工場の設備保全のアイキャッチ

また、長期的に働きたい場合は「仕事はきつくないか」「年収アップは見込めるか」などのポイントも重要になります。

工場・製造業では、機械による自動化やAIの活用が進んでいるため、将来性がある設備保全への転職を考えていたり、今までの経験を活かして工場・製造業の設備保全へ転職を考えていたりする人がいます。

しかし、工場・製造業の設備保全はどのような内容の仕事をしているのか、給料はどのぐらいもらえるのかなど気になります。また、長期的に働きたい場合は「仕事はきつくないか」「年収アップは見込めるか」などのポイントも重要になります。

そこで今回は、設備保全の具体的な業務内容について解説し、年収や役立つ資格についてもご紹介します。企業によっては、電気工事士や電気主任技術者、機能保全技能士などの資格があると、資格手当がつくことがあります。さらに資格を活かせる業務内容や、資格の等級によって得られる特典についても解説します。

工場・製造業の設備保全とは?

まず、工場・製造業の設備保全業務について解説していきます。設備保全の主な業務は、工場などで稼働する生産設備の修理や点検といった保全業務となります。設備保全の目的は、設備の故障やトラブルを防ぎ、生産ラインをスムーズに稼働させることです。

昼夜問わず稼働する工場・製造業では、生産ラインの維持管理が必要不可欠です。設備の故障などのトラブルによって生産がストップしてしまうと、企業にとって大きな損失となってしまいます。

そのため、設備保全は単純に設備のメンテナンスを行う業務ではありません。トラブルを予防しながら、緊急事態に備えるのが設備保全です。設備が停止し、生産がストップした場合には迅速な対応が求められます。

設備保全の具体的な業務

では、具体的に工場・製造業の設備保全ではどのような業務をおこなうのでしょうか。工場・製造業の設備保全は大きく分けると3つに分類され「事後保全」「予防保全」「予知保全」に分かれています。

まず「事後保全」は、設備の故障や製品の品質低下が発生した場合に行います。設備にトラブルが起きた原因を追求したり、その後の対策をしたりする業務です。

例えば、このような仕事をしたい場合は、以下のような求人に応募しましょう。

工場の設備保全の求人票1

こちらは、東京都にある会社で、取引先の各工場で保全業務を行うといった内容の求人です。仕事内容に、事後保全業務の詳しい内容が記載されています。

また「予防保全」は、設備が故障しないように事前に行う保全業務です。定期的な点検や設備の調整などが主な業務となっています。定期的な部品交換や整備を行うことで、設備を長く稼働させることが可能です。

例えば、以下のような求人があります。こちらは埼玉県の樹脂メーカーでの保全業務の求人です。

工場の設備保全の求人票2

こちらの求人では、予防保全の具体的な内容として定期メンテナンスという記載があります。定期的に設備をチェックしながら、設備を安定的に稼働させる仕事がしたい場合は、このような求人を探してみましょう。

さらに、「予知保全」は故障の予兆があった場合に保全する業務となっています。設備の稼働データを集めながら、劣化している兆候を発見し、適切な設備保全を行う業務です。

このような仕事をしたい場合には、以下のような求人に応募しましょう。

工場の設備保全の求人票3

こちらは、東京都にある工場の求人で、仕事内容は工場内の生産管理に関わるものです。このように、予兆保全の内容が記載されている求人を探してみましょう。

以上のように、保全業務では設備を改善するための部品交換、修理や調整などを定期的に行います。

このように、設備保全の業務は主に3つに分かれていますが、工場・製造業の設備保全に転職した場合は多くの工場で3つの業務すべてを行うようになります。

さらに設備保全は、設備にトラブルが起き長期間生産がストップしたり、作業員が事故で怪我をしたりするのを防ぐために設備保全の仕事はあります。また、設備保全は、長期間稼働し続ける設備を維持するための重要な業務となっています。

仕事内容はきつい?楽?

次に、設備保全業務に転職する場合に気になるのが「業務内容のつらさ」ではないでしょうか。「工場・製造業はきつい」というイメージがある方もいるでしょう。しかし、設備保全業務では仕事内容が「きつい」と感じる人と「楽だ」と思える人に分かれます。

「設備保全はきつい」と感じるポイントとして、点検作業などの業務がつまらなかったり、設備の故障で長時間拘束されたりするといった理由が挙げられます。特に設備にトラブルが起きた場合は、昼夜問わず対応しなければなりません。時間外の手当がついたとしても、長時間の業務はきついという方がいます。

このような場合、以下のような求人に応募することできつい工場への転職を避けることができます。

工場の設備保全の求人票4

こちらの求人は千葉にある鉄鋼メーカーの求人になります。業務内容は日常点検から不具合が起きた際の調整など行う業務になります。しかし、別に24時間交代勤務の設備担当者がいるため夜勤が発生しないとなっています。

このような求人であれば、長時間の勤務できつかったり深夜まで作業が続いてきつかったりということがなくてすみます。

一方で「設備保全業務は楽だ」と感じるポイントには、仕事をしながらスキルやキャリアを積める点や、給料が良い点などが挙げられます。設備保全業務は経験が少ない時期からスタートでき、仕事をしながらスキルアップが見込めます。

未経験者でも設備保全業務を行える

では、工場・製造業の設備保全には未経験でも転職することができるのでしょうか。答えからいうと、記事全体が設備保全業務への転職は、実務経験のない未経験者でも可能です。設備保全の求人には「未経験OK」と記載されているものも少なくありません。企業によっては研修制度が充実しており、未経験者を歓迎している企業もあります。

例えば、以下の東京都にある会社の求人です。取引先のさまざまな工場で、設備点検スタッフとして勤務するといった内容となっています。

工場の設備保全の求人票5

こちらの求人では、未経験者でも正社員として採用されます。研修施設での1ヶ月程度の研修を受けることで、未経験からでも技術者へとステップアップできます。このように、設備保全の求人には、手厚い研修制度があるものが多いです。そのため、実務経験の少なさが不安な方も安心して挑戦できます。

未経験で設備保全業務への転職を考えている方は「未経験歓迎」と記載されている求人や、研修制度が充実している求人を探してみましょう。未経験者を歓迎している企業に転職すると、仕事をしながら技術者として成長できるメリットがあります。

設備保全で役立つ資格

以上のように、未経験者でも設備保全への転職は可能です。加えて資格を持っていると、手当がつくなどの特典を用意している企業もあります。また、工場・製造業の設備保全業務では、資格を持っていることで知識やスキルがあると評価され、即戦力として優遇されます。

例えば、電験3種の資格を持っていると受変電設備や電気設備の保守・管理業務を行えるようになります。そのため、会社としてはすでに資格を所有している方を優遇します。

求人例として、千葉県にある製鉄工場の求人を見てみましょう。

工場の設備保全の求人票6

こちらの求人では、電験3種を持っていると即戦力として採用されやすいこと、年収アップに繋がることがわかります。設備保全の求人では、資格を持っていると歓迎されることが多いといえます。

なお、設備保全で役立つ資格は主に以下の3つです。資格の有無によって、担当する仕事や役職が変わることがあります。資格を活かして工場で働くこと際の、担当業務などを解説していきます。

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電気工事士

まず、電気工事士の資格があります。電気工事士は、配線工事や設備の電気工事などを担当します。そのため、工場では生産設備に関する電気工事を行います。また、電気工事士でも第1種と第2種では、工事の作業範囲が異なります。

まず、電気工事士2種の業務範囲は、一般住宅や店舗などの600V以下で受電する設備の工事を行えます。

それに対して、電気工事士1種は、電気工事士2種の範囲と最大電力500kw未満の工場やビルなどの工事・高圧の送配電線路を扱う電気工事に従事できます。

さらに、電気工事士1種は、電気工事士として3年以上の実務経験がなければ免状交付されません。そのため電気工事士1種の資格があるだけで、電気工事士としての実務経験があることもわかります。

加えて、技術の面でも実力があることを証明できるため、電気工事士2種よりも給料が高額です。とはいえ、工場・製造業の現場では電気工事士2種の資格があれば十分に活躍することが可能です。

例えば、以下は東京にある食品工場の設備管理の求人になります。

工場の設備保全の求人票7

この求人のように、工場での主な業務は電気工事の仕事ではなく設備管理になるため第2種電気工事士の資格があることで、転職が有利に進むといえます。

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電気主任技術者

次に、電気主任技術者の資格についてです。業務内容は、電気設備の保安や点検がメインとなっています。電気設備を監督する業務です。第1種と第2種では、業務内容や勤務できる工場の規模が異なります。

例えば、以下のような求人を見てみましょう。

工場の設備保全の求人票8

こちらは、神奈川県にある工場の求人です。電気主任技術者の第1種と第2種では配属部署が異なるという記載があります。資格の等級によって、配属先や転勤の有無が変わることもあるので、求人に記載があるかどうか確認しておきましょう。

機械保全技能士

そして、機械保全技能士の資格についてです。機械保全技能士は、機械保全や設備のメンテナンスを行うプロとして工場・製造業で活躍できます。設備の故障などのトラブルを防ぐ役割を担う仕事です。

また、機械保全技能士の1級や特級の資格を持っている場合は、エンジニアとしてだけではなく、リーダーや管理職として勤務することも可能です。1級以上になると、職層がリーダーや管理職になります。

例えば、以下のような求人を見てみましょう。

工場の設備保全の求人票9

こちらは、神奈川県にある日用品を製造する工場の求人です。機械保全技能士の資格があると、リーダーやスーパーバイザーなどへの昇進が見込めます。

設備保全に転職した場合の年収や手当

ここからは、設備保全への転職で気になる年収について解説します。設備保全の求人では、正社員として採用された場合、年収は300〜500万円台としている求人が多いです。大手企業では、想定年収が550〜700万円としているところもあります。

一例として、東京都にあるリサイクル工場の求人を見てみましょう。

工場の設備保全の求人票10

こちらの求人では、電気主任技術者の資格を持っていることが必須条件で、予定年収は400〜800万円となっています。設備保全業務では、資格の種類、等級、経験年数によって年収の幅が広がります。

また、設備保全業務に求められる学歴は、高卒、大卒、専門学校卒とさまざまです。学歴不問としている企業も多く、学歴による年収の差がある企業、ない企業に分かれています。

一例として、学歴による年収の差がある求人を見てみましょう。

工場の設備保全の求人票11

こちらは、埼玉県の工場での設備保全の求人です。学歴で基本給が変わります。このように、学歴によって年収が変化する求人もあるのでチェックしてみましょう。

また、年収は資格手当、住宅手当、家族手当などの各種手当にも左右されます。転職後の年収が気になる方、年収アップを目指している方は、手当が手厚い求人を探しましょう。また、スキルや経験によって優遇される場合がほとんどのため、取得した資格やこれまでの実務経験を活かせる企業かどうかの見極めが重要です。

例えば、以下のような求人であれば年収アップが見込めます。こちらは、千葉県にある国内大手製造メーカーの求人です。

工場の設備保全の求人票12

また、企業によっては電気工事士や電気主任技術者などの資格があると、資格手当がつく場合があります。資格の種類によって手当の金額に差がある場合があり、1級や2級など上級の資格を持っている方なら年収アップが見込めます。

以下は、埼玉県にある工場の設備保全の求人です。

工場の設備保全の求人票13

このように、資格の等級に応じて、手当の金額に差があります。また、こちらの求人のように、業務に関係のある資格を取得した際に、祝金を受け取れる場合もあります。資格を活かして転職をしたい方は、資格手当がつきモチベーションが上がる求人を探してみましょう。

求人情報に資格手当の詳しい金額が記載されていない場合も「スキル・資格に応じて優遇」と書かれていれば、等級に応じた手当が期待できます。手当によって月収が数万円単位で変動することがあるため、資格取得者が優遇される企業を探すのがおすすめです。

まとめ

ここまで、工場・製造業の設備保全への転職について解説してきました。設備保全業務は、生産ラインを安全でスムーズに稼働させるために不可欠な仕事です。設備の点検や調整、定期的な部品交換などを行い、トラブルの予防に努める業務となっています。

また、未経験者の転職を歓迎している企業が多く、学歴不問で正社員として採用するという求人も見られます。工場・製造業の設備保全への転職は、実務経験が少なくても成功しやすいでしょう。研修が手厚い企業では、未経験からのスタートでも技術者として成長できます。

さらに、電気工事士や電気主任技術者・機械保全技能士などの資格を持っていると、資格手当がつく企業もあるため、転職後も安定した収入が見込めます。転職後の年収アップを目指している方は、手当の有無を確認してみましょう。

以上のことを踏まえて、自分の目指す工場・製造業の設備保全に応募すれば、失敗のない転職が実現できるでしょう。


工場・製造業に転職をするとき、ほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自分の力だけで求人を探すと、希望の条件を満たす求人を見つける作業のみならず、労働条件や年収の交渉・アポ取りなどさまざまな作業を自分でやらなければなりません。

そこで、転職サイトに登録することで、求人の紹介から労働条件や年収交渉だけでなく、履歴書や職務経歴書などの書類関係を送付するなど面倒な事務作業まで行ってくれます。

ただし、転職サイトによって特徴が違います。例えば「工場・製造業の転職に強い」「全国各地に強いのか、それとも都市部に強いのか」「20代・第二新卒が得意」「40歳以上でも転職を成功させてくれる」などの違いがあります。

転職を成功させるには、これらの違いを理解した上で転職サイトを活用しなければなりません。そこで、以下のページでそれぞれの転職サイトの特徴を解説しています。これらを理解することで、転職での失敗を防ぐことができます。