工場・製造業の自動車整備士に転職を考えている人の中には、「毎日、遅くまで残業できつい」「仕事内容の割に給料が安い」「頑張って仕事をしているのに昇進しない」などの思いから転職を考えている方がいます。

しかし、工場・製造業の自動車整備士の仕事内容、実際の年収などが気になってなかなか転職にできずにいます。また、民間工場とディーラーの年収の違い、必要資格の有無などの応募の条件も気になります。

とはいえ、自動車整備士は人材不足が深刻化し、高齢化が進んでいます。そのため、工場・製造業の自動車整備士への転職は、比較的成功しやすいといえます。

そこで今回は、工場・製造業の自動車整備士の仕事内容について解説し、年収アップが見込めるポイントなどをご紹介します。また、民間工場とディーラーの年収の違いなども解説します。

工場・製造業の自動車整備士の仕事内容

では、工場・製造業の自動車整備士の仕事内容についてご紹介します。自動車整備士の仕事内容には点検・整備・修理などがあります。自動車の事故や故障を防ぐために定期的な点検を行ったり、故障があった場合に修理したりするのが主な仕事です。

また、自動車整備士の仕事は大きく分けると3つに分類され「点検整備」「緊急整備」「分解整備」に分かれています。まず「点検整備」には、定期的な車検があげられます。自動車にトラブルがないか点検し、消耗品の交換などを行う作業です。

次に「緊急整備」ですが、こちらはトラブルを起こした自動車を整備する作業になっています。エンジントラブルや壊れた部品の修理などを行います。また、故障や事故を起こした自動車を修理し、整備する作業も含まれます。

そして「分解整備」は、オーバーホールと呼ばれるもので、エンジンなどの機械部分を分解し整備を行う作業です。自動車の走行、操縦、制御などに関わる重要な装置を扱うため、高い技術力が必要になります。自動車整備士2級以上を持っていると、分解整備の仕事が可能です。

また、分解整備は2020年4月1日から「特定整備」という名称に変更されました。変更点は、分解整備の作業範囲に「電子制御装置」が追加されたことです。自動運転などの技術が普及し、自動車に備え付けられた電子制御装置の整備が必要不可欠になっています。

特定整備は、これまでの分解整備の作業範囲が拡大されたものです。さらに特定整備作業は地方運輸局長から許可されている「指定工場」や「認証工場」のみで可能な仕事になっています。

例えば、分解整備の仕事がしたい場合には、以下のような求人に応募してみましょう。

こちらの求人は、東京都にある車検や整備を行う工場のものです。指定工場や認証工場の記載がある求人では、仕事内容に特定整備が含まれます。工場によっては特定整備を行っていない場合もあります。そのため、特定整備の仕事をしたい人は、求人に指定工場か認証工場の記載があるかどうかを確認しましょう。

整備士資格や実務経験を活かせる?

次に、自動車整備士資格や実務経験が、転職の際に活かせるかどうかについて解説します。まず、自動車整備士の資格があると即戦力として歓迎されます。自動車整備士の人数に余裕がない企業では、自動車整備士の資格を持ち、実務経験がある人が必要とされています。

特に、基本的な点検整備の他に特定整備が可能な自動車整備士1級・2級の資格があると重宝されます。そのため、2級以上の資格を持っていると仕事内容の幅が広がるため、さまざまな求人に応募しやすくなります。

一方で、自動車整備士の求人の中には、資格や実務経験がなくても応募できるものがあります。

例えば、以下の東京都にある車検工場の求人を見てみましょう。

こちらの求人では、資格や実務経験を問わず正社員を募集しています。実務経験が少ない場合には、社員の人数に余裕があり、未経験者を育成できる環境が整った企業を探しましょう。

また、自動車整備士3級を持っていて、2級以上を目指したいという人をフォローしてくれる企業もあります。仕事をしながら、上位の資格取得にチャレンジしたい人は、資格取得をフォローしてくれる企業の求人に応募しましょう。

次に、以下の求人を見てみましょう。こちらは東京都の車検・整備工場の求人です。

こちらの求人では、人材不足を理由に資格を持っている人や実務経験がある人のみを募集しています。資格を活かしたい人は、資格を持っている人のみを募集している求人に応募してみましょう。

自動車整備士の資格を持っていると資格手当がもらえる

また、資格の等級によっては資格手当がもらえる場合があります。工場・製造業では、基礎を熟知し一般的な整備ができる自動車整備士2級以上の資格が重宝されます。特に1級や2級の資格を持っていると、月1万円以上の資格手当をもらえることがあります。

例えば、以下の求人を見てみましょう。こちらは、東京都にあるドイツ車ディーラーの求人です。

このように、自動車整備士資格の等級に応じて手当の金額が決められています。さらに、メーカーの認定資格があり、資格を取得できるとさらに手当が支給される場合があります。資格を活かして転職し、年収アップを望んでいる方は、資格手当が支給されるかどうかチェックしてから応募しましょう。

また、以下のように資格手当が手厚い求人も要チェックです。こちらは、東京都にある自動車販売店の工場の求人です。

こちらの求人では、自動車整備士2級で3万円、1級で5万円というように資格手当の金額が高くなっています。このように資格を活かして転職できる場合は、手当がつくことがあるため年収アップを狙いやすくなります。

自動車整備士の給料はどのぐらい?

次に、転職する際に基準の一つとなる年収についてです。自動車整備士の給料は、月収20〜40万円台と幅広く設定されています。年収にすると200〜500万円台です。前述した資格手当や各種手当が充実していたり、残業があったりすると年収に差がでます。また、ディーラーと民間工場では、年収に差がある場合が多いため解説します。

ディーラーと民間工場の平均年収の差

まず、工場・製造業の自動車整備士の転職先には、ディーラーや民間工場などがあります。整備を担当する車種や大きさには違いがありますが、どちらも仕事内容に大きな違いはありません。しかし、自動車メーカーと契約を結んでいるディーラーは年収が高い傾向にあります。

例えば、以下は東京都にある民間の整備・車検工場の求人です。

こちらの民間工場の求人では、年収が260〜400万円と想定されています。年収モデルでは、実務経験が15年ある場合に、年収が400万円となっています。特別な応募資格がなく、学歴も不問で転職しやすい点がポイントです。また、給与については経験やスキルが考慮されると記載されており、実績が多い人が転職した場合には、より高い年収が期待できます。

では次に、ディーラーの求人を見てみましょう。こちらは東京都にある輸入車ディーラーの求人です。

こちらの求人では想定される年収が350〜550万円となっており、民間工場よりも年収が高いことがわかります。ただし、必要資格に自動車整備士2級があげられていたり、学歴が専門学校卒以上となっていたりするため注意が必要です。

このように、民間工場とディーラーでは年収に差がある場合が多くなっています。必要とされる資格や実務経験、学歴などが違う場合があるため、応募する際には細かくチェックしてみましょう。

また、残業の有無で年収は変わります。自動車整備士の残業時間は月に20時間程度が一般的とされています。工場によって残業の方針が違うため、残業代で年収をアップさせたい人は、求人で残業の有無を確認しましょう。

例えば、前述した民間工場と輸入車ディーラーの残業時間を比較すると以下のようになります。

また、求人に「残業はほぼなし」と書かれている場合でも、工場が忙しい時期は残業する可能性が高いです。転職後の残業時間が気になる人は、平均的な残業時間が詳しく記載されている求人を探しましょう。また、転職エージェントに登録して担当者に詳しい残業時間などを確認するのも有効的です。

工場長などの役職につくと年収アップが見込める

次に、自動車整備士に転職して年収アップが見込めるかどうかについて解説していきます。自動車整備士は、実務経験を積むことで監督者や工場長に昇進できるチャンスがあります。昇進は年収アップに繋がるため、自動車整備士として年収アップを目指す場合は、キャリアアップについての記載がある求人を探してみましょう。

例えば、以下は東京都にある車検工場の求人です。

こちらの求人では、仕事内容の欄に自動車整備士としての検査業務だけでなく、指導や監督を行う業務があるとされています。自動車整備士としてだけでなく、将来的な工場長候補を探している求人です。

以上のように、将来的には工場長まで昇進できる可能性がある求人に応募すると、年収アップが見込めます。また、昇進についての記載以外に、将来の年収モデルが記載されているかどうかもチェックしてみましょう。

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まとめ

ここまで、工場・製造業の自動車整備士への転職についてご紹介してきました。年々、人材不足が深刻化している自動車整備士は、需要が高まっている職種です。主な仕事内容は自動車の点検、整備、修理などです。

また、自動車整備士は実務経験が少なかったとしても歓迎してくれる工場があり、キャリアアップを目指せる職種となっています。例えば、工場によっては、長く勤務すると工場長に昇進できる場合があります。年収アップを目標にしている人は、昇進や昇給についての記載があるかどうかをチェックしましょう。

さらに、自動車整備士資格の等級によって、資格手当がもらえる工場があります。資格を活かして転職したい人は、資格手当の有無を確認するのがおすすめです。また、民間工場よりディーラーの方か給料が高い傾向があります。

以上のポイントを押さえて、工場・製造業の自動車整備士として、理想の求人を探してみましょう。


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そこで、転職サイトに登録することで、求人の紹介から労働条件や年収交渉だけでなく、履歴書や職務経歴書などの書類関係を送付するなど面倒な事務作業まで行ってくれます。

ただし、転職サイトによって特徴が違います。例えば「工場・製造業の転職に強い」「全国各地に強いのか、それとも都市部に強いのか」「20代・第二新卒が得意」「40歳以上でも転職を成功させてくれる」などの違いがあります。

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