製造業・工場の業種は多岐にわたりますが、その中でもダンボール・包装資材業界は重要な産業の一つです。段ボールは野菜や加工食品を筆頭に、様々な業種で利用されています。また、通販や宅配用でも段ボールを使用されることが多いです。
加えて段ボールは古紙をリサイクルしてできているため、環境にも優しいです。機能的でコストも安く、環境への配慮もできる包装資材として、広い分野で使われています。
安定した需要が見込めるので、段ボール工場への転職を検討する人がいます。しかし、段ボール工場に関する仕事内容や給料の情報が少ないため、転職に踏み切れない人もいます。
そこで、この記事では段ボール工場への転職を目指す際に、知っておきたい情報を解説します。
もくじ
段ボール工場の仕事内容は3つに分類される
まずは段ボール工場の仕事内容を理解し、自分がどの工程に携わりたいかを見極めるのが大切です。段ボール工場の製造工程は、大きく分けるとマシンオペレーター・検品・出荷の3つに分類されます。
機械を操作して、製品素材の準備や加工を行います。
できあがってきた製品が規格を満たしているかどうか、品質をチェックします。
完成した製品を出荷用に準備し、輸送しやすい位置に運搬します。 |
段ボール工場では、これらの工程に分かれて業務を行います。それぞれの工程のうち、資格の有無が関係する業務があるので、以下で説明していきます。
フォークリフトの資格があると出荷工程で有利
まず、段ボール工場への転職を目指す場合、フォークリフトの資格があると有利です。フォークリフトとは、工場での運搬作業に使われる車両です。重い荷物を持ち上げつつ走行し、効率よく移動させ、トラックやコンテナに積み込むことができます。そのため、主にフォークリフトを使う作業は出荷工程になります。
フォークリフトを使う出荷工程の仕事内容は、主に以下の2つです。
- 荷物をトラックに積み下ろしする。
- できあがった製品を所定の位置に移動させる。
出荷作業では、パレットと呼ばれる出荷用の台に製品を乗せ、パレットの穴にフォークリフトのフォークを差し込んで移動します。パレットに製品を準備するのは、別の人の担当であることが多いです。製品が乗せられたパレットを、トラックに積み下ろしするのが主な仕事になります。
ちなみに以下が実際のフォークリフトとパレットの写真です。
フォークリフトの免許は主に出荷の業務で資格が活きることが多いです。また、工場によってはフォークリフトの資格が必須に場合もあるので求人票の必要な資格の欄を確認するようにしましょう。
例えば以下は埼玉にある段ボール製造工場の求人です。
この求人では、段ボール工場でのフォークリフトの作業がメインになるため「要フォークリフトのの免許」になっています。工場によっては他の工程でもフォークリフトの操作が必要になることがあるので、フォークリフトの資格は持っていると非常に有利だと言えます。
また、フォークリフトの免許を取る際、安全の講習を受ける必要があるため、「安全意識を持っている」というアピールにも繋がります。
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転職後にフォークリフトの免許を取得する方法
フォークリフトの運転は免許が無ければ乗れません。そのため、色々な場面でフォークリフトを使用する段ボール工場では、必須資格の中にフォークリフトの免許が入っていることがあります。
しかし、段ボール工場の求人でフォークリフトの免許が無くてもよい求人が存在します。これは、会社が「資格取得支援」を行っているためであり、入社後に工場に通いながら資格が取れて、さらに会社が免許の費用を負担してくれる制度です。
例えば、以下は千葉にある段ボール工場の求人です。
このように、資格取得支援(フォークリフト、他)になっているので、フォークリフトの資格がなくても問題なく応募できます。
またフォークリフトの作業は、運転操作が好きな人に向いています。物を運ぶ仕事なので重労働と思われがちですが、工場によってはフォークリフトによる積み下ろしがほとんどの場合もあるため、女性や力に自信がない人でも可能です。
未経験者はマシンオペレーターが狙い目
一方で、工場勤務未経験の人はどうでしょうか。段ボール工場で「未経験歓迎」という求人は数多く存在します。マシンオペレーターというと難しいイメージを持たれると思いますが、機械操作は難しい作業ではなく、同じ作業を繰り返すことが多いため、未経験からでもはじめやすいです。また、研修などがあるので、安心して取り組めます。
参考までに、マシンオペレーター業務では、主に以下の工程に携わることが多いです。
・貼合
古紙リサイクルによって生まれた段ボール原紙について、段ボールシートに加工する工程です。でこぼこの波形に成形した中しんにのりを付け、平らな段ボール原紙で上下からはさみ、貼り合わせます。
写真で説明すると以下のようになります。
また、段ボールの波形部分の異常を検知する段不良検知器や、貼り合わせ作業に適した温度を保つための温度管理システムなどの機器を担当します。
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・印刷
次に印刷工程では、できあがった段ボールシートに商品名やイラストを印刷します。印刷時の段ボールシートに曲がりがないか、給紙タイミングはどうかを検査します。
例えば、以下の段ボールに印刷されているのは全て印刷工程で印字されたものです。
・製函(セイカン)
次に製函工程があります。製函とは、段ボールを成形して段ボール箱を作ることです。デザインが印刷された段ボールシートに切り込みを入れ、型抜きします。場合によってはのり付けも行い、結束機で束ねてひもを掛け、パレットに積みます。
また、型抜き工程では、製品ごとに合った型を使って段ボールを打ち抜きます。型を交換する際にちょっとしたずれがあると、製品の仕上がりに影響が出るため、丁寧に行う必要があります。
これらの工程では、簡単な機械操作がメインになるオペレーター業務になるため、資格や経験が無くても問題なく応募できます。
例えば、以下は神奈川にある段ボール工場の求人です。
このように、段ボールシートの製造要員(機械オペレーター及び付帯作業全般)の求人で、経験不問・製造未経験者大歓迎になっています。
段ボール工場の仕事はきつい?楽?
一方できつい作業はあるのでしょうか。検品・梱包・パレット積み等の作業は基本的に手作業になるため重労働になります。
また、段ボールをカットするときにほこりっぽかったり、紙くずが舞っていたりするので鼻詰まりや鼻炎などを引き起こす原因になります。
このような作業場ではきついと感じる方もいるかもしれません。そのような環境がきついと感じる人は、軽作業を選ぶのがよいでしょう。
きついのが嫌な人は軽作業がある
では、段ボール工場で軽作業はあるのでしょうか。軽作業は、比較的体力を必要としない作業です。このとき、段ボール工場での軽作業には洗浄作業があります。
段ボールに商品名やイラストを印刷する際に使う印版を洗い、管理する棚に戻す作業があります。これが洗浄工程です。印版は大量の数があり、1日に数百の印版を使うこともあります。しかし、印版は樹脂製で軽く洗浄も機械が行ってくれるため軽作業になります。
例えば、以下は愛知にある段ボール工場の求人が軽作業にあたります。
このような洗浄業務は、洗浄機や乾燥機への出し入れが中心なので、比較的作業しやすい環境で取り組めるでしょう。また、軽作業になるため資格や経験は不問になります。
工場見学を活用し、働ける現場かどうかを確認する
とはいえ、実際に見てみないと不安に思う人がいます。その場合、段ボール工場で実施している工場見学を活用して実際の作業風景を見ることで、きついか判断するとよいでしょう。
例えば、以下は埼玉にある「転職前に工場見学ができる段ボール工場」の求人です。
このように職場見学があるところで見学をすれば、職場の雰囲気や働いている人の様子が分かります。そうすることで「事前に聞いていた仕事内容と異なる」といったトラブルを避けられるため、不安な人は工場見学を活用しましょう。
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年収を上げたいなら夜勤がおすすめ
一方で、段ボール工場で働く際の給料も気になるところです。工場や業務内容によって異なりますが、段ボール工場の月収は17~25万円が目安と考えておくとよいでしょう。ちなみに製造業で25~29歳の平均月収が23万円になるので、おおよそ平均であるといえます。
しかし、少しでも給料を上げたいという人がいます。その場合、工場によっては残業が発生する場合もありますが、会社が残業を許可しなくては残業をすることができません。そのため、残業で安定的に給料を上げるというのは難しいです。
そこで、年収を上げたいなら深夜手当のつく夜勤勤務がある求人に応募するのがよいでしょう。例えば、以下は神奈川にある段ボール製造工場の求人になります。
この工場では、夜勤手当が22~翌5時までの労働に対して深夜割増賃金が30%になっています。さらに、夜勤一回につき交代勤務手当が1500円支給されます。
月10回の夜勤を行ったときと、比較すると以下のようになります。
日勤 | 夜勤 | |
基本給 | 17万1480円 | 17万1480円 |
深夜手当 | なし | 1万8960円 |
交代勤務手当 | なし | 1万5000円 |
合計 | 17万1480円 | 20万5440円 |
このように、同じ労働時間にも関らず一月で3万3960円も高い給料を貰えることになります。そのため、少しでも多く稼いで年収アップにつなげたい人は、深夜手当のある夜勤を狙いましょう。
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段ボール工場に応募する時の志望動機
それでは、実際に段ボール工場に転職を希望する場合どのような志望動機にすればよいのでしょうか。これについては、まずはあなたがどの工程に転職したいかを明確にする必要があります。
・マシンオペレーターに転職したい場合の志望動機
まず、段ボール工場のマシンオペレーターに応募する際は、以下の3点を志望動機としてアピールするのがおすすめです。
- 粘り強く取り組む力
段ボール工場での業務は、同じ作業の繰り返しが多いため、何事にも粘り強く取り組める人が向いています。今までに根気よく作業した経験を伝えましょう。
- 体力があり、長く勤められる
求人募集をしている会社は、長く勤めてくれる人材を探しています。健康で体力があると伝え、毎日の業務をしっかりこなしながら長期間働けることをアピールしましょう。運動経験を話すのもおすすめです。
- ものづくりが好き
段ボールを作り出す仕事なので、「ものづくりが好き」というのはアピールポイントになります。好きなことは熱意を持って取り組みやすいので、「段ボールを作りたい」という気持ちをしっかり伝えてください。
これらを織り交ぜながら志望動機を作ると以下のようになります。
私は小さい頃から、モノづくりが大好きでした。そのため高校では工業高校に進学しました。そこで機械科を専攻し、機械に触れる機会が増えて機械に興味をもつようになりました。 また、前職では食品工場の盛り付けラインで働いていました。そこでは、同じ作業を繰り返し行っていたので何事にも粘り強く取り組むことができます。一日も早く技術を学び御社に微力ながら貢献したいと考えています。 |
このように、「ものづくりが好き」「粘り強い」「体力に自信がある」などを伝えると好印象を持たれます。
また、段ボール工場は未経験歓迎なので、今までの職歴や経験にとらわれる必要はありません。面接では丁寧に受け答えをしながら、仕事への熱意を伝えましょう。
・フォークリフトを動かす出荷工程に転職した場合の志望動機
次に、段ボール工場の出荷工程に応募する際は、以下の3点を志望動機としてアピールするのがおすすめです。
- 運転が好き
フォークリフトを一日中運転する仕事になるため、「運転が好き」というのはアピールポイントになります。好きなことは熱意を持って取り組みやすいので、「フォークリフトを運転したい」という気持ちをしっかり伝えてください。
- 長時間の運転が苦にならない
長時間運転をしていると腰が痛くなったり飽きてしまったりするので、長時間の運転が苦にならないことを伝えましょう。そうすることで、フォークリフトの業務に向いていることへのアピールに繋がります。
- 転職先の段ボール工場に対してどう貢献できるか
自分が転職先の段ボール工場に対して何ができるかをいうことで、転職先の会社にどのようなメリットがあるかを伝えましょう。
フォークリフトは運転する業務になるので「ものづくりが好き」ではなく「運転が好き」になります。これらを織り交ぜながら志望動機を作ると以下のようになります。
私は小さい頃から、乗り物が好きでした。そのため前職では運送会社で働いていました。そこで、一日中運転をしていたので、長時間の運転と運転技術には自信があります。 また、前の会社でもフォークリフトを使う業務があったので免許はそのときに取得しました。一日も早く技術を学び御社に微力ながら貢献したいと考えています。 |
このように、「運転が好き」「長時間の運転が苦にならない」「転職先の段ボール工場に対してどう貢献できるか」などを伝えるとフォークリフトの仕事に向いていると思われます。
また、前職でもフォークリフトを使っていたというアピールで即戦力になると印象を与えることができます。
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まとめ
ここまで、段ボール製造工場の仕事内容や給料について説明してきました。段ボール工場への転職を目指すなら、まずは段ボール工場の仕事内容を理解し、自分がどの工程に携わりたいかを見極めるのが大切です。
出荷の業務はフォークリフトの資格が必要ですが、マシンオペレーターや検品は資格なし・未経験歓迎の求人が多いです。マシンオペレーターの機械操作は難しくないので、未経験からでも安心して取り組めます。
またきついのが不安な人は、軽作業を募集している求人を探すか、工場見学に行くのがよいでしょう。
転職後に「自分のイメージした働き方ではなかった」という失敗を避けるため、転職活動中に勤務内容を確認し、自分に合った働き方かどうかを判断しましょう。これにより、優れた段ボール工場の求人を見つけられます。
工場・製造業に転職をするとき、ほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自分の力だけで求人を探すと、希望の条件を満たす求人を見つける作業のみならず、労働条件や年収の交渉・アポ取りなどさまざまな作業を自分でやらなければなりません。
そこで、転職サイトに登録することで、求人の紹介から労働条件や年収交渉だけでなく、履歴書や職務経歴書などの書類関係を送付するなど面倒な事務作業まで行ってくれます。
ただし、転職サイトによって特徴が違います。例えば「工場・製造業の転職に強い」「全国各地に強いのか、それとも都市部に強いのか」「20代・第二新卒が得意」「40歳以上でも転職を成功させてくれる」などの違いがあります。
転職を成功させるには、これらの違いを理解した上で転職サイトを活用しなければなりません。そこで、以下のページでそれぞれの転職サイトの特徴を解説しています。これらを理解することで、転職での失敗を防ぐことができます。