事務職から工場のアイキャッチ

事務職で働いている方の中には職場環境や人間関係などの不満を抱え、転職を考える人も少なくありません。そのような中、よく見かけるのは製造業などの工場勤務です。

未経験者やブランクのある人、年齢やスキルに自信のない人でも採用が期待できるため、転職先候補として選択肢に挙げる人も多いのです。また、工場なので人間関係のトラブルも少ないです。

しかし、事務職とは全く違う現場作業で働くときに「どんな仕事だろうか?」「体力的に問題はないか?」といった疑問も浮かびます。

この記事では、工場・製造業の仕事内容や面接時に役立つ志望動機など、事務職からの転職で役立つ情報を解説していきたいと思います。

事務から工場・製造業へ!現場の仕事内容を確認

まず、一言で工場・製造業といっても業種や業務は幅広く、求人情報にも多種多様な募集が存在します。そこで、事務職から工場勤務の転職においてまず知っておきたいのは「どういった作業があるのか」といった、仕事内容や業務範囲です。

具体的な作業をイメージして知見を深め、本当に自分のやりたい業務を求人から見つけ出すことが転職における長続きの秘訣といっても過言ではありません。

工場勤務における現場仕事は以下になります。

  • 加工
  • 洗浄
  • 組立・組付け
  • 検査・検品
  • 梱包
  • 出荷

これらの工程に従いそれぞれが現場で作業を行います。

例えば、ほとんどの人にとって身近な存在でもあるスマホやパソコン一つとっても、使用されている様々なパーツから、内蔵されているICチップなどの部品に至るまで、工場での製造過程が各ラインで割り当てられているのです。

食品加工から金属加工までさまざまな加工工程

まず、原材料に手を加えてパーツやユニット(部品)の製造に携わるのが「加工」の主な仕事内容です。金属や鉄鋼の溶接・切断などの大掛かりな業務から、惣菜やお弁当を詰め合わせる食品加工などの単純作業、精密機械のハンダ付けなどの繊細な作業まで、業種によって内容は異なります。そのため、事務職をしていた人でも行える加工工程の仕事を紹介していきます。

  • 簡単な作業が多い食品加工

まず、作業内容が難しくなく割りと早く活躍することが出来る加工業務は食品加工工場などの製造工程です。

例えば、以下は千葉にあるパンを製造する工場の求人です。

事務職から工場の求人1

この求人では、「簡単な作業で未経験でもすぐに活躍できる」となっているので、事務職からの人でも抵抗なく作業が行えます。また、勤務時間も「8:00~17:30」「17:00~22:00」「20:00~翌5:30」「22:30~翌8:00」の中から選べるので自分のライフスタイルに合わせられます。

参考までに、以下はチーズを製造しているところです。

チーズの製造工場

このように食品加工では、衛星面がとても厳しいため「マスク」「帽子」「手袋」などを必ず付けながらの作業になります。

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  • やりがいがある機械加工

次に金属加工の業務があります。金属加工では食品加工のように「すぐに出来る」というよりは、「やりがい」や「長い目で見たとき」に向いている仕事になります。

例えば、以下は埼玉にある金属加工業の求人です。

事務職から工場の求人2

この会社では、スマホやテレビの部品をNC旋盤という機械で加工しています。NCとはNumerical Control(ニューメリカル・コントロール)の略称であり、数値制御という意味があります。

どういうことかというと、GコードとMコードというコードを使用して、英字と数字の組み合わせでプログラムを組みます。そのプログラムを機械に読み込ませると機械がプログラム通りに動くようになっています。少し言葉ではわかりづらいので写真で解説していきます。

まず、以下がNC旋盤という機械です。

NC旋盤という機械

そして、以下がGコードと呼ばれるプログラムになります。

Gコードのプログラム画面

このように、英語と数字を組み合わせて「機械をどのように動かしたいのか」を入力します。

そして、以下が実際にプログラムで機械が動いている状態です。

加工中のNC旋盤

材料を高速回転させて専用の刃物を押し当てて金属を削ります(旋盤加工)。

そして、以下が出来上がった製品になります。

NC旋盤の製品

刃物で削ることによって精度の高いものになります。また、光沢もでてキレイに仕上がります。

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製品をキレイにする洗浄工程

次に洗浄の工程があります。洗浄工程では、加工するときにつく油や切粉(切りくず)などが製品につくため加工した製品を洗浄してキレイにする作業を行います。

加工作業と異なり難しい業務ではないため、手先があまり器用でない方や勉強が苦手な方でも問題なく行える業務になります。

例えば、以下は千葉にある工場の求人です。

事務職から工場の求人3

この工場では、洗浄の他に組立や検査・梱包作業も行いますが「カンタン作業」になっているので難しい作業はなく誰でもできます。また、「重量物はありません」なので女性でも問題なく行えます。

大量生産品の組立・組付けはライン作業

他には組み立ての作業があります。時計やスマホなど小さな製品の組み付けから自動車や大型機械のボルト締めをする作業などです。その他に、繊維の縫い合わせを行う作業も組付け工程に分類されます。

また、「組立て・組付け」の工程では、ベルトコンベアーで運ばれてくる部品を組み立て、次の工程に回す方式(ライン生産方式:俗に言うライン作業)を採用しているところが多くあります。

例えば、以下は千葉にある電子機器を製造する工場の求人です。

事務職から工場の求人4

この工場求人では、ベルトコンベアーから流れてくる小さな電子部品について、電動工具を使用して固定していく作業になります。

このようなライン作業は、同じことの繰り返しになるため、もくもくと作業するのが得意な人に向いています。反対に繰り返す作業が苦手な人やスキルを身に付けたい人には向いてない工程といえるでしょう。

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集中力や正確性が必要な検査・検品

そして、加工や組立を経て、出来上がった製品にキズやムラなどが無いか、また異物の混入などを確認する工程を「検査・検品」といいます。

目視による「目視検査」や、機械と目視で変色などの確認をする「外観検査」、顕微鏡や専用の機材を使用して「寸法測定」を行うのも検査の仕事になります。製品のバラツキを無くすための作業工程になり、特に集中力や正確性が求められます。

例えば、以下は千葉にある調味料を製造する工場の求人です。

事務職から工場の求人5

この工場では、製品の外観やラベルに不具合がないかを目視で検査する「目視検査」になります。検査業務になるので正確性は必要になりますが作業自体は難しくないので、事務職しか経験のない人でも問題なく行える仕事になります。

梱包・仕分け・ピッキングなどの軽作業

次に製品を緩衝材(プチプチなど)で包んだり、ダンボールで梱包する作業の「梱包作業」、指定の製品や部品を発送先に分別する「仕分け作業」、発注する品物をピックアップする「ピッキング作業」などの軽作業に分類される仕事があります。また、企業や求人募集によっては一連の工程を”軽作業”として募集していることがあります。

例えば、以下は神奈川にある自動車部品を取り扱う工場の求人です。

事務職から工場の求人6

この工場では、「梱包」「仕分け」「検品」「ピッキング」の作業になります。また、ピッキングの作業では人の手で行う工場と機械が自動で行う工場があるので、労働力が大きく変わる場合があります。そのため、詳しい内容は転職サイトの担当者や工場に直接連絡して確認する必要があるます。

事務職から工場・製造業の現場へ転職する注意点は

ここまで読むと単純作業からハードな仕事まで、工場・製造業の勤務にも様々な業務があることが何となくイメージできたと思います。

では実際に、事務職から工場・製造業に転職するにはどういった作業内容と条件を重視して仕事を選択すれば良いのでしょうか。注意するポイントは主に以下の3つになります。

  • 体力的な問題
  • 勤務時間の問題
  • 給料の時間の問題

それぞれどのような点を見て職場探しをすれば良いのかを見てみましょう。

体力面でなるべく負担の少ない業種・業務を選択する

事務職は基本的にデスクワークになるため、ほぼ一日座ったままの仕事になります。そのため工場へ転職するときに体力面が気になります。多くの人が工場をイメージするとき「立ったまま、ベルトコンベアーから流れてくる製品を組み立てる」ような光景を想像するからです。

実際ライン作業では、基本的に立ったままの作業になります。また、加工や洗浄・大きな製品の組立作業なども立ち仕事になります。しかし、小さな製品の組立や検査などの作業は座り作業になる場合が多いです。

例えば、以下は神奈川にある非鉄金属メーカー の求人です。

事務職から工場の求人7

この工場では、基本的に座っていかを繰り返す作業になります。

  1. 小型の製品サンプルを検査機にセット
  2. 機械が自動で検査・調整
  3. 検査結果のデータ入力

このような業務であれば、体力的に自信がない方でも問題なく行えます。

「交代制」「シフト制」は不規則なリズム

次に注意しなければいけないのが勤務時間です。事務職は基本、昼間に仕事をして、残業が無い限りは勤務時間帯にあまり変化はありません。しかし、工場勤務では日勤だけではなく、準夜勤や夜勤などローテーションを組み、勤務時間をシフトさせるシステムを採用している場合があります。一般的にいう「交代制」や「シフト制」のことです。

夜勤や深夜などは給料が良いため、魅力的な求人に見えます。ただ、今までと生活リズムがズレてしまうので慎重に考えなくてはいけません。

例えば、以下は東京にある精密部品加工業の求人です。

事務職から工場の求人8

この工場では、医療機器等の精密部品加工を日勤「8:30~17:15」と夜勤「20:00~翌5:00」の2交代に分けて行っています。そして、給料が日勤の業務では18万円なのに対し、夜勤では24万円と6万円の差があるのがわかります。

そのため、労働時間に差がないので生活リズムの調整に自信がある人であれば夜勤勤務をおすすめします。

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事務職と給料形態が違うので「楽すぎる仕事」は注意!

そして、もう一つ注意しなければいけないのが給料形態に関してです。求人票に書かれている「簡単な作業」「日勤のみの業務」などの楽そうな求人には落とし穴があります。これは事務職と最も違うポイントとして、工場勤務では「基本給に加えて様々な手当が存在する」からです。

例えば、深夜勤務や休日出勤・残業など時間外手当が多ければ多いほど、給料に反映されて収入の額に差が出ます。逆にいえば「残業なし」「深夜勤務なし」といった工場を選ぶと、必然的に給料を稼ぎにくいシステムになります。

プライベートを考慮しながら、ある程度は労働時間を譲歩することも収入アップをするために大切になってきます。

参考までに以下は転職サイトで搭載されている事務職の平均月収・年収です。

事務職の平均月収・年収

そして、以下が製造業(重工業除く)の平均月収・年収です。

製造業の平均月収・年収

このように、事務職と製造業の平均給料を見てみると1万円程度の違いで大きな差はないことが分かります。しかし、残業や深夜業務を行うことによって給料に差が出てきます。

例えば、以下は千葉にあるガラス工場の求人です。

事務職から工場の求人9

この工場の「組立て・検査」の月給は191,500円になっています。しかし、給料例として「残業月間30時間平均」で254,000円になっています。残業をすることによって62,500円プラスされることになります。

また、この工場のように、休日が「土・日・祝日休み」で年間休日「118日」の場合に、月30時間平均の残業だと一日どのくらい働くことになるかというと以下のようになります。

一ヶ月の平均休日数

  • 118日÷12ヶ月=9.8333日(約10日)

一ヶ月の出勤数

  • 31日-10日=21日

一ヶ日の残業時間数

  • 30時間÷21日=1.43時間(約1時間26分)

このように、年間休日118日だと一ヶ月の「休日が約10日」で「出勤数が21日」になり、一日の平均残業時間が約1時間26分になることが分かります。

つまり、一日1時間30分(残業時間は1分刻みではなく、15分や30分刻みのところが多いため)の残業することによって、基本給に62,500円がプラスされた給料になります。

面接でPRしたい志望動機は?退職理由は?

ここまでの内容で事務職と工場勤務の業務は仕事内容だけでなく、給料スタイルや勤務体制などに大きいな違いがあることが分かったと思います。

そうしたとき、面接時で困ってしまうのはやはり志望動機です。「なぜこの仕事に着こうと思ったのか?」「前職での退職理由は?」といった志望動機は面接官の最も気になるところではないでしょうか。

事務作業から現場作業への共通点をピックアップ

そこで、全く異なる業種の製造業と事務職ですが、転職したい工場の勤務内容に合わせて自分が経験してきたこととの共通点を考える必要があります。

例えば、工場・製造業の細かな作業なら、データ入力や書類整理で培った「集中力」が共通点になります。また、体力仕事ならプライベートでのトレーニングに話題をフォーカスすれば共通点が生まれます。

他には、工場・製造業の多くの現場で部署ごとに分かれたり、チームを組んだりして作業を行うため、いくら単純作業の職場であっても最低限のコミュニケーション能力は必要になります。そのため、コミュニケーション能力から共通点を探すのもいいです。

ネガティブな退職理由はNG

また転職となると、面接官が知りたいのは事務職を辞めることになった「退職理由」です。

例えば、退職理由がサービス残業なら、「サービス残業が続いてプライベートの時間が取れない」では、人事の方に「当社でも多少の残業はあるので、すぐに辞めてしまうのではないか」「改善のための努力はされたのか」などと思われてしまいます。

そのため、サービス残業が理由の場合は次のように伝えるとよいでしょう。

同僚の退職により、それまで4人で行っていた業務を3人で行うことになり、遅くまでの残業や休日出勤を強いられました。業務の効率化を図る一方で人員の補充を伝えましたが、実現せず退職を考えました。

このように、問題点を改善するために努力したことや提案したことを伝えることにより、退職はやむを得ないことだと思われます。

他には、「人間関係がうまくいかなかった」「給料が安すぎた」などの退職理由の場合、いくら自分の正当性を伝えても、「同じことが起こる可能性がある」「ストレートすぎる」などの悪いイメージ与えてしまいます。そのため、退職理由をそのまま伝えられない場合は以下のように伝えるとよいでしょう。

事務の仕事では、入金処理やファイリング・データ入力のみの業務でした。もっと専門性の高い仕事を出願しましたが、実現が難しく退職を考えました。

このように、退職理由を直接書くのではなく人事が客観的に聞いて納得できる理由を言うと良いです。

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まとめ

ここまで事務職から工場・製造業への転職で役立つ情報を解説してきました。ポイントとしては、まず工場・製造業にはどのような仕事があるか知識を深め、その中から自分のやりたいことを探すのが長続きの秘訣になります。

このとき、注意点としては、「体力」「勤務時間」「給料」が事務職と異なるので、それぞれ自分に合ったものを優先させることで、入社後イメージと違う状態を避けられます。

また、異業種への転職になるため面接時の志望動機は共通点をピックアップし、退職理由はしっかりとした理由付けを考える必要があります。

このように事務職から工場・製造業への転職といっても、ポイントさえ押さえればそこまで難しくありません。むしろ事務で培ってきた細かな作業が生かされることも多々あるため、こうしたポイントを理解したうえで転職活動をしましょう。


工場・製造業に転職をするとき、ほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自分の力だけで求人を探すと、希望の条件を満たす求人を見つける作業のみならず、労働条件や年収の交渉・アポ取りなどさまざまな作業を自分でやらなければなりません。

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