工場・製造業の事務職へ転職を考える方の中には、「オフィスワークがしたい」「未経験者だけど事務の仕事がしたい」「ライフワークバランス重視」などと考えて転職活動を進めている方がいます。
しかし、事務職は年齢や性別問わず大変人気の職種で、一度働き始めたら離職する人が少ない職種です。そのため、工場・製造業の事務職への転職は、転職目的を明確にし、あなたが活躍できる求人案件を探していく必要があります。
そこでここでは、工場・製造業の事務職へ転職する際に知っておきたい仕事内容や、必要なスキル・資格・事務職のメリット、さらには給与や年収について紹介します。
また、転職活動をするときに必要となる志望動機の書き方についても解説していきます。
もくじ
工場・製造業の事務職の仕事内容とは
まず、工場・製造業の事務所の仕事内容についてです。そもそも事務職というのは、他の社員が円滑に仕事を進めるために、こまごまとした事務仕事を担っています。いわば、会社の縁の下の力持ちともいえる存在です。
工場・製造業の事務職はさまざまな種類があり、一般企業と同様にデータ入力や電話対応などの【一般事務・受付】と【総務・経理・人事事務】と【営業事務】があります。
工場内で事務仕事を行うことが多いことから、一般企業とは事務仕事の内容が異なるのではないかとイメージする方もいますが、一般企業の事務職と変わりありません。
あえて比較するならば、一般企業の事務と大きく異なる点は、接客をすることがほとんどないという点です。一般企業の事務職は、来客対応がありますが、直接工場にお客様が来ることがほとんどないため、来客対応をすることがありません。来客があったとしても、基本的には取引先の方か業者の方です。
また、工場・製造業の事務職は一般企業と異なり男性や外国籍の方が多いのでは?と感じる方がいますが、工場・製造業の事務職も一般企業の事務職と変わらずに女性の比率が高くなっています。
工場内にオフィスがある工場・製造業の事務職の仕事内容について、イメージが湧かないという方に向けて、ここでは、工場・製造業の事務職の【一般事務・受付】【総務・経理・人事事務】【営業事務】に分けて説明していきます。
一般事務・受付
まず、工場・製造業の一般事務・受付についてです。求人案件を見てみると、工場・製造業でも一般事務の求人が多数あります。
工場・製造業といっても企業ごとに製造しているものが違うので、事務職の仕事内容が異なる点もありますが、一般事務の仕事内容は大差ありません。
工場・製造業の一般事務・受付の具体的な仕事内容は以下になります。
- データ入力(勤怠実績等)
- 伝票処理
- 郵便物の仕分け
- 電話・受付対応
- 在籍スタッフの入社管理、制服、健康診断の手配
- 書類作成・在庫管理
などがあります。
例えば、以下は、埼玉県のお菓子・パンの製造工場での事務職の求人です。
こちらの求人は、大手パンメーカーの事務職の求人案件です。仕事内容はパソコンを使用して、在庫管理やデータ入力を行う仕事と、原材料の発注及び納入品の検品作業、原料の開封作業となっています。
なお、原料の発注および納入品の検品作業では原料を運ぶ作業があるため、ずっとデスクの前でデータ入力をするだけはありません。事務職の仕事内容に体を動かす作業があることは、工場・製造業ならではの事務の仕事内容ともいえるでしょう。
また、工場・製造業では資材発注などの生産管理に関する事務も事務職の主な仕事内容となります。
例えば、以下は、神奈川県の資材発注メインの事務職の求人です。
こちらの求人は、自動機器メーカーの事務業務の求人です。仕事内容は、協力会社への資材発注をメインとした事務業務となっています。
こうした資材発注や、データ入力などを事務職員が担うことで、現場で働く方たちがスムーズに仕事に取り組めます。
工場・製造業の一般事務は、製造ラインがトラブルなく生産を続けられるように製造現場で必要なデータや情報を把握したり、チェックしたりしていきます。工場・製造業の一般事務は、現場に気を配ることも重要な仕事のひとつです。
総務・経理・人事事務
次に、総務・経理・人事事務についてです。総務は、会社全体がスムーズに機能するように多様な仕事を担います。こまごまとした事務作業から、運営のサポートまでも行う仕事です。企業によっては、労務や社会保険事務などを行うこともあります。
経理は、会社のお金の管理を担います。日次業務・月次業務・年次業務とあり、会社のお金に関して日々の入出金を管理し帳簿付けし、月次や年次の業績や財政状況の確認などを行います。
人事事務は、従業員の採用、退職など人事管理を担います。従業員の採用・配置・昇進・異動・退職などの事務手続きを行い、人材教育のための研修などを企画するのも人事事務の仕事です。
なお、企業によって、総務・経理・人事事務を分けている場合と統轄している場合とさまざまです。そのため、ひとつの部署がすべてを担う場合もあり、業務範囲に差があります。
例えば、以下は、神奈川県の印刷企業の事務職の求人です。
こちらの求人では、総務・人事・経理・一般事務の募集で仕事内容は工場総務業務全般となっています。このように、企業によっては、総務・人事・経理・一般事務と広範囲にわたって「総務」となる場合もあります。
工場・製造業の事務職へ転職を考えている方のなかには、「工場で経理の仕事がしたい」「製造業の人事事務の仕事がしたい」と具体的な事務業務内容が定まっている方がいます。
そういった方の場合は、転職サイトで求人案件の検索をするときに「工場 製造業 経理事務」「工場 製造業 人事事務」など、具体的なキーワードを入力して検索をしていきましょう。
営業事務がある工場
つづいて、営業事務についてです。工場・製造業の営業事務は、営業職のサポートを行う仕事です。営業に関する事務作業に関わり、自社の製品を営業職の方たちがより多く売れるように、見積書・契約書・発注書・納品書・請求書等の書類作成やデータ入力などのサポートしていきます。
営業事務は、成果が売り上げとして数値に反映されるため、やりがいに繋がる点が魅力です。さらに、営業職の方が外回りをしていて、席を外している場合などには、営業事務がお客様の電話・メール対応を行います。ときには、工場や事務所で工場長や所長のサポートに回ることもあります。
例えば、以下は、乳製品・スイーツ製造業の営業事務の求人です。
こちらの求人では、営業事務を募集しています。具体的な仕事内容は、営業さんのサポートや電話・メールでの顧客対応、資料作成、取引先との発注業務などとなっています。
また、月給は26万円以上となっています。求人ボックス給料ナビによると、一般事務の平均年収は約319万円です。一方、営業事務は平均年収は359万円となっており、企業にもよりますが、営業事務のほうが一般事務よりも求められるスキルが高いため、営業事務のほうが高収入を得られます。
以上のことから、工場・製造業の事務職といってもさまざまあることがわかります。携わる仕事は、企業や部署によって異なり、事務職であっても自社の製品に関する専門知識が必要となる分野もあれば、海外工場を持つ企業では、海外とのやり取りが発生することも考えられます。
さらには、工場・製造業の事務職は、トラブル発生時に臨機応変な対応を求められます。製品の生産計画が急に変更となる場合や、予期せぬトラブルが発生し、迅速な対応をしなければならなくなるなど、イレギュラーな対応をすることもあります。
製造業の事務職で必要なスキル・資格はあるのか
では、工場・製造業の事務職に転職するときに必要なスキルや資格はあるのでしょうか。実は、工場・製造業の事務職は、未経験・無資格でも歓迎されており、問題ないことがほとんどです。
しかし、事務職として活躍するためには、パソコンスキルはもちろんのこと、コミュニケーション力が必要となります。さらに、お客様の電話・メール対応もするため、基本的なビジネスマナーを身に着けている方が重宝されています。
なお、事務職に関するスキルを客観的に判断するために、取得していると有利になる資格があります。取得していると工場・製造業の事務職の転職で有利になる資格は以下の通りです。
- 秘書技能検定
- MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)
- TOEIC
- 日商簿記検定
上記の資格を取得している方は、履歴書にも記載し面接でもアピールしていきましょう。なお、まれに、日商簿記検定等の資格取得者を求めている求人案件もあります。
例えば、以下は、大手食品メーカー日清食品の総務・経理スタッフの求人です。
こちらの求人の勤務形態は、契約社員です。仕事内容は、総務全般の仕事の補佐で、日商簿記資格保有者は優遇となっています。つまり、経理の仕事では、日商簿記の資格が役立ちます。
日商簿記2級以上は評価される資格で、実践的なスキルを取得していることの証明にもつながります。このように、必須ではありませんが事務職に関する資格を取得していると、転職に有利になる場合があります。
また、こちらの求人では、社員登用制度があるため、契約社員として入社し、業務を取得した場合は将来的に正社員として活躍することが可能です。
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工場・製造業の事務職の給与や年収をしっておく
次に、工場・製造業の事務職の給与や年収についてです。工場・製造業の事務職の勤務形態は、正社員・契約社員・派遣社員・パート・アルバイトなど幅広い働き方が可能です。
勤務地や雇用形態によって給与や年収は異なりますが、パート・アルバイトの時給は1000円~1400円前後が相場となっています。一方、正社員になると給与は上がります。企業や仕事内容により異なりますが、月給20万円~30万円がボリュームゾーンです。年収にすると、240万円~360万円となります。
なお、正社員登用制度がある企業が多数あります。そのため、アルバイトやパート、契約社員として入社した場合でも、経験を積み実力が評価されることで正社員登用される方が多いようです。
事務職の年収アップのためにできること
基本的に事務職は、日勤のため深夜手当は発生しません。また、残業が少ない職種ですので、残業代も発生しないケースが多くなっています。そのため、平均年収は高いといえません。
しかし、年収をアップさせるためにできることがあります。例えば以下のような点です。
- 給与水準の高い企業へ転職する
- 資格手当の対象となる資格を取得する
- 残業代の支払いについて確認する
- 昇進、昇給が目指せる企業で働く
などがあります。
例えば、以下は、埼玉県に工場を持つ食肉製造業の人事総務スタッフの求人です。
こちらの求人の企業は、年齢・年次関係なくステップアップができる環境となっています。このように、事務職であってもリーダーや責任のある立場になれる環境があり、それによって給与アップを目指すことも可能です。
将来的に、ステップアップを目指していきたいと考える方は、求人案件を探す段階で、先を見据えて昇進が見込める求人案件を探していきましょう。
なお、「年収アップできそうな求人が見つからない」「自分に合った工場・製造業の事務職があるのだろうか」などと転職活動に不安を感じる方は、転職エージェントの利用をおすすめします。転職エージェントでは、専任のアドバイザーが転職をサポートしてくれます。
転職エージェントが取り扱う、公開求人や非公開求人など豊富な求人案件からあなたにマッチした求人を紹介してくれます。
工場・製造業の事務職で働くメリット
では、工場・製造業の事務職で働くメリットについても触れておきます。人気がある職種ですので、事務職にはたくさんのメリットがあります。工場・製造業ならではのメリットもあります。
あなたにとってもメリットになるのかどうか、確認しておきたい大切なポイントです。
メリット①未経験でも挑戦しやすい
工場・製造業の事務職の求人案件を確認してみると、ほとんどの求人案件で未経験者も受け入れています。経験者や資格保有者が優遇される傾向にはありますが、未経験者でも一定のパソコンスキルとコミュニケーション能力があれば挑戦できます。
未経験・無資格であっても、意欲や人柄を重視されて採用されるケースが大半です。オフィスワークに挑戦したいと考える方にとっては、工場・製造業の事務職ははじめの一歩としておすすめできます。
メリット②ワークライフバランスを保ちやすい
工場・製造業の事務職は、日勤でかつ残業が少なく、さらに土日祝休みの場合が多くなっています。そのため、家庭も大切にしたいと考えている主婦の方や、プライベートな時間も大切にしたいと考える方にとって働きやすい環境であるといえます。
メリット③比較的、服装や髪型が自由
事務職であれば、わりと服装や髪型に規定がなく自由に自分らしさを崩さずに仕事ができるという点もあります。工場・製造業の事務職は、お客様対応することほとんどないことから、ヘアカラーやネイルがOKな企業があります。
メリット④技術がなくてもモノづくりに参画できる
技術やスキルがなくても、製造業の事務職として働くことで、その企業がつくりだす製品に携われるという点もメリットであるといえます。
手先が不器用で、製造現場に関われないと感じる方でも、事務職としてその製品に関わっていくことができます。作り上げる製品に興味関心があれば、携われることに喜びを感じるはずです。
事務職の志望動機の書き方・伝え方
さて、ここでは事務職の志望動機の書き方・伝え方について紹介していきます。事務職は人気のある職種です。一度働きだすと長く務める方が多く、上記で紹介したメリットがたくさんある職種なため、事務職で働きたいと考える方はたくさんいます。
それゆえ、ライバルが多く競争率が高くなっており、面接や履歴書で伝える志望動機が重要となってきます。採用担当者へ好印象を持ってもらうために、工場・製造業が求める人材はどのような人なのかを理解していくことが大切です。見当違いなことを伝えても、採用担当者の印象に残りません。
まず志望動機を考えるうえで大切なことは、応募企業のことをよく知り、この企業で働きたいと感じている理由を伝えることです。それから、あなたがアピールしたい点について記載していきましょう。
アピールできる点として、以下を参考にしてください。
- いままでの事務職の経験
- 職歴
- 取得資格
- 適性
- 特技
- 入社にあたっての熱意
などを、志望動機に盛り込みながら、応募企業で働きたい理由を伝えましょう。
事務職へ転職するための志望動機の例文
例えば、以下は、工場・製造業の事務職へ転職する際の志望動機の例文です。
【経験者の場合①経理事務】
私は、前職で3年間、伝票整理、領収書整理、経費の精算などの経理の業務に携わってきました。几帳面な性格で、書類の整理を得意としています。 出産を機に前職は退職しましたが、こどもの手が離れてきたため、これまでの経理事務の経験を活かし活躍していきたいと、再就職を考えるようになりました。 特に貴社はひとりひとりの裁量権がおおきく、より多くのことに携われるのではないかと考え志望しました。いままでの経験を活かしながら、仕事の幅を広げ、経理事務として会社全体の業績向上に貢献できるよう尽力いたします。 |
【経験者の場合②一般事務】
私は、貴社でさらなるスキルアップを目指したいと考えています。現職は、派遣社員として一般事務の仕事をしています。データ入力や受付・電話対応をメインに仕事に取り組んでまいりましたが、携われる業務範囲の幅を広げていきたいと考え転職を決意しました。 派遣社員として働いた3年間で、パソコンスキルが向上したと自負しております。貴社に入社できた際には、会社組織の一員となり、事務のサポート業務だけではなく、戦力として貴社のお役に立ち、さらなるスキルの向上を目指してまいります。 |
【未経験者の場合】
私は、5年間フラワーショップにて販売員をしてきました。日々の売り上げ計算などの作業をしているうちに、お金の動きを管理する経理事務の仕事に興味が湧き転職を決意しました。 事務職は未経験ではありますが、幼少期に習っていたそろばんの経験や学生時代に取得した日商簿記2級の資格を活かせると考えています。 また、前職で培ったコミュニケーション力を駆使して、お客様だけではなく、会社の従業員の方ともコミュニケーションを密にとりながら、先を読んで業務にあたる所存です。 お客様が、手にしたときに喜んでくれる製品を届けている貴社のモノづくりに参画したいと思い志望しました。 |
上記のように事務職の経験者か未経験者かで、記載する内容が異なります。しかし、伝える内容は、「なぜこの企業に応募したのか」「今までの経験や取得しているスキル」「入社後に取り組みたいこと」についてです。上記をしっかりと、記載していきましょう。
志望動機は、この会社でなければならない理由を明確にし、オリジナリティがある文章になっていれば、採用担当者に響くはずです。
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まとめ
ここまで、工場・製造業の事務職へ転職する際に知っておきたいことについて紹介してきました。
工場・製造業の事務職は【一般事務・受付】【総務・経理・人事事務】【営業事務】と分かれている場合と統轄されている場合があります。そのため、仕事内容は事務の種類によって異なります。
また、特別なスキルや資格がない方や未経験者でも採用されるところが、事務の魅力のひとつです。しかし、人気の職種なため競争率が高く、しっかりと志望動機で、自分の熱意をアピールする必要があります。
転職活動に不安がある方は、転職エージェントを利用しましょう。求人案件の紹介から、転職に必要な履歴書や職務経歴書の作成、面接対策、スケジュール調整や、給与の交渉までもアドバイザーがサポートしてくれます。
以上のことを踏まえて満足いく転職活動を進めていきましょう。
工場・製造業に転職をするとき、ほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自分の力だけで求人を探すと、希望の条件を満たす求人を見つける作業のみならず、労働条件や年収の交渉・アポ取りなどさまざまな作業を自分でやらなければなりません。
そこで、転職サイトに登録することで、求人の紹介から労働条件や年収交渉だけでなく、履歴書や職務経歴書などの書類関係を送付するなど面倒な事務作業まで行ってくれます。
ただし、転職サイトによって特徴が違います。例えば「工場・製造業の転職に強い」「全国各地に強いのか、それとも都市部に強いのか」「20代・第二新卒が得意」「40歳以上でも転職を成功させてくれる」などの違いがあります。
転職を成功させるには、これらの違いを理解した上で転職サイトを活用しなければなりません。そこで、以下のページでそれぞれの転職サイトの特徴を解説しています。これらを理解することで、転職での失敗を防ぐことができます。