイラー技士を目指すことをおすすめします。

また、資格がなければ、「資格不要」「未経験歓迎」の求人を見つけて、応募するようになります。このとき、ボイラー工の平均月給が27万3400円であると理解し、あまり低い給料の求人を避けるようにしましょう。

さらに資格支援制度がある工場・製造業であれば、資格取得時に掛かる費用を会社が負担してくれるので、自己負担が少なくてすみます。以上のことを理解したうえで転職活動を行うことで、自分の希望する求人に応募でき、失敗のない転職ができるでしょう。


工場・製造業に転職をするとき、ほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自分の力だけで求人を探すと、希望の条件を満たす求人を見つける作業のみならず、労働条件や年収の交渉・アポ取りなどさまざまな作業を自分でやらなければなりません。

そこで、転職サイトに登録することで、求人の紹介から労働条件や年収交渉だけでなく、履歴書や職務経歴書などの書類関係を送付するなど面倒な事務作業まで行ってくれます。

ただし、転職サイトによって特徴が違います。例えば「工場・製造業の転職に強い」「全国各地に強いのか、それとも都市部に強いのか」「20代・第二新卒が得意」「40歳以上でも転職を成功させてくれる」などの違いがあります。

転職を成功させるには、これらの違いを理解した上で転職サイトを活用しなければなりません。そこで、以下のページでそれぞれの転職サイトの特徴を解説しています。これらを理解することで、転職での失敗を防ぐことができます。