製造業・工場で働いている人が転職を考えて求人を探そうとするとき、さまざまな転職理由があります。このとき、中には「自分は製造業・工場で働くことに向いてないのは」と考える人がいます。
高卒や大卒を含め、「交代勤務がきつい」「想像よりも大変」「残業が多すぎ」などのような職場の場合、集中力が欠けてミスが増え、仕事に対して自信をなくしてしまいます。
しかし、ネガティブな理由で転職を考えて求人を探すと失敗する可能性が高くなります。
製造業で勤務するとはいっても、「日勤勤務」「残業なし」など大変ではない勤務方法も存在します。ここでは、工場勤務を辞めて転職を考えるときのポイントについて解説していきます。
もくじ
仕事が大変で、きついから製造業を辞めたいと思う理由
製造業の現場で働くとき、生産数(ノルマ)が突然増えたり、親会社やお客さんからの特急依頼があったりすることがあります。
こうした忙しい状況だと、いまの仕事がきつく自分に向いてないのではと思い悩むことはよくあります。このように思ってしまう理由としては、以下のようなものがあります。
- 交代勤務がきつい
- 残業がきつい
- 仕事でのミス
それぞれについて、解説していきます。
夜勤を含め二交代・三交代制など交代制がきつい
工場が16時間や24時間など稼働する工場では、日勤以外にも遅番や夜勤など時間をずらして働かなくてはいけません。
そうした遅番や夜勤などのローテーションがある部署に配属されると、労働時間は1日8時間であっても生活リズムがずれます。昼と夜が真逆になった生活をしなければいけないため、新入社員はもちろん正社員でも辞めたいと思うほど大変な仕事になります。
例えば3直3交代制であれば、以下のようなシフトになります。
このように、3班に分かれてローテーションを組みます。そのため、ある週は日勤であるものの、次の週は深夜勤になり、さらに翌々週は準夜勤になります。このローテーションを繰り返します。
勤務時間の例は以下のようになります。
- 日勤:8:00~17:00
- 準夜勤:16:00~25:00
- 深夜勤:24:00~9:00
さらに、図で表すと以下のようになります。
他には、4直3交代制の場合、以下のようなシフトになります。
このシフトの場合、4班に分かれてローテーションを組みます。工場が休みなしでフル稼働する場合はこのようなシフトになります。こうして「5勤-2休-5勤-1休-5勤-2休」のローテーションを繰り返します。
勤務時間の例は以下のようになります。
- 日勤:8:00~16:00
- 準夜勤:16:00~24:00
- 深夜勤:24:00~8:00
さらに、図で表すと以下のようになります。
このように日勤・準夜勤・深夜勤を繰り返すシフトの場合、休日の1日、2日で体内時計をリセットしなければいけないので、非常に体がきついです。
職場によっては上司に相談して、交代勤務がない部署に変えてもらうことは理論上可能です。ただ、会社自体がそこまで人材の余裕がないので断られることの方が多いです。こうした状況のとき、辞めたいと考えるようになるのです。
毎日残業が多く、体がもたない
製造業・工場の仕事自体は土木作業員ほどの肉体労働ではありません。しかし、一日中立ち仕事のライン作業や意外に重い部品供給があります。部署によっては、溶接や塗装などもやらなければなりません。
こうした軽作業のように思われがちな労働が意外に辛く、残業によって2~3時間も追加でこうした労働をしなければいけないとなると体がもちません。そのため、単純作業であっても長時間、業務を続けていると、足腰だけでなく手や腕も痛くなります。
また、残業で帰りが遅くなると体を休める時間や睡眠時間が短くなります。そうなると、翌日体力が戻らないまま仕事が始まります。これを毎日繰り返すと体が悲鳴を上げます。このような状況が続くと、辞めたいと考えるようになるのです。
仕事でのミスが増え、辛くなる
会社の規則だけでなく現場にはそれぞれの特殊なルールがあります。例えば、以下のようなものです。
- 機械を動かす前に指差し確認
- 保護帽子・防護メガネの着用
- 図面に記載されている、必要事項はレ点チェックする
それらルールや仕事をなかなか覚えられなかったり、失敗やミスをしたりしてしまうと上司や先輩から怒られることがあります。
特に機械などを扱う部署の場合、怪我や命に関わる大変危険な業務を行ったりするため、余計と力が入ります。一瞬でも気を抜いてしまうと機械に挟まれたり、刃物で体の肉を削ってしまうことがあります。
例えば、以下はNC旋盤で実際に加工しているところです。
このように機械が動いているときに誤って手などを入れてしまうと大事故になってしまいます。
また、上司の態度が威圧的だと、気持ちが萎縮してさらにミスが増えます。こうして悪循環に陥ります。その結果、「自分は製造業・工場の仕事が向いてないのでは」と考えてしまうのです。
ただ、ミスを怒る先輩や上司も最初から仕事ができたわけではありません。最初から完璧な人なんていません。製造業・工場の仕事に向いてないのではなく、まだあなた自身の経験が足りないだけだと考えるのが適切です。
会社が嫌になったとき、工場・職場を変える重要性
これらの理由で製造業・工場の仕事に向いていないと考える人は意外に多くいます。ミスが多く続いたことや、体力的にきついなどの理由により、今の職場でやりがいを感じられなくなるのです。
しかし、あなたが製造業・工場の仕事を諦めることはありません。適切な求人を探せば、あなたが今まで学んできたこと、経験してきたことを無駄にせず活かすことができます。
工場の経験があれば、例えばNC旋盤の機械オペレーターという経験があるなら、機械加工の業種であれば誰でも受け入れてくれます。もちろん、仕事の忙しい職場ではなく、ゆったりとした労働環境を実現できます。
重要なのは、今の職場で一生耐え続けるのではありません。「職場があなたに向いてなかっただけ」と考えなければいけません。
日勤だけ(夜勤なし)の工場は意外に多い
まず、夜勤の問題については、日勤だけの工場を選択すれば問題ありません。
ライン工場・量産工場では設備・装置に多大な投資をしているので、少しでも機械の稼働率を上げ生産数を上げたいのです。そのため、従業員に多少の割増賃金を払っても2交代や3交代などのシフト体制を組んでいます。
しかし、検査に関わる仕事だったり、単品加工だったりすると、日勤勤務の仕事が多くあります。
例えば、以下は神奈川県(横浜)にある工場の求人です。日勤のみの会社です。
ステンレス加工に関わる仕事ですが、こうした業界だと製品一つ一つが手作業になるので、通常日勤になります。
その他にも機械加工業のように多品種少生産の工場の場合、一台の機械に一人のオペレーターが就いて段取りから加工までするので日勤の勤務になります。例えば、以下は埼玉の機械加工業から出された中途採用の募集です。
ここの会社のように受注生産でやっている職場はお客さんのニーズに合わせて毎日違うものを加工するのでモノづくりが好きな人には向いています。
また、このような夜勤なしの工場であれば、仕事でのストレスが大幅に少なくなります。
規模や仕事内容を含め、製造業・工場の仕事は同じように見えて全て違います。例えば、同じマシンオペレーターであっても以下のような違いがあります。
- マシニングセンタ:基本的に板状の材料を加工
- NC旋盤:円筒状の材料を加工
- 研削盤:砥石で製品を研削する
下の写真は実際のマシニングセンタですが、これは立型マシニングセンタと言って小・中物の加工に適しています。
削りカス(切り粉)の掃けが悪いので大量生産には向いていませんが、サイズがコンパクトで使い勝手が良いので市場に最も多く出回っています。多品種少生産の工場に向いている機械です。
この機械を利用して様々な板状部品を加工します。例えば「スマートフォンやプリンターなどを作る機械」のさまざまな板状の部品を加工します。
一方で以下はNC旋盤と呼ばれる機械です。
マシニングセンタとは違い円筒状の部品を加工します。例えば、車の部品などで使われるシャフト部品であったり、ベルトを回すときに使われるプーリーと呼ばれる部品などを加工したりします。
会社によって扱う機器類は異なります。その中から、どれか一つあなたに合う求人を見つければ問題ありません。
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残業がない工場の中途採用応募は何があるか
三交代制であれば、日勤8時間・夜勤8時間・深夜8時間で24時間稼働なので、残業がなく時間が来たらすぐ交代するのが基本です。
例えば、以下は新潟県にある容器製造工場から出された三交代制の中途採用の募集です。
この会社は「8時間勤務+1時間休憩=9時間」の3交代制となっています。「15:00~17:00までの2時間」と「8:00~9:00の1時間」が重なる時間になり、この時間に作業の引継ぎやその他の業務行う体制をとっています。
ただ、三交代制がしんどい場合、それ以外で残業のない工場求人は存在するのでしょうか。これについてはいくつも存在します。例えば、生産管理の予定をしっかりしている会社が該当します。
こうした工場であれば、生産管理者が生産予定表を作成し、生産予定表に従って製品を生産するので、一日の生産台数、全体の作業時間、必要な人員数など細かく決められています。そのため、不要な残業がありません。
他には、システム管理が進んでいる会社は生産予定などをシステム化しているので、無駄な人件費を削減するため残業がありません。他には、労働組合がある会社です。労働組合は社員の労働条件をよくする組織なので、社員が苦痛と思うような残業はさせません。
これらに共通しているのは大手企業です。例えば、以下は本社が東京で全国に拠点を持っている大きな会社の中途採用の募集です。
このように大きな会社では、残業がない会社がたくさんあります。
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ノルマがなく、忙しすぎない正社員の職場はあるのか
また大変な職場が嫌な場合、ノルマのない職場を選ぶと最適です。このとき、生産管理・品質管理などの業務であればノルマはありません。
製造現場では一日の生産数(ノルマ)が決められています。この場合、目標の生産数に達するまで帰れません。
しかし生産管理であれば、工場の生産計画を立てたり、在庫管理・工程管理をしたりするのが仕事なのでノルマがありません。また、品質管理は顧客の求める水準を保証し、改善・向上するのが業務なので同様にノルマがありません。
例えば、以下は富山にある工場の生産管理の求人です。
このように、特にノルマは存在しません。ただ管理する仕事になるので、工場での仕事経験がある人を求めることが多いです。
- 忙しすぎない仕事もある
しかし、生産管理・生産技術・品質管理であっても仕事内容が楽なわけではありません。そうした場合、忙しすぎない正社員の求人はあるのでしょうか。これについてはたくさんあります。例えば、検査の仕事です。
検査の業務は「正しい物が正しい数量で来ているか」「傷はないか」などを確認する業務なので、スピードよりも確実さが求められる仕事です。そのため、忙しさはありません。
例えば、以下は栃木県にある航空機の部品を作る工場から出された中途採用の募集です。
簡単な検査と表面の目視検査をする業務です。このような業務の場合、確実さが求められる仕事なので忙しくありません。
工場は危険できつい!安全を確保できる職場を探す
このように工場には多くの職種がありますが、さらに大手企業や中小企業の大きい会社では、マシンオペレーターと設備管理職がわかれています。オペレーターは機械操作だけを行い、トラブルや故障があったときは設備管理職に対応してもらうようになっています。
設備管理職は200Vの電気配線を調整したり、100kgを超えるモーターを交換したり非常に危険な作業が多いです。また、機械を止めている間は商品生産できず、時間が長引くほど損失を出すので上司から煽られながら作業させられます。そうなると、気持ちも焦り的確な作業ができません。
このような、設備管理や設備保全・保守の仕事はきついだけでなく、危険も伴う大変な業務です。この場合、安全を確保しながらも忙しすぎない中途採用の募集はプラントオペレーターです。主に、機械操作を行う仕事になります。
プラントオペレーターであれば、プラント(工場)の機械・装置を画面で監視するのがメインになる仕事なので安全で忙しくありません。
例えば、以下は埼玉にある化学薬品メーカーの中途採用の募集です。
こうした求人だと、週休2日制や残業があまりないです。実際、この募集でも週休2日制で残業ほぼゼロとなっています。探せば、週休二日で残業もなく、忙しくない工場はたくさんあります。
汚い職場を避けるのも重要
このように忙しくない求人はあるものの、同時に衛生面を気にする方も多いと思います。実際、製造工場では粉塵・鉄粉・油汚れがひどいケースがあります。防塵マスクなどをして対策はとっていても健康への影響を考えてしまいます。
このような場合、工場が汚くて辞めたいという人は女性に限らず、男性でもあってたくさんいます。
そのため、製造工場であっても切削油は油性から水溶性に変わってきたり、機械も剥き出しではなく壁で覆うようにしたりと工夫はされています。そのため工場での労働環境について改善はされてきています。
しかし、それでも油や粉塵などが気になることがあります。その場合、機械加工業の工場を避ければ問題ありません。
例えば、以下は茨城県にある食品加工工場の求人です。
工業用油が体に合わない人や汚い工場が嫌な人は、食品加工などの工場であれば衛生的です。クリーンルームのある工場もあります。
他には、以下は茨城県にある半導体を取り扱う会社です。
衛生的な方が良いけどクリーンルームに入るのは少し抵抗があるという方は半導体部品などを取り扱う工場だと衛生的で空調もしっかりしています。
もちろん、他にも取り扱う製品の性質から、内部が衛生的になっている工場求人はいくつもあります。このようにたくさんある職種の中から、自分が本当にやりたいことや適していることを考慮したうえで決めるといいです。
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組み立てやライン作業など、製造業募集は幅広い
このように、製造業・工場にはそれぞれ特徴があります。また、実際に求人を探せば色々な求人がでてきます。
例えば組み立て作業やライン作業のように、一日中立ちっぱなしだと辛いという方であれば、立ち仕事ではなく検査や組立、機械加工で出た不要な突起を取り除く作業(バリ取り)など、座ったままでも作業ができる業務もあります。
実際、製造業の中途採用を探せば座り仕事の求人はいくつも存在します。例えば、以下は山形県の工場の求人です。
仕事内容はガラス製品の目視検査なので、ノギスやマイクロメーターなどの測定器具も使いません。そのため、検査が苦手な方でもおすすめです。
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仕事がきつい場合、転職サイトを利用しよう
このとき、どのように転職すればいいかというと、ほとんどの工場勤務者が転職サイトを活用します。
「日勤のみで土日祝休みの求人を探す」「残業ない製造業を探す」「座ったままでも作業ができる業務を見つけて応募する」など、自ら求人を開拓するのは現実的ではありません。そのため、これらの求人情報を持っている転職サイトを活用するのです。
このとき、いまの職場で何がしんどいと感じているのか事前に明確にしましょう。例えば、「残業時間が多く体がきつい」という悩みを抱えているのであれば、「残業がなく、定時で帰れる工場」へ転職するといいです。
しんどいと感じる原因を取り除くために転職しなければいけません。そうしたうえで転職サイトを活用して求人を探せば、いまのスキルを活かしながらも体がきつくない求人先へ就職できます。
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まとめ
新卒でも経験者でも、自分が製造業に向いていないと考える人はたくさんいます。しかし、これはあなたが製造業に向いていないのではなく、自分にあった職場を選ぶことができなかっただけだといえます。
交代制や残業で規則正しい生活を送れず、毎日頭が放心状態でミスばかりしてしまう悩みを抱えているのであれば、「日勤だけで残業もなく、土日休みの工場」へ転職するようにしましょう。
他にはオペレーターの仕事がいいけど、流れ作業(ラインオペレーター)や町工場のマシンオペレーターはきつくてに向いていないのであれば、「大手企業のマシンオペレーター」「プラントオペレーター」の求人に応募すれば問題ありません。
こうした自己分析をして、転職サイトを活用すれば今までの経験を最大限に発揮できるようになります。
工場・製造業に転職をするとき、ほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自分の力だけで求人を探すと、希望の条件を満たす求人を見つける作業のみならず、労働条件や年収の交渉・アポ取りなどさまざまな作業を自分でやらなければなりません。
そこで、転職サイトに登録することで、求人の紹介から労働条件や年収交渉だけでなく、履歴書や職務経歴書などの書類関係を送付するなど面倒な事務作業まで行ってくれます。
ただし、転職サイトによって特徴が違います。例えば「工場・製造業の転職に強い」「全国各地に強いのか、それとも都市部に強いのか」「20代・第二新卒が得意」「40歳以上でも転職を成功させてくれる」などの違いがあります。
転職を成功させるには、これらの違いを理解した上で転職サイトを活用しなければなりません。そこで、以下のページでそれぞれの転職サイトの特徴を解説しています。これらを理解することで、転職での失敗を防ぐことができます。