工場・製造業の仕事というと、男性が働いているイメージをする人がいます。また、「危険」「汚い」「きつい」の3Kをイメージする人がいます。
もちろん、「危険」「汚い」「きつい」という工場もありますし、男性ばかりの職場もあります。しかし、そういった工場よりも「安全」「きれい」「楽」な工場の方がたくさんあります。そうした職場だと人気が高く、女性作業員も多く働いています。
また、製造業といっても様々な業種の工場があり、職種もたくさんあるため、未経験者ができるものから資格を必要とするものまで幅広くあります。
そこで、ここでは女性にあった工場の仕事内容や勤務形態・給料など説明していきます。
もくじ
女性にあった工場の仕事内容
まず、はじめに女性が工場で働こうとしたとき、どのような仕事があるのでしょうか。女性に向いている職種、女性には向いてない職種はなにか確認していきましょう。
このとき工場では、大きく以下の7つに分けられます。
- ライン作業
- 倉庫業務
- 検査
- 組立・組付け
- オペレーター
- 生産管理・品質管理
- 縫製工場
順番にどのような勤務内容か、具体的に確認していきましょう。
ライン作業ってどんな仕事?
工場の仕事で最初にイメージするのがライン作業ではないでしょうか。では、ライン作業とはどのような仕事なのでしょうか。
ライン作業とは、ベルトコンベアーやクレーンなどで運ばれてくる製品や品物を順番に加工したり組み立てたり検査したりする作業です。
例えば、以下は食品加工工場にあるベルトコンベアーです。
ライン作業で行われる業務はたくさんありますが、職種によって作業の内容が大きく変わります。例えば電化製品など組み立て作業の場合は、「ネジやボルトを締める」「半田ごてで電気の線をつなげる」などします。
また、食品加工の場合は、お弁当におかずを詰めたり、野菜などを大きさや品質で仕分けたりする作業があります。
これら全てのライン作業に共通していることは、同じ作業の繰り返しなので単純作業であることです。また、難しい作業がなく業務内容もマニュアル化されているため仕事を覚えるのが苦手な女性や同じ事を黙々とやることが好きな女性に向いている仕事です。
その反面、毎日同じ事の繰り返しになるので、飽き性な女性には少し向いていません。
例えば、以下は福岡にある断熱材製造工場のライン作業での求人です。
ちなみにこの工場では、検査の作業と包装の仕事をライン作業で行っています。そのため、このような求人に転職サイトを活用して募集する場合は、担当者の方にどちらの業務を行いたいかしっかりと伝える必要があります。
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ピッキングや検品・梱包を行う倉庫業務
他には、倉庫業務があります。倉庫業務とは、製造業や流通業界の倉庫内で商品の入庫業務や出庫業務などを行う仕事です。
このうち入庫業務では、入荷した商品を検品(商品の名前や個数が合致しているかをチェックすること)して、倉庫内の保管場所への移動する仕事です。
このとき、重たいものを運ばなくてはならないのか不安になりますが、重たいものや大きなものは男性が運んでくれたり、フォークリフトなど運搬してくれたりするので心配ありません。
一方、出荷業務はピッキング(注文された商品を保管場所から取り揃えて箱に詰める作業)や検品、梱包などを行う仕事です。
これらの業務を行う場合、分担してそれぞれの専属の作業を行うことが多いです。しかし、規模の小さな倉庫の場合は全ての業務を同じ作業員が行うこともあります。そのため、倉庫業務の求人へ応募する際には倉庫の規模を調査し「出荷業務だけなのか、あるいは全ての業務を行うのか」などを確認する必要があります。
いずれにせよ、重いものを運んだりきつい作業であったりということはないので女性でも大丈夫です。
例えば、以下は愛知にある倉庫業務の求人です。
このように、倉庫業務で仕分け・ピッキング・梱包などの仕事があります。取り扱っている製品も自動車用小型部品なので軽量物で体への負担も少ないです。
多業種で行われる検査の仕事
一方で検査という仕事があります。検査とは、主に製品に「異常がないか」「悪いところがないか」をチェックする仕事です。製品の種類は食品や縫製・金属などがあり、製品の種類によって検査方法が変わってきます。
例えば、スマホやパソコンの部品のような精密部品の検査であれば重たくないものが多いので女性に向いている仕事と言えます。
そのほかにも、縫製工場で取り扱っている衣料品や食品など女の人が多く働いていて女性向きの工場がたくさんあります。例えば、以下は岐阜にある自動車用の内装資材を製造している工場の求人です。
この求人では、布に異物がないか目視検査して、あれば取り除く作業を行う業務になります。このように、検査の仕事は基本的にはたいへんな業務ではありません。
しかし、最終工程でチェック漏れががあると不良品を社外に出してしまうことになるので、非常に重要なポジションになります。
組立・組付けなら小物製品がおすすめ!
他には、組み立て・組付けの業務があります。組み立てる製品でイメージするのが、自動車や機械設備など大きくてたいへんな作業のものではないでしょうか。
実際に男性が汗水流しながら組立作業をたり、溶接や半田付け・塗装をしたりなどのたいへんな仕事をしている工場もあります。
しかし、組立作業には軽作業なものも多く存在しています。例えば、半導体部品やスマホ、パソコンなどの電子部品の組立のほかに、ベアリングなどの金属部品の組立や発泡スチロール製品の組立など女性が行える仕事がたくさんあります。
例えば、以下は愛知にある組み立て工場の求人です。
このように、車のような大きな組立工場だけでなく、小さいものを取り扱う工場もたくさんあります。
意外に簡単!機械オペレーター
他には、オペレーターの仕事があります。オペレーターは「操縦者・操作者・運転者」などの意味があり、様々な仕事でその名が使われています。そのため、簡単な仕事からたいへんな仕事まで幅が広い職種になります。
そうしたオペレーターの中でも、NC旋盤やマシニングセンタの取り付けだけ行うオペレーターの仕事は簡単で女性に向いている仕事になります。しかし一日中立ちっぱなしになるので、少し体力が必要になります。
例えば、以下は三重にある自動車部品を製造している工場の求人です。
このようにボタンを押すだけの簡単な仕事ではありますが、機械を使っているので、職種的には機械オペレーターになります。
しかし、中には機械を動かすためのプログラミングから行う仕事があるので注意しなければいけません。
例えば、以下は広島にあるNC工作機を取り扱う工場の求人です。
このように、プログラム作成の仕事も同じ機械オペレーターの職種になるので、求人票を見るときには詳細まで確認する必要があります。また、転職サイトを活用する場合は担当者の方にボタンを押すだけの簡単な機械オペレーターがいいのか、プログラム作成も行う機械オペレーターがいいのか説明する必要があります。
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簡単にはいかない生産管理・品質管理の仕事
一方で生産管理・品質管理の求人では体力的には大変ではないものの、簡単にはいきません。製造業の現場では一日の生産数が決められていることがあるからです。
この場合、生産管理者が工場の生産計画を立て、在庫管理・工程管理を行います。また、品質管理者は顧客の求める水準を保証し、改善・向上するのが業務になります。
そのため体力的には大変ではないものの、しっかりと考えて仕事を行わなければいけません。このような仕事の場合、計画を立てるのが得意・好きな女性が向いています。
例えば、以下は熊本にあるボルトやナットを製造する工場の生産管理の求人です。
このように、生産管理では原材料・部品・消耗品などの副資材を入手し、必要な品目・量・時期・価格を計画・購入・保管まで行わなければいけません。とても重要なポジションでたいへんな仕事はではありますが、やりがいはとてもある内容です。
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服飾が好きなら縫製工場
他には、アイロンやミシン・釦付けミシンなどの機械を使って作業を行う、縫製の仕事があります。縫製といっても裁断から縫製・プレス・検品など様々な業務があります。
色々な職種がありますが、服飾関係が好きな女性であれば、どの業務も抵抗なく行えます。また、作業自体も座りながら行うのが基本になるので、立ち仕事が苦手な女性にも向いています。
例えば、以下は神奈川にある縫製工場の求人です。
このように、縫製工場でミシンを使った業務があります。こうした求人へ転職すれば、自分の好きなことを仕事にすることができます。
三交代や夜勤の勤務形態を確認しよう
このように、女性が工場で働くときの仕事内容を理解したあと、次に確認するべきは勤務形態になります。
工場の勤務形態については大きく分けて2種類あります。1つは常日勤と呼ばれるものです。これは勤務時間が昼間と決まっている勤務形態です(日勤のみの勤務)。
もう1つは交代制、交代勤務、シフト勤務と呼ばれるものです。どれも同じ内容で、日勤や夜勤など様々な勤務時間に分かれている勤務形態です。
この2つの勤務形態が具体的にどのようなものなのか例を挙げて説明していきます。
常日勤は、例えば通常8:00~17:00での勤務です。一般企業で働くときと同じように工場勤務するようになります。
一方で交代制は様々なシフトがありますが、ここでは4直3交代制を例に上げてみます。4直3交代制の場合、以下のようになります。
このシフトの場合、4班に分かれてローテーションを組みます。工場が休みなしでフル稼働する場合はこのようなシフトになります。こうして「5勤-2休-5勤-1休-5勤-2休」のローテーションを繰り返します。
勤務時間の例は以下のようになります。
- 日勤:7:00~15:00
- 準夜勤:15:00~23:00
- 深夜勤:23:00~7:00
さらに、図で表すと以下のようになります。
このように日勤・準夜勤・深夜勤を繰り返すシフトの場合、休日の1~2日で体内時計をリセットしなければいけないので、たいへんな勤務形態になります。しかし、夜勤の場合は給料が基本給に対して25%増しになるメリットがあります。
そのため、順応性がよい女性の人や給料のいい職場を探している女性の人に向いています。
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女性が工場で働くときの給料・年収はいくら?
このとき気になるものとして、給料があります。女性が製造業・工場で働く場合の収入はどれくらいになるのでしょうか。事前に給与相場を理解していなければ、新卒就職や中途採用での転職をするにしても悪い条件での入社を承諾してしまう可能性があります。
以下は厚生労働省が発表している製造業で働く女性の年齢別平均年収です。
出典:厚生労働省「平成30年賃金構造基本統計調査」
このように、年齢によって大きな違いがあります。45~49歳がピークになり、そこからだんだんと低迷していくのがわかります。また、製造業にはたくさんの業種・職種があるため仕事内容によっても大きく異なります。そのため、平均年収はあくまで参考程度で見ておく必要があります。
女性が工場で働くときの志望動機
それでは、実際に女性が工場・製造業への転職・就職を希望する場合はどのような志望動機にすればいいのでしょうか。これについては、まずはあなたの希望を明確にしましょう。
どのような職場へ転職したいのかについて、自分の希望を明らかにする必要があります。例えば、以下のようになります。
- 料理が好きなので食品加工工場で働きたい
- 服飾の学校を出たので縫製工場で働きたい
- コスメに興味があるので化粧品工場で働きたい
希望条件を明確にすれば、どのような工場が適切なのか見えてきます。その後、実際の求人票を確認しながら履歴書・面接での志望動機を作るようにしましょう。
・食品工場の例
例えば、食品工場の求人を実現するためには、求人表を見なければいけません。例えば、実際に調理を行う仕事をしたいとします。この場合、以下のような求人へ申し込むようになります。
この会社は東京にあるパンや和菓子の製造を行う会社です。仕事内容は、パンの生地を造ったり、生地の形を整えたりする仕事です。また、会社のホームページでは以下の内容が記されていました。
「食の安全・安心への取り組み お客様の笑顔と信頼にお応えするためにベストクオリティー・ベストサービスをお届けします」
このような工場の場合、以下のような志望動機になります。
食品工場の中でも、研究開発部があり、より安全性がある貴社に志望いたします。 前職でも食品工場で働いていましたが、消費者により良い商品を自信をもって提供したいと考えるようになりました。 口に入る食品は安心・安全なものでなければならないと考えています。貴社へ工場見学にきたとき、より安全な食品を消費者に届ける努力をされていることを知りました。 貴社であれば、消費者に自信をもって商品を提供できると思い志望しました。 また、前職での経験を生かして貴社に貢献していきたいと考えています。 |
このように、「食を通して何をしたいか」「なぜ、そこの会社にしたのか」「企業にどんなプラス」があるかを書くことが重要です。
このよう求人票や企業の方針を確認し志望動機を述べるようにしましょう。
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女性が工場に転職・就職するときは転職エージェントを活用しよう
なお、工場・製造業に転職・就職をしたいとき、ほとんどの女性が転職サイトを活用しています。
「女性が働きやすい製造業」や「女性が多い工場」など、自ら求人を開拓するのは現実的ではありません。また、年収や勤務条件の交渉を自分でするのも大変です。
そのため、多くの会社の求人情報を持っている転職サイト(転職エージェント)を活用する必要があります。
ただ、転職サイトによって保有する求人案件は異なります。さらには、転職エージェントの担当者の力量も異なります。こうした実情があるため、3社以上の転職サイトに登録し、実際に使ってみながら優れた提案を示してくれる転職サイトを残すのが基本です。
こうした専門サイトへ登録すれば多くの求人を抱えているだけでなく、プロが条件面の交渉をしてくれるので満足いく転職を実現できるようになります。
そこで女性が正社員として勤務するときの希望条件を詳細に伝え、工場求人の中から募集を探すといいです。
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まとめ
女性が働きやすい工場・製造業には、大きく以下の7つに分けられます。
- ライン作業
- 倉庫業務
- 検査
- 組立・組付け
- オペレーター
- 生産管理・品質管理
- 縫製工場
それぞれについてメリット・デメリットがあり、作業内容も大きく異なります。そのため、どのような違いがあるのか理解したうえで職種を検討しましょう。
例えば、料理が得意で同じ作業を繰り返し行う業務がいい人であれば、食品工場のライン作業が向いています。服飾が好きで服飾関係の工場で働きたい女性の人であれば縫製工場があります。
さらに、工場の勤務形態については大きく「常日勤」「交代制・交代勤務・シフト勤務」の2種類あります。
こうした違いがあることを理解したうえで、女性が正社員としてどのような働き方を実現したいのか考えるようにしましょう。その後、複数の転職サイトを利用するなどして中途採用の求人を紹介してもらい、工場・製造業や倉庫業務へ正社員転職しましょう。
工場・製造業に転職をするとき、ほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自分の力だけで求人を探すと、希望の条件を満たす求人を見つける作業のみならず、労働条件や年収の交渉・アポ取りなどさまざまな作業を自分でやらなければなりません。
そこで、転職サイトに登録することで、求人の紹介から労働条件や年収交渉だけでなく、履歴書や職務経歴書などの書類関係を送付するなど面倒な事務作業まで行ってくれます。
ただし、転職サイトによって特徴が違います。例えば「工場・製造業の転職に強い」「全国各地に強いのか、それとも都市部に強いのか」「20代・第二新卒が得意」「40歳以上でも転職を成功させてくれる」などの違いがあります。
転職を成功させるには、これらの違いを理解した上で転職サイトを活用しなければなりません。そこで、以下のページでそれぞれの転職サイトの特徴を解説しています。これらを理解することで、転職での失敗を防ぐことができます。