工場・製造業へ転職を考えている方のなかには、「工場・製造業って給与が高いって聞いたことがあるけれど実際はどうなの?」「工場・製造業で年収をあげるための方法を知りたい」と工場・製造業で働くうえで、工場・製造業の年収事情が気になる方がいます。
せっかく工場・製造業に転職するのであれば、高収入を目指したいものです。実は、工場・製造業は、真面目にコツコツと経験を重ね、資格取得をすることで給与アップが可能となる仕事です。
ここでは、工場・製造業の年収って高いの?低いの?という疑問にお答えしながら、工場・製造業の年収事情についてや年収が高い理由、給与や年収をあげる方法について詳しく紹介していきます。
もくじ
工場・製造業の年収は?高い?低い?
工場・製造業の仕事って年収が高いって聞いたことあるけど実際はどうなの?と気になる方がいます。その一方で、「工場の仕事ってきついのに給与が低いイメージがある」といった方もいます。
実際のところは、工場・製造業の年収は高い?低い?どちらなのでしょうか。
年齢や性別、雇用形態、地域別などさまざまな角度から平均年収を見てみると調査結果が変わってきますが、国税庁の「令和3年分民間給与実態統計調査」によると、日本全国の平均年収は、433万円となっています。
ここでは、工場・製造業の平均年収について、業種別・年齢別にみていきます。その結果、日本全国の平均年収433万円と比較して、工場・製造業の給料は高いのか低いのかについてお伝えします。
業種別にみる平均年収
国税庁の「令和3年分民間給与実態統計調査」では、1年を通じて勤務した給与所得者の1人当たりの平均給与を業種別にみると、最も平均給与が高いのは「電気・ガス・熱供給・水道業」の766万円となっています。反対に最も低い業種は宿泊業・飲食サービス業の368万円です。製造業は、業種別の5番目に高い平均給与となっており、金額は516万円です。
国税庁のデータでも示されているように、工場・製造業の平均年収は他の業種と比べて平均年収が高い傾向にあることがわかりました。また、全国平均年収の433万円より高い年収を得てる方が、工場・製造業には多くいるということがわかります。
年齢別にみる平均年収
先程、年齢や性別、雇用形態、地域別によって平均年収が異なるとお伝えしましたが、工場・製造業の平均年収を年齢別にみてみるとどのような結果がでるのでしょうか。
厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査 結果の概況」データをもとに製造業の男性の年齢年齢階級別平均月収は、以下の通りです。
~19歳 | 182.0千円 |
20~24歳 | 199.0千円 |
25~29歳 | 229.9千円 |
30~34歳 | 260.3千円 |
35~39歳 | 289.4千円 |
40~44歳 | 311.3千円 |
45~49歳 | 332.4千円 |
50~54歳 | 359.8千円 |
55~59歳 | 361.9千円 |
60~64歳 | 265.7千円 |
65~69歳 | 226.9千円 |
70歳~ | 221.1千円 |
このように、50代までは年齢に伴って平均月収が上がる傾向があることがわかりました。なお、年収を計算する場合は、月収×12ヶ月+手当・賞与で考えます。
給与が上がるタイミングとして、20代後半から昇進や手当などが付くことで、給与が上昇していると言えるでしょう。また、年齢を重ねてからも工場・製造業では活躍できる可能性が高いです。
長く務めて、経験やスキルを身に着けることで、給与アップが目指せることは間違いありません。
工場・製造業の年収が高い理由って?
ここまで、工場・製造業の年収について紹介してきました。他の業種と比べると、工場・製造業の年収は高めであることがおわかりいただけたかと思います。
では、いったいなぜ、工場・製造業の年収は高いのでしょうか。
工場・製造業の平均年収が高である理由はいくつかあります。具体的な理由は以下の通りです。
・さまざまな手当やボーナスが充実している
・残業代がしっかりもらえる
・深夜に仕事をする場合がある
ここでは、これらについて詳しく解説していきます。
さまざまな手当やボーナスが充実している
まず、工場・製造業ではさまざまな手当があり、勤務先によって異なりますが、工場・製造業では以下の手当が多くなっています。
- 時間外手当
- 休日出勤手当
- 深夜手当
- 技能、資格手当
- 役職手当
- 通勤手当
- 家族手当
などの手当が充実しているため、基本給が高くない場合でも手当で高収入をキープできるようになっています。
例えば、以下は千葉県のペットボトル飲料メーカーの製造の求人です。
こちらの求人の仕事内容は、清涼飲料水製造工場内において、ペットボトル飲料の生産工程が順調に稼働しているか確認する作業なっています。スピード感より正確さを重視している作業で、コツコツと業務に取り組めます。
給与・報酬は、正社員で月給196,000円~222,000円となっており、それに加えて各種手当+賞与3.5ヶ月分となり、年収は約470万円です。全国の平均年収433万円よりも高い収入を得ることができます。
このように工場・製造業では、充実した手当を受け取りながら働けるため高収入を得ることが可能となります。
残業代がしっかりもらえる
つづいて、工場・製造業では、基本的に残業した場合残業代がしっかりと支給される点も年収が高くなる理由のひとつです。
残業代がしっかりと支給されることで、給与が高くなっているというのは事実です。給与が低くなってもいいから、プライベートの時間を確保したいという考えの方もいれば、がっつり稼げるなら残業をしてもよいと考える方もいるため、残業に対しての考え方は、人それぞれです。
なお、工場・製造業では、残業がほとんどない企業もあれば、残業があるけれどしっかりと残業代が支給される企業があり、企業によって残業に対する考え方が異なります。どんな風に生活していきたいかをしっかりと考えて、「時間を大切にしたい」のか、「いまはとにかく稼ぎたい」のかなど自身の考えにそった企業を選択していきましょう。
残業をして、高収入を目指したいという方は、しっかりと残業代が支給される工場・製造業を選びましょう。
例えば、以下は東京都の生産技術の求人です。
こちらの求人は、固定残業代41,500~69,000円が含まれた月給が227,000~320,000円となっています。残業の有無にかかわらず固定残業代は支給され、超過分は別途支給されると記載があります。
残業については、仕事に対する不満の原因にもなります。「こんなに長い時間働いているのに給与が低い」と感じてしまうなんてことにならないように残業代について確認をしておきましょう。
また、面接時に残業に関する考え方について面接官に伝えておくのもいいかもしれません。
深夜に仕事をする場合がある
なお、24時間稼働している工場では、二交代制・三交代制などの交代制の勤務形態となっていることが多くあります。
そのような場合は、交代勤務で夜間に働かなければならない状況が生じてきます。夜間に働く場合は、夜勤手当や深夜割増賃金などが加味され、日勤のみ給料より高額の収入を得られるようになります。
ちなみに、夜勤手当は企業が夜間に働く従業員に支給する手当で法律性はなく任意で設けています。一方、深夜割増料金は従業員に深夜労働をさせたときに、企業側が所定の割増賃金支払うよう労働基準法で定められています。22:00~早朝5:00の間に働いた従業員に、基本給の25%以上の割増賃金を支給するものです。
例えば、以下は千葉県の設備保全・管理の求人です。
こちらの求人は、基本給173,000円~297,000円と幅がある求人案件です。もちろん経験やスキルなどによって基本給が定められますが、基本給に加え手当がプラスされていきます。
ちなみに、割増賃金率が、所定時間外で(130%)、深夜(133%)、休日(140%)となっており、割増賃金がしっかりと支給されるようになっています。
このように、深夜や休日に働く場合には、割増賃金が支給される企業で働くことで、給与アップができますし、モチベーションアップにも繋がるでしょう。
転職活動では、求人案件を探すときに割増賃金や手当についてもきちんと把握することをおすすめします。
工場・製造業で高収入は得られる!給与や年収をあげる方法
では、工場・製造業で給与や年収アップを目指すためにどのような方法があるのでしょうか。
工場・製造業で、給与アップするための方法として以下の4つがあります。
- 資格を取得する
- 福利厚生・手当を活用する
- 役職を目指す、出世する
- 給料が高い企業へ転職する
具体的に解説してきます。
資格を取得する
まず、給与や年収をあげる方法のひとつ目が、「資格を取得する」です。
工場・製造業では、資格取得をすることで、資格手当が支給される場合があります。なお、いまは資格がないという方でも、資格取得に向けた補助や受験対策を実施してくれる企業で資格取得を目指すことが可能です。
勤務しながら勉強をして資格取得を目標に協力してくれる資格支援制度を導入している企業が増えてきていますので、資格支援制度を利用してもいいかもしれません。
また、資格取得をすることで資格手当が支給され給与アップに繋がり、企業としても従業員のスキルアップやモチベーションアップに繋がるため、資格取得はメリットが大きいでしょう。
例えば、以下は、埼玉県の機械メンテナンス・スタッフ管理の求人です。
こちらの求人の仕事内容は、クリーニング設備の保全・管理業務です。月給25万円~となっています。それに加え、クリーニング士、ボイラー技士、第一種衛生管理者の資格を取得済みの方は、別途資格手当が支給されます。基本給に加え資格手当がつくことで、給与アップが目指せるでしょう。
いま取得済みの資格がある方は、積極的に資格を活用して転職活動を進めてみるのはいかかでしょうか。
つづいて、以下は、千葉県のポリ袋類のフィルム製造スタッフの求人です。
こちらの求人は基本給が171,000円と、高いとは言えない金額ではありますが、夜勤や残業などの手当が付くことで、給与アップが狙えるでしょう。
それに加えて、入社3年後には、プラスチック成型(インフレーション成型作業)という国家資格の取得を目指してもらいますとの記載があります。
費用は全額企業負担で、取得済みの先輩に受験対策をしてもらえるようです。2級を取得すれば、手当として毎月10,000円の支給があるため、収入アップが見込めます。
このように、工場・製造業では、社員の資格取得を応援してくれる企業がたくさんありますので、働きながら給与アップのために資格取得を目指すのがよいでしょう。
福利厚生・手当を活用する
つぎに、給与や年収をあげる方法のふたつ目が「福利厚生・手当を活用する」です。工場・製造業への転職において重要視されている、福利厚生や手当をしっかりと確認しておきましょう。
福利厚生や手当は、社員が安定して働くために提供されています。福利厚生や手当があるおかげで、生活費が抑えられたり、仕事に対するモチベーションがアップしたりとさまざまなメリットがります。
福利厚生や手当の内容は、企業によってことなるため、求人案件やホームページなどを読み込んで、どのような手当があるのか確認してください。
工場・製造業での給与や年収アップに直結する手当として人気なものは、以下の通りです。
- 社宅や寮の提供
- 家賃補助
- 社員食堂
- 深夜手当
- 残業手当
- 家族手当
- 通勤手当
などがあります。
例えば、以下は輸送用機器のプロダクトデザイナーの求人です。
こちらの求人は、豊富な手当と福利厚生がある企業の求人です。基本給に加えて手当や福利厚生がつくため、高収入が得られるでしょう。残業手当を始め、通勤手当、住宅手当、家族手当など、働く従業員が安心して働けるような環境が整っています。
なお、工場が公共交通機関では通勤しづらい場所であったり、夜間など公共交通機関が利用できない場合では、マイカー通勤が可能となっていたりする工場があります。そのような場合は、ガソリン代が支給されるかどうかを確認しておいた方がよいでしょう。
また、社員食堂があることで安く栄養価の高い食事がとれることや、将来のための財形貯蓄制度、確定拠出年金制度などがある企業など、長く働くうえで重要視しておきたい福利厚生や手当があります。
求人案件をよく確認して、目先の給与だけではなく総合的に安心して働けるかどうかについても把握しておきましょう。福利厚生や手当が手厚いことで、手元に入る給与がアップするといった結果に繋がることが多々あります。
役職を目指す、出世する
つづいて、給与や年収をあげる方法の三つ目が、「役職を目指す、出世する」です。基本的に工場・製造業では、これまでの経験やスキルがない限り、一般従業員からスタートします。
その後、班長やリーダー、主任、係長、部長、工場長と工場内でのステップアップが考えられます。実際に、役職があがるとともに給与も上がっていきます。
そのため、給与アップを目標としている方は役職を目指して日々努力を続けていきましょう。
役職に付くためには、技術はもちろんのことコミュニケーション力や人望などが重視されます。仕事をコツコツとこなすだけではなく、工場全体の生産性を考えて行動に移したり、他の従業員のフォローをしたりと、周りのことも把握して行動できる方は、出世しやすい傾向にあるでしょう。
なお、役職名が同じでも、企業によって求められる責任や意味合いが異なることがあるため、その点を理解しておきましょう。
給料が高い企業へ転職する
さいごに、給与や年収をあげる方法の四つ目が、「給与が高い企業へ転職する」です。給与アップを目的とした転職の場合は、そもそも給与が高い求人案件を探して内定を勝ち取ることが大切です。
いくら出世や昇給をしたところで基本給が低い場合は、理想の収入に届かない可能性があります。そのため、給料が高い企業へ転職できるように意識しながら転職活動を進めていきましょう。
また、比較的高い基本給を示している業績が安定している企業や大手企業などへの転職を狙ってみるのがよいかもしれません。
まとめ
ここまで、工場・製造業の年収事情についてや年収が高い理由、給与や年収をあげる方法について詳しく紹介してきました。
工場・製造業は他の業種に比べると、平均年収が高めであることがわかりました。年齢が上がるにつれて、給与アップが可能となり、さらに資格手当や残業手当など、しっかりと手当が支給される企業で働けば、それだけ給与が上がっていきます。
工場・製造業で給与をあげていきたいと考える方は、仕事に関する知識やスキルを磨き上げ、役職を目指すことがおすすめです。
年功序列という考えが残る企業がまだまだありますが、きちんと成果を出すことで、昇進昇給に繋がるでしょう。工場・製造業で年収アップを実現するために、いまできることを着実に行っていきましょう。
工場・製造業に転職をするとき、ほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自分の力だけで求人を探すと、希望の条件を満たす求人を見つける作業のみならず、労働条件や年収の交渉・アポ取りなどさまざまな作業を自分でやらなければなりません。
そこで、転職サイトに登録することで、求人の紹介から労働条件や年収交渉だけでなく、履歴書や職務経歴書などの書類関係を送付するなど面倒な事務作業まで行ってくれます。
ただし、転職サイトによって特徴が違います。例えば「工場・製造業の転職に強い」「全国各地に強いのか、それとも都市部に強いのか」「20代・第二新卒が得意」「40歳以上でも転職を成功させてくれる」などの違いがあります。
転職を成功させるには、これらの違いを理解した上で転職サイトを活用しなければなりません。そこで、以下のページでそれぞれの転職サイトの特徴を解説しています。これらを理解することで、転職での失敗を防ぐことができます。