「工場・製造業は理系しかいないイメージがある」「文系出身の私は採用に不利になる?」「転職したとしても出世はできないのではないか?」といったように、文系出身者が工場・製造業への転職を考えたときに気になるところが多々あります。
しかし、実際には、工場・製造業は理系だけではなく文系の方も多く働いており、なかには、文系出身者がリーダーや工場長など責任のある立場で働いています。また、文系出身者を歓迎している求人案件も数多く存在します。
そこで、この記事では、文系でも工場・製造業へ転職できるのかや文系出身者におすすめの職種、転職後にキャリアアップする方法、転職するための志望動機について紹介します。
もくじ
文系でも工場・製造業に転職できるのか
まず、工場・製造業へ転職を考えている方で一番気なることは、「文系でも工場・製造業へ転職できるのか?」という点についてです。
結論から言うと、工場・製造業への転職に【文系】【文系大卒】であるということは、採用に影響しません。
工場・製造業といえば、モノづくりにかかわる仕事のため理系の方が働くというイメージを持っている方が多くいます。そのため、「文系は工場・製造業に転職できない」と考えてしまう方がいるのではないでしょうか。
しかし、実際には、理系の方も文系の方も工場・製造業で働いていますので、文系であっても働くことができます。
では、工場・製造業で働くときに、
- 理系と文系で違いがあるのかどうか
- 文系であることが転職に影響を与える点があるのか
- 文系だと配属先が限定されるのか
の疑問について解説していきます。
文系・理系は転職に大きく影響しない
社会人になると、文系・理系はほとんど関係ありません。それよりも、採用担当者はこれまでの経験やスキルを重視し、「将来的にこうなりたい」という希望をしっかりと描いている方を求めています。
例えば、以下は東京都の品質管理の求人です。
こちらの求人は、文系出身者や未経験で働き始めた先輩が多い企業の求人です。このように、工場・製造業の求人案件をみてみると文系出身者も応募できる求人が多数あります。
最初から専門知識が必要な部署に配属されることは稀で、文系出身者であっても問題なく仕事ができます。採用後の配属先も、文系・理系で異なることはなく、本人の能力や体力、性格などを考慮して配属先が決定されることが多いため、文系・理系はあまり問題ではありません。
とはいうものの、職種によっては「文系」が向いている仕事と「理系」が向いている仕事に差が生じることが考えられます。研究や開発業務に関しては、専門知識が必要となる分野ですので、理系の大卒を採用の条件としている企業があります。
つまり、理系の大卒でなくても転職できますが、場合によっては理系が専門知識を持っている理系が優遇される場合があることを理解しておく必要があります。そうすることで、職種を絞って効率よく転職活動が進められるでしょう。
文系出身者に向いている工場・製造業の職種は?
では、文系出身者に向いている職種はいったいどのようなものがあるのでしょうか。工場・製造業は、さまざまな職種があります。文系出身という強みを活かせる職種や、コミュニケーション力が必要となる職種がありますので、それらを活かせる職種に就くことで、将来的にスキルアップ・キャリアアップが望めるでしょう。
なお、応募する職種によっては、競争率が高くなることや、理系出身者のみ募集している場合もありますので、求人票をしっかりとチェックして応募していきましょう。
製造
文系出身者におすすめな職種、ひとつ目は「製造」です。製造は、組み立て・加工・仕上げ・点検・梱包など担います。集中力が必要とされる仕事ですが、専門知識がなくても働くことができるため、ものづくりに携わりたいと考える文系の方におすすめの職種であるといえるでしょう。
例えば、以下は埼玉県の工場内製造スタッフの求人です。
こちらの求人は、資格も不問で未経験からはじめられる求人です。こちらの求人にもありますように、文系・理系のハンデ一切なしとなっていることから、工場の製造の仕事では、文系であっても転職できることがほとんどです。
最初は誰もが初心者ですし、同じように未経験からはじめた方が多い職種でもあります。そのため、研修をおこない仕事に慣れるところからスタートし徐々に知識と経験を身に着けられます。ものづくりに携わりたいと考える方は、まず製造の仕事をはじめてみて、経験を積み、仕事の幅を広げていくのもよいでしょう。
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生産管理
次に、文系出身者におすすめな職種は「生産管理」です。生産管理の仕事は、製品の生産から出荷までを滞りなく進めるため、調整・管理する仕事です。確実に納期に間に合うように製品の生産スケージュールの管理を行うことはもちろん、資材の調達、工程管理、在庫管理まで幅広い業務を担っています。
生産管理の仕事は、文系・理系問わず採用されており、文系の方も活躍できる職種となっています。生産管理の仕事のなかでも、工場の生産ラインで働く従業員と生産に関する他部署と連携を図る役割を担う要素が強いため、文系・理系というよりかは対人スキルなどの個人の強みが重視される仕事であるといえるしょう。
例えば、以下は埼玉県の生産管理の求人です。
こちらの求人は、大手ショッピングモールなどで、床材等に使用される製品の製造を行う企業の生産管理の仕事です。業務内容は、生産調整や出荷指示などの生産管理業務、在庫管理、伝票入力、取引先との電話対応、現場作業となっています。
製品が市場に出回るまで関わる仕事なため、ものづくりの楽しさを味わえる感覚を強く持てる仕事です。こちらの求人も、未経験者でも応募可能で、文系・理系も問われません。文系出身者であっても、活躍できる職種のひとつが生産管理の仕事です。
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工場事務
つづいて、文系出身者におすすめな職種は「工場事務」です。どの企業でも必須の職種である事務は、工場・製造業の仕事の中で、文系出身者が得意とする分野で文系出身者の事務職希望が多くあります。
なお、工場事務では、これまでの知識や経験を活躍できる職種であるといえます。
例えば、以下は埼玉県の洋菓子製造メーカーの事務職の求人です。
こちらの求人では、受注業務を始め、電話応対、伝票処理、指示書作成、納期調整などの仕事を担います。現場や営業などで活躍する仲間がスムーズに仕事を行えるように、事務的な作業をする縁の下の力持ちような存在が工場事務であるといえるでしょう。
工場事務も文系理系関係なく、さらに未経験者でも転職できる職種です。
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商品開発やマーケティング
つづいて、文系出身者におすすめな職種は「商品開発やマーケティング」です。新製品を考えたり、既存の製品の改良をしたりと、消費者のニーズに合わせて必要とされる製品を生み出すために調査や分析をする仕事です。
商品開発は、理系の仕事じゃないの?と思う方もいますが、求人案件によって業界・職種未経験者も募集できる求人があります。
例えば、以下は東京都のコンビニ店頭に並ぶ麵製品の商品開発の求人です。
こちらの求人は、商品の新規開発・リニューアルに伴う商品設計、企画提案の仕事です。未経験者も応募可能で、入社後に工場にて研修を実施してくれるため、未経験者も安心して働けます。
このように、イメージでは理系ばかりが働いていそうな仕事であっても、実は文系理系という枠にとらわれず、活躍できる場が多くあることがわかります。
求人サイトで、工場・製造業の仕事を検索する場合は、「文系」と入力してしまうとヒットする求人が少なくなる傾向があります。文系大卒であることが、気がかりな方もいるとは思いますが、工場・製造業では、絶対に理系でないと働けないというわけではありませんので、安心して携わりたい職種を検索していきましょう。
文系出身者がキャリアアップする方法
畑違いの文系大卒の方が、工場・製造業へ転職してキャリアアップできるのか不安に感じる方がいるでしょう。実際には、工場・製造業では文系出身者が多く活躍しています。
なかには、文系大卒で工場長まで昇進した方がいます。上記でもお伝えしたように、文系であっても工場・製造業に転職することは可能で、さらに経験を積み、働きっぷりによっては、リーダーや主任さらには工場長になることも不可能ではありません。
そこでここでは、文系出身者が工場・製造業でキャリアアップする具体的な方法について紹介していきます。
配属された職場で実績を積む
キャリアアップのためには、まず現場を知ることが大切です。転職先の工場で、真面目にコツコツと働き実績を積んでいきましょう。
どんな仕事でも共通していえることですが、日頃の仕事に対する前向き姿勢を上司は見ています。将来的にどのような働き方がしたいのかを見据えて、実力をつけていくことが出世への近道です。
転職時に総合職として採用された場合は、配属先が転職後に決定されることがほとんどです。配属先が、生産管理であったり、製造であったり、事務であったり、さまざまありますが配属先でしっかりと実績を残すことで評価につながります。
働きながら資格を取得する
つづいて、転職後に、働きながら資格を取得しキャリアアップを図る方法についてです。企業によっては、研修制度が充実や業務に必要な資格取得のための資格取得支援を行っている企業があり、会社が資格取得を応援してくれるため、制度を利用してみましょう。
なお、文系出身で工場・製造業で役立つ資格を取得せずに入社した場合であっても、資格を取得することでさらに関われる仕事が増える可能性が高まります。
例えば、以下は千葉県のCADオペレーターの求人です。
こちらの求人は、文系・理系問わず歓迎で、エンジニア未経験の方も応募できる求人です。なお、企業のグループが運営する専門スクールで業務に必要な研修を受講することが可能となります。
このように、転職後から携わる業務のスキルや資格を取得でき、一生もののスキルを身に着けられる環境が整っている企業があります。文系出身で、資格も何もないと転職やその後のキャリアアップに不安がある方は、資格支援をしている企業へ転職するのがおすすめです。
また、資格取得することで、資格手当がつくなど給与が上がることも考えられます。働きながら、知識を得て、資格を取得することで、給与がアップする好循環が生まれるでしょう。
昇進しチームリーダーや主任になる
次に、現場で経験を積むことでチームリーダーや主任などの責任のある立場に昇進できる可能性が高まります。工場・製造業では、経験が評価の対象となっています。未経験で入社したとしても、日々真面目にコツコツと仕事に励み、知識や経験を積み技術を得ることで重宝される人材となるでしょう。
リーダーや主任になるためには、知識や経験も大切ですが、リーダーとして従業員をまとめる力も必要となります。
将来的にリーダーや主任を目指していきたいと考える方は、普段から積極的に動き、指示を受けるだけではなく、従業員が働きやすい環境を整えられるように目的を持って行動していきましょう。
なお、大企業へ転職するよりも中小企業へ転職した方が昇進できるスピードは早めになります。
実績、経験を積むことで将来的に工場長が目指せる
工場勤務での出世は、従業員からリーダー、主任、係長、課長、部長、工場長とキャリアアップしていくことが可能です。キャリアアップをするにつれて、業務の流れを把握し工場全体が効率よく高品質な製品を作れるように導く仕事になります。
しかし、工場長になるということは簡単なことではありません。製造している製品のことを深く理解していることはもちろん、工場で働く従業員が働きやすい環境を整えることも工場長の仕事のひとつです。
知識や経験だけではなく、人とのつながりを大切にでき、コミュニケーションスキルが高くなければ工場長として、工場をまとめていくことは難しいでしょう。
工場で勤務する方にとっては、工場長はキャリアの最高峰ともいえます。将来的に、工場長を目指していきたいと考える方は、転職の時点で工場長を目指せる求人案件を探すことが必要となります。
ひとりでは、求人案件の見極めができないと感じる方は、転職エージェントを利用して、将来どうなりたいかについて相談しながら転職を進めていきましょう。
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工場・製造業に転職するための志望動機の考え方
では、文系の方が工場・製造業に転職するための志望動機について紹介します。
「何を書いていいのかわからない」「文系出身だとアピールポイントがない」などと、いざ転職を進めようと思っても志望動機で手が止まってしまう方がいます。
なにも対策をせずに志望動機を考えても、採用担当者には伝わらず、「文系なのになんで?」と思われてしまうこともあるでしょう。そうならないためにも、志望動機の考え方を理解して、採用担当者に伝わるような志望動機を作っていきましょう。
ここでは、文系出身者が工場・製造業に転職するための志望動機の考え方について以下のポイントについて説明します。
- 文系でもメーカーで働きたい理由を明確にする
- 業界・企業研究が不可欠
このポイントを意識しながら、志望動機を考えていきましょう。志望動機の例文も紹介していきます。
文系でもメーカーで働きたい理由を明確にする
採用担当者が一番知りたいことは、なぜ文系出身者が工場・製造業を選んだのかということです。文系出身者だけど、工場・製造業に転職したいと思った理由があるはずです。
たとえば、「大学卒業後、教育関係の仕事に就いたけど、子どもの頃からモノづくりが好きでどうしてもモノづくりに携わる仕事がしたいと思った」「営業の仕事でのノルマがきつくてコツコツと働ける仕事がしたいと思った」など、人それぞれ理由があります。
志望動機を考えるうえで、まずは転職したいと考えた理由を整理していきましょう。
まずは、自分自身の正直な気持ちを言葉で表現し、なぜ文系で工場・製造業へ転職したいのかということに焦点を当てて考えてください。
その理由から、メーカーで働きたいと思ったきっかけや背景などを説明できればそれが志望動機となります。なお、未経験者は、未経験であるからこそ感心を持った点を具体的に説明していきましょう。
業界・企業研究が不可欠
また、転職の際の業界・企業研究は欠かせません。工場・製造業といってもさまざまな業界・職種があります。たくさんの情報を集めることで、入社後のミスマッチや、転職の失敗を防ぐことができます。
企業研究がしっかりできないと、なぜこの企業に応募したのかという「なぜ」に対する答えが採用担当者に伝わりません。
応募企業のことを知るために企業の求人情報を読み込み、企業のホームページも確認していきましょう。
一通り調べ終わったら以下の点を考えることが大切です。
- 応募企業の製品や仕事内容のどこに魅力を感じたのか
- 企業のどのような理念に共感したのか
- 他社ではなく応募企業で働きたい理由
といった点を意識して考えていきましょう。さらに、企業とあなたの接点を探していくと、志望動機が考えやすくなります。
志望動機の例文
自己分析と業界・企業研究の結果を基に、志望動機を文章化していきましょう。文系の志望動機の例文を紹介します。
文系出身者の志望動機例 (営業職から製造)
私は、学校教材の営業職を5年間務めて参りました。仕事を通じて一般的な社会人スキルを身に着けた今だからこそ、今後のキャリアをふまえて、よりやりがいを感じられる仕事がしたいと転職を決意しました。 貴社を志望した理由は、小さなころからプラモデル作りが得意で、何かを作り上げる仕事をしてみたいという気持ちから、環境に優しい車を生み出し、国内だけでなく国外でも人々の生活を便利している貴社の車の製造に携わりたいと強く思うようになったからです。 営業職で培ったコミュニケーション力を活かしながら、世界中から必要とされる車づくりに貢献したいと考えています。 |
といったように、転職理由と「なぜこの企業で働きたいのか」を具体的に書いていきましょう。
なお、志望動機を考えるのが難しいと感じる方は、転職エージェントを利用することで、履歴書や職務経歴書の書き方などを転職のプロがサポートしてくれるためおすすめです。
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まとめ
ここまで、文系で工場・製造業へ転職するために理解しておきたい、文系出身者におすすめの職種、転職後にキャリアアップする方法、転職するための志望動機について紹介してきました。
工場・製造業は、未経験者でも転職可能な職種があり、特に、製造・生産管理・工場事務・商品開発やマーケティングがおすすめできます。なお、求人案件をみると文系・理系はあまり関係なく、転職が可能ですので、文系だからという固定概念は捨てて工場・製造業への転職に挑戦してみてください。
とはいえ、文系だから工場・製造業への転職に不安がある方は、転職エージェントを利用して転職のプロのサポートを受けながら転職活動を進め行くのもよいでしょう。
工場・製造業へ転職したい!という気持ちを大切に、文系の自分がどの職種で活躍できるのか想像しながら、満足のいく転職を目指していきましょう。
工場・製造業に転職をするとき、ほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自分の力だけで求人を探すと、希望の条件を満たす求人を見つける作業のみならず、労働条件や年収の交渉・アポ取りなどさまざまな作業を自分でやらなければなりません。
そこで、転職サイトに登録することで、求人の紹介から労働条件や年収交渉だけでなく、履歴書や職務経歴書などの書類関係を送付するなど面倒な事務作業まで行ってくれます。
ただし、転職サイトによって特徴が違います。例えば「工場・製造業の転職に強い」「全国各地に強いのか、それとも都市部に強いのか」「20代・第二新卒が得意」「40歳以上でも転職を成功させてくれる」などの違いがあります。
転職を成功させるには、これらの違いを理解した上で転職サイトを活用しなければなりません。そこで、以下のページでそれぞれの転職サイトの特徴を解説しています。これらを理解することで、転職での失敗を防ぐことができます。