「年収をあげたい」「プライベートな時間を保ちたい」「有名な大手企業で働きたい」「大手企業への憧れがある」などさまざまな理由で大手企業の工場・製造業へ転職を考えている方がいます。
その一方で、「そもそも大手企業に転職することは可能なのか?」「大手企業に転職するのは難しそう」など、不安な気持ちを抱えたまま転職を考えている方がいます。
実際に、大手企業の求人案件は人気が高く、エントリー者が多いため戦略的に転職活動を進めないと転職が難しく難易度が高いです。
そこで、大手企業の工場・製造業で正社員として働くための方法や工場・製造業の給与・年収、大手企業で働くメリット、デメリットについてご紹介してきます。
もくじ
大手企業の工場・製造業で正社員として働くための方法
そもそも、大手企業とはどのような企業のことを指すのかご存じでしょうか。
大手企業とは
- 特定の業界のなかで規模が大きく、知名度が高い
- 誰もが耳にしたことがある有名企業
- 各業種のシェア率が上位にある
以上のような企業が大手企業と呼ばれています。ちなみに、「大手企業」に明確な定義は設けられていません。
なお、「大手企業の工場・製造業へ正社員として転職することができるの?」ということについてですが、結論から申し上げますと、大手企業に転職できる可能性は十分あります。
なぜかというと、工場・製造業では、多くの作り手を必要としています。作る製品が多い企業であれば、その部署ごとに作業員が必要となるため、求人案件をだしている工場・製造業の大手企業が数多く存在するからです。
しかし、簡単に誰でも大手企業に採用されるわけではありません。転職活動を戦略的に進めないと、正社員として働くチャンスを逃してしまったり、思うような働き方ができなくなってしまったりする可能性があります。
そこで、大手企業へ転職する方法として、以下の二つが挙げられます。
- 直接大手企業の中途採用に応募する
- 大手メーカーの契約社員として働き、キャリアアップを目指す
といった方法になります。
大手企業の中途採用に応募する
まず、大手企業のホームページの求人欄や、転職サイトを利用して、大手企業の中途採用で正社員になるという方法があります。
なお、工場・製造業といっても多種多様なジャンル、多岐にわたる職種があります。大手企業の中途採用に応募するためには、まず、自分自身が、工場・製造業のどのメーカーのどんな仕事に携わりたいのかなどを明確にすることが大事です。
例えば、大手食品メーカーの品質管理の仕事に転職したいと考えている場合であれば、転職サイトで「大手食品メーカー 製造」と検索することがあります。
しかし、「大手食品メーカー 製造」というキーワードでは、莫大な数の求人案件がでてくるため、そこから自分に合った求人を探していくことは大変困難です。
できれば、具体的な企業名と、職種を入力して検索できるように、どの道に進みたいのか改めて整理していきましょう。
例えば、大手食品メーカーの味の素の生産技術の仕事に転職したいと考えたときに「生産技術 工場 味の素」と検索すると以下のような求人がでてきます。
希望するメーカーや職種で絞り込めると、より希望に合致する求人案件が検索できます。
中途採用で正社員を目指す場合は、しっかりと自分自身がどの企業でどのような仕事につきたいのかを明確にしていきましょう。
まずは、転職先の企業や職種について自分自身の考えを洗い出し、細かいキーワードで求人案件を検索できるように自分自身と向き合ってみてください。
大手メーカーの契約社員として働きキャリアアップを目指す
また、大手企業の工場・製造業へ転職するには、まずは契約社員といった雇用形態から、正社員登用試験を受けて正社員になるという方法があります。
ここで大事なことは、「正社員登用」制度があることをしっかりと確認しておくことです。
例えば、以下は、埼玉県の日清食品グループの製造オペレーターの求人です。
こちらの求人は、契約社員の求人案件となります。しかしながら、社員登用制度を設けているため、通常に業務を習得した方は正社員に登用されるという求人です。
このように、真面目にコツコツと働くことで、最初は契約社員であっても正社員になることができる求人があります。
また、大手自動車メーカーのトヨタやホンダ、日産などでは「期間工」と言われる期間を限定して働く契約社員があります。
期間工は、企業と直接契約します。その後正社員登用制度により、将来的に正社員として働いていきたいと考えている方は、期間工から仕事をスタートさせて正社員を目指すといった方法になります。
例えば、以下は神奈川県の日産追浜工場期間従業員の求人です。
こちらの求人は、大手自動車メーカーの日産自動車の期間工の求人です。すぐに正社員として働くことはできませんが、こちらの求人のように積極的に正社員登用をしているメーカーもありますので、期間工の仕事から正社員を目指すことが可能です。
しかし、確実に正社員になれるというわけではありません。企業によって異なりますが、正社員登用試験を受けるための条件をクリアした後、正社員登用試験に合格することで正社員になれます。
なお、20代であれば、期間工から正社員になりやすいですが、30代以降になると期間工から正社員になることは厳しい現状です。
そのため、30代以降の方は、直接企業に応募し中途採用で正社員を目指しましょう。
中小企業から大手企業へ転職を目指すのは難易度が高い
次に、中小企業から大手企業への転職は難易度が高いといわれています。
具体的には以下の理由から大手企業への中途採用は難易度が高いといわれています。
- そもそも採用情報が少ない
- 大手企業へのエントリー者が多く、倍率が高い
- 転職者に求められる知識やスキルが高い
- 一定の学歴がない場合は書類選考が通りにくい
以上の理由があります。
また、自分自身の学歴や職務経歴・経験者か未経験か、などの状況により難易度は大きく変わります。
そのため、現在中小企業に勤めていてこれから大手企業に転職を考えている方は戦略を立てて応募する必要があります。
詳しい内容について以下で説明していきます。
大手企業に転職する具体的な方法
ここでは、難易度が高いと言われている大手企業への転職するための、具体的な方法について紹介します。
- 企業の情報収集をする
まず、エントリーする企業がどのような人材を求めているのかを知ることが大切です。いくら、自分の強みやスキルをアピールしても企業が求める人材とかけ離れていたら採用されることはないでしょう。
企業のホームページや採用ページ・働いてる方のインタビュー記事などを読み、企業に関する情報を収集しましょう。
有名な大手企業だからという理由だけで転職進めてしまうと、転職後に理想と現実のギャップに「こんなはずじゃなかった」と後悔してしまうことがあります。
働きたい企業のことを理解することは、転職を成功させるための大切なポイントです。また、応募条件も必ず確認するようにしましょう。
工場・製造業での経験を求める求人もあれば、大卒以上の学歴が必要な場合、転勤が可能な方などを求める企業などさまざまです。工場・製造業の仕事が未経験の方は、未経験を歓迎している企業であるかどうかの確認が必要です。
- 企業の求人ページから直接応募する
また、ほとんどの大手企業ではホームページに採用情報を掲載しています。新卒採用、キャリア採用、有期社員、パート・アルバイトなどいくつかの雇用形態の採用情報が掲載されているページから、募集職種の詳細を確認できます。
直接、企業の求人ページからの応募は、やる気のアピールに繋がることはありますが、直接応募をしたらかといって採用率が上がるというわけではありません。
また、採用ページが更新されていない場合なども考えられますので、注意が必要です。
- 転職サイトを利用する
転職サイトを利用するメリットは、自分のペースで転職活動を進められる点です。転職サイトでは、企業名や勤務地、企業名など条件を入力し検索することで求人案件を見ることがでます。
転職サイトで、大手企業を検索するポイントとして、具体的な大手企業名を入力して検索をするということです。
なぜなら、先程も紹介したように「大手企業 製造工場」などと検索するよりは、具体的な大手企業名や職種を入力することで検索数を絞ることが可能になります。
「大手企業 製造工場」と検索すると、莫大な数の求人案件がヒットするため、そのなかからマッチした求人案件を探すのは大変な作業です。
転職サイトを利用して、大手企業への転職を目指す方は、まず転職先となる大手企業を具体的に決めて検索していくことをおすすめします。
- 転職エージェントを利用する
最後に大手企業への転職では、転職エージェントの利用が大変おすすめです。
転職エージェントでは、専任のキャリアアドバイザーが転職に関する相談に乗り、転職活動をサポートしてくれます。豊富な求人案件のなかから、あなたにマッチした求人を紹介してくれたり、内定獲得に向けて必要書類の作成や添削を行ってくれたり、面接対策なども行い、万全の状態で転職活動を進められます。
各転職エージェントには、特徴があり、なかにはハイクラス転職をサポートしてくれる転職エージェントもあります。
大手企業も、いままでの実績から信頼できる転職エージェントに求人案件を掲載し、優れた人材を確保したいとの考えから転職エージェントに求人掲載をしているケースもあります。
さらに、転職サイトには掲載していない、大手企業の非公開求人がある場合もありますので、大手企業に転職を考えている方は、転職エージェントを利用していくことをおすすめします。
また、大手企業に転職したいと考えてはいるけれど、どのメーカーが良いかどの職種が良いのかなど、迷いがある方も転職エージェントを利用することで、目的が明確となり転職活動を効率的に進めることができるでしょう。
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大手企業で働くほうが年収が高いの?給料や年収を理解する
次に、大手企業の給料や年収についてです。大手企業では、中小企業と比べると平均給与が高い傾向にあります。ちなみに、厚生労働省の令和2年賃金構造基本統計調査の企業規模別にみた賃金では、男女いずれも企業規模が大きい方が賃金が高いという結果が出ています。
例えば、以下は、コカ・コーラジャパンの埼玉県倉庫メンテナンスの求人です。
こちらの求人では、年収が450万円~750万円となっており、経験やスキルが豊富な方ほど高い年収が得られます。さらに、賞与は年3回、昇給も年1回ありますので、長く勤めればさらに給与アップが見込める求人です。
大手企業の求人案件をみてみると、このように高収入を見込める求人案件が豊富にあることがわかります。中小企業と同じ職種であっても、大手企業の求人案件のほうが、給与が高い傾向があるため、年収アップを目的としている転職であれば、希望がかなう確率が高まると考えられます。
しかし、大手企業の求人であるからと言ってすべての求人の年収が、中小企業より高いというわけではありません。働く企業や仕事内容・職種・役職によって年収は異なります。転職により、高収入を目指したいと考える方は、賞与がある求人を探してみるのもよいでしょう。基本給は、大手企業も中小企業も大差ない場合が多いのですが、賞与に大きな差がある場合があります。
大手企業の工場・製造業で働くメリット・デメリット
ここでは、大手企業で働くことのメリットとデメリットを紹介します。それぞれの企業によって待遇は異なりますが、大手企業で働くことにより、メリットと感じられる点が数多くあります。
その一方で、大手企業であるからこそ感じるデメリットもあります。
大手企業への転職を考えたとき、メリット・デメリットの両方を踏まえたうえで、よりよい転職先を選択ができるため、大手企業のメリット・デメリットについて把握していきましょう。
大手企業の工場・製造業で働くメリット
- 分業化が進んでいる
大手企業は、中小企業を比べて業務の役割分担が明確になっています。分業化が進んでいることで、担当する業務についての知識と経験を積み、プロフェッショナルとして働けます。
中小企業では業務範囲が幅広く、ひとりの人がいくつもの業務を担当し何役もこなさなければならないといった環境である場合もありますが、大手企業では、部署ごとに細かく役割が分担されているため、効率よく仕事を進めることが可能です。
自分がやりたい仕事に没頭できたり、専門性を高められたりするなどメリットであるといえるでしょう。
- 福利厚生が手厚い
大手企業は、平均給与が高い傾向がありますが、それだけではなく福利厚生も手厚いこともメリットであるといえます。福利厚生は、企業ごとに異なりますが、社会保険制度や年金、家賃補助制度、育児・介護支援、ホテルなどの施設優待利用などさまざまです。
例えば、以下は、神奈川県の日産自動車株式会社のエンジン部品の生産技術の求人です。
こちらの求人では、さまざまな手当があるのはもちろんのこと、そのうえ退職金制度があります。退職金制度があることで将来的にも安心して働ける環境です。
さらに、法律で定められている保険や年金の福利厚生だけではなく、企業が任意で導入している福利厚生の手当や補助、教育制度、育児・介護関連、社員の保養のため施策などがあります。
大手企業では企業成長のためや社員ひとりひとりの主体性を身に着けるために、社員教育に力を入れている企業があります。
こちらの求人では、リーダーシップ、マネジメント研修、外国語教育なども行い社員の成長をサポートしています。
その他に、休職制度もしっかりとあるため、大手企業で働く社員だけでなくその家族の生活も向上させることができる環境であるといえるでしょう。
- 整った設備で働きやすい
大手企業は、必要な設備が整っています。社員ひとりひとりにパソコンやタブレット端末を支給している企業もあり作業効率が高まり働きやすいという環境にあります。
なお、工場の設備では、可視化や自動化がすすんでおり、人手不足の解消や人件費を削減したコストダウンをはかっている企業もあり、作業環境の効率に力を入れています。
そのため、工場で働く人が働きやすい環境にあるということは大変メリットであるといえます。
- ワークライフバランスがよい
なお、大手企業の勤務は、休日もしっかりとあり、残業もすくなくプライベートな時間も大切にできる場合が多くあります。大手企業は、人手不足で残業しなければならないという状況が少なく、適切な労働時間を保てる体制を整えています。
なお、誰もが知っている企業であるため過酷な労働環境の場合、お客様に悪い印象を与えてしまう恐れもあります。それに伴い、ワークライフバランスに焦点を当てて、働きやすい環境の整備を行っている企業が多くなっています。
大手企業の工場・製造業で働くデメリット
- 大手企業独自の社風がある
企業にはそれぞれの独自の社風があります。大手企業の特徴は社員の人数が多いため、個人の意見や考え、アイディアが尊重されにくい点です。
中小企業と異なり、新しいことに挑戦したいと感じたときに、意見が言えず身動きが取りづらい可能性もあります。
大手企業は、歴史が長い企業が多く、独特の社風がある場合もあります。転職活動では、仕事内容や年収、待遇面だけではなく、どのような社風などを知り、自分自身に合っているのかどうか確認することも大切です。
- 年功序列
日本では、勤続年数や年齢に応じて収入が高くなるという年功序列の傾向が強い企業があります。なかでも、大手企業では、年功序列が維持されている場合が多く、年齢や勤続年数が高い人は経験や能力が高いという考えです。
しかし、もっと仕事をしたい、さまざまなことに携わりたい、出世したいと考える若手にとって、年功序列の考え方の企業だと思うように昇進できないというデメリットもあります。
- 周囲のレベルが高くプレッシャーに感じる
大手企業では、社員の人数が多く周囲のレベルが高く、プレッシャーに感じてしまうこともあるでしょう。大手企業と中小企業では、仕事のスタイルが異なります。周囲の方が、スムーズに仕事をこなす姿をみることや、任される仕事の規模が大きい事、計画通りに終わらせなければならないなどプレッシャーを感じ大きなストレスを抱えてしまうこともあります。
- 個人の意向が反映されにくく、希望の部署に配属されない可能性がある
大手企業だと、社員の数も多いため個人の意向が反映されにくいです。どの部署に配属されるか、どんな仕事に携わるのかなど、入社してから思っていた仕事に携わることができなかったという場合もあります。
まとめ
ここまで、大手企業の工場・製造業に転職するために理解しておきたいことについて紹介してきました。大手企業への転職は難易度が高いものの、不可能というわけではありません。
大手企業へ転職する方法としては、大手企業の中途採用へ応募する方法と大手企業の契約社員として応募する方法があります。
しかしながら、大手企業の工場・製造業といっても、さまざまな業界や職種があります。
大手企業ならどこでもよいという考えだと、あなたの転職条件に合った求人を見つけることは難しいでしょう。そのため、求人案件を検索する際は、大手企業名や職種を具体的に入力することで、あなたにマッチした求人に絞り込んで、応募する求人を探していきましょう。
また、大手企業で働くときの、メリット・デメリット、給与などの待遇面についてよく考え、転職活動を進めることで、よりあなた自身が活躍できる求人に巡り合う近道となります。
大手企業に転職したいと考えているけれど、具体的にやりたい仕事がまだ見つかっていないという方や、大手企業への転職に不安を感じている方は、転職エージェントを利用するというのもひとつの手です。転職後に、後悔するようなことがないように、転職後にどのような働き方をしたいのかを明確にしていきましょう。
工場・製造業に転職をするとき、ほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自分の力だけで求人を探すと、希望の条件を満たす求人を見つける作業のみならず、労働条件や年収の交渉・アポ取りなどさまざまな作業を自分でやらなければなりません。
そこで、転職サイトに登録することで、求人の紹介から労働条件や年収交渉だけでなく、履歴書や職務経歴書などの書類関係を送付するなど面倒な事務作業まで行ってくれます。
ただし、転職サイトによって特徴が違います。例えば「工場・製造業の転職に強い」「全国各地に強いのか、それとも都市部に強いのか」「20代・第二新卒が得意」「40歳以上でも転職を成功させてくれる」などの違いがあります。
転職を成功させるには、これらの違いを理解した上で転職サイトを活用しなければなりません。そこで、以下のページでそれぞれの転職サイトの特徴を解説しています。これらを理解することで、転職での失敗を防ぐことができます。