工場・製造業へ転職を考える方の中には、企業と従業員が直接契約を結ぶ「直接雇用」という区分で働きたいと考える方がいます。また、間接雇用にあたる派遣社員から直接雇用を目指したいと考えている方もいるでしょう。
直接雇用という区分では、さまざまな雇用形態があり、正社員・契約社員・パート・アルバイトなどに分類されます。働き方改革や生活の多様化により、さまざまな雇用形態が存在しており、工場・製造業の仕事は、業種や職種だけではなく、雇用形態の選択肢も幅広いです。
しかし、「直接雇用ってなに?」「直接雇用のメリット・デメリットは?」「派遣先から直接雇用を打診されてるけど、どうしたらいい?」などと、直接雇用について疑問や不安を感じている方がいます。
そこで今回は、工場・製造業の直接雇用の雇用形態の違いについてや派遣社員との違い、直接雇用のメリット・デメリットについて紹介します。
もくじ
工場・製造業の直接雇用の雇用形態の違い
工場・製造業へ転職するときに、さまざまな雇用形態の求人案件を見かけるのではないでしょうか。正社員・契約社員・期間工・派遣社員・パート・アルバイトなどさまざまな雇用形態があるため、雇用形態を理解しておかないと、理想の働き方ができなくなってしまう可能性があります。
転職してから、「思っていたのとは違う」と不満を抱えてしまうことがないように、工場・製造業での雇用形態の違いについて理解しておくことが大切です。
しっかりと雇用形態を理解したうえで、どの働き方が自分に合った働き方であるのかを考えていきましょう。
ここでは、工場・製造業の直接雇用【正社員】【契約社員・期間工】【パート・アルバイト】の働き方について詳しく紹介していきます。
まず理解しておきたいのが、雇用の区分の直接雇用についてです。直接雇用とは、勤務する企業と労働者の間で直接雇用契約を結び、労働の対価として企業から労働者に給与が支払われる働き方のことです。
直接雇用と聞くと、正社員という雇用形態をイメージする方が多くいますが、正社員だけではなくパート・アルバイト、契約社員・期間工、嘱託(しょくたく)社員も直接雇用となります。
ちなみに、派遣会社を通じて派遣先で派遣社員になっている場合は、直接雇用には含まれません。
直接雇用の正社員
まず、直接雇用の正社員についてです。正社員は、直接雇用の正規雇用にあたります。
正社員における条件は以下の通りです。
- 企業の直接雇用
- 労働の期間の定めがない無期雇用契約で、定年まで働くことができる
- 就業規則に示されている労働時間がフルタイムである
という条件を満たしている労働者のことです。給与は、勤務する企業から支払われます。
例えば、以下は埼玉県のお菓子製造正社員の求人です。
こちらの求人は、直接雇用の正社員の求人です。
こちらのお菓子製造会社と直接契約を結び、正社員として製造業務に携わる直接雇用の仕事になります。採用時の給与は月給20万円ですが、直接雇用の正社員になることで、将来的に昇進したり、昇給したりと収入アップも期待できます。
安心して長く働きたいと考える方にとっては、直接雇用の正社員へ転職するのがおすすめです。
また、工場・製造業では、未経験であっても直接雇用の正社員を募集する求人が数多くありますので、たくさんの選択肢の中からマッチする求人案件を探すことができます。
直接雇用の契約社員・期間工
次に、直接雇用の契約社員・期間工についてです。契約社員・期間工は直接雇用の非正規雇用にあたります。
契約社員・期間工における条件は以下の通りです。
- 企業の直接雇用
- 労働の期間が定められている有期雇用契約
- 就業規則に示されている労働時間が主にフルタイム
という条件を満たしている労働者のことです。
正社員と異なる点は、労働の期間が定められている【有期雇用契約】であるという点です。労働期間が定められている契約ですので、半年~数年ごとに契約更新を続けることで長期的に働くことが可能になります。
例えば、以下は東京都の包装・梱包の契約社員の求人です。
こちらの求人は、直接雇用の契約社員の求人です。契約社員は、正社員と同様の業務をこなすことが多くなっています。
しかし、企業によって契約社員は昇給や賞与の金額が正社員よりも少ないことが多く、長期的にみると給与面や福利厚生で正社員と差が生じてしまうという点がデメリットに感じる部分です。
契約社員という雇用形態では、正社員と待遇面で差が生じたり、期間が定められてるため、「契約更新ができるのか」などと不安や不満に感じたりする方がいるのも事実です。
その一方、契約期間が定まっていることで、さまざまな会社でいろいろな経験をしたいと考える方にとってはメリットにもなります。ようするに、自分自身が納得して働けるのであれば、直接雇用の契約社員もおすすめできる働き方であるというわけです。
なお、工場・製造業では期間工という有期雇用契約の働き方もあります。「契約社員と違うの?」と疑問に方がいますが、契約社員のことを期間工や期間従業員、期間社員などさまざまな名称で呼んでいるだけで、契約社員と基本的には条件は変わりません。
ようするに、メーカーによって契約社員のことを期間工と呼んでいるという形です。自動車メーカーや家電メーカー、電子部品メーカーなどでは契約社員を期間工と呼ぶことが多くなっています。
例えば、以下は神奈川県の期間従業員の求人です。
こちらの求人は、期間従業員として作業を行う求人です。工場・製造業への転職の際に、契約社員という雇用形態で転職先を探したいという方は、転職サイトで期間工と検索すると、契約社員の求人案件がヒットすることがありますので、「期間工」と検索してみてください。
期間工の給料は、月給制・日給制・時給制と企業によってさまざまです。なお、こちらの求人にも「直接雇用ならではの高待遇」と記載がありますが、残業代や深夜手当がついたり、皆勤手当や満了慰労金がでたりと、手当がつく場合があります。
そのため、契約社員であっても、正社員と変わらない年収を得ることが可能になります。「短期間で、しっかりと稼ぎたい」と考える方にとっては、工場・製造業の直接雇用の契約社員・期間工も選択肢のひとつになるでしょう。
直接雇用のパート・アルバイト
つづいて、直接雇用のパート・アルバイトについてです。パート・アルバイトはどちらも直接雇用の非正規雇用にあたります。法律上では、パートとアルバイトの区分はなく、同じ企業の正社員などと比べて一週間の所定労働時間が短い「パートタイム労働者」のことを指します。
働く時間帯や、期間でパートとアルバイトを使い分けている企業があります。なお、一般的なイメージでは、パートと呼ばれるパートタイマーは、主に短時間勤務の主婦層がメインで、昼間や早朝などの時間帯に働くことが多くなっています。
一方、アルバイトは、学生やフリーター、他に本業がある方のイメージです。
例えば、以下は東京都の段ボール製造のアルバイト・パートの求人です。
こちらの求人は、直接雇用のパート・アルバイトの求人で、段ボール製造工場で工場内作業を行う仕事です。パート・アルバイトは、基本的には残業はなく、シフトの時間で業務終了することがほとんどです。しかしながら、工場・製造業では、繁忙期や納期が短い場合など、残業を依頼されることがまれにあります。
具体的に、工場・製造業でのパート・アルバイトの主な仕事は、ライン作業や検品、積み込みで単純作業の仕事が多く、給与は時給制で、働いた時間分給与を得ることができます。
メリットとしては、直接雇用のパート・アルバイトは、休みの相談などがしやすい点が挙げられます。そのため、家事・育児と仕事を両立する主婦や、学生に人気がある働き方です。
直接雇用と派遣社員の違いとは?
一方、派遣社員は間接雇用という区分になります。派遣会社に登録した労働者が派遣会社と労働契約を結び、派遣先の企業で派遣会社のスタッフとして働く形態です。
給与は派遣先の企業からではなく、派遣会社から支払われ、福利厚生も派遣会社のものが適応される点が派遣社員の特徴です。なお、工場・製造業の派遣では、主に組み立てや検品・梱包・ライン作業などの仕事を行います。
直接雇用と派遣の異なる点は、雇用先です。雇用先が働く企業である直接雇用は、長期間企業の従業員として働くことができますが、派遣社員は、働く期間が定められています。なぜかというと、派遣は、3年以上同じ派遣先で働くことができないというルールがあるからです。
また、派遣社員は給与が時給制で、さらに賞与がないケースが多くなっています。給与面では、直接雇用の正社員と比べると差が生まれてしまうことが考えられます。
直接雇用のメリット・デメリット
次に、直接雇用のメリットとデメリットについて紹介します。転職活動を行う時に、最も大切なことは、自分自身が譲れない点を知ることです。
「どういった働き方をしたいのか、どのくらいの収入を得たいのか」などを考え優先したいことがらを明確にしていきましょう。
働き方を見直し、後悔しない転職をするために、直接雇用のメリットとデメリットを理解しておくことが大切です。
直接雇用のメリット
工場・製造業の直接雇用のメリットは、以下4の点です。
- 長期的に安定して働ける
- 福利厚生が手厚い
- 仕事の幅が広がり、やりがいがうまれる
- 休みの相談がしやすい
ここでは、直接雇用のメリットについて紹介します。
- メリット①長期的に安定して働ける
直接雇用の最大のメリットは、なんといっても長期的に安定して働けるという点です。直接雇用の正社員であれば、契約の更新はなく定年まで働くことができます。
直接雇用の正社員は、途中で契約更新がされないのではないかという不安を持たずに働ける点が、メリットであるといえるでしょう。契約社員やパート・アルバイトも、真面目に働いていれば契約更新し長期的に働けるという安心感があります。
- メリット②福利厚生が手厚い
直接雇用では、勤務先の福利厚生を受けられます。工場・製造業では福利厚生が手厚いという特徴があるため、従業員やその家族が福利厚生の恩恵を受けながら、安心して暮らせる環境が整えられています。
福利厚生が充実していることで、働く従業員が定着し、業務の生産性の向上や働く人のモチベーションアップにも繋がるというわけです。
また、直接雇用の正社員であれば、賞与や退職金などもあります。
なお、福利厚生の利用は、正社員だけではなく、契約社員やパート・アルバイトの方も利用することができます。例えば、期間工では寮が完備されていて、寮費が全額補助されるなど、働いている間は、生活費を節約できるため、あまりお金をかけずに生活できるというメリットがあります。
しかし、雇用形態によって福利厚生の内容に差がある企業がありますので確認が必要です。
- メリット③仕事の幅が広がり、やりがいがうまれやすい
直接雇用で正社員になることで、やりたい・やってみたいと考える仕事に携われるなど、チャンスが巡ってくることが多々あります。例えば、海外で働きたいと考える方にとっては、工場・製造業では海外に工場を持っている企業に転職することで、海外勤務がより身近なものになります。
また、自分の頑張り次第で評価され、その結果、キャリアアップにつながったり、給料がアップしたりと、直接雇用だと頑張りが結果に繋がることも多くやりがいがうまれやすくなるでしょう。
- メリット④休みの相談がしやすい
直接雇用であれば、上司に休みの相談がしやすいというのもメリットのひとつです。派遣社員だと、派遣会社と派遣先の両方に連絡をしなければならないですが、直接雇用であれば、急な体調不良でのお休み連絡も上司に電話で伝えられます。
また、事前に申請すれば有給休暇を取得することができます。
直接雇用のデメリット
つづいて、直接雇用のデメリットについてです。
工場・製造業の直接雇用のデメリットは、以下4点です。
- 部署の異動や転勤がある場合がある
- 残業や休日出勤がありプライベートな時間が保たれない
- 必ずしも給与面などの待遇が良くなるわけではない
- 直接雇用でも正社員以外は雇用期間に定めがある
ここでは、直接雇用のデメリットについて紹介します。
- デメリット①部署の異動や転勤がある
直接雇用の正社員で働くと、部署の異動や転勤の可能性があります。異動や転勤は、望まない仕事内容になる場合や新しい人間関係の構築、いままでとは異なる業務内容、家族と離れての生活が生じるなど、さまざまなストレスを感じやすいという点がデメリットになります。
異動や転勤を望まない方にとっては、直接雇用の正社員になることで、異動や転勤のリスクがあるということを知っておく必要があります。
- デメリット②残業や休日出勤がありプライベートな時間が保たれない
直接雇用の正社員と契約社員は原則フルタイムでの勤務となります。そのため、プライベートな時間を保つことが難しくなるという点があります。
また、工場・製造業では繁忙期などの忙しい時期になると残業や休日出勤をして、生産性を保つことがあるため、忙しい毎日にストレスを感じてしまう方がいます。
残業代については、勤務先によって異なりますが、正社員の場合は固定給に残業代が含まれている場合がありますので、転職活動の際は残業代についてや日々の残業時間について、しっかりと確認していきましょう。
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- デメリット③必ずしも給与面などの待遇が良くなるわけではない
派遣社員は、時給制のところが大半で残業はほとんどありません。また、条件がよい企業で働ければ、高い時給で働けるため、直接雇用の正社員で働くよりも高収入を得られる場合があります。
そのため、派遣から直接雇用の社員になったとしても、給与面では待遇が良くなったと思えないような状況になることもあります。
また、直接雇用の正社員で働くことで責任のある仕事や業務負担が増えることが考えられるため、必ずしも派遣から直接雇用になることで待遇が良くなるわけではないという現状がデメリットであるといえるでしょう。
- デメリット④直接雇用でも正社員以外は雇用期間に定めがある
直接雇用といっても、さまざまな雇用形態があります。正社員は、定年まで働くことができますが、直接雇用の契約社員やパート・アルバイトでは、働く期間が限定されている契約を結ぶため、雇用期間に定めがあるというデメリットがあります。
しかし、5年以上同じ企業で継続的に雇用された場合は無期雇用に転換することが可能となるため、真面目に働くことで雇用継続される可能性が高まります。無期雇用になれば、その後も安心して働けます。
直接雇用では、メリットもデメリットどちらも発生してしまいます。そのため、自分自身がどのような働き方がしたいのか、何を優先したいのかを考えることが大切です。
「正社員として働きたい」「さまざまな部署を経験したい」「長く安定した仕事がしたい」などと考える方は、直接雇用での転職をおすすめします。
直接雇用への転職方法
では、工場・製造業の直接雇用で転職したいと考える方は、実際にどのような転職活動をしたらよいのでしょうか。
直接雇用への転職方法として
- 派遣から直接雇用に切り替える
- 直接雇用の転職先を探す
という方法が挙げられます。
派遣から直接雇用に切り替える
いま、派遣で工場・製造業で働いている方は、派遣から直接雇用に切り替えるという方法があります。労働者派遣法では、派遣社員として同じ企業で働ける期間の上限が3年と定められています。いわゆる3年ルールというものです。
3年を超えて派遣社員が同企業の同部署で働きたいと希望する場合や、企業側が派遣社員を直接雇用したいと考える場合には、直接雇用に切り替えできるケースがあります。
しかし、直接雇用になったからといっても正社員として働けるとは限りません。派遣から直接雇用になったときの雇用形態は契約社員の場合がもっとも多くなっています。
そのため、直接雇用への切り替えの話がでたときは、ミスマッチが生じないように雇用形態や、将来的に正社員を目指せる正社員登用制度があるかどうかの確認をしておきましょう。
直接雇用の転職先を探す
工場・製造業の直接雇用で転職を考えている方は、直接雇用の転職先を探すのが近道であるといえるでしょう。なぜなら、工場・製造業では直接雇用の企業が豊富にあり、かつ、未経験者であっても比較的採用されやすい傾向があるからです。
派遣会社に登録して、派遣先で働いて直接雇用を目指すより、手っ取り早く直接雇用で転職をすることが可能です。転職サイトで検索してみると、数多くの直接雇用の求人案件が出てきます。
たくさんの求人案件から、自分自身にマッチした求人案件を探すためには「工場 直接雇用 正社員」「工場 直接雇用 契約社員」などといった雇用形態を入力することで、求人案件を絞ることができます。
例えば、以下は神奈川県の生産設備管理の直接雇用の正社員の求人です。
こちらの求人は、転職サイトの検索欄で「工場 直接雇用 正社員」と入力し、詳細検索の欄で、年収を450万円~に絞って検索をかけています。
直接雇用の正社員の求人はたくさんありますので、より自分の理想に近い年収を得るために、年収も絞って検索してみるのがおすすめです。
このように、工場・製造業の直接雇用の求人案件は数多く存在しています。そのため、「直接雇用は難しそう」などと直接雇用への転職を諦める必要はありません。
まずは、「どのような雇用形態で働きたいのか」「何を一番優先したいのか」をよく考えて、求人案件を探していきましょう。
転職の進め方としては、転職サイトで工場・製造業の求人案件を確認したり、転職エージェントを利用したりとさまざまな方法があります。
転職に不安を感じる方は、アドバイザーが相談に乗ってくれる転職エージェントの利用もおすすめです。
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まとめ
ここまで、工場・製造業の直接雇用で転職したい方に向けて、工場・製造業の直接雇用について紹介してきました。
働き方の区分として、直接雇用と間接雇用があり、直接雇用は、企業と従業員が直接契約して就業する働き方です。正社員だけではなく、契約社員・パート・アルバイトも直接雇用となります。
工場・製造業では、直接雇用の求人案件が豊富です。豊富な求人案件のなかから、より自分自身にマッチした企業に出会うために、直接雇用のメリット・デメリット両方を理解し、優先したい転職条件を明確にしていきましょう。
また、直接雇用への転職は、派遣社員として働いて切り替える方法と、直接雇用の転職先を探す方法がありますが、直接雇用の転職先を探し転職する方が、手間がかからず転職できます。転職先を探すのは、転職サイトや転職エージェントを利用が便利です。
直接雇用での転職について理解を深め、後悔のない転職を目指していきましょう。
工場・製造業に転職をするとき、ほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自分の力だけで求人を探すと、希望の条件を満たす求人を見つける作業のみならず、労働条件や年収の交渉・アポ取りなどさまざまな作業を自分でやらなければなりません。
そこで、転職サイトに登録することで、求人の紹介から労働条件や年収交渉だけでなく、履歴書や職務経歴書などの書類関係を送付するなど面倒な事務作業まで行ってくれます。
ただし、転職サイトによって特徴が違います。例えば「工場・製造業の転職に強い」「全国各地に強いのか、それとも都市部に強いのか」「20代・第二新卒が得意」「40歳以上でも転職を成功させてくれる」などの違いがあります。
転職を成功させるには、これらの違いを理解した上で転職サイトを活用しなければなりません。そこで、以下のページでそれぞれの転職サイトの特徴を解説しています。これらを理解することで、転職での失敗を防ぐことができます。